底地を相続した場合、売却すべき?メリット・デメリットを解説
あなたがもし底地(そこち)を相続した場合、どのように扱えば良いのでしょうか。底地は地代や権利金などの収入を得られるというメリットがある一方、デメリットも存在します。
本稿では、現在底地を所有している方、又は今後相続などで底地を所有する可能性がある方に向けて、底地を所有することのメリット・デメリット、又売却をする際の方法について解説します。
目次
底地とは
底地とは「借地権の負担がついた土地」のことです。
例えば、土地の所有者Aさんが、Bさんに土地を賃貸し、Bさんが土地上に自宅を建築して居住しているとします。この時、Bさんは「自宅を所有するために土地を利用できる権利(=借地権)」を有することになります。利用できる権利はBさんが持っていますが、あくまでも土地の所有者はAさんのままです。
この時、Aさんが所有している土地を「底地」と言います。Aさんは、Bさんから土地の利用料(地代)の支払いを受けられますが、「利用できる権利」はBさんが所有しているため、土地を自由に利用することはできません。言い換えると、底地とは「地主(=所有者)が自由に使うことができない土地」ということもできます。
底地を保有することのメリット・デメリット
現在、底地を所有している方もいれば、相続などでこれから底地の所有権を手に入れる方もいらっしゃるでしょう。本章では「底地を保有することのメリット・デメリット」について解説します。
メリット
底地を保有する一番のメリットは、賃貸することで収入を得ることができるという点にあるでしょう。
1.地代として一定の収入を得られる
毎月(契約によっては毎年)、借地権者から地代収入を得られるため、安定的な資産形成ができます。底地を所有しているだけで一定額の収入が見込めるため、ゆとりのある生活を送ることもできます。
2.権利金、建替承諾料、更新料等の収入を得られる
地代だけでなく、借地契約を締結する際には、「権利金」の支払いを受けられます。また借地権者の所有する建物が老朽化するなどして建て替える際に、「建替承諾料」などの支払いを受けることもできます(尚、建替承諾料の相場は、更地価格の3%とされています。)。
デメリット
底地を保有することで収入が得られるというメリットは大きいですが、もちろんデメリットもあります。
1.土地を自由に利用することができない
繰り返しになりますが、底地は、地主が自由に利用することはできません。借地権者の権利は借地借家法(平成4年8月1日以前は旧借地法)によって厚く保護されていますので、例えば地主が「やっぱり土地を利用したい」と思った場合でも、明渡しを求めることは容易ではありません。明渡しを求められたとしても、多額の立退料がかかるケースが多いです。
2.相続時に相続税がかかる
底地を相続した場合には、相続税の課税対象となります。自由に利用できない土地ではあるので、相続した方が(税金の支払いという意味では)返って迷惑になるというケースもあります。また既に所有している方でも、ご自身の相続の際に、相続人(自分たちの子や孫)に相続税の負担がかかるという事もあるかもしれません。
3.借地権者とのトラブルの可能性
底地を所有しているということは、土地を他人に貸している状態となります。メリットのところで記載した「地代や更新料の支払い」などもそうですが、借地権者との間で契約に関してのトラブルが発生する可能性があります。
メリット・デメリットについては以上のように整理ができます。
個人の見解としては、広大な底地を保有し、かなりの額の地代を得られているという場合ではない限り、底地を保有することのデメリットの方が大きいのではないかと考えております。
底地を売却する3つの方法
では底地を「売却する」という意思決定をした時には、どんな方法が挙げられるのでしょうか。これは状況に応じて、様々な方法が考えられますが、本章では代表的な3つの例について解説します。
①底地のみ、第三者に売却する
底地のみを「第三者」に売却するという方法があります。
第三者といっても、個人の方が底地を購入するケースは少ないため、実際には「不動産業者」に売却するという方法です(不動産業者の中には、底地の買取りを専門とした業者ももいます。)。
先に申し上げると、この方法はあまり推奨できる方法ではありません。なぜなら、不動産業者に底地の買取りを依頼すると、更地の評価額の10%から15%の金額でしか売却することができないケースが多いためです。
これは、不動産業者が安値で買い叩いてる訳ではなく、前述の通り、底地は「自由に利用することができない」ため、買い手としては、
借地権者からの地代を見込んで購入する
借地権者の立退きを実現し、更地として有効利用することを見込む
の、いずれかになりますが、後者の場合は多額の立退料がかかることが分かっている事もあり、買取価格は必然的に低くなります。
②底地のみ、借地権者に売却する
次に底地のみを「借地権者」に売却するという方法があります。
この方法は、更地価格の5割等での売却価格交渉が可能となり、①の方法よりも、金銭的なメリットは大きくなるでしょう。
借地権者にとっても、底地を買い取ることで土地の「完全な所有者」となるため、
地代を支払う必要がなくなる
建て替えや売却を自由に行う事ができる
土地も担保にできるため、住宅ローンの審査が通りやすくなる
などのメリットがあります。
よって、借地権者側の売却を実現したい意思が強く、地主にとっても納得のいく値段で売却交渉ができる可能性が高くなるのです。
③底地及び借地権者を、第三者に売却する
最後に、地主と借地権者が協力して、底地及び借地権を一緒に売却する方法があります。
例えば、
相続対策のために資産を現金化したい
建物が老朽化したものの建替費用を工面できないため引っ越しをしたい
など借地権者の方で、借地権を売却することが選択肢に入っている場合もあります。
このように、地主、借地権者の両者が売却を検討している場合には、協力して売却することが可能です。
底地と借地権を一緒に売却することができるので、単独で売却するよりも売却しやすくなるうえ、売却代金の配分に関しても、地主と借地権者で等分することもあり、底地を借地権者に売却するのと同等のお金を得られる可能性もあります。
以上の3つが「底地を売却する方法」の代表例となります。
底地を売却する場合には、
② 底地のみ、借地権者に売却する
③ 底地及び借地権者を、第三者に売却する
のいずれかの方法を、お勧めしています。
底地に関することはご相談下さい!
本稿で推奨した借地の売却方法では「借地権者の同意・協力」が必要になります。地主様がご自身で借地権者に交渉した場合、「断固として拒否された」と言ったご相談も多く頂きます。
当所では、そのような案件に対しても、地主様を代理して借地権者と交渉することにより、底地の売却や、底地借地権同時売却に至った事例も多くあります。また、結果的に底地のみを第三者に売却することになったとしても、信頼のおける不動産業者とのお付き合いもありますので、地主様の利益を最大限図られるような条件での売却も実現できます。
底地に関することでお悩みの場合は、是非ご相談ください!
まとめ
底地を保有することはメリットもありますが、どちらかというとデメリットの方が多いのかもしれません。上記に挙げた売却方法はあくまでも一例に過ぎないため、実際に底地の売却を検討の際は、不動産業者や、不動産に強い弁護士等に相談してみることを推奨致します。
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