たきざわ法律事務所

【2023】不動産DXとは?企業事例やメリットを弁護士がわかりやすく解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

 

不動産DXとは、不動産業者がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むことです。重要事項説明書類の電子交付や電子での契約締結などを認める宅建業法の規制緩和を受け、不動産DXが加速しています。

 

では、不動産業者がDXに取り組むことには、どのようなメリットやデメリット、注意点があるのでしょうか?また、不動産DXには、どのような事例があるのでしょうか?

 

今回は、不動産DXの事例を紹介するとともに、不動産DXのメリットやデメリットなどについてくわしく解説します。

 

不動産DXとは

 

不動産業者の業務内容などを定める主な法律は、宅地建物取引業法(以下、「宅建業法」といいます)です。この法律では、以前、次のような規定がなされていました。

 

  • 重要事項説明書へは、宅地建物取引士が押印すべき

  • 売買や賃貸などの契約締結後の交付書面へは、宅地建物取引士が押印すべき

  • 重要事項説明書は紙で交付すべき

  • 売買や賃貸などの契約締結時の書面は紙で交付すべき

 

このような規制が、不動産業者の業務効率化を阻んでいたといえます。

 

しかし、令和3年(2021年)5月19日に、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。これは、「デジタル社会形成基本法に基づきデジタル社会の形成に関する施策を実施するため、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の関係法律について所要の整備を行う」ことを目的とした法律です。

 

参照元:デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の概要

 

この法律では、押印や書面の交付等を求める手続を見直すべきことなどが定められており、これを根拠に宅建業法が改正されました。宅建業法の改正法は、2022年5月18日から施行されています。

 

この改正により、上で挙げた重要事項説明書などへの宅地建物取引士による押印義務や書面交付義務などが大きく緩和され、契約書面の電子化などが認められることとなりました。この流れを受けて不動産業者がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むことを「不動産DX」と呼んでいます。

 

 

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不動産DXの例

 

不動産DXには、すでにさまざまな取り組み事例が登場しています。では、主な取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、不動産DXに先行している4社の取り組みを紹介します。

 

自社で不動産DXへ取り組む際には、1からDXツールやシステムを作り上げることも一つです。また、既に存在するこれらのツールをうまく取り入れて活用することも、DX推進における選択肢の一つとなるでしょう。

 

契約書類の電子化:Musubell

Musubell

画像引用元:Musubell

株式会社デジタルガレージが運営する「Musubell」は、不動産売買の電子契約をサポートするサービスです。Musubellを利用することで、不動産電子契約書面の作成や契約状況のステータス管理、クラウド上での締結済み契約書類の管理などが可能となります。

 

不動産売買の契約締結に特化しており、令和4年(2022年)5月に施行された宅建業法改正を色濃く反映したDXツールであるといえるでしょう。

 

オンライン内見:オンライン内見

オンライン内見

画像引用元:オンライン内見

株式会社Tryellが運営する「オンライン内見」は、その名称どおりオンラインで物件の内見を可能とするサービスです。

 

オンラインでの内見や相談、IT重説に最適化されたビデオチャットである「オンライン内見LIVE」のほか、動画や360°映像を URLで簡単共有できる「オンライン内見VIDEO」などの不動産ソリューションサービスを展開しています。

 

住宅ローン業務効率化:いえーるダンドリ

いえーるダンドリ

画像引用元:住宅ローン業務効率化

「いえーるダンドリ」とは、iYell株式会社が運営する、住宅ローンの業務効率化ツールです。住宅事業者が「いえーるダンドリ」を導入することで、いえーるダンドリの住宅ローンの専門家が 「住宅事業者の住宅ローンデスク」として住宅ローンの対応をするとしています。

 

金融機関から受託をした住宅ローン業務で蓄積した膨大な審査ノウハウがあることや、1分で個信可否がわかるスピード事前審査サービスの提供、全国300社以上の金融機関と提携があることなどが強みとなっているようです。

 

公式ホームページによれば住宅ローン業務は住宅事業者が担っている業務の25%を締めるとされており、導入によってこれだけの業務の削減が可能とされています。

 

アプリでの物件管理:WealthParkビジネス

WealthParkビジネス

画像引用元:アプリでの物件管理

「WealthParkビジネス」とは、WealthPark株式会社が運営する、不動産オーナーと管理会社をアプリでつなぐ業務支援システムです。

 

不動産管理に特化したDXツールであり、収支報告がアプリやWebでできるうえ、不動産オーナーへの報告や承認をシステム上で行うことが可能となります。また、世界最先端のAI技術を使い、管理物件の推定賃料を算出することも可能としています。

 

不動産DXに取り組む主なメリット

 

不動産DXというと、何となく難しいそうな印象を持つかもしれません。また、小規模な不動産業者様では、「うちには関係ない」などと考える場合もあるでしょう。

 

しかし、不動産DXに取り組むことには、大手の不動産業者様にとってはもちろん、小規模な不動産業者様にとってもさまざまなメリットが存在します。不動産DXに取り組む主なメリットは、次のとおりです。

 

業務効率化を図りやすい

 

不動産業者様が不動産DXに取り組むことで、業務の効率化が図りやすくなります。

 

先ほど解説したように、不動産業界にはもともと多くの業法規制があり、これが業務効率化の大きな妨げとなっていました。たとえば、売買や賃貸などの契約締結、重要事項説明などは書面で行うべきとされていた点などです。

 

このような規制があったことで、不動産業者の事務所内には書面が溢れ、また押印のためだけにオフィスへ戻ることなども常態化していたことでしょう。

 

しかし、宅建業法が改正されたことで、業務効率化を図りやすくなっています。

 

たとえば、上で紹介したようなDXツールをうまく取り入れることで、契約業務の電子化や、クラウド上での書面の一元管理などが可能となるでしょう。また、契約書面を電子化することで、印紙税を合法的に節約することも可能となります。

 

人手が限られている小規模な不動産業者様こそ、このようなツールを導入することで、人材不足を解消するメリットを享受しやすいかもしれません。

 

優秀な人材確保につながりやすい

 

不動産DXに取り組むことにより、地域を問わず、優秀な従業員を確保しやすくなるでしょう。

 

新型コロナ禍ではリモートワークが定着し、地方への移住をした人も少なくありません。また、子育てや介護などの事情で出勤が難しい優秀な人材が、埋もれている可能性もあります。

 

不動産DXに取り組んで多様な働き方ができるようになれば、このような優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。

 

新たな付加価値の提供につながる

 

不動産DXに取り組むことで、新たな付加価値を提供できる可能性が高くなります。

 

人口が減少している昨今、不動産業界のこれまでの枠組みの中で差別化を図り収益を上げ続けることは、容易ではありません。そこで、DXに取り組みビジネスモデルを創造することで、新たな付加価値を提供しやすくなるでしょう。

 

新たな層の顧客を獲得できる可能性がある

 

不動産DXに取り組むことで、これまで自社でのアプローチが難しかった新たな層の顧客へアピールできる可能性があります。

 

従来、不動産の売買や賃貸は、来所での相談が基本とされていました。そのため、たとえば遠方へ引っ越す際には、引越し先を見つけるためだけに事前にその地域へ出向くこともめずらしくなかったことでしょう。

 

一方、たとえばオンライン内見や電子契約などのDXツールを活用すれば、賃貸契約のためだけにあらかじめその地域に出向かずとも、引越し先が確保できます。

 

また、はじめて上京する学生などの場合には家族とともに内見や相談に参加したいという一定のニーズがありますが、オンライン内見などの活用でこのニーズを満たすことなどが可能となるでしょう。他にも、海外など、遠方の在住者へ投資物件を紹介するなども考えられます。

 

このように、不動産DXをうまく取り入れることで、新たな顧客層を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

 

企業イメージが向上する

 

不動産DXへ取り組むことで、企業イメージや企業価値が向上する可能性があります。

 

不動産DXをうまく活用すれば、顧客にとっての利便性が格段に向上します。そのため、これをアピールすることで、顧客から選ばれる可能性を高められることでしょう。

また、採用面で優位となったり、上場している場合には株価が向上したりするなどのメリットも期待できます。

 

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不動産DXに取り組むデメリット

 

不動産業者が不動産DXに取り組むことにはデメリットも存在します。主なデメリットは、次のとおりです。

 

導入時にコストがかかりやすい

 

新たに不動産DXに取り組む際には、導入時にまとまった費用がかかる可能性があります。

 

要するコストは取り組みの内容や導入するツールなどによって大きく異なるため、一概にお伝えできるものではありません。ただし、DXに伴って自社のシステムを組みなおす必要が生じる場合には、莫大な投資が必要となる可能性があるでしょう。

 

そのため、長期的なメリットと要するコストを比較したうえで、導入について慎重に検討することが必要です。

 

また、国や地方公共団体が募集している補助金の獲得要件を満たす場合には、これにチャレンジしてみることも一つでしょう。なお、当サイトの運営者であるたきざわ法律事務所でも補助金の申請サポートを行っておりますので、ご希望の際にはお気軽にお問い合わせください。

 

適切な人材の確保が必要となる

 

不動産DXに取り組むためには、社内の誰かが先導して進めなければなりません。

 

新たなツールを導入する際には初期の設定に手間がかかるうえ、理解するまでに時間がかかることも多いでしょう。また、従業員の中には、新たな取り組みに抵抗する人が一定する存在することも珍しくありません。

 

そのため、せっかく便利なDXツールを導入しても先導する人がいなければ、誰もツールを使い始めず無用な投資となってしまう可能性があります。

 

しかし、そのような人材は引く手あまたであり、自社に存在しないことも多いでしょう。不動産DXに取り組む際には、単にツールを導入するのみではなく、そのツールをどのように社内に浸透させるのかという点までを含めて検討しておくことが必要です。

 

先例がないため法令調査が必要となる可能性がある

 

すでに存在しており多くの企業で導入されているDXツールであれば、業法などの法令上の問題をクリアできている可能性が高いでしょう。一方、自社で新たにDXツールを開発する際などには、法令違反とならないかどうか注意しなければなりません。

 

そのため、法令調査に必要な期間とコストを踏まえたうえで、スケジュールを組む必要があるでしょう。

 

不動産DXに取り組む際のポイント

 

新たに不動産DXに取り組む際には、どのようなポイントを踏まえれば良いのでしょうか?主なポイントは、次のとおりです。

 

目的を明確化する

 

不動産DXに取り組む際にもっとも重要となるのは、目的を明確化することです。

 

DXは決して魔法のツールではなく、導入したからといってすべての問題が自動的に解決するわけではありません。また、自社の困りごととは目的がズレたDXツールを導入しても、無意味となってしまうでしょう。

 

不動産DXは、それ自体が目的となるべきものではなく、自社で抱えた何らかの問題があり、その問題を解決するための導入するべきものです。

 

たとえば、「紙の契約書の管理が大変で、過去の契約書を探すのに手間や時間がかかっている」という悩みや、「印紙代がかさんでいるので、これを節約したい」などの目的があれば、これを解決するために電子契約書の管理ツールを導入することなどが本来のあり方でしょう。

 

不動産DXに取り組む際には、DX自体が目的とならないように注意が必要です。

 

法令違反に注意する

 

先ほども触れたとおり、新たな不動産DXに取り組む際には、宅建業法などの法令違反に注意しなければなりません。

 

宅建業法による規制は、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立した流れを受け、大幅に緩和されました。とはいえ、許認可が不要な業種ほど、自由な取り組みができるようになったわけではありません。

 

たとえば、免許要件の関係上、事務所としての実体のない完全なるバーチャルオフィスで不動産業を営むことなどは困難でしょう。

 

このように、良いアイディアであるように感じる内容であっても、さまざまな法令に抵触する可能性があります。あまりに革新的な取り組みであれば何らかの法令に違反する可能性が高いと考え、法令調査を慎重に行うことをおすすめします。

 

弁護士に相談する

 

不動産DXへ新たに取り組む際には、不動産法務にくわしい弁護士へ相談することをおすすめします。なぜなら、新たに取り組む内容が法令に違反していないかどうか、法令上のリスクがあるかどうかなどについて、自社のみで判断することは容易ではないためです。

 

また、法令違反がないとの確信が持てないままであれば、ビジネスを進めるにあたって、アクセルを踏み込めない可能性もあるでしょう。そこで、あらかじめ弁護士へ相談することで、安心してビジネスに取り組むことが可能となります。

 

また、不動産DXなど新たな取り組みを始める際には、顧客との契約書や就業規則、プライバシーポリシーなどの各種規程が、現状にそぐわないものとなる可能性もあります。弁護士へ相談することで、改訂が必要な規程を洗い出し、改訂のサポートを受けることも可能となるでしょう。

 

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まとめ

 

不動産DXとは、不動産業者がDXに取り組むことです。宅建業法の規制が緩和されたことで不動産DXは活発となっており、今回解説したように、すでにさまざまな実例が登場しています。

 

紹介した事例などを参考に、自社の課題を解決するため、不動産DXへ取り組むと良いでしょう。

 

ただし、不動産DXにはメリットが多い一方で、デメリットや注意点も少なくありません。導入をしてから後悔することのないよう、DXに取り組む前に、不動産法務にくわしい弁護士へ相談してリスクを洗い出しておくことをおすすめします。

 

たきざわ法律事務所では不動産業者様のリーガルサポートに力を入れており、不動産DXにともなう各種規程の改訂や法令調査などを行っております。また、DXツールの導入に使える補助金に関する相談や、申請サポートなども可能です。

 

不動産DXへの取り組みをご検討の際には、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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