【2025】新築工事がストップした場合の対応は?対処方法を弁護士がわかりやすく解説
施工会社にアパートや社屋、店舗などの新築工事を依頼したものの、途中で工事が止まってしまう場合があります。このような場合、損失が拡大する事態を避けるには、施主は早期に対応しなければなりません。
では、新築工事のストップは、どのような事情で生じることが多いのでしょうか?また、新築工事がストップした場合、施主はどのように対応すればよいのでしょうか?今回は、新築工事がストップされる主な理由を紹介するとともに、新築工事がストップした場合に施主がすべき対応や主なチェックポイントなどについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は不動産法務に特化しており、新築工事のストップにまつわるトラブルへの対応実績も豊富です。新築工事が施工会社の都合でストップしてお困りの際は、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。

目次
新築工事がストップされる主な理由
はじめに、新築工事がストップされる主な理由を4つ解説します。
- 責任者の退職などの人手不足
- 施工会社の資金繰りの悪化
- 資材の納入遅延
- 施工会社のミス
責任者の退職などの人手不足
1つめ目は、責任者の退職などの人手不足です。
建設業界の人手不足は深刻化していることに加え、施工技術を有する職人や現場責任者などが退職することもあります。また、建設業法の規定により一定の工事には所定の資格や実績などを有する技術者を配置する必要があり、その技術者が退職すれば工事の続行が困難となる可能性があるでしょう。
このような人材面での事情から、新築工事がストップすることがあります。
施工会社の資金繰りの悪化
2つ目は、施工会社の資金繰りの悪化です。
施主にとって新築工事には多額の費用がかかることが多い一方で、その全額が施工会社の「儲け」になるわけではありません。施工会社にとっても、下請企業への発注や資材の仕入れなどで多額の費用が掛かります。当然ながら、その他に自社の従業員への給与の支払いも必要です。
このように施工会社はお金の出入りが大きいため、「他の工事の報酬が入ったらこれを別の工事の仕入れに回す」など、いわゆる自転車操業となっていることもあります。その場合、資金繰りの都合から新築工事の施工に必要な部材が仕入れられなかったり下請企業への発注ができなかったりして、新築工事がストップすることがあります。
なお、新築工事がストップする理由が施工会社の資金繰りにある場合、最悪の場合には施工会社が倒産し、工事が宙に浮くかもしれません。そのため、新築工事のストップの原因が施工会社の資金繰り悪化にあると窺える場合には、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。
資材の納入遅延
3つ目は、資材の納入遅延です。
新築工事の施工に必要な設備や建材の納入が遅れ、これが原因で工事がストップする場合があります。資材の納入が遅れる場合、その原因はサプライヤーのミスや生産の遅れなどによる場合もある一方で、世界情勢の変化の影響を受けている場合もあります。
施工会社のミス
4つ目は、施工会社のミスです。
施工会社にミスが生じ、その修正や調整などに時間を要している場合などがこれに該当します。ミスの内容としては、たとえば設計図面のミスや行政への申請内容のミス、施工のミスなどが挙げられます。

新築工事がストップした場合に施主がすべき対応
新築工事がストップした場合、施主はどのように対応すればよいのでしょうか?ここでは、施主がすべき対応の流れを解説します。
- 新築工事がストップした理由を確認する
- 弁護士に相談する
- 契約書の規定を確認する
- 工事再開の目途を確認する
- 契約解除や損害賠償請求をする
新築工事がストップした理由を確認する
新築工事がストップした場合、まずは施工会社の担当者と連絡をとり、工事がストップしている理由を確認しましょう。
なお、施工会社に連絡が取れなくなっている場合や新築工事がストップしている理由を尋ねても明確な回答が得られない場合には、特に早急な対応が必要となります。
弁護士に相談する
続いて、不動産法務に強い弁護士に相談します。弁護士に相談することで状況に応じた具体的な対応の検討が可能となるためです。また、弁護士に正式に依頼した場合には、弁護士が代理人として施工会社と交渉することも可能となります。
新築工事のストップについて相談できる弁護士をお探しの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。当事務所は不動産法務に特化しており、豊富なサポート実績を有しています。
契約書の規定を確認する
次に、弁護士とともに契約書の規定を確認します。契約書に、工事の中断に関する条項や不可抗力条項などが設けられている場合があるためです。
なお、不可抗力条項とは、一定の不可抗力(当事者が抗えない事情)が原因で債務不履行が生じた場合、施工会社が債務不履行責任を負わないことを定めた条項です。不可抗力条項では、たとえば震災や天候不順、世界情勢の変化など、「何が不可抗力にあたるのか」についても定めていることが多く、これが対応の判断にあたって重要となります。
工事再開の目途を確認する
新築工事のストップが一時的なものであり、かつ施工会社による誠実な対応が見込まれる場合には、施工会社の担当者に工事再開の目途を確認します。そのうえで、改訂後の引渡日について改めて合意書を交わしましょう。
なお、合意書はその場で押印するのではなく、弁護士のレビューを受けたうえで取り交わすことをおすすめします。なぜなら、たとえ「合意書」という名称であっても、当事者が合意して押印をする以上、契約書に上乗せされる形で合意書の条項が適用されることとなるためです。
契約解除や損害賠償請求をする
新築工事がストップして施工会社と連絡が取れなくなっている場合や新築工事のストップに関して施工会社から納得のいく説明が得られない場合、施工会社の提示する工事の再開時期が到底納得できるものでない場合などには、契約の解除や施工会社への損害賠償請求を検討します。
なお、契約の解除時点までに完成した部分について施主が利益を受ける場合には、施工会社からその部分に対応する報酬が請求される可能性があります。新築工事のストップによる解除や損害賠償請求ではトラブルに発展する可能性も高いため、弁護士に対応を任せることをおすすめします。

新築工事がストップした場合にチェックしたいポイント
新築工事がストップした場合、当面の間、現場は建築途上の状態のままとなることでしょう。そのため、いずれ工事が再開する前提であれば、施主としても現地を確認しておくことをおすすめします。ここでは、新築工事がストップした場合に現場でチェックしたい主なポイントを3つ解説します。
- 水漏れの後はないか
- カビや腐食はないか
- 天井や壁にシミはないか
なお、チェックをした結果何らかの問題がある場合には、これも加味して再開後の対応や損害賠償額などについて施工業者と交渉すべきでしょう。
たとえば、施工会社が「すでに上棟しているので、その部分までの報酬は支払ってほしい」と請求をする場合に、施工会社の養生が甘くその建物の状態に問題があるのであれば、問題のある部分を加味して減額交渉をすることなどが検討できます。
具体的な交渉や施工会社への対応でお困りの際は、たきざわ法律事務所へご相談ください。
水漏れの後はないか
1つ目は、水漏れの後がないか否かです。
ストップしたのが木造建物の建築工事であったとしても、防水工事が済んでいれば、水濡れによる劣化をさほど心配する必要はないでしょう。一方で、防水工事が済んでいない状態で雨に濡れ、木材の湿った状態が継続すれば、腐食やカビなどの原因となりかねません。
仮に上棟までが済んでいても水漏れが発生していれば建物自体が傷んでしまい、後に工事が再開されたり別の施工会社に工事を引き継いでもらったりすることになったとしても、建物の安全性や快適性に疑問が残るおそれがあります。
カビや腐食はないか
2つ目は、カビや腐食がないか否かです。
未だ剥き出しになっている断熱材や木材などに変色している部分があれば、すでに水漏れなどが生じてカビや腐食が生じている可能性があります。カビや腐食が生じていれば、後に木材に歪みが生じるなど、仕上げに問題が生じるおそれがあるでしょう。
天井や壁にシミはないか
3つ目は、天井や壁にシミがないか否かです。
新築物件が引渡しに至っていないにもかかわらずすでに張られている天井や壁にシミがある場合、再開後にこれをクロスなどで隠してそのまま引き渡される事態は避けたいことでしょう。
また、仕上げの問題のみならず、天井や壁にシミがある場合、内部に腐食やカビが生じている可能性もあります。そのため、天井や壁にシミがある場合、再開後にこれをいったん剥がして内部の状態を確認すべき点も考慮して、施工会社との交渉に臨むことをおすすめします。

新築工事のストップに関するよくある質問
続いて、新築工事のストップに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
新築工事のストップに関して損害賠償請求はできる?
新築工事がストップした場合、これに対して損害賠償請求ができるか否かは新築工事がストップしている理由や契約書の規定などによって異なります。
原則として、新築工事がストップして当初定めた引渡日に間に合わなくなった理由が施工ミスや無理な工程を組んだことなど施工会社側にあるのであれば、債務不履行による損害賠償請求をできる可能性が高いでしょう。
一方で、引渡日に間に合わなかったとしても、工事がストップした原因が大地震など不可抗力によるものであれば、損害賠償請求はできません。
しかし、実際には新築工事のストップの原因が施工会社にあると言えるのか不可抗力であるかの判断に迷うことも多いでしょう。たとえば、天候不順や世界情勢の変化による資材の納入遅延などです。そこで、契約書に「不可抗力条項」を設け、ここで「何が不可抗力なのか(つまり、どのような場合には損害賠償請求ができないのか)」を定めているケースも散見されます。
このように、新築工事のストップに対して損害賠償請求ができるか否かは、状況によって異なります。判断が難しい場合も多いため、お困りの際はたきざわ法律事務所へご相談ください。
新築工事のストップによる部材の劣化は、どちらの責任?
施工会社側の都合で新築工事がストップし、施工会社が現場に置いたままにした部材に劣化が生じた責任は、原則として施工会社の側にあると考えられます。そして、施工会社側に部材劣化の責任がある場合、施主は工事が再開するにあたってその劣化した部材ではなく、劣化のない別の部材での施工を求められる可能性が高いでしょう。
新築工事がストップする場合には「工事は無事に完成するのか」「引渡日はいつになるのか」などに加え、部材の劣化や途中まで完成した建物の劣化などへの対応も検討しなければなりません。お困りの際は、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。

新築工事がストップしてお困りの際はたきざわ法律事務所にご相談ください
新築工事がストップしてお困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
- 不動産オーナー様のサポート実績が豊富にある
- フットワークが軽い
- 状況に応じて最適な解決策を提案する
不動産オーナー様のサポート実績が豊富にある
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、不動産会社様や不動産オーナー様への豊富なサポート実績を有しています。不動産に関連する判例や裁判例などに日々アンテナを張っているほか事務所としてのサポート実績も積み上がっているため、より的確なリーガサポートが可能です。
また、顧問契約にも対応しており、日頃から弁護士に気軽に相談したいとお考えのクライアント様からご好評をいただいています。
フットワークが軽い
たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若く、フットワークの軽さを自負しています。「夜しか相談できない」「できるだけすぐに相談したい」などのご要望にも可能な限りお応えするため、ご希望がある際はご相談の予約時にお伝えください。
状況に応じて最適な解決策を提案する
たきざわ法律事務所はご相談内容を型に当てはめて解決をはかるのではなく、具体的な状況やご相談者様のご希望に応じた最適な解決策を提案しています。多くのご相談者様から「相談してよかった」と有り難いお声をいただいているため、お困りの際はまずお気軽にご相談ください。

まとめ
新築工事がストップされる主な理由や新築工事がストップした場合の施主の対応などを解説しました。
新築工事がストップする理由としては、施工会社の人手不足や資金繰りの悪化、資材の納入遅延、施工会社のミスなどが挙げられます。新築工事がストップしていることに気付いたら早期に施工会社に連絡をとり、工事がストップしている理由を確認すべきでしょう。
そのうえで、早期に弁護士に相談したり契約書を確認したりして、状況に応じた具体的な対応を検討します。工事再開の目途が立たない場合には、契約の解除や損害賠償請求も視野に入れて対応を検討すべきでしょう。
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、不動産オーナー様や不動産会社様に対して豊富なサポート実績を有しています。新築工事が何らかの理由でストップして対応にお困りの際は、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。


