たきざわ法律事務所

【2023】共有不動産の持分の売却方法は?費用や主なトラブルを弁護士がわかりやすく解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

共有となっている不動産であっても、持分を売却することが可能です。

 

共有不動産の持分を売却するには、どのような方法があるのでしょうか。また、共有不動産の売却では、どのようなトラブルが想定されるのでしょうか?

 

今回は、共有不動産の持分売却について詳しく解説します。

 

共有不動産とは

 

共有不動産とは、複数人が共同で所有している不動産です。たとえば、ある土地をABCの3名が1/3ずつ有している状態がこれに該当します。

 

各共有者の共有持分は必ずしも均等であるとは限らず、Aが99/100、Bが1/100を有しているなど偏った持分での共有も珍しくありません。

 

共有についてよくある勘違いとしては、たとえば200㎡の土地をAとBが1/2ずつ共有している場合において、「AとBがそれぞれ100㎡分を使える」というものです。しかし、共有とはこのような性質のものではありません。

 

民法の規定でも「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」とされており、AとBはそれぞれ200㎡の土地全体を使うことができます。ただし、「持分に応じた使用」とされていることから、たとえばAが1年のうち6か月間使用し、Bが残りの6か月を使うとするなど、他の共有者と調整したうえで使用することとなります。

 

とはいえ、実際は土地上に建物を建てて使用したい場合も多く、一定期間ごとに建物を撤去して土地の使用者を変えることは現実的ではないでしょう。そのため、実際にはAが土地全体を使用する代わりにBに使用料を支払ったり、土地をまるごと第三者に貸したうえで共有持分に応じて賃料を分け合ったりすることなどが多いといえます。

 

共有不動産の持分を売却する方法

 

共有不動産の持分を売却するには、どのような方法があるのでしょうか?ここでは、ABCが1/3ずつの割合で不動産を共有しており、Aが共有持分を手放したがっていることを前提に5つの方法を紹介します。

 

共有者全員で不動産全体を売却する

 

1つ目は、ABCの全員で協力して不動産全体を売却することです。売却することに対して共有者全員が足並みを揃えられるのであれば、不動産を一人が単独所有している場合と同じように不動産全体を第三者に売却することができます。

 

他の共有者から持分を買い取り、不動産全体を売却する

 

2つ目は、AがBとCの共有持分を買い取ったうえで、不動産全体を売却する方法です。BとCの共有持分を買い取ることで、不動産はAの単独所有となります。

 

不動産がAの単独所有となったら、その後はBやCの協力や同意などを得ることなく、Aの自由に売却することができます。

 

共有持分を他の共有者に売却する

 

3つ目は、AがBやCに自己の有する共有持分を売却する方法です。Aが不動産の売却を希望する一方でBやCがその不動産を手放したくないと考えている場合は、これが有力な選択肢となります。

 

第三者に不動産の共有持分を売却する

 

4つ目は、Aが自身の共有持分のみを第三者に売却する方法です。実は、不動産は共有持分だけを第三者に売却することも可能です。また、Aが自身の共有持分のみを売却するにあたっては、BやCの同意を得る必要もありません。

 

とはいえ、共有持分のみを買った第三者はその後BやCとその不動産を共有することとなるため、自由に使うことはできません。そのため、売却価格は不動産全体の時価に共有持分を乗じた価格とはならず、この1/2から1/3程度となることが一般的です。

 

また、この場合の買主は一般個人などではなく、不動産の共有持分の買い取りを専門とする事業者となることがほとんどです。

 

土地を分筆して単独所有としたうえで売却する

 

5つ目は、土地を分筆して単独所有としたうえで売却する方法です。

 

共有不動産が土地である場合は、土地を分筆することも選択肢の1つとなります。分筆とは、1筆の土地を複数の筆に分けることです。

 

たとえば、ABCが共有している300㎡である土地を100㎡ずつの3筆に分け、分筆によって3筆となった土地をABCがそれぞれ単独で所有することなどが想定されます。分筆によって土地が単独所有となったら、その後はそれぞれが自由に土地を売却することが可能です。

 

ただし、土地の形状や広さなどによっては分筆後の土地が非常に狭くなるなど、分筆することで土地の価値が大きく下がってしまうリスクもあります。そのため、分筆をご検討の際はあらかじめ弁護士などの専門家へご相談ください。

 

 

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共有不動産の持分売却にまつわる主なトラブル

 

共有不動産の売却では、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。ここでは、ABCが3分の1ずつの割合で不動産を共有している場合を前提に、共有不動産の売却にまつわる主なトラブルを3つ紹介します。

 

売却に関する話し合いがまとまらない

 

共有不動産の売却では、共有者間で話し合いがまとまらず売却が頓挫する可能性があります。たとえば、Aは「売却を急ぎたいので、3,000万円くらいなら売っても良い」と考えている一方で、BやCが「売却は急がないので、最低でも3,500万円で売りたい」と考えている場合などがあります。

 

この場合において、3,000万円程度なら買いたいと希望する者が現れたにもかかわらず、共有者間で意見がまとまらないと売却の機会を逃すリスクがあるでしょう。また、AがBやCの持分を買い取ろうにも売買金額についての意見がまとまらず、裁判などにまでもつれ込む可能性もあります。

 

他の共有者が共有持分を買取業者に売却して強引な買い取りを持ちかけられる

 

先ほど解説したように、不動産は共有持分のみを第三者に売却することができます。そして、共有持分の売却先は共有持分買取会社となることが一般的です。

 

共有持分買取会社が共有持分を取得すると、その後は他の共有者からも共有持分を取得し、不動産全体の所有権取得を目指すことが原則です。

 

共有持分を取得するために共有持分買取会社が講じる対策はさまざまですが、共有持分を取得するための裁判を申し立てられる可能性が低くありません。

 

また、中には強引な買取を持ちかける会社も存在します。つまり、BやCが共有持分買取会社に共有持分を売却すると、その後共有持分買取会社からAに対して強引な買い取りが持ちかけられたり裁判を提起されたりする可能性があるということです。

 

一部の共有者と連絡が取れなくなる

 

不動産を共有していると、一部の共有者が所在不明となるなどして連絡が取れなくなることがあります。一部の共有者が所在不明となると不動産を新たに賃貸するなどの活用が難しくなるほか、不動産全体を売却しようにも所在不明の共有者の合意を取り付けることができません。

 

特に、共有者の人数が多い場合や関係性の浅い相手が共有者である場合には、所在不明となるリスクが高いでしょう。

 

なお、共有者が所在不明である場合は、裁判上の手続きを踏むことで所在不明である共有者の持分を他の共有者が買い取ったり所在不明である共有者の持分を含めて不動産全体を第三者に売却したりする道があります。そのため、共有者が所在不明である場合は売却を諦める前に、不動産法務にくわしい弁護士へご相談ください。

 

 

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共有不動産の持分売却にまつわるトラブルを避ける方法

 

共有不動産の売却にまつわるトラブルを避けるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?トラブルを避けるための主な対策を3つ解説します。

 

そもそも不動産の安易な共有を避ける

 

共有不動産の持分売却にまつわるトラブルを避けたい場合は、そもそも不動産の安易な共有は避けるべきです。

 

不動産が共有となる原因はさまざまですが、相続をきっかけとするケースが少なくありません。相続が起きると、亡くなった人(「被相続人」といいます)が所有していた不動産は、いったん自動的に相続人全員による共有となります。

 

そのままでは使い勝手が良くないため、その後相続人全員で遺産分けの話し合い(「遺産分割協議」といいます)を行い、不動産の最終的な取得者を決めることが一般的です。

 

しかし、そのまま遺産分割協議を行わず、被相続人名義のままで放置されることも少なくありません。この場合は名義こそ故人であるものの、潜在的に相続人全員による共有となっている状態です。

 

また、遺産分割協議を行ったものの不動産の取得者がうまく決まらず、遺産分割協議の結果として不動産を共有する場合もあります。

 

このように、相続がきっかけで不動産が共有となることは少なくありません。しかし、不動産の共有はトラブルの原因となることが少なくないため、可能な限り共有を避ける遺産分割をすると良いでしょう。

 

他の共有者と良好な関係を保つ

 

共有不動産の持分売却でトラブルが生じないためには、他の共有者と日ごろから良好な関係を保つことが大切です。

 

他の共有者と良好な関係を築いていれば、少なくともいきなり共有不動産買取会社に持分を売却される事態は避けられるでしょう。また、不動産の売却に関して、前向きな話し合いをしやすくなります。

 

早期に共有の解消を試みる

 

共有不動産の売却でトラブルを生じさせないため、不動産の共有を避けるべきことは先ほど解説したとおりです。そのうえで、すでに不動産が共有となっている場合には、できるだけ早期に共有の解消を試みることをおすすめします。

 

共有を解消するには他の共有者と直接話し合うことのほか、裁判によって共有物分割を行うことなどが考えられます。共有の解消には専門的な知識が必要となるため、他の共有者に共有解消を切り出す前に、不動産法務に強い弁護士へご相談ください。

 

 

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共有不動産の売却でかかる主な費用

 

共有不動産の売却では、さまざまな費用がかかります。共有者全員で不動産を売却する際には売却について意見をまとめる必要があり、そのためには費用についてもある程度理解しておかなければなりません。

 

ここでは、共有不動産の売却でかかる一般的な費用を紹介します。なお、不動産の状況によってはこれら以外の費用が掛かることもあるため、実際のケースでは弁護士などの専門家へ相談するようにしてください。

 

 

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仲介手数料

 

仲介手数料とは、不動産会社の仲介によって不動産の売買契約が成立した場合に、不動産会社に支払うこととなる報酬です。仲介手数料は、法令で定められた上限額までの範囲においてそれぞれの不動産会社が設定しています。

 

仲介手数料の上限額は、原則として次のとおりです。

 

  • 仲介手数料の上限額=売却価額×3%+6万円+消費税

 

なお、これは上限額であるものの、この上限額をそのまま仲介手数料の額として定めている不動産会社が少なくありません。

 

印紙税

 

印紙税とは、一定の契約書や領収証などの文書に対して課される税金です。不動産の売買契約書も印紙税の課税対象であり、契約書には印紙税額分の収入印紙を貼付しなければなりません。

 

ただし、印紙税がさほど高額となることは稀であり、不動産の売却価格が数億円であるなどよほど高価な物件でない限り、契約書1通あたり数千円から数万円程度です。印紙税額について具体的な金額を知りたい場合は、国税庁のホームページをご確認ください。

 

令和6年(2024)3月31日までの間に作成される不動産の売買契約書には、軽減税率が適用されます。

 

抵当権抹消にかかる登録免許税と司法書士報酬

 

登録免許税とは、不動産などの登記に対してかかる税金です。不動産を売却した場合の名義変更登記にも登録免許税がかかるものの、これは買主側が負担することが一般的です。

 

一方、不動産に抵当権(ローンが返済できない場合に不動産を競売にかけるため、金融機関が付ける担保)が残っている場合は、売却までにこれを抹消しなければなりません。この抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、売主側が負担します。

 

とはいえ、抵当権の抹消にかかる登録免許税額は抵当権を抹消する不動産の一つあたり1,000円であり、さほど高額となるものではありません。また、抵当権抹消手続きを司法書士に依頼した場合は司法書士報酬がかかりますが、こちらも数万円程度です。

 

まとめ

 

共有不動産の持分を売却する方法には、他の共有者と協力して不動産全体を売る方法のほか、共有持分のみを第三者に売る方法、他の共有者に持分を買い取ってもらう方法などが考えられます。

 

しかし、不動産の共有持分の売却では、トラブルとなるケースも少なくありません。たとえば、売却に関する意見の相違から売却が頓挫してしまうことや、他の共有者が売却した共有不動産買取会社から強引な買い取りを迫られることなどがあります。

 

共有不動産の売却にまつわるトラブルを避けるためには、そもそも不動産を共有としないことや、共有となっている不動産について早期に共有を解消しておくことが考えられます。共有の解消を自分だけで進めることは容易ではないため、弁護士へ相談したうえで進めるとよいでしょう。

 

たきざわ法律事務所では共有不動産に関するリーガルサポートに力を入れています。共有の解消を望んでいる場合や共有不動産の持分を売却したい場合などには、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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