【2023】Googleマップの口コミは削除できる?弁護士がわかりやすく解説
医院や店舗に出向く前にインターネットで口コミを調べる人は多く、中でもGoogle マップの口コミはよく見られる傾向にあります。
患者や顧客からの口コミは励みとなり、業務の改善にもつながることでしょう。
しかし、不都合な口コミや不愉快な口コミがなされてしまうことも少なくありません。
では、Google マップに投稿された不都合な口コミを削除することはできるのでしょうか?
ここでは、Google マップの口コミ削除について詳しく解説します。
目次
Google マップに投稿された不都合な口コミは削除できる?
はじめに、Google マップに投稿された口コミを削除できるのかどうかについて、基本の考え方を解説します。
他者の口コミを自分で操作して消すことはできない
たとえばFacebookやX(旧:Twitter)などの自分の投稿に不愉快な返信が付いた場合、これを投稿主自身が自由に削除したり非表示にしたりすることができます。
一方で、Google マップに不都合な口コミがされたとしても、これをそのビジネスアカウントの管理者が自由に削除したり非表示にしたりすることはできません。
Googleに削除依頼をすることで削除してもらえる場合がある
問題のある口コミが投稿された場合は、Googleに削除依頼をすることでGoogle側から消してもらう余地はあります。
ただし、単にビジネスプロフィールのオーナーが不愉快に感じたことのみをもって削除に応じてもらえるわけではありません。
この基準については、次で解説します。
Google マップの口コミ削除が認められる口コミ
Googleでは「禁止および制限されているコンテンツ」を定めており、口コミがこれに該当すると判断されれば、削除が認められます。
ここでは、このGoogleのガイドラインをもとに、削除が認められる主なケースを紹介します。
虚偽の口コミ
Google マップに投稿する口コミは、その場所での実体験に基づいていなければなりません。
そのため、その医院や店舗の評判を傷つけるために競合他社が投稿した口コミや実体験に基づいていない口コミは削除対象となります。
誤った情報
虚偽の情報や不正確な情報、欺瞞的な情報、不実の情報などは削除対象となります。
たとえば、健康や医療に関する誤解を招くような情報や虚偽の情報を含む有害コンテンツなどです。
他のユーザーを欺く目的で事実を歪めたり省略したりする口コミや、商品やサービスの説明や品質に関する誤解を招く口コミもこれに該当します。
なりすましによる口コミ
他人や他のグループ、組織になりすました口コミは、削除対象となります。
ヘイトスピーチ
ヘイトスピーチは、不適切なコンテンツとして削除対象となります。
たとえば、人種や障がいなど保護対象となっている特性に基づいて、個人や集団を侮蔑したり中傷したりする口コミがこれに該当します。
ハラスメント
ハラスメントに該当する口コミは、削除対象となります。
たとえば、特定の個人などに対して危害を及ぼす可能性があり、心理的・身体的な安全性や心身の健全性について不安を感じさせるような口コミがこれに該当します。
また、特定の個人などについてインターネット上での非公開情報や身元がわかる情報を公開する「晒し行為」もこれに該当するとされています。
個人情報
口コミ投稿者自身や他者の個人情報を記載した口コミは、削除対象となります。
Googleでは個人情報に該当するものの例として次のものを挙げています。
クレジットカード情報
医療記録
政府発行の身分証明書
違法なコンテンツ
違法なコンテンツや、違法行為を描写したコンテンツは削除対象となります。
たとえば、次のものなどがこれに該当します。
著作権に違反のコンテンツ
危険行為や違法行為(レイプ、臓器売買、人身売買など)を描写したコンテンツ
違法な商品やサービス(絶滅が危惧されている動物の商品、違法薬物、非合法な市場に転売されている処方薬)
わいせつ、冒とく的な表現
冒とく的またはわいせつな表現を使用して、他のユーザーを不快にさせたり批判を助長したりする口コミは削除対象となります。
意味不明なコンテンツ、コンテンツの繰り返し
同じコンテンツを複数回投稿したり複数のアカウントから同じ場所にコンテンツを投稿したりすることや、言語に関係なく文字の羅列など意味を持たないコンテンツを投稿することは、Googleのポリシーに違反し削除対象となります。
特に、Google マップが「荒らし」の被害に遭った場合は、短時間で複数の意味不明な口コミが投稿されることがあります。
このような口コミは、削除が認められる可能性が高いといえます。
同様に、「荒らし」の際に行われることの多い悪ふざけや改変なども、削除の対象となります。
宣伝と勧誘
自身のビジネスへ誘導するような宣伝や勧誘を目的とした口コミは、削除対象となります。
また、メールアドレス、電話番号、ソーシャル メディアのリンク、他のウェブサイトへのリンクを口コミに投稿することは認められません。
Google マップの口コミ削除が認められにくい投稿
投稿された不愉快な口コミが次のようなものである場合は、Googleに削除要請をしても削除が認められにくいといえます。
個人の感想による口コミ
医院や店舗にとって不都合であっても、あくまでも個人の感想にすぎない場合は削除が認められにくい傾向にあります。
たとえば、飲食店で「料理がまずかった」というものや、医院で「ちゃんと話を聞いてくれなかった」などというものは、投稿者の主観にすぎません。
そのため、このような口コミは削除が難しい傾向にあります。
コメントがなく星のみの口コミ
Google マップへの口コミはコメントを書かず、星のみを投稿することもできます。
このように、星のみの評価がなされた際は削除が難しい傾向にあります。
事実確認が難しい口コミ
事実関係の確認が難しく虚偽であるとまではいえない口コミは、削除が認められにくい傾向にあります。
たとえば、「待ち時間が長かった」などの投稿は、明らかに休業日に訪れたなどの記載がない限りGoogle側で真偽を判断することが困難であり、削除に応じてもらえない可能性が高いと言えます。
Google マップが口コミ削除に応じない場合の対処法
Google側がGoogle マップの口コミ削除に応じない場合、どのように対処すればよいのでしょうか?主な対処方法として3点を解説します。
弁護士へ相談する
Googleに削除依頼を出しても削除がされずお困りの際は、インターネット法務に詳しい弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、仮処分申立てなどによる削除の可否や相手に対する法的措置の可否などについての見通しを立てることが可能となります。
また、削除や法的措置の見込みがある場合は削除請求や法的措置に関する手続きについて、弁護士に一任することが可能です。
口コミに丁寧に返信する
不愉快ではあるものの削除や損害賠償請求が難しい内容である場合には、口コミに丁寧に返信します。
医院や店舗側に実際に至らない点があった場合はその点を謝罪し、改善に努める旨を記載しましょう。
また、口コミの投稿者に明らかな誤認がある場合には、返信の際にその旨を丁寧に記載することも1つの手です。
Google マップの口コミの閲覧者は、ビジネスプロフィールオーナーによる返信も併せて確認することが少なくありません。
マイナス評価の口コミにも丁寧に対応することで、その口コミによって医院や店舗の評判が低下するリスクを引き下げやすくなります。
ただし、低評価の口コミに対して反論することはおすすめできません。
なぜなら、管理者としては正当な反論のつもりであっても第三者から見ると顧客と口論しているように見えてしまい、印象が低下する可能性があるためです。
また、反論の内容によっては、裁判での削除請求が認められなくなるリスクもあります。
正当な口コミを増やす
不愉快な口コミが多い場合は、正当な口コミを増やすことで低評価の口コミを「薄める」ことも1つの手です。
他の正当な口コミが増えることで、不愉快な口コミが閲覧者の目につきづらくなるほか、総合評点を押し上げ得る効果も期待できます。
正当な口コミを増やすには、ポスターやポップを作成して院内や店内に掲示する方法が検討できます。
また、飲食店などの場合は、会計時にひとこと口コミのお願いをしてQRコードを印刷したチラシを手渡すことも1つの手です。
なお、高評価の口コミを増やしたいからといって自作自演などは避けましょう。
Googleは自作自演など虚偽の口コミを厳しく規制しており表示順位が下がったり、悪質な場合は悪質な場合はGoogleビジネスプロフィールが削除されたりするリスクがあります。
Google マップの口コミを削除したい場合の注意点
Google マップの口コミを削除したい場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
最後に、注意点を3つ解説します。
Googleに何度も削除依頼をしない
Googleによる削除依頼が認められる場合であっても、依頼をしたからといってすぐに削除してもらえるわけではありません。
口コミの削除には、1か月程度がかかることも少なくありません。
そのため、焦って何度も削除依頼をしないよう注意しましょう。
削除依頼を何度もすると、アカウントが停止されるリスクがあるためです。
スクリーンショットで証拠を残す
特に悪質な口コミについては、Googleに削除請求をする前にスクリーンショットを撮影しておくことをおすすめします。
なぜなら、悪質な口コミの投稿者に対してその後損賠賠償請求や刑事告訴などをする際は、証拠が必要となるためです。
スクリーンショットを撮るべき箇所については、あらかじめ弁護士へご相談ください。
口コミ非表示を謳う悪質な業者に依頼しない
インターネットで検索すると、口コミ非表示を謳う業者が見つかると思います。
しかし、そのような業者の中には悪質な業者が混じっていることも多いため、弁護士以外への依頼はおすすめできません。
そもそも、投稿の削除依頼を有料で代行することは弁護士法違反です。
中でも、悪質な口コミが書き込まれ始めてからコンタクトを取ってきた業者には、絶対に依頼してはなりません。
なぜなら、この場合はそもそもその業者が、悪質な口コミを書き込んでいる可能性があるためです。
自分で投稿した口コミであれば、確かにすぐに削除できます。
依頼してしまうと今の投稿は削除してもらえるかもしれませんが、時間が経ってからまた新たに投稿されてしまい、いたちごっことなる可能性があります。
また、口コミを投稿者以外が正式に削除するには、原則としてGoogleに削除してもらうか裁判所から削除命令を出してもらうしかなく、「100%削除できる」ことはありません。
そのため、「絶対に削除できる」「100%削除できる」などと謳う業者に依頼することは避けるべきであり、たとえ依頼しても削除には至らない可能性が高いでしょう。
まとめ
Google マップに投稿された不都合な口コミを自分で消すことはできず、原則としてGoogleに削除依頼をして認めてもらわなければなりません。
そして、Googleに削除してもらうには、Googleが定めた一定のケースに該当することが必要です。
Googleに悪質な投稿がされてお困りの際やGoogleに削除依頼をしたものの削除に応じてもらえない場合は、弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、口コミが削除できるかどうかの見通しが立てやすくなるほか、口コミの内容によっては相手への法的措置も検討できます。
たきざわ法律事務所ではインターネット法務に力を入れており、Google マップの口コミ削除についても数多くの解決実績があります。
Google マップの口コミ削除をご希望の際は、たきざわ法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。