たきざわ法律事務所

【2022】TikTokをビジネス活用する注意点は?メリット・デメリットを弁護士が解説

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TikTokとは、数秒から数分程度のショートムービーを簡単に投稿できる、SNSサービスです。企業がTikTokをうまくビジネスに活用することで、企業イメージの向上や、新たなファン層の獲得などにつながるでしょう。

 

では、ビジネスでTikTokを活用する際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?今回は、業がTikTokを活用するメリットや注意点などについてくわしく解説します。

 

TikTokとは

TikTok

TikTokとは、数秒から数分程度の短い動画を投稿する形のSNSサービスです。気に入った他者の投稿に「いいね」をしたりシェアしたりすることができ、人気の投稿は非常に多くの人に閲覧されることとなります。

 

TikTokではBGM付の動画が主流であり、BGMのタイミングに合わせてポージングをしたり踊ったりする動画が多く投稿されています。また、流行りの曲を歌う様子を撮影した「歌ってみた」動画や、曲を演奏する様子を撮影した「演奏してみた」動画なども人気です。

 

TikTokのユーザーは、10代や20代といった若年層以外にも30代や40代の年齢層も多くなっており、企業がうまく活用することで、商品やサービスをアピールすることができるでしょう。

 

TikTokのビジネスアカウントと通常アカウントの違い

TikTokビジネスアカウント

TikTokには、通常アカウントのほかに、ビジネスアカウント制度が設けられています。ビジネスアカウントは無料で作成することができますが、通常アカウントでは使うことのできない次の機能の利用が可能です。

 

参照元:【公式】TikTokのビジネス(企業)アカウントとは?概要と作成方法をスクショ付きで解説

 

プロフィールにビジネス情報が追加できる

 

TikTokのビジネスアカウントでは、プロフィールにビジネス情報を追加することができます。自社サイトやECサイトなど外部リンクを貼ることができるため、プロフィールを閲覧したユーザーのECサイトなどへの流入が期待できるでしょう。

 

商用楽曲ライブラリーが利用できる

 

TikTokでは公式音源が多数設けられていますが、すべての楽曲について商用利用まで許諾されているわけではありません。商用利用が認められていない楽曲を無断でビジネス利用してしまうと、著作権侵害となる可能性があります。

 

そこで、TikTokには商用利用が可能な「商用楽曲ライブラリー」が設けられています。この中の楽曲を利用する場合には、たとえ商用利用であっても、個別で著作権者の許諾を得る必要がありません。

 

一般ユーザーが使える公式音源よりは数が少なくなってしまうものの、商用利用の権利が処理されている音源が明確となっているため、商用楽曲ライブラリーの楽曲であれば安心して使用することができます。

 

投稿動画のパフォーマンスが分析できる

 

TikTokのビジネスアカウントでは、投稿動画のパフォーマンスをリアルタイムで確認することが可能です。合計再生回数のほか、平均視聴時間や視聴者の所在地(国)、トラフィックソースの種類などを見ることができます。

 

インサイト分析ができる

 

TikTokのビジネスアカウントでは、アカウントや投稿のアナリティクスを見ることができます。たとえば、人気上昇中の動画やフォロワー数の推移、フォロワーの属性などが確認できるため、アカウント運用の改善などに役立てることが可能です。

 

TikTokに出せる広告の3形態

 

TikTokに出せる広告には、次の3形態が存在します。それぞれの特徴を知り、自社に合った広告出稿を検討するとよいでしょう。

 

  • 起動画面広告

  • ハッシュタグチャレンジ広告

  • インフィード広告

 

起動画面広告

 

起動画面広告とは、ユーザーがTikTokアプリを立ち上げた際に、3秒もしくは5秒表示される広告です。広告はスマートフォンの全画面に表示されるため、ほぼ確実にユーザーの目に留まります。

 

ただし、この広告を出稿できるのは、1日あたり1社のみです。

 

参照元:【公式】TikTok For Business(TikTok広告)の広告出稿方法、配信面、機能を解説

 

ハッシュタグチャレンジ広告

 

ハッシュタグとは、フレーズの始めにシャープマーク(#)を付ける、投稿の検索タグのことです。たとえば「# 沖縄旅行」というタグを動画に付けて投稿することで、「沖縄旅行」で投稿を検索したユーザーの検索結果に表示されます。

 

企業は、このハッシュタグを活用して、ハッシュタグチャレンジ広告を出稿することができます。ハッシュタグチャレンジ広告とは、所定のハッシュタグを付けて動画を投稿することをユーザーに促す、ユーザー参加型の広告です。

 

たとえば、ハッシュタグチャレンジに参加して投稿された動画を企業の公式CMに起用するとするなど、いかにユーザーが参加したくなる(所定のハッシュタグを付けた投稿をしたくなる)企画を考案できるかがカギとなります。

 

ハッシュタグチャレンジに参加するユーザーが増えれば、参加したユーザーのフォロワーもそのキャンペーンを知り参加するなど投稿の連鎖が起き、多くの人に企業や商品を知ってもらう効果が期待できるでしょう。

 

インフィード広告

 

インフィード広告とは、通常の投稿と投稿の間に挟みこまれる広告です。

 

他の動画と同じようにタイムラインに流れてくるため、広告であると気づかれずに閲覧してもらえる可能性があります。また、閲覧したくない広告はあえて最後まで閲覧することなくスルーすることもできるため、ユーザーにストレスを与えにくいといえるでしょう。

 

TikTokをビジネスで活用するメリット

TikTokの活用

TikTok上に広告を出稿するなど、TikTokをビジネスで活用するメリットは、次のとおりです。

 

動画編集に関する知識が不要

 

動画は情報量が多く、文字や静止画のみよりも、相手に強くアピールすることが可能です。しかし、従来動画編集には特別な知識や時間が必要であり、慣れていない人が見栄えの良い動画を作成することは困難でした。

 

TikTokでは、動画を簡単に制作することが可能です。そのため、動画編集に慣れてない企業であっても、投稿のハードルは高くないでしょう。

 

若年層にアピールしやすい

 

TikTokは、若年層に多く利用されているSNSの一つです。TikTokに広告を展開したり、企業の投稿がバズったりすることで、若年層や中年層に対して商品やサービスをアピールすることができるでしょう。

 

拡散されやすい

 

TikTokには投稿のシェア機能があります。閲覧者の心に「刺さる」投稿をしたり、思わずシェアしたくなるような仕掛けを取り入れたりすることで、投稿が拡散されやすくなるでしょう。

 

投稿が拡散されれば多くの人の目に留まり、大きな広告効果を得ることが可能となります。

 

ファンの獲得につながりやすい

 

TikTokをうまく活用することで、新たなファンの獲得につながります。

 

ただし、従来のテレビコマーシャルのような一方的な広告ではTikTokでバズることはできず、ファンの獲得も困難です。TikTokをビジネスで活用する際には、TikTokで好まれる投稿をよく研究したうえで取り組むと良いでしょう。

 

TikTokをビジネスで活用するためのポイント

 

TikTokをビジネスで活用する以上、多くの人に商品を買って欲しい、多くの人にサービスに申し込んで欲しいと企業側が考えるのは当然です。

 

しかし、あまりにもビジネス色が全面に出ているとTikTokユーザーの関心を引くことはできず、投稿が素通りされてしまうことでしょう。企業がTikTokをビジネスで活用する際のポイントは次のとおりです。

 

楽しんで見てもらえる広告を作成する

 

TikTokは、娯楽として使用するSNSです。そこに商品やサービスをアピールするだけの楽しくもない広告が挟みこまれていれば、ユーザーに関心をもってもらえないばかりか、敬遠されてしまう可能性さえあるでしょう。

 

そのような広告では、投稿のシェアによる拡散やファン層の獲得も困難です。企業がTikTokに投稿する際やTikTok上に広告を出稿する際には、ユーザーに楽しんでもらえる投稿であるのかどうかを重視すると良いでしょう。

 

インフルエンサーを活用する

 

TikTokには、多くのインフルエンサーが存在しています。インフルエンサーとは、多くのファンを抱え、多くの人に影響を与える人物のことです。企業がTikTokをビジネスで活用するうえでは、インフルエンサーをうまく活用すると良いでしょう。

 

たとえば、人気のあるインフルエンサーに自社商品やサービスを利用してもらい、その様子をTikTokに投稿してもらうことなどです。インフルエンサーをうまく活用することで、自社商品やサービスを多くのユーザーに知ってもらうことが可能となります。また、新たなファン層の獲得にもつながるでしょう。

 

ただし、後ほど改めて触れますが、いわゆるステマ(ステルスマーケティング)は行うべきではありません。インフルエンサーに対価を支払ったり商品を無償で提供したりするのであれば、広告であることをきちんと表示して投稿するようにしましょう。

 

冒頭で興味を持ってもらう

 

TikTokユーザーはタイムラインに流れてきた動画をすべて最後まで見るわけではありません。一見して見る価値を感じてもらえなければ、そのまま素通りされてしまうことでしょう。

 

投稿を最後まで見てもらうためにはまず冒頭で興味を持ってもらう必要がありますので、冒頭に興味を引く内容を入れ込むなど、工夫が必要となります。

 

TikTok用の広告を作成する

 

たとえば、テレビコマーシャル用に製作した広告をTikTokで流しても、最後まで見てもらえる可能性は低いでしょう。普通の広告であると判断された時点で、ユーザーは素通りしてしまいます。

 

TikTokに広告を出す際には、他のSNSなどのために作成した広告ではなく、TikTok用に最適化した広告を作成すると良いでしょう。

 

TikTokをビジネスで活用する際の注意点

法律違反

TikTokをビジネスで活用する場合には、次の点に注意しましょう。

 

ステマをしない

 

ステマとは、ステルスマーケティングの略称であり、直訳すれば「こっそり行うマーケティング」のことです。

 

たとえば、実際にはインフルエンサーに対価を支払って自社商品のPRを依頼したにもかかわらず、そのことを隠して、インフルエンサー自らが好んでその商品を使っているように見える投稿をすることなどがこれに該当します。

 

ステマは、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」で禁止されている優良誤認などにあたる可能性があります。また、その態様によっては違法行為とまではいえない場合もありますが、それでもユーザーの信頼を損なう行為であることは否定できません。

 

SNSユーザーはステマに対して非常に厳しい目を向ける傾向にあり、仮にステマをしてしまえば、企業ブランドが大きく毀損してしまうでしょう。

 

そのため、TikTokをビジネスで活用する際には、ステマをしてしまわないよう十分な注意が必要です。広告やPRであるのであれば、その旨を明記してください。

 

炎上リスクに注意する

 

TikTokをビジネスで活用する際には、炎上リスクに注意しなければなりません。炎上してしまうと、たとえ投稿がバズったとしても、マイナスイメージとともに企業名や商品名が記憶されてしまい、ブランドイメージの毀損となります。

 

SNSが炎上するケースはさまざまですが、先ほど解説したステマなどは、炎上原因の代表例です。また、不衛生な行為をしている投稿(定員が売り物であるアイスケースに入ったり商品をぞんざいに扱ったりするなど)も、炎上リスクが高いといえます。

 

他にも、ジェンダーに関する投稿などは炎上のリスクが高く、投稿をする前に多方面から慎重に検証する必要があるでしょう。

 

法令違反に注意する

 

企業がTikTokを活用する際には、法令違反をしないよう注意しましょう。特に注意すべきなのは、著作権法です。

 

TikTokではBGMを付けた投稿が主流となっており、BGMに乗せて踊ったりポーズを取ったりする動画が多く投稿されています。企業公式のアカウントがこのような流行に乗って直接PRとはならない投稿をすることで、ユーザーに親近感を抱いてもらうことができ、フォロワーの獲得につながるでしょう。

 

しかし、投稿をする際には、著作権に注意しなければなりません。利益目的ではない一般個人の投稿であればさほど大きな問題とならない行為であっても、企業アカウントが行うとユーザーから厳しく見られる可能性が高いうえ、著作権法により罰則の対象となる可能性があるためです。

 

まず、TikTokがビジネスアカウント用に用意している商用楽曲ライブラリー内の音源を投稿のBGMとして使用する分には、問題ありません。なぜなら、TikTokがJASRACと包括契約を締結しているためです。

 

しかし、たとえば手許にあるCDをBGMとして流したり、カラオケボックスでカラオケ音源に乗せて歌ったりする動画の投稿は、著作権を侵害する可能性があります。なぜなら、これらレコード(CD)製作者の権利やカラオケ音源製作者の権利までは、JASRACとの包括契約の対象外であるためです。

 

また、替え歌やCDのサンプリングなどによるアレンジにも、注意しなければなりません。これらは著作権法上の「翻案権」や「編曲権」などの対象となり、これはJASRACの管理対象外であるためです。

 

仮に著作権侵害をした場合には、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれらの併科に処される可能性があるうえ、法人の場合には3億円以下の罰金刑という非常に重い刑に処される可能性があるため注意が必要です。

 

まとめ

 

TikTokは、広告を出稿するなどビジネスで活用することが可能です。企業がTikTokをうまく取り入れることにより、これまで接点の少なかった新たなファン層の獲得が期待できるでしょう。

 

しかし、TikTokをビジネスで活用することには、注意点も少なくありません。ステマや法令違反を行い炎上してしまえば、企業ブランドが毀損してしまうおそれがあるでしょう。

 

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