【2022】資金調達方法13選!各メリット・デメリットを弁護士が解説
企業の資金調達方法には、多くの種類が存在します。しかし、どの資金調達方法が最適であるのかは、企業のステージや目指す方向などによりさまざまです。
今回は、13種類の資金調達方法を解説するとともに、それぞれのメリットやデメリットについてくわしく解説します。
目次
資金調達方法の種類
資金調達方法は、その特性により次の3つに大きく分類されます。
アセットファイナンス
アセットファイナンス(Asset Finance)とは、会社の資産を活用した資金調達方法です。
たとえば、土地や建物、機械などの資産を売却して現金化することのほか、本来の支払期日よりも前に売掛金を売却して現金化するファクタリングなどがこれに該当します。
デットファイナンス
デッドファイナンス(Debt Finance)とは、借り入れによる資金調達方法です。
金融機関からの借り入れのほか、社債の発行による資金調達などがこれに該当します。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンス(Equity Finance)とは、企業が株式を発行することによる資金調達方法です。
ベンチャーキャピタルや個人投資家に株式を交付して出資を受ける方法などが、これに該当します。
資金調達方法の全体像
資金調達方法には、さまざまな種類が存在します。ここでは、企業が活用しやすい13の資金調達方法に的を絞り、それぞれの概要を解説します。
自己資金
自己資金とは、創業者が自らの資金を事業へ投入することです。大きな初期投資が不要な事業の創業であれば、自己資金のみでまかなうケースも少なくありません。
親族からの借り入れ
親族からの借り入れとは、配偶者や親、兄弟姉妹などから事業資金を借り入れることです。
返済期限や返済方法をしっかりと定めて借り入れる場合もありますが、返済条件があいまいである場合も少なくありません。
日本政策金融公庫からの借り入れ
日本政策金融公庫とは、民間金融機関を補完する役割を持つ、政府系の金融機関です。
たとえば、創業期のまだ信用が育っていない時期など、民間金融機関からの融資を受けにくい企業を対象とした融資制度を数多く展開しています。
銀行からの借り入れ
銀行からの借り入れは、企業が多く利用する資金調達方法の一つです。
金融機関との関係が浅い場合などには、たとえ審査が通っても信用保証協会の保証付きとなることが大半でしょう。信用を積み重ねていくことで、信用保証協会の保証を付けないプロパー融資を受けられる可能性が高くなります。
社債の発行
社債とは、企業が発行する債券です。
投資家などから資金を借りる際に社債を発行し、あらかじめ定めた満期の時点で返還をします。原則として、利息の支払いも必要です。
VCによる出資
ベンチャーキャピタル(VC)による出資とは、VCから資金の投入を受ける見返りに、VCに対して企業の株式を交付する資金調達方法です。
VCはその企業が将来上場したり買収されたりした際に株式を売却し、利益を得ることを目的としています。
個人投資家からの出資
個人投資家からの出資とは、個人投資家からの資金投入を受ける見返りとして、その個人投資家に企業の株式を交付する資金調達方法です。
VCからの出資の場合と同様に、上場などの際に株式を売却して利益を得ることが目的であることが一般的ですが、多数の投資家から集めた資金を投資するVCとは異なり、一投資家が直接投資をするものであるため、その目的はさまざまです。
従業員持株会
従業員持株会とは、従業員が自社の株式を所有できる社内制度です。制度の内容は設計方法により異なりますが、従業員が任意で持株会の会員となり、給与や賞与などからの天引きで株式を購入できるとすることが一般的です。
従業員から株式の対価として資金を振り込んでもらうことで、資金調達方法の一つと考えられます。ただし、どちらかといえば資金調達目的というより、従業員のモチベーションアップや、創業一家の事業承継対策の一環として導入されることが多いでしょう。
資産の売却
資産の売却とは、会社が保有している資産を売却して、その対価を得る資金調達方法です。
土地や建物、機械などの有形資産を売却することもあれば、特許権などの無形資産を売却する場合もあります。
ファクタリング
ファクタリングとは、支払期限が未到来の売掛金をファクタリング会社などへ売却する資金調達方法です。
補助金
補助金とは、国や地方公共団体などから、返済不要の資金を得られる資金調達方法です。
要件を満たして応募したからといって必ずしも受け取れるものではなく、多数の申請の中から採択がされて、はじめて受給の権利を得られます。
助成金
助成金も補助金と同じく、国や地方公共団体などから返済不要の資金を得られる資金調達方法です。厚生労働省管轄の者が多く、雇用や人材育成を対象としたものが多数存在します。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネット上で小口の資金を集める資金調達方法です。
拠出者は一般個人であり、応援したい活動に対して財産的な見返りを求めず資金を拠出する場合や、拠出して集まった資金で製作した商品を購入する対価として拠出する場合など、その目的はさまざまです。
各資金調達方法のメリット
先ほど紹介した13種類の資金調達方法には、それぞれ異なるメリットが存在します。主なメリットは次のとおりです。
自己資金
自己資金のメリットは、将来の返済が不要である点です。また、資金調達にあたって、外部に自社の事業を説明したり認めてもらったりする必要もありません。
親族からの借り入れ
親族からの借り入れのメリットは、金融機関などからの借り入れと異なり、綿密な事業計画の提出などまでは求められないことが多い点です。また、利息がかからないことも多いでしょう。
日本政策金融公庫からの借り入れ
日本政策金融公庫からの借り入れのメリットは、創業間もないまだ信用が育っていない企業であっても融資を受けやすい点です。また、無担保無保証の制度もあり、返済期間が比較的長い点もメリットでしょう。
銀行からの借り入れ
銀行からの借り入れのメリットは、信用を構築することで、大きな資金を得られる可能性がある点です。銀行とのお付き合いはメリットというよりも、事業を拡大していくためには避けては通れない道であると考えておくと良いでしょう。
社債の発行
社債の発行による資金調達のメリットは、株式を保有される場合とは異なり、経営に口出しをされないという点です。
VCによる出資
VCからの出資による資金調達のメリットは、借り入れとは異なり返済の必要がない点です。また、VCが企業経営に参画するため、成長スピードが早まりやすいでしょう。
個人投資家からの出資
個人投資家からの出資を受けるメリットは、VCからの出資と同様、返済の義務がない点です。また、成長に必要な提携先企業などを紹介してもらえるケースも多いでしょう。
従業員持株会
従業員持株会のメリットは、従業員のモチベーションアップにつながる点です。また、定期的に給与からの天引きで株式を購入する場合には、安定した資金調達が可能となります。
資産の売却
資金の売却による資金調達のメリットは、会社がスリム化される点です。遊休資産の売却であれば、財務状況の改善につながるでしょう。
ファクタリング
ファクタリングのメリットは、早期に資金調達ができる点です。
補助金
補助金のメリットは、返済が不要でまとまった資金を得られる点です。また、株式などを保有されるわけでもないため、経営に口出しされることもありません。
助成金
助成金も、補助金と同じく、返済不要の資金を得られる点がメリットです。また、株式なども保有されません。
クラウドファンディング
クラウドファンディングのメリットは、返済不要の資金を集められる点です。また、クラウドファンディングを行うことで製造前に商品の需要がわかり、市場調査としても活用できます。
各資金調達方法のデメリット
上で紹介した資金調達方法には、それぞれデメリットも存在します。主なデメリットは次のとおりです。
自己資金
自己資金で事業を行う最大のデメリットは、外部からの目がなく、経営にゆるみが生じやすい点です。また、レバレッジがないため思い切った投資ができず、成長スピードが遅くなりやすいでしょう。
親族からの借り入れ
親族からの借り入れで資金調達をするデメリットは、甘えが生じてしまいやすい点です。また、仮に事業に失敗すれば、親族との関係が悪化する可能性があるでしょう。
日本政策金融公庫からの借り入れ
日本政策金融公庫からの借り入れのデメリットは、申込みから融資を受けるまでにかかる期間が比較的長い点です。また、借り入れによる資金調達全般に言えることですが、利息の支払いが必要となります。
銀行からの借り入れ
銀行からの借り入れによる最大のデメリットは、利息の支払いが必要であることです。信用保証協会の保証付きである場合には、保証料の支払いも必要です。また、担保や保証人が必要となることも多いでしょう。
社債の発行
社債の発行による資金調達のデメリットは、償還期限にまとまった返済資金が必要になる点です。また、発行手続きが煩雑であり、事務負担が増える可能性があります。
VCによる出資
VCからの出資を受けるデメリットは、株式を保有されるため、経営に口出しされる点です。自分の思うとおりに経営ができなくなる可能性があるでしょう。
個人投資家からの出資
個人投資家から出資を受ける場合にも、VCからの出資の場合と同様に、経営に口出しされる点が最大のデメリットとなります。
従業員持株会
従業員持株会の最大のデメリットは、事務負担が煩雑である点です。また、配当金などの支払いも必要となります。
資産の売却
資産の売却のデメリットは、事業で必要な資産を売却した場合、今後は継続的に賃料などが発生する点です。たとえば、オフィスの建物を売却した場合には、今後は毎月オフィスの賃料を支払う必要があるでしょう。また、一時的に税金が増える可能性があります。
ファクタリング
ファクタリングのデメリットは、手数料が比較的高額である点です。そのため、あくまでも非常時における資金調達手段であると考えておくと良いでしょう。
補助金
補助金のデメリットは、申請に手間がかかる点です。また、申請をしたからといって、必ずしも受給できるとは限りません。
助成金
助成金のデメリットは、補助金と同じく、申請に手間がかかる点です。また、助成金の受給には要件があり、のちに要件を満たさなくなれば受給ができなくなる可能性があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングのデメリットは、どの程度の資金が調達できるのかは、やってみないことにはわからないという点です。そのため、クラウドファンディングをメインの資金調達方法に据えることは避け、補助的な方法として捉えておくと良いでしょう。
必要なシーン別おすすめの資金調達方法
検討すべき資金調達方法は、資金が必要となった理由ごとに異なります。ここでは、資金調達が必要となったシーンに合わせて、おすすめの資金調達方法を紹介します。
なお、ここで解説をするのは、あくまでも一般的なケースによる分類です。状況や企業が目指すべき方向性などによっては、これら以外の資金調達方法が最適である場合もあります。
自社に合った資金調達方法をより具体的に知りたい場合には、たきざわ法律事務所までご相談ください。
創業する場合
事業を立ち上げたばかりの時期に選択しやすい主な資金調達方法は、次のとおりです。
自己資金
親族からの借り入れ
日本政策金融公庫からの借り入れ
補助金
助成金
創業期にはまだ信用が育っておらず、実績もほとんどないことが一般的です。そのため、まずは自己資金や親族からの借り入れなどで資金を準備することが基本となります。
そのうえで、大きな投資が必要となる場合には、まず日本政策金融公庫からの借り入れを検討すると良いでしょう。また、活用できそうな補助金や助成金があれば、積極的に申請をして活用することをおすすめします。
さらなる事業拡大を目指す場合
ある程度の事業実績ができ、さらなる事業拡大を目指したい場合に検討したい主な資金調達方法は、次のとおりです。
銀行からの借り入れ
社債の発行
VCによる出資
個人投資家からの出資
従業員持株会
補助金
助成金
事業の実績ができて信用も育ってきた場合には、民間金融機関やVCなどに対してアピールすることが可能となります。補助金や助成金についても活用の選択肢が増えていきますので、要件を満たせるものがあれば申請を検討すると良いでしょう。
また、従業員数がある程度の人数増えていれば、従業員持株会も選択肢の一つとなります。
事業の立て直しを図る場合
業績が思わしくなく、事業の立て直しを図る場合には、次の方法が選択肢となります。
自己資金
親族からの借り入れ
銀行からの借り入れ
資産の売却
ファクタリング
自己資金や親族から借り入れた資金を投入するほか、これまで付き合いのあった銀行などからの借り入れを検討します。同時に、さほど利益に寄与していない資産の売却を検討する必要があるでしょう。
また、資金繰りが厳しい場合には、ファクタリングの活用も検討します。
社会貢献へ取り組む場合
さほど利益へは貢献しない社会貢献事業に取り組みたい場合には、次の資金調達方法が選択肢となります。
自己資金
クラウドファンディング
利益をさほど生まない社会貢献事業であれば、事業で生んだ余裕資金で取り組むことが原則です。それでも、あえて外部からの資金調達を検討したい場合には、クラウドファンディングを検討すると良いでしょう。
資金調達方法について専門家へ相談するメリット
資金調達の方法を検討する場合には、専門家へ相談することをおすすめします。なぜなら、資金調達について専門家へ相談することには、次のメリットがあるためです。
最新の情報を教えてもらえる
資金調達の専門家へ相談すれば、資金調達に関する最新の情報を教えてもらえる可能性が高いでしょう。
資金調達についての情報は、インターネット上などでもある程度は入手することが可能です。しかし、公式なサイトで最新情報を収集するには、数多くのサイトを念入りに閲覧しなければならず、非常に手間と時間がかかります。
また、不特定多数が閲覧するホームページでは、どうしても一般的な内容に留まらざるを得ず、結局のところ何が自社にとって必要な情報なのかの判断は自分で行わなければなりません。
専門家へ相談することにより、自社にとって必要となる最新情報を、選別して教えてもらうことができるでしょう。
自社に最適な資金調達方法を知ることができる
資金調達方法には上で挙げたとおり多くの種類が存在し、それぞれにメリットやデメリットが存在します。これらの中から、自社にとって最適な資金調達方法を選択することは容易ではないでしょう。
その企業の状況や社長の考え方などによって、最適な資金調達方法は異なっているためです。
また、たとえば「融資」という一つの資金調達方法の中でも、たとえば信用金庫と付き合うべきなのか地方銀行と付き合うべきなのか、はたまたメガバンクに相談するべきなのかは、企業の規模やステージによっても大きく異なります。
同様に、「補助金」といっても非常に多くの種類が存在し、どの補助金を申請すべきか自社のみで判断することは容易ではありません。専門家へ相談することで、自社のステージや考え方などに合った具体的な資金調達方法の提案を受けることができるでしょう。
事例をもとにアドバイスを受けられる
資金調達を専門とする専門家のもとには、過去にサポートをした顧客の事例が蓄積しています。
たとえば、補助金などであれば公式ホームページで過去の採択事例が公表されていますが、これらのほか、専門家が実際にサポートした過去の事例などを踏まえてより具体的なアドバイスやサポートを受けることができるでしょう。
資金調達のための具体的な支援が受けられる
専門家へ相談して依頼をすることで、資金調達のための具体的な支援を受けることができます。サポート内容は相談先の専門家によって異なりますが、たとえば融資の申し込み支援や補助金の申請サポートなどを依頼できることが多いでしょう。
専門家のサポートを受けることで、資金調達にかかる自社の負担を軽減できます。
金融機関などを紹介してもらえる場合がある
資金調達の専門家へ資金調達支援を依頼することで、状況に応じて自社の状況に合った金融機関などを紹介してもらえる可能性があります。
開業したばかりなどでは、自社が今後どの金融機関と付き合っていくべきか判断が難しい場合もあるでしょう。専門家から紹介を受けることで、自社の状況に合った金融機関と円滑につながりを持つことが可能となります。
まとめ
企業の資金調達方法には、さまざまなものが存在します。これらにはそれぞれ一長一短があり、企業の状況や資金調達の目的などによって最適な方法が異なっています。
自社のステージや考え方に合った資金調達方法を選定して効率良く資金調達を進め、さらなる事業の成長を目指しましょう。
たきざわ法律事務所では、企業の資金調達方法に関するアドバイスを行っているほか、資金調達の具体的なサポートも行っております。資金調達をご検討の際には、ぜひたきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。