YouTubeで誹謗中傷された場合の初期対応は?弁護士がわかりやすく解説
YouTubeの動画や、自身が投稿した動画のコメント欄などで誹謗中傷をされてしまうことがあります。
では、YouTubeで誹謗中傷の被害に遭った場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
また、誹謗中傷に対しては、どのような法的措置をとれる可能性があるのでしょうか?
今回は、医院やクリニックがYouTubeで誹謗中傷された場合を前提に、とり得る法的措置や初期対応などについて弁護士がくわしく解説します。
目次
YouTubeでクリニックが誹謗中傷されたら法的措置をとれる?
医院やクリニック、医師やスタッフなどがYouTubeで誹謗中傷されたら、これに対して法的措置がとれる可能性があります。
ただし、単に「医院にとって都合が悪い」というだけで、直ちに法的措置の対象となるわけではありません。
正当な批判の範囲内であれば、たとえ医院にとって都合の悪い内容であっても法的措置をとることは困難です。
一方で、医院やクリニックの権利を不当に侵害する内容であれば、法的措置をとれる可能性があります。
なお、権利侵害であるか否かは、投稿内容が「真実か否か」だけで簡単に線引きできるものではありません。
たとえば、「前科のあるスタッフを雇っている」などと投稿された場合、実際に前科のあるスタッフがいるか否かに関わらず、法的措置の対象となる可能性があります。
YouTubeでの誹謗中傷に対する法的措置の可否を自身で判断することは容易ではないため、お困りの際は弁護士へご相談ください。
YouTubeでの誹謗中傷に対してとり得る主な法的措置
YouTubeで誹謗中傷をされた場合、どのような法的措置をとれる可能性があるのでしょうか?
主な法的措置を、3つ紹介します。
なお、これらは「どれか1つを選択する」ものではなく、それぞれの要件を満たせばすべての法的措置をとることもできます。
どの法的措置を選択するのが適切であるかは状況や望む結果などによって異なるため、弁護士へ相談したうえで検討してください。
削除請求
1つ目は、削除請求です。
削除請求のゴールは、問題の投稿やコメントを消してもらうことです。
YouTubeに投稿された誹謗中傷の内容によっては、多くの人の目に触れる前に投稿を消して欲しいと考えることでしょう。
その際は、削除請求が1つの選択肢となります。
削除請求はまず、YouTubeへの違反報告によって行うことが原則です。
しかし、YouTubeに違反の報告をしても、削除に応じてもらえるとは限りません。
その際は、裁判上での削除請求を検討します。
なお、削除請求が認められて動画やコメントなど誹謗中傷の証拠が消えてしまうと、損害賠償請求など他の法的措置をとることが困難となります。
そのため、削除請求を希望する際はまず弁護士へ相談し、タイミングを検討したうえで行うようにしてください。
損害賠償請求
2つ目は、損害賠償請求です。
損害賠償請求のゴールは、不法行為(誹謗中傷の投稿)によって生じた損害や精神的な苦痛を償うだけの金銭を、投稿者から支払ってもらうことです。
損害賠償請求は、まず弁護士などから内容証明郵便を送って行うことが一般的です。
裁判外で請求に応じない場合には、裁判上での請求へと移行します。
YouTubeでの誹謗中傷で認められる損害賠償額は事案によって大きく異なるため、一概に相場をお伝えできるものではありません。
一般的には、個人への誹謗中傷と比較して、著名人や医院、店舗などへの誹謗中傷で営業上の損害額が生じた場合の方が、損害賠償請求が高くなる傾向にあります。
その事案による損害賠償請求の可否や、その事案で認められそうな損害賠償請求額などを知りたい場合は、弁護士へご相談ください。
刑事告訴
3つ目は刑事告訴です。
刑事告訴のゴールは、相手に前科を付けることです。
YouTubeでの誹謗中傷は、刑法上の侮辱罪や名誉毀損罪、脅迫罪、業務妨害罪などの罪にあたる可能性があります。
相手をこれらの罪に問いたい場合は、原則として、刑事告訴をしなければなりません。
刑事告訴とは、警察などの犯罪行為の事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。
刑事告訴が受理されると、必要に応じて相手が逮捕されます。
その後は警察や検察で捜査がなされ、相手を刑事裁判にかける(起訴する)か、刑事裁判にかけない(不起訴とする)かが決まります。
起訴されると刑事裁判が開始され、有罪・無罪や具体的な量刑などが決まるという流れです。
YouTubeで誹謗中傷された場合の初期対応
YouTubeで誹謗中傷されていることに気付いたら、まずどのように対応すればよいのでしょうか?
ここでは、誹謗中傷をされた場合の初期対応を解説します。
誹謗中傷の証拠を残す
YouTubeで誹謗中傷されていることに気付いたら、まずはその証拠を残しましょう。
証拠を確保しないうちに誹謗中傷の動画やコメントが消えてしまえば、法的措置が困難となるためです。
誹謗中傷の証拠は、スクリーンショットや画面の撮影などで撮影することが一般的です。
証拠を残す際は、次の情報が掲載されるように撮影してください。
誹謗中傷の内容
問題の投稿がされた日時
URL
弁護士に相談する
誹謗中傷の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へ相談してください。
可能であれば、誹謗中傷の投稿を見つけた当日や翌日などには弁護士にコンタクトをとるとよいでしょう。
早期の相談をおすすめする理由は、時間が経って投稿のログが消えてしまうと、法的措置が困難となってしまうためです。
また、証拠を十分に確保しないうちに他者からの「通報」などで動画やコメントが消されてしまうおそれもあります。
弁護士へ相談することで、そのケースにおける法的措置の可否などの見通しが立てやすくなります。
1人で悩まず、まずは早期にご相談ください。
YouTubeで誹謗中傷された場合に避けるべきこと
YouTubeで誹謗中傷された場合に、避けるべき対応もあります。
ここでは、誹謗中傷を受けた際にやってはならないことを3つ紹介します。
相手に直接言い返したり反論したりする
1つ目は、相手に対して言い返したり、反論したりすることです。
このようなことをすると、誹謗中傷がエスカレートするおそれがあります。
また、言い返した内容によっては法的措置をとるにあたって不利となったり、反対に相手方から法的措置をとられたりする可能性もあります。
焦って削除請求をする
2つ目は、焦って削除請求をすることです。
先ほど解説したように、誹謗中傷に対して法的措置をとる際は、証拠が必要となります。
そうであるにもかかわらず焦って削除請求をしてしまうと、証拠の確保が不十分なうちに問題の投稿やコメントが消えてしまうかもしれません。
また、削除請求をしただけでは、同じような内容が再度投稿される可能性もあります。
相手への法的措置を検討している際は、削除請求の前に弁護士へご相談ください。
無理に自分で対応しようとする
3つ目は、無理に自分で対応しようとすることです。
YouTubeなどインターネット上での誹謗中傷に自分で対処することは、容易ではありません。
無理に自分で対処しようとした結果、本来であればとれたはずの法的措置が難しくなれば、本末転倒です。
また、1つずつ調べながら対処しようとした結果、時間がかかりすぎてしまいログの保存期間に間に合わなくなるおそれもあります。
誹謗中傷へスムーズに対応するためには、法律や裁判手続に関する知識と経験が必要です。
無理に自分で対応しようとするのではなく、誹謗中傷問題にくわしい弁護士へご相談ください。
YouTubeでの誹謗中傷に関するよくある質問
YouTubeでの誹謗中傷への対応では、わからないことも少なくないと思います。
ここでは、よくある質問とその回答を3つ紹介します。
相手が匿名でも法的措置がとれる?
YouTubeでの誹謗中傷は、匿名でなされることも少なくありません。
しかし、相手が匿名であっても、法的措置をとることはできます。
ただし、この場合は損害賠償請求や刑事告訴をする前に、相手の住所や氏名を特定するステップが必要です。
このステップを「開示請求」といいます。
開示請求には専門的な知識が必要であるうえ、手続きの選択にも注意が必要です。
お困りの際は、弁護士へご相談ください。
誹謗中傷から時間が経っていても法的措置をとれる?
YouTubeの動画やコメントで誹謗中傷の投稿がなされてからあまりに長期間が経過していると、法的措置は難しくなります。
なぜなら、投稿から時間が経てば投稿のログが消えてしまい、投稿者の特定が困難となるためです。
開示請求が認められても、すでに「ない」情報の開示を受けることはできません。
ログの保存期間はプロバイダによって異なるものの、おおむね3か月から6か月程度です。
少なくともログ保存(消去禁止)の仮処分命令までは、この期間内に行う必要があります。
YouTubeなどインターネット上での誹謗中傷への対応は、時間が経てば経つほど困難となります。
そのため、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。
クリニックに都合の悪い内容なら絶対に法的措置はとれる?
YouTubeに医院やクリニックにとって都合の悪い投稿がされたからといって、必ずしも法的措置をとれるわけではありません。
損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置がとれるのは、権利侵害にあたる内容が投稿された場合のみです。
とはいえ、ある投稿が権利侵害であるか否かを自身で判断することは容易ではないでしょう。
自身で判断して諦めるのではなく、まずは弁護士へご相談ください。
YouTubeでクリニックが誹謗中傷されたら「たきざわ法律事務所」へご相談ください
医院やクリニックなどへの誹謗中傷でお困りの際は、たきざわ法律事務所へご相談ください。
最後に、たきざわ法律事務所の主な特長を5つ紹介します。
インターネット上での誹謗中傷への対応経験が豊富である
たきざわ法律事務所は、インターネット上での誹謗中傷対応への対応に力を入れています。
YouTubeでの誹謗中傷への対応実績も豊富であるため、状況に応じたスムーズな対応が可能です。
状況や希望に応じて最適な対応方法を提案する
たきざわ法律事務所では、ご相談者様の困りごとやご希望に応じて、最適な解決方法を個別に提案致します。
いわゆる「流れ作業」とするのではなく、案件ごとの最適な解決を目指します。
できるだけ平易な言葉で説明する
法律相談では、難しい専門用語を並べられ、ストレスを感じてしまうこともあるようです。
そのようなことがないよう、たきざわ法律事務所では、できるだけ平易な言葉でのご案内を心がけています。
医院やクリニックからの相談に特化している
たきざわ法律事務所では、医院やクリニック、医師の方などからのご相談を多くお受けしています。
誹謗中傷トラブルのほか、スタッフとの労使トラブルや不動産運用に関するリーガルサポート、医師の方の個人的なお困りごとなど、広く対応しております。
ご依頼者様からの満足度が高い
たきざわ法律事務所では、ご依頼者様からの高い満足度を誇っております。
どこに相談してよいかわからずお悩みの際は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
まとめ
医院やクリニック、医師などがYouTubeで誹謗中傷をされた場合の対処法などを解説しました。
YouTubeでの誹謗中傷には、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置がとれる可能性があります。
しかし、誹謗中傷への対応を自身で行うことは、容易ではありません。
無理に自身で対応しようとした結果、法的措置が困難となるリスクもあります。
医院やクリニックなどがYouTubeで誹謗中傷をされてお困りの際は、できるだけ早期にたきざわ法律事務所までご相談ください。
状況やご希望をしっかりとお伺いしたうえで、最適な対応プランをご提案いたします。