たきざわ法律事務所

インスタの開示請求のやり方は?対応の流れを弁護士がわかりやすく解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

インスタ(Instagram)の投稿やコメントで誹謗中傷をされた際などには、インスタへの開示請求などを検討することとなります。

 

では、インスタの開示請求とは、どのような手続きなのでしょうか?また、インスタの開示請求は、どのような手順で進めればよいのでしょうか?

 

今回は、インスタの開示請求のやり方や流れなどについて、弁護士がくわしく解説します。

 

インスタ(Instagram)の開示請求とは

 

インスタの開示請求とは、誹謗中傷投稿や誹謗中傷コメント(以下、「誹謗中傷投稿など」といいます)をした投稿者の身元につながる情報を開示するよう、インスタに対して求める手続きです。

 

とはいえ、インスタの運営社(Meta)へ直接開示を求めても、開示を受けられる可能性はほとんどありません。そのため、インスタへの開示請求は裁判手続によって行うことが一般的です。

 

インスタ(Instagram)で開示請求をする主な目的

 

インスタの投稿者の開示請求には、正当な理由が必要です。たとえば、「相手に嫌がらせをしたいから」や「相手の情報をSNS上で晒したいから」などの理由で開示請求をすることはできません。

 

インスタの開示請求をする主な目的は次の2つです。

 

相手に損害賠償請求をするため

 

1つ目は、相手に損害賠償請求をすることです。損害賠償請求とは、相手の不法行為(インスタへの誹謗中傷投稿など)によって生じた損害を金銭で賠償するよう、相手に対して求めることです。

 

インスタへの誹謗中傷投稿などは、損害賠償請求の原因となり得ます。しかし、投稿者が誰であるのか分からなければ、損害賠償請求をすることは困難です。そこで、損害賠償請求に先立って開示請求を行い、インスタの投稿者を特定します。

 

投稿者が特定できたら、弁護士から書状(内容証明郵便など)を送るなどして損害賠償請求を行います。この時点で投稿者が請求に応じた場合は示談の成立となり、この時点で事件は終結となります。

 

一方、投稿者が請求を無視したり到底応じられないほどの減額を申し入れたりするなど不誠実な対応をする場合は、裁判上での損害賠償請求へと移行します。裁判となった場合は、裁判所がその事案での損害賠償請求の可否や具体的な賠償額を決定します。

 

裁判所が賠償額を認定しても相手がこれを支払わない場合には、強制執行が可能となります。

 

なお、インスタへの誹謗中傷投稿などによる適正な損害賠償額は事案によって異なるため、一律に相場をお伝えできるものではありません。一般的には、著名人や店舗、医院などへの誹謗中傷で営業上の損害が出たケースの方が、損害賠償額が高くなりやすいといえます。

その事案に応じた適正な損害賠償額を知りたい場合は、弁護士へご相談ください。

 

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相手を刑事告訴するため

 

2つ目は、相手を刑事告訴するためです。刑事告訴とは、警察などの捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。

 

インスタでの誹謗中傷は、その内容や態様によって名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪などの罪にあたる可能性があります。とはいえ、よほど過激な脅迫などでない限り、捜査機関がこれらを独自に捜査することはほとんどないでしょう。

 

また、そもそも名誉毀損罪や侮辱罪は被害者からの告訴がないと起訴(刑事裁判の開始)ができない「親告罪」とされています。そのため、インスタへの誹謗中傷について相手を刑法上の罪を問うためには、原則として刑事告訴をしなければなりません。

 

本来、刑事告訴は犯人が誰であるか分からなくても行えます。しかし、名誉毀損などの罪では被害者側があらかじめ相手を特定したうえで行うことが多く、相手がわかっていなければ告訴受理のハードルが高くなる可能性があるでしょう。

 

刑事告訴が受理されると、必要に応じて相手が逮捕されます。その後は警察や検察で事件の捜査が行われ、起訴か不起訴かが決まります。

 

不起訴となればその時点で事実上の無罪放免となる一方で、起訴となればその者について刑事裁判が開始されます。刑事裁判では、有罪・無罪や具体的な量刑が決まり、有罪となれば相手に前科がつくという流れです。

 

ただし、初犯でありさほど悪質ではない場合は、不起訴となったり執行猶予付きの判決となったりすることが少なくありません。執行猶予とは、一定期間を問題なく過ごすことで刑の言い渡しの効果が消滅する措置です。そのため、刑事告訴をするか否かについても、弁護士へ相談したうえで事案に応じて検討するとよいでしょう。

 

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インスタ(Instagram)の開示請求をする流れ

 

インスタの投稿についての開示請求は、どのような流れで進行するのでしょうか?ここでは、開示請求の一般的な流れを解説します。

 

ステップ1:インスタ運営者にIPアドレスなどの開示を請求する

 

はじめに、インスタに対して発信者情報開示請求を行います。

 

しかし、インスタは原則として、投稿者の本名や住所などの情報までは保有していません。そのため、インスタから開示を受けられるのは、投稿のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報にとどまります。

 

なお、先ほど解説したように、開示請求はインスタに直接申し入れるのではなく、裁判手続きによって行うことが一般的です。

 

ステップ2:接続プロバイダに契約者住所や氏名の開示を請求する

 

インスタから開示された情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダ(SoftbankやNTTなど)に対して開示請求を行います。これにより、プロバイダ契約者の住所や氏名などの情報が判明します。この接続プロバイダへの開示請求も、裁判手続きで行います。

 

なお、ログは永久に保存されるわけではなく、3か月から6か月程度の保存期間が過ぎると削除されてしまいます。ログが消えてしまうと、もはや投稿者の情報開示を受けることはできません。そのため、ステップ1の開示が認められた時点で、接続プロバイダに対して削除禁止命令を出してもらうことが多いでしょう。

 

(参考)発信者情報開示命令とは

 

2022年10月に施行された改正プロバイダ制限責任法により、非訟事件である「発信者情報開示命令」が新設されました。発信者情報開示命令とは、先ほど紹介した2つの開示請求を、一つの手続きでまとめて行える手続きです。スムーズに開示が認められれば、手続きの負担軽減や期間の短縮が可能となります。

 

ただし、発信者情報開示命令ではプロバイダ側が異議を唱えた場合、従来の発信者情報開示請求よりも長期化する可能性があります。そのため、従来の発信者情報開示請求とこの発信者情報開示命令のいずれを使用するべきであるかは、弁護士に相談したうえで検討するとよいでしょう。

 

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インスタ(Instagram)で誹謗中傷されてから法的措置をとるまでの全体の流れ

 

先ほどは、開示請求だけに絞って流れを解説しました。ここでは、もう少し俯瞰して、インスタで誹謗中傷の投稿を見つけてから法的措置をとるまでの全体の流れを解説します。

 

インスタ投稿の証拠を残す

 

インスタで誹謗中傷されていることに気付いたら、その場ですぐに証拠を残しましょう。なぜなら、開示請求や損害賠償請求などには、誹謗中傷された証拠が必要であるためです。

 

すぐに証拠を確保しなければ、投稿者が投稿を消したり他のユーザーが投稿を通報したりすることで、証拠が消えてしまうかもしれません。また、そもそもストーリーズへの投稿であれば、24時間で投稿が消えてしまいます。

 

インスタに投稿された誹謗中傷の証拠は、スクリーンショットで残すことが一般的です。

スクリーンショットでは、次の事項が漏れなく掲載されるように撮影してください。

  • 誹謗中傷投稿などの内容

  • その誹謗中傷投稿などと関連する前後の投稿やコメントの内容

  • 誹謗中傷投稿などがなされた日時

  • 誹謗中傷投稿などのURL

 

また、パソコンの画面収録機能を使って、動画で保存する方法もあります。

 

弁護士に相談する

 

インスタでなされた誹謗中傷投稿などの証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へ相談してください。

 

インスタでの誹謗中傷への対応は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。そのため、誹謗中傷に気付いたらその日や翌日には弁護士にコンタクトをとることをおすすめします。

 

対応を急ぐべき理由は、先ほど解説したように、ログの保存期間には制限があるためです。接続プロバイダに対する削除禁止命令までがこの期間に間に合わなければ、もはや投稿者の特定は困難となります。

 

また、自身で残した証拠に不備や不足があれば弁護士が追加で証拠を撮影することとなりますが、その前に投稿が消えてしまえば追加での撮影もできなくなります。そのような事態を避けるため、早期の相談をおすすめしています。

 

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インスタに開示請求をする

 

弁護士に依頼したうえで開示請求を行います。先ほど解説したように、開示請求は次の2ステップによって行うことが原則です。

 

  1. インスタの運営社(Meta)に対して、投稿のIPアドレスとタイムスタンプなどの情報開示を請求する
  2. 「1」で開示された情報をもとに、投稿者が使った接続プロバイダに対して契約者の住所や氏名などの情報開示を請求する

 

ただし、状況によっては発信者情報開示命令を選択し、一つの手続きで開示を進めることもあります。

 

損害賠償請求や刑事告訴をする

 

投稿者の身元が判明したら、損害賠償請求や刑事告訴を行います。

 

なお、いずれの要件も満たす場合は、損害賠償請求と刑事告訴の両方の措置をとることもできます。一方で、「損害賠償請求だけ」や「刑事告訴だけ」など、一方だけの措置をとることもあります。

 

相手に講じる法的措置の内容についても、弁護士へ相談したうえで選択すると良いでしょう。

 

インスタ(Instagram)の開示請求をする際の注意点

 

インスタへの投稿に開示請求をしようとする際は、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?ここでは、インスタで開示請求をしたい場合の注意点を3つ解説します。

 

相手に直接言い返さない

 

1つ目は、誹謗中傷投稿などをした相手に対して、直接言い返さないことです。

 

直接言い返してしまうと、誹謗中傷がエスカレートするおそれがあるためです。また、言い返した内容によっては開示請求等の法的措置にあたって不利となったり、相手方から法的措置を講じられたりするおそれがあります。

 

削除請求は慎重に行う

 

2つ目は、削除請求は慎重に行うことです。

 

インスタに投稿された内容によっては、その投稿が拡散される前に削除して欲しいと考えることでしょう。しかし、焦って削除請求をすることは、おすすめできません。なぜなら、削除請求が認められて問題の投稿が消えてしまうと、開示請求やその後の法的措置で必要となる証拠がなくなってしまうためです。

 

そのため、まずは投稿の証拠をスクリーンショットなどで入念に残し、証拠に不備や不足がないことを弁護士に確認してもらったうえで削除請求に進むことをおすすめします。

 

早期に弁護士へ相談する

 

3つ目は、早期に弁護士へ相談することです。

 

インスタの開示請求を自分で行うことは、容易ではありません。開示請求は単に書類の空欄を埋めることでできるようなものではなく、必要な手続きの選択や書類の記載などには法律や裁判手続きへの理解が不可欠であるためです。

 

また、自分で対処しようと手続き方法などを調べているうちにログの保存期間が過ぎてしまえば、開示請求が困難となってしまいます。そのため、インスタの投稿について開示請求をしたい場合は、できるだけ早期に弁護士へご相談ください。

 

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まとめ

 

インスタの開示請求のやり方や流れなどを解説しました。

 

インスタで誹謗中傷などの被害に遭った際は、開示請求で相手の身元を特定することが第1ステップとなります。開示請求をして相手を特定したら、損害賠償請求や刑事告訴に進むという流れです。

 

しかし、インスタへの開示請求には法令や裁判手続きへの理解が必要であり、自分で行うことは容易ではありません。また、その投稿について開示請求や損害賠償請求が認められそうかどうか、自分で判断することも困難でしょう。

 

そのため、インスタの投稿について開示請求を検討する際は、弁護士へ相談することをおすすめします。

 

たきざわ法律事務所では誹謗中傷トラブルへの対応に力を入れており、インスタの投稿への開示請求についても多くの実績があります。インスタの投稿への開示請求をご検討の際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

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