【2025】転職会議への開示請求の方法は?開示請求の流れや目的を弁護士がわかりやすく解説
転職会議とは、現社員や元社員が企業の評判や年収などを投稿する転職情報サイトです。転職希望者などが転職先の企業を選定する際に参照することが多く、よい口コミが投稿されれば求人活動においてプラスとなる効果が期待できるでしょう。一方で、マイナスの内容の口コミが投稿されれば、求人がしづらくなるなどの損害が生じるおそれが生じます。
では、権利侵害とも言える口コミが投稿された際に、開示請求をすることはできるのでしょうか?また、転職会議の投稿に対する開示請求は、どのように進めればよいのでしょうか?
今回は、転職会議への開示請求について、弁護士がくわしく解説します。
目次
転職会議への開示請求とは
転職会議への開示請求とは、転職会議の運営者(株式会社リブセンス)や投稿者が接続に使ったプロバイダ(NTTやSoftbankなど)に対し、投稿者の情報開示を求めるものです。
冒頭でも触れたように、転職会議に自社の権利を侵害する悪い内容の口コミが投稿された場合、求人がしづらくなるなどの損害が生じる可能性があります。そのため、このような場合には、投稿者に対する損害賠償請求などの法的措置が検討できます。
しかし、相手の身元が分からなければ、法的措置をとることは困難です。また、小規模な企業であれば投稿の内容から投稿者に推測がつく場合もあると思いますが、それでも「自分ではない」と言い張られてしまった場合、証拠がなければそれ以上の追及は困難でしょう。そこで、これらの法的措置に先立って開示請求を行います。
転職会議への開示請求の主な目的
開示請求には正当な目的が必要であり、たとえば「嫌がらせをするため」や「SNSで晒すため」などの目的で行うことはできません。では、転職会議への開示請求はどのような目的で行うものなのでしょうか?ここでは、主な目的を2つ紹介します。
損害賠償請求
1つ目は、損害賠償請求です。
損害賠償請求とは、相手の不法行為(転職会議への、権利侵害にあたる口コミの投稿)によって生じた損害を金銭で賠償するよう求めるものです。はじめから裁判を申し立てるのではなく、まずは開示請求によって発覚した投稿者宛に弁護士から内容証明郵便を送るなどして請求することが一般的です。
この時点で相手が請求額の支払いや謝罪などに応じた場合には、裁判に至ることなく事件は解決となります。一方で、投稿者が請求を無視するなど不誠実な対応をする場合には、裁判上での請求に移行します。
裁判に移行すると、そのケースにおける損害賠償請求の可否や適正額などを裁判所が判断することとなります。
刑事告訴
2つ目は、刑事告訴です。
刑事告訴とは、警察などの捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めるものです。
転職会議に悪質な口コミを投稿する行為は、その内容によって刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪、業務妨害罪などにあたる可能性があります。なかでも名誉毀損罪や侮辱罪は刑事裁判の開始において被害者の告訴が必須である「親告罪」であることから、相手を刑事上の罪に問いたい場合は告訴をしなければなりません。
告訴が受理されると、その後は警察や検察によって捜査がなされ、必要に応じて投稿者が逮捕されます。その後、起訴か不起訴かが決まり、起訴されると刑事裁判が開始されます。刑事裁判が開始されると、そこで投稿者の有罪・無罪や執行猶予の有無などが決まるという流れです。
ただし、インターネット上での誹謗中傷事件では不起訴となったり、有罪となっても執行猶予がついたりすることが少なくないため、告訴までするかどうかは費用面も踏まえて慎重に検討すべきでしょう。
なお、本来は開示請求によって相手を特定しなければ刑事告訴ができないわけではありません。しかし、名誉毀損事件などでは実務上、先に相手を特定したうえで告訴をすることが多いといえます。
転職会議への開示請求を行う手順
転職会議への開示請求は、どのような流れで行うのでしょうか?ここでは、一般的な流れを解説します。
投稿の証拠を残す
権利侵害に該当しそうな投稿を見つけたら、すぐに証拠を残しましょう。証拠がなければ、開示請求をするのが困難になるためです。「後で証拠を残そう」と考えていると、その間に何らかの理由で投稿が消えてしまうかもしれません。
投稿の証拠は、スクリーンショットで残すことが一般的です。投稿内容やURL、投稿日時などがすべて漏れなく記録されるよう、スクリーンショットは複数回撮影することをおすすめします。
弁護士へ相談する
投稿の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士へ相談しましょう。開示請求を成功させるには裁判手続きや法令に関する理解が必要であり、自身で行うことは容易ではないためです。早期の相談をおすすめする理由は、後ほど改めて解説します。
転職会議の運営会社に開示請求をする
弁護士から、転職会議の運営会社(株式会社リブセンス)に情報の開示を請求します。
とはいえ、裁判外での請求で任意に開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。そのため、開示請求は裁判手続きによって行うことが一般的です。
開示請求が認められると、転職会議側から投稿者のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報が開示されます。
投稿者が接続に使ったプロバイダに開示請求をする
転職会議への開示請求によって得た情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダ(NTTやSoftbankなど)に契約者の住所・氏名などの情報開示を請求します。こちらも、直接の請求では開示を受けられる見込みは低いため、裁判手続きによって開示を求めることが一般的です。
開示が相当であると判断されると、プロバイダ契約者の住所や氏名などの情報が開示されます。
なお、2022年10月1日に施行された改正プロバイダ制限責任法により、非訟手続きである「発信者情報開示命令」が創設されました。こちらの手続きを使うことで、転職会議と接続プロバイダへの2段階の開示請求を、1つの手続きにまとめて行うことが可能です。
ただし、発信者情報開示命令にはデメリットもあるため、あえて従来の発信者情報開示請求を選択する場合もあります。いずれの手続きを選択すべきかは状況によって異なるため、依頼先の弁護士の判断に任せるとよいでしょう。
損害賠償請求や刑事告訴をする
開示請求によって判明した情報をもとに、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置を行います。弁護士へ依頼した場合には、これらの法的措置についても代理してもらうことが可能です。
転職会議への発信者情報開示請求を成功させるポイント
転職会議への開示請求を成功させるには、どのようなポイントを踏まえればよいのでしょか?ここでは、主なポイントを3つ解説します。
弁護士のサポートを受ける
1つ目は、弁護士のサポートを受けることです。
開示請求は、単に所定の書面に事実を記載するだけで認められるものではありません。法令の根拠をもとに、権利侵害がされた事実や侵害された権利の内容などを、書面上で明確に説明する必要があります。
また、従来の「発信者情報開示請求」と新しい「発信者情報開示命令」のどちらを選択するかについても、手続きへの正しい理解や経験などが不可欠です。
そのため、むやみに自身で行うのではなく、誹謗中傷トラブルに力を入れている弁護士への依頼をおすすめします。
早期に準備に取り掛かる
2つ目は、早期に準備にとりかかることです。
転職会議への開示請求は、時間との勝負といっても過言ではありません。なぜなら、対応が遅ければ証拠である投稿が消えてしまい、証拠を十分に確保できない可能性があるためです。
また、開示請求を成功させるには請求の相手方(転職会議や、接続プロバイダ)が必要な情報を持っていることが大前提であるところ、投稿から一定期間が経過すると投稿のログが消えてしまいます。ログが消えてしまえば、いくら裁判所が開示を認めたところで、開示を受けることはできません。「ない」情報を開示することはできないためです。
そのため、転職会議への開示請求を成功させたいのであれば、できるだけ早期に弁護士へ相談することをおすすめします。
削除請求は慎重に行う
3つ目は、削除請求は慎重に行うことです。
誹謗中傷などにあたる投稿である場合、転職会議に削除を請求すれば、削除が認められる可能性が高いでしょう。しかし、投稿が消えるということは、開示請求などに必要となる証拠が消えてしまうことを意味します。
そのため、開示請求などの法的措置を検討している場合には、まずは証拠を十分に残し、証拠に不足がないことについて弁護士に確認を受けてから削除請求に進むことをおすすめします。
転職会議への発信者情報開示請求をする際の注意点
転職会議に開示請求をする際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?ここでは、主な注意点を2つ解説します。
必ずしも開示が認められるとは限らない
開示請求は、必ずしも認められるものではありません。情報の開示を受けるためには、投稿内容が自社の権利を侵害している事実が必要です。
単に「自社にとって都合が悪い内容」というだけで開示請求が認められるわけではないため、誤解のないようご注意ください。
削除請求は慎重に行う
開示請求を検討している場合、削除請求は慎重に行わなければなりません。先ほど解説したように、投稿が消えてしまうと証拠が消えてしまうこととなるためです。
そのため、焦って削除請求をするのではなく、まずは弁護士へご相談ください。
転職会議への開示請求はたきざわ法律事務所へお任せください
転職会議への開示請求は、たきざわ法律事務所へお任せください。最後に、たきざわ法律事務所の主な特長を4つ紹介します。
インターネット上での誹謗中傷トラブルに強い
たきざわ法律事務所は、インターネット上での誹謗中傷トラブルの解決に強みを有しており、多くのサポート実績があります。豊富な経験をもとにサポートしますので、安心してご相談ください。
フットワークが軽い
たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若く、フットワークの軽さを強みとしています。「できるだけ早く相談したい」などのご要望にも可能な限りお応えいたしますので、ご要望がある際はお気軽にお伝えください。
難しい言葉を使わずにアドバイスする
弁護士へ相談しても、難しい言葉を並べられてよく理解ができなければ、不満が残ってしまうことでしょう。たきざわ法律事務所ではそのようなことのないよう、難しい言葉を使わないアドバイスを心掛けています。
状況に応じて最適な解決策を提案する
インターネット上での誹謗中傷トラブルの最適な解決策は1つではありません。たきざわ法律事務所では一辺倒な解決をはかるのではなく、状況やクライアント様のご希望に応じた最適な解決策を提案しています。
その結果、多くのクライアント様より「相談してよかった」「依頼してよかった」などのお声をいただいております。
まとめ
転職会議への開示請求の概要や開示請求の流れ、転職会議への開示請求を成功させるポイントなどを解説しました。
開示請求とは、転職会議や投稿者が接続に使ったプロバイダに対して、投稿者の情報開示を求めるものです。裁判外での開示に応じてもらえる可能性は低いことから、開示請求は裁判手続きによって行うことが一般的です。
転職会議への開示請求を成功させるためには、できるだけ早期に弁護士へ相談するとよいでしょう。対応が遅れれば投稿のログが消えてしまい、開示を受けられなくなる可能性があるためです。また、十分な証拠を残す前に、投稿が消えてしまうかもしれません。
たきざわ法律事務所はインターネット上での誹謗中傷トラブル解決に力を入れており、これまでにも多くのサポート実績があります。転職会議の投稿について開示請求をしたい場合や、権利侵害にあたる投稿への対応に苦慮している場合などには、たきざわ法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。豊富な実績を活かし、状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。