工事請負契約の支払条件とは?確認ポイントと併せて弁護士がわかりやすく解説
工事請負契約では、支払条件を定めることが一般的です。
では、工事請負契約の支払条件は、どのような内容で定めることが多いのでしょうか?また、工事請負契約の支払条件に関する条項について、施主はどのような点を確認すればよいのでしょうか?今回は、工事請負契約の支払条件の定め方や工事請負契約書の確認ポイントなどについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は不動産法務に特化しており、工事請負契約の作成やレビューにも対応しています。施工会社側から差し入れられた工事請負契約書の内容に不安がある際や、工事請負契約の支払条件について交渉したいとお考えの際などには、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
目次
工事請負契約の支払条件とは?
工事請負契約の支払条件とは、工事請負契約の報酬を、いつ、どのように支払うかの取り決めです。
工事請負契約では、動く金額も多額にのぼることが多いでしょう。そのため、工事請負契約書に押印をする前に、支払条件についても入念に確認しておくことをおすすめします。
工事請負契約の支払条件の定め方の例
工事請負契約における報酬の支払条件には、主に次のパターンが挙げられます。
- 完成時一括払い
- 出来高払い
- 分割払い
ここでは、それぞれの概要について解説します。
完成時一括払い
完成時一括払いとは、発注した工事が完了した際、目的物の引き渡しと同時に報酬を一括で支払う方法です。請負契約の基本ルールを定めている「民法」では、この完成時一括払いが原則とされています(民法633条)。
施主にとっては、この完成時一括払いが望ましいでしょう。なぜなら、工事の完了まで対価を支払う必要がないためです。また、「報酬を支払ったにもかかわらず工事が進行しない」などの事態も回避できます。
一方で、施工会社にとっては、もっとも避けたい支払い方法の1つでしょう。なぜなら、受注した工事を完成させたにもかかわらず、報酬を回収できないおそれがあるためです。また、施工会社は施工にあたって材料を仕入れたり下請会社に工事の一部を発注したりする費用の支出が必要となることが多く、この支払条件の場合には資金繰りが厳しくなりやすいといえます。
出来高払い
出来高払いとは、工事の進捗状況に応じ、適宜報酬を支払う方法です。各進捗段階で支払う報酬や支払うタイミングは、施主と施工会社の交渉によって定めます。たとえば、「3ヶ月に1回、その時点までの出来高に応じた報酬を支払う」方法などがこれに該当します。
工事の完成度合いに応じて請負代金を支払うこととなるため、施主としては支払いの管理に手間がかかる傾向にあります。一方で、施工会社にとっては資金繰りが安定しやすいため、メリットが大きいでしょう。
分割払い
分割払いとは、工事請負代金をあらかじめ定めた複数回に分けて支払う方法です。たとえば、「着工時に〇%、上棟時に〇%、完成・引渡し時に〇%」などと定めることが多いでしょう。
工事の進捗割合に関わらず事前に定めた時期に事前に定めた金額の支払いが発生するため、施主としては支払いの管理がしやすくなります。また、施工会社にとっても工事の途中で中間金が得られるため、資金繰りが安定しやすいといえます。
(参考)施主がローンを組む場合
一定以上の規模の工事である場合、施主がローンを組むことも多いでしょう。新築工事である場合、ローンが実行される(つまり、金融機関から施工会社に対して代金が支払われる)のは、物件の引渡しと同時であることが一般的です。建物が完成してからでなければ、金融機関がその建物の担保を付けることができないためです。
この場合には、頭金と中間金などの支払いが別途必要となることが多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。
工事請負契約の確認ポイント:支払条件
工事請負契約書を交わす際、支払条件に関して施主はどのような点を確認しておく必要があるのでしょうか?ここでは、支払条件に関する主な確認ポイントを3つ解説します。
- 支払い期限
- 支払い方法
- 振込手数料の負担者
なお、契約書の原案は施工会社側で用意することが多いものの、施主として納得のできない条項がある場合には、条項の変更について交渉できます。工事請負契約の内容がよくわからない場合や、条件の交渉などをご検討の際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
支払い期限
支払条件に関して確認すべきポイントの1つ目は、支払い期限です。
工事請負契約書では、「いつ」、「いくら」を支払う必要があるのかを入念に確認しておきましょう。工事請負契約では動くお金も大きいことが多いため、支払い時期を事前に確認しておくことで余裕をもって資金を準備しやすくなります。
なお、細かな点ではあるものの、支払い期限が金融機関休業日にあたる場合の対応も確認しておきましょう。なお、支払い期限が休日に当たる場合の対応について特に規定がない場合には、民法の規定により翌営業日が支払い期限となります(民法142条)。
支払い方法
支払条件に関して確認すべきポイントの2つ目は、支払い方法です。ローンを組まない場合、支払い方法は銀行振り込みとされることが多いでしょう。
振込手数料の負担者
支払条件に関して確認すべきポイントの3つ目は、振込手数料の負担者です。
工事請負代金の支払いを振り込みで行う場合、振込手数料がかかります。その振込手数料についても、確認しておくとよいでしょう。
なお、特に民法の規定により、特に契約書に定めがない場合には債務者(つまり、報酬を支払う施主)の負担となります(民法485条)。
工事請負契約の確認ポイント:支払条件以外
工事請負契約では、支払条件のほかにも確認すべきポイントがあります。契約書の規定に不備があればトラブルの原因となったり、トラブル発生時の解決が困難となったりしかねません。
また、施主が不利となるおそれもあるでしょう。そこでここでは、工事請負契約で確認しておくべき支払条件以外の主なポイントを解説します。
- 遅延損害金に関する定め
- 契約解除に関する定め
- 追加工事発生時の対応の定め
とはいえ、自身(自社)だけで工事請負契約書の内容を正確に読み解くのは容易ではありません。お困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。
遅延損害金に関する定め
工事請負契約書では、遅延損害金の定めを確認しておきましょう。遅延損害金とは、工期が伸びて物件の引渡しが本来の引渡日に間に合わなかった場合、これにより施主に生じた損害を施工会社が賠償するものです。
本来、次の損害について遅延損害金が請求できます。ただし、いずれも工事の遅延との因果関係が証明できるものに限られます。
- 積極損害:引渡日の遅延により実際に負担が生じた損害(例:工事が遅延したことで別の物件を借りるために生じた賃料など)
- 消極損害:引渡日の遅延により、得られなくなった利益(例:小売店・料理店などの工事が遅延したことで開店日が遅れ、これにより得られなくなった利益など)
これが原則である一方で、契約書で遅延損害金についてこれとは異なる規定が置かれていることが少なくありません。一般的には、実際に生じた損害額を問わず、「工事の遅延1日あたり〇円」などと定められていることが多いでしょう。
とはいえ、このような条項は必ずしも施主にとって不利とは言えず、工事の遅延が生じた際に発生した損害との因果関係などを逐一立証することなく機械的な計算で遅延損害金が請求できる点で施主にとってもメリットとなり得ます。
契約解除に関する定め
工事請負契約書では、契約解除に関する定めを確認しておきましょう。何らかの事情により、施主側から工事請負契約を解除すべき事態が生じることがあります。
たとえば、施主の方針変更により工事の必要性がなくなった場合などです。その場合には、原則として、施主から施工会社に対して損害賠償をしなければなりません。
このような事態に備えて、工事請負契約書では中途解除時の違約金が定められていることが一般的です。事前にその規定を確認しておくことで、解除すべき事情が生じた際の判断材料となります。
また、違約金が高過ぎると感じる場合には、契約締結前の交渉により減額交渉をすることも検討できるでしょう。
追加工事発生時の対応の定め
工事請負契約書では、追加工事発生時の対応についても確認しておきましょう。工事の請負契約では、施主の意向によらず追加工事の必要性が発生することも少なくありません。
たとえば、ある賃貸アパートを建築するために土地を掘削したところ、地中埋蔵物があることがわかり、その撤去工事が必要となる場合などがこれに該当します。
この場合、施主としては次の選択肢を持っておきたいことでしょう。なぜなら、追加工事が非常に高額となるおそれもあるためです。
- 追加料金を支払って地中埋葬物の撤去工事を依頼したうえで、元の契約通りアパート建築を依頼する
- 契約を解除してアパート建築自体を取りやめる
しかし、契約書の規定によっては「2」を選択する場合に高額な違約金が発生する可能性もあります。そのため、不測の追加工事が生じることに備え、地中埋蔵物の発見など不測の事態が生じた際の契約の取り扱いについても確認しておすすめします。
工事請負契約の支払条件に関するよくある質問
最後に、工事請負契約の支払条件に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
工事請負契約の支払条件は、誰が定める?
工事請負契約の支払条件は、契約当事者双方の合意によって定めます。
なお、工事請負契約書は施工会社側が作成することが多く、施工会社から提示された契約書にすでに支払条件が記載されていることもあるでしょう。しかし、これはあくまでも相手方が提示する契約書の「案」に過ぎず、交渉により修正を求めることも可能です。
工事請負契約書がない場合、工事代金はいつ支払う?
工事請負契約書がない場合や、工事請負契約書はあるものの契約書内で支払条件に関する条項がない場合、民法の原則に従って、完成物の引き渡しと同時に報酬を支払うこととなります(民法633条)。
工事請負契約の支払条件でお悩みの際はたきざわ法律事務所へご相談ください
工事請負契約の支払条件でお悩みの際は、たきざわ法律事務所へご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
- 不動産法務に特化している
- フットワークが軽い
- 状況に応じた最適な解決策を提案する
不動産法務に特化している
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、不動産オーナー様や不動産会社様への豊富なサポート実績を有しています。工事請負契約に関するトラブルへの対応や契約書レビューなどでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
フットワークが軽い
たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若いこともあり、フットワークの軽さを自負しています。「夜間しか相談できない」「できるだけすぐに相談したい」などのご要望がある際は、ご相談お申込みの際にお気軽にお伝えください。
状況に応じた最適な解決策を提案する
たきざわ法律事務所は型に当てはめて問題の解決をはかるのではなく、個々の状況やご相談者様のご希望に応じた最適な解決策を提案します。そのため、多くのクライアント様より「相談してよかった」「依頼してよかった」とのありがたいお声をいただいています。
まとめ
工事請負契約の支払条件の主なパターンや支払条件について確認しておくべきポイント、支払条件以外の工事請負契約の注意点などについて解説しました。
工事請負契約の支払条件とは、請負代金を支払うタイミングや方法などの定めを指します。工事請負契約の支払方法としては、完成時一括払いや出来高払い、分割払いなどが挙げられます。
工事請負契約書は施工会社側が作成することが多いものの、これはあくまでも原案であり、これをたたき台として交渉することも可能です。工事請負契約の支払条件などに納得のいかない点などがある場合には、契約を締結する前に交渉をするとよいでしょう。
弁護士に相談することで、契約書のうち施主にとって不利なポイントに気付きやすくなります。
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、工事請負契約書の作成やレビューについても豊富なサポート実績を有しています。工事請負契約の支払条件について弁護士の意見を必要とする際は、相手方と交渉に臨む前に主張を整理したいとお考え医の際などには、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。



