オーナーに選ばれる賃貸管理。管理会社として選ばれるポイントとは?弁護士との連携のメリットも解説します
アパートやマンションのオーナーは、どのように管理会社を選んでいるのでしょうか?
特に、初めてのアパート経営であれば、どの管理会社を選べばよいのかわからないオーナーも多いはずです。
また、不動産を相続して所有しているオーナーの中には、アパートやマンションも自主管理している方も多く、まだまだ新たな管理委託契約を狙えます。
では、オーナーに選ばれやすい管理会社とは何でしょうか?
一番の答えは、オーナーからの相談を受けた場合、管理物件でのトラブルが起きた場合に、弁護士等の専門家との連携がスピーディーであることです。
これを理解するために、まずは管理会社として選ばれるポイントについて解説します。
更に、オーナーとの上手な付き合い方、オーナーが管理会社を変えたいときなども紹介します。
管理委託契約が取れない、契約を短期で打ち切られることが多い、などの問題をこの記事で解決します。
目次
賃貸管理
まずは、賃貸管理について解説します。
賃貸管理業務とは
管理会社が行う主な賃貸管理業務は、大きく3つに分けることができます。
入居者の管理
はじめに、入居者の管理です。
まずは、家賃の集金・入居者からの問い合わせ・クレーム対応です。
家賃については毎月振り込まれるのを確認し、集金後にオーナーの口座に振り込みます。
また、家賃滞納等があった場合は入居者に連絡したり、悪質な場合は督促状を送付し、オーナーに代わり取り立てを行います。
次に、入居者とオーナー、入居者同士の仲裁です。
例えば、室内設備の故障の場合は、迅速にオーナーに伝え対応してもらいます。
また、入居者同士のトラブルはオーナーに代わり解決に導きます。
最後に契約業務です。
入居のときの賃貸借契約書の締結、概ね2年おきの契約更新業務、退去時の解約業務となります。
建物の管理
2つ目は、建物の管理です。
日常的に行うには、巡回での清掃業務です。
入居者が気持ちよく利用するには、管理が行き届いた綺麗で清潔な建物が必須です。
共用廊下、エレベーター内、集合ポスト、ゴミ置き場を綺麗に保ち、敷地内に雑草やゴミがないように清掃します。
次に、メンテナンスです。
共用部分内の設備が破損や故障していないか、建物自体に傷みがないか、
植栽は伸び放題になっていないかなど確認し、都度オーナーと相談しながらメンテナンスを行います。
資金の管理
3つ目は、資金管理です。収支の管理、投資計画の提案があります。
収支の管理とは、主に経費として掛かる費用の管理です。
賃貸物件の維持には、建物の修繕費用、室内設備故障時の修理・交換費用、
建物全体への火災保険、退去時のハウスクリーニング費用が掛かります。
家賃収入の中から、経費として出ていく費用を算出し、
オーナーへは無理のない賃貸の経営計画を提案していきます。
投資計画の提案とは、賃貸経営を成功させるためのアドバイスをすることです。
長期間賃貸経営すれば空室率が上がったり、建物自体が劣化します。
このようなときに、入居率を上げる提案したり、
建物の修繕費の積み立てや、修繕計画の提案を行います。
つまり、長期間安定的に収益を得られる提案となります。
管理委託料の相場は
管理委託料は、概ね賃料に対して〇%と設定しているケースが殆どです。
したがって、賃料が高い東京都心部では5%程度、賃料が安価な郊外や地方では、5%以上に設定されているケースもあります。
地域によって、管理委託料の相場は異なります。
アパート・マンション以外の賃貸管理
ここでは、アパート・マンション以外の賃貸管理について挙げていきます。
ビル管理
ビル管理には、さまざまな業務があります。
日常的な清掃業務、設備管理・保守業務、警備業務、ビル管理スタッフの教育などがあります。
またビル管理は、テナント企業との契約・更新・解約業務もあります。
日常的な清掃においては、ビル内を綺麗に清潔に保つことが必須で、
また照明が切れていないかなど設備等の日常点検もあります。
更に、ビルには空調、電気、給水ポンプなど大型の設備が多くあります。
テナント企業がビル内で快適に過ごせるように、定期的にメンテナンスの手配をします。
駐車場管理
駐車場管理には、月極駐車場とコインパーキングがあります。
月極駐車場は、アパートやマンション同様に入退去者向けに契約・更新・解約業務、
敷地内の清掃やメンテナンス、賃料集金業務があります。
コインパーキングは、敷地内に機械設備が多いので、日常的なメンテナンスや、
精算機の集金業務、防犯カメラ等による24時間監視業務などがあります。
コインパーキングは、不特定多数の利用者相手になるので、
駐車場内でのトラブルやクレーム、機器の破損などに対し、迅速に対処することが求められます。
トランクルーム管理
トランクルームは、屋外であれば敷地内にコンテナを設置したり、屋内型であればビル内に設置します。
屋外型であれば、アパートやマンション同様の管理業務となります。
また、屋内型であれば同様の管理に加えて、管理人を置く場合もあります。
屋外型のトランクルームであれば、建物自体はコンテナで頑丈であり、修繕の必要はほぼありません。
オーナーに選ばれる管理会社のポイント
ここからは、オーナーに選ばれる管理会社のポイントについて解説します。
専門家との連携がスピーディー
まず、管理会社の評価=担当者の評価、と言っても過言ではありません。
最前線でオーナーと対峙する担当者の対応力が、管理会社の評価を左右します。
仮に、何かオーナーにとって困りごとがあったときに、真っ先に頼るのが管理会社の担当者です。
オーナーの困りごとは、管理物件に関することに限られません。
相続の問題をはじめとしたオーナーのプライベートな問題についての相談も受ける可能性もあります。
むしろ、プライべートな相談まで受けられるようになれば、
オーナーとの信頼関係を上手く築けている証です。
さらに、このときに、迅速かつ丁寧な対応ができれば、担当者や管理会社へのオーナーの評価は上がり、さらに信頼関係が増します。
では、オーナーとの信頼関係を築くにはどうしたらいいか。
そんなときほど、弁護士をはじめとした専門家との連携が有効です。
相続問題であれば、弁護士につなげるのが最も効果的です。
管理会社の担当者がオーナーにすぐに弁護士を紹介できれば、オーナーの管理会社への信頼が増します。
また、入居者の賃料不払いが重なるような場合にも、
弁護士が入って退去請求、未払賃料の回収を図った方がスムーズに事が進みます。
反対に、対応に不備があったり迅速でない場合、当然にオーナーの評価は急降下です。
管理会社は、常にオーナーから信頼され、安心して任せてもらうことが必要です。
集客力・提案力があるか
次に、入居者を集められる集客力や、空室等が増えてきたときに、
その状況を改善できる提案力があるかです。
稼働率が維持できていれば問題ありませんが、稼働率が落ちてきたときには何か原因があります。
その原因を調査し、現状の打開策を提案します。
また、その改善に掛かるコストと、今後の収支見込みを算出し、
無理のない先行投資を促すなど、これまで培ったデータとノウハウを駆使した提案ができることです。
トラブル時の対応力
オーナーとして一番困るのはトラブル発生時です。
例えば、家賃滞納、隣人騒音トラブル、退去時の原状回復と敷金返還トラブル、などです。
このようなトラブル発生時に、的確な対応できるかが重要です。
家賃滞納に関しては法的な手続きが必要になる場合や、最悪立退きさせる必要があります。
また、退去時の敷金返還もトラブルになりやすく、管理会社に対処できるノウハウがあるかも重要です。
管理会社の経営状態
安定的な管理を行うには、管理会社の経営状態も重要なポイントです。
仮に、管理会社が突然倒産してしまえば管理業務は滞り、一番重要な家賃回収も遅れてしまいます。
これにより、オーナー自身が物件購入時にローンを使っていれば、ローン支払いも滞ります。
よって、資本金が少ない、設立して間もないなど経営状態が不安視される会社は、オーナーに避けられます。
コストパフォーマンス
管理費が安い管理会社は、オーナーにとっては魅力です。
特に、実績が少ない管理会社は、管理費を相場より安価にすることがあります。
経営に無理がなければよいのですが、単なる値下げとなると、しわ寄せは管理現場にいきます。
巡回の頻度が少なかったり、トラブル時に連絡しても対応が遅かったりと弊害がでてくるのです。
したがって、コストは相場よりも若干安めに抑え、
管理サービスの充実をアピールしていく方が、オーナーにはより魅力的でしょう。
業務内容に不足はないか
賃貸管理の業務内容は先述にて紹介しておりますが、
管理会社が抜かりなく業務を行い、基本的にオーナーの手を煩わせないのが理想の賃貸管理です。
オーナー側に寄り添って管理ができるかは、管理に関する蓄積されたノウハウがあるかです。
委託する業務内容に不足がなければオーナーからの不満はなくなり、全幅の信頼を得ることができるのです。
物件管理数が豊富
物件管理数が豊富な管理会社は、オーナーに選ばれる傾向があります。
先述のように、管理に関するノウハウやトラブル時の対応力があるからです。
実績や経験は、確かな安心感を生むのです。
全国展開している会社か
最後に、全国展開している管理会社であるかです。
経営状態ともリンクするところですが、
全国基盤で運営している会社であれば、急に倒産するリスクは低いでしょう。
したがって、オーナー自身も安心して管理を任せられます。
また、管理物件数を増やす際に、異なる都道府県でも、同じ系列の管理会社に任せられるメリットもあります。
オーナーが管理会社を変えたいと思うとき
オーナーが管理会社を変えたいと思うのは、どんなときなのでしょうか。
下記に挙げていきます。
物件内やゴミ置き場の清掃・管理ができていない
管理会社の担当者との関係が上手くいかない
管理会社の担当者のレスポンスが遅い、態度が悪い
長期間空き住戸が埋まらない
成約時の手数料が高い
他の管理会社の方が管理料安い
経営状態の悪化
上記に挙げたのは、管理会社を変えたいと思う時となりますが、大半は管理会社への不満です。
特に、日常的な清掃が行き届いていなかったり、担当者のレスポンスが悪いのは、
不満が徐々に積み重なっていく事案です。
上記も一回のことであればオーナーは、見過ごす可能性がありますが、
何度も続けば不満はそのうちピークに達します。
オーナーの不満を蓄積させないような姿勢が、管理会社には必要です。
オーナーとの上手な付き合い方
ここでは、賃貸物件を経営するオーナーとの付き合い方について、解説します。
連絡を密にとり連携を強化する
まず、人と人との付き合いは、まずは常に連絡を取り合うことです。
些細なことでも、人同士であれば意見の相違はありがちです。
少しずつのボタンの掛け違いが大きな誤解を生む場合もあります。
丁寧な説明と丁寧な対応
次に、常日頃からの丁寧な説明と対応です。
丁寧な言葉使いで迅速な対応することで、オーナーの信頼はアップします。
仮に、横柄な態度で言葉使いや礼儀作法などのマナーが悪いと信頼は低下します。
業務の範囲を明確にする
オーナーと管理会社との間では、管理委託契約書が締結されます。
その際に、管理会社の業務や責任の範囲、オーナーに責任が及ぶ範囲を明確にしておきます。
日常業務としては問題ありませんが、トラブル発生時の責任の所在などは、明確にしておく必要があります。
オーナーと管理会社との間でトラブルにならないように、事前に取り決めをしておきます。
オーナーからもらうよくある相談
ここでは、賃貸経営中にオーナーからよくある、相談について解説します。
空室対策
まずは、最近空室が増えてきたという相談です。
空室が増えるのには必ず原因があります。
例えば、周辺に新しい賃貸住宅がオープンした、
建物の劣化が著しい、周辺の賃貸需要が少なくなった、などです。
空室が増えた原因を調査し、改善策をオーナーに提案しなければなりません。
家賃交渉
入居者から、家賃の値下げ交渉もあります。
オーナーとしては家賃交渉には応じたくないところですが、
管理会社としては空室リスク等を考慮し、値下げ幅を100%で受けるか50%で受けるか、
今後の収支や経営状況を考慮し、的確なアドバイスが必要です。
設備機器故障・修理
設備機器の故障があった場合、修理や更新工事をどこに依頼すればよいかの相談もあります。
管理会社としては、取引している業者の中から、
見積もりを複数社取り寄せたり、実際に工事の発注をするなどのサポートします。
チラシなどの投函物
都心部であれば、チラシなどの投函物が多いのも悩みの種です。
ポストに投函禁止のポスターを掲示したり、チラシ専用のごみ置き場を設置するなどの対策します。
また、防犯カメラなどで悪質な業者がいれば、警察に通報するなど対処します。
建物の汚れ、建物周りの雑草やゴミ
建物に汚れや、雑草やゴミの処分については、日常管理業務とは別作業になることが多いでしょう。
これらの作業を行うには、別費用での見積もりを提示し、
オーナーから了承をもらえれば都度対処することになります。
共用スペースに私物
共用スペースに自転車や車のタイヤなど、私物を置くのは一般的にはNGです。
これら私物を置くことは入居者同士でトラブルになることが多く、オーナーとしても悩みの種です。
よって、管理会社は私物を置いている入居者に丁寧に説明し、私物を撤去してもらうように促すしかありません。
尚、廊下などの共用部はオーナーに所有権があるため、私物を置くのは契約違反となります。
トラブル時の対処方法とは
最後に、賃貸管理中のトラブル対処法について解説します。
家賃滞納
賃貸経営で、オーナーが一番悩むのが家賃滞納です。
滞納する期間が延びれば、経営的に死活問題です。
家賃滞納について、当初は電話での連絡や封書での連絡となりますが、
入居者が無視し続けると次第に督促状を送付するなど、取り立てが厳しくなります。
その後も、家賃の支払いがない場合は、契約解除、裁判所に明渡しの訴訟を行い、最終的には強制退去となります。
入居者への明渡請求や、訴訟については管理会社がオーナーを代理してすることは
弁護士法に違反するためできません。
法的に管理会社の方で対応することが難しいものですので、
そういった事態にすぐに対応できる弁護士と連携を図ることが必要になります。
入居者間トラブル
トラブルが入居者同士で起こった場合、管理会社には対応する義務があります。
騒音などの迷惑行為
入居者間のトラブルで多いのは、上下階や隣接住戸同士の騒音トラブルです。
騒音トラブルであれば音の発生元の住民に、他の入居者が迷惑している旨を伝えるなど注意が必要です。
また、再三の注意を無視し、騒音を発しているようであれば、オーナー許可の下、賃貸借契約の解除ができる可能性もあります。
ゴミ出しのルール違反
ゴミ出しの日ではない日にゴミを出す、夜間にゴミを出す、分別が出来ていない、
ゴミ置き場の清掃当番を守らないなど、ルール違反も多くあります。
このような場合は、張り紙や各戸への封書での注意喚起や、
マナー違反者が特定できれば管理会社が注意を行うなどの対処が必要です。
立退き
建物の老朽化、賃貸経営の廃業により、入居者に立退きを要求することがあります。
この場合、入居者へ立退き交渉を行い、迷惑料の名目で立退き料を支払うのが一般的です。
しかし、立退きを拒否されるケースもあるので、立退き交渉に強い弁護士に依頼するケースがほとんどです。
退去・敷金トラブル
退去時の原状回復費と敷金の返還も、トラブルになりやすい事項です。
入居者が普通に生活していても、部屋内の設備は経年劣化していきます。
原状回復とは、経年劣化以外で入居者が故意にまたは不注意でつけた傷や破損部分を、修理することです。
費用の見積もりは、可能な限り入居者立会いの下行い、原状回復を求めるか否かを確認しながら進めていくのがよいでしょう。
孤独死
人が居住する以上、人の死に直面する事はあります。
万が一部屋の中で孤独死があった場合の対処法は、事前に保険に加入しておくことです。
死亡事故保険は室内での死亡事故で入居者が不在になった場合に、適用される保険です。
不幸にも発見が遅れた場合、残された家財の処分、特殊清掃費用や原状回復費用に加えて、
事故後の空室、家賃の値下げによる損害などが保険の対象になります。
保険料は概ね年間1万円位になるので賃貸経営に於いてはぜひ入っておきたい保険です。
災害・事故
住居内で火災が起きる可能性も十分考えられます。
賃貸経営時は、必ず火災保険に加入します。
火災保険に加入していれば、建物の復旧費用等が全額保険で賄えるケースが殆どです。
また、自然災害についても同様に火災保険や地震保険等に加入します。
次に、事故が起きてしまった場合です。
例えば、居室のベランダから入居者が転落してしまったケースです。
ベランダの柵が低すぎた、または築年数が浅いのに劣化していたなどの理由の場合、
オーナーに過失責任が問われることがあります。
管理会社は、入居者とオーナーの仲裁役となり、事故の対処と解決に導きます。
まとめ
賃貸管理の委託を貰い、契約を継続できるかはオーナーからの厚い信頼と信用を勝ち取る以外にありません。
それは、日々の日常業務やトラブル時の対処など、迅速且つ丁寧な対応が必須です。
そのために、管理会社として弁護士などの専門家との連携が不可欠になります。
オーナーから何か相談を受けたとき、管理物件での家賃回収や入居者の立ち退き、賃料増額交渉等の必要が生じたとき、直ぐに相談でき、直ぐに対応してもらえる弁護士と連携しておくことが何よりも重要ですし、他の管理会社との差別化を図ることもできます。
他にも多くの管理会社がある中で、ライバル社に勝つにはオーナーとの深い信頼関係を構築する以外に方法はありません。
たきざわ法律事務所では、管理会社と連携してオーナーの様々な相談を受けてきました。
オーナーとの信頼関係を築きたい、管理物件以外のオーナーの不動産に関する相談も受けるようになりたい、そのような管理会社は是非たきざわ法律事務所にご相談ください。