たきざわ法律事務所

私道と掘削トラブルの解決方法

この記事を書いた弁護士は…

 

弊所でよく受けるご相談のひとつが「私道の掘削が必要な場面でその所有者の方から掘削を承諾していただけず困っている」というご相談です。

 

たとえば上下水道やガス・電気の支菅を通すため、自身が所有する土地と隣接する他人の私道を掘削しなければいけない、というようなケースがこれに当たります。

 

私道の所有者から掘削の承諾が得られない場合、掘削工事は一切出来ないのでしょうか?

そうでないとしたら、一体どのような解決方法があるのでしょうか?

 

私道の掘削の承諾が必要な場面とは?

土地に建物を建てて生活するには、上下水道やガス・電気などのライフラインが不可欠です。土地が公道に面していれば、公道下に埋設してある配管から支管を自己所有地に引き込めば足ります。

 

しかし公道に面していない場合には、公道下の配管から他人の土地の下を通して支管を引き込まなくてはなりません。支管の埋設及び工事のために他人の私道を利用、掘削することになり、私道所有者の承諾が必要となります。

 

私道所有者の承諾が得られれば問題ありませんが、 実際には様々な理由(理由自体が不明なものから、嫌がらせ、不当な金銭要求など)から承諾を得られない、というトラブルが生じることがよくあります。

承諾を得られない場合の対応

では、私道所有者からの承諾が得られない場合、支管の埋設のための掘削工事は一切出来ないのでしょうか? 

 

実際の裁判例では、私道所有者の承諾無しに埋設掘削を認めた例がいくつもあります。

その法的根拠は、

などです。

 

もっとも、これらの規定は上下水道やガス管の埋設、掘削工事について直接規定した法律ではないため、あらゆる場合に私道へのガス、上下水道の支管の埋設、掘削工事を認めるという根拠になるものではありません。 個別的な事情から埋設・掘削が否定された判例もあります。

 

そのため、私道の掘削の承諾を求める交渉に臨む際には、過去の裁判例と個別的な事情を十分に検討し、仮に裁判になっても埋設掘削工事を認める判決を勝ち取れるかどうかを見極める必要があります。

埋設掘削工事が認められやすいポイント

具体的には、以下のような条件を満たせば埋設掘削工事が認められる可能性が高まります。

埋設掘削工事が認められる条件
  • 他の場所に埋設する方法がない

  • ライフラインをつなげようとする建物が建築基準法に準拠している

  • 私道の形状、状態からして、その私道を通すことが最も適切

  • 承諾しない者が有している持分が非常に少ない

トラブルの解決方法

埋設掘削工事の承諾を得られないトラブルの解決方法として、以下のことが考えられます。

 

  1. 話し合い
  2. 民事調停
  3. 訴訟

①話し合い

当事者間の話し合いで解決することが、最も穏便な解決方法です。

 

通常は、土地を購入した会社や不動産仲介業者の担当者が、私道所有者に対し掘削同意書に承諾してもらい署名、押印をもらうよう交渉することになります。もっとも、不動産仲介業者が交渉に臨む場合、弁護士法に抵触しないよう十分注意する必要があります。

話し合いの結果、私道所有者の承諾が得られないと、家屋の建築も止まってしまうことになります。

 

交渉が決裂するパターンには、高額な承諾料を要求される、合理的理由もなく拒否されるなどのものがあります。

②民事調停

承諾書に署名押印がもらえない場合は裁判所へ調停を申し立て、裁判所の調停委員の進行の下に協議を行うことになります。

 

もちろん、いきなり訴訟を提起することもできますが、私道所有者とは近隣同士であることが多いため、なるべく穏便に事態を収束させるために訴訟は避けられる傾向にあります。

民事調停では、一般論として下水道法11条や民法の相隣関係の規定がありますので、掘削を認める方向で調停が進むことになると思われます。

 

ただし、相手側から協力金の支払いを求められたり、その他の交換条件(工事の施工時間や曜日の指定、建てられる建物の形状の変更など)が提示される場合もあります。明らかに過大な要求であれば、調停委員から要求額を下げるよう働きかけがなされることもありますが、調停は話し合いでの合意を前提としますので、私道所有者が聞く耳を持たなければ無理な説得は行われません。

 

このように協議を進め、最終的に相手方から提示された条件が受け容れられるものであれば調停成立となります。他方、合意ができない場合は不調として調停は終了します。

 

③訴訟

調停で合意できない場合、残された手段は地方裁判所へ掘削の同意を求める訴訟を提起することです。

 

裁判を提起しても、裁判所からは適宜、和解が勧告されるかと思います。裁判所での和解でも調停の時と同様に、私道所有者から条件が提示され、妥協点を探ることになります。

和解が成立すれば訴訟は終了しますが、できなければ判決になります。

 

判決についてはそれぞれ事情が異なりますので予断はできませんが、請求者側に問題がなければ、掘削が認められる方向での判決になる公算が高いでしょう。

まとめ

隣接する私道の掘削工事はライフラインの確保に必要なため、不動産に関するよくあるトラブルのひとつです。しかし、交渉が成立しなければ訴訟に至る場合もあります。

 

合理的な妥協点を探ることができるうちに、ぜひ一度不動産と法律の専門家である弊所にご相談ください。

 

 

 

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