たきざわ法律事務所

【2022】メタバースで「著作権」に注意すべきポイントは?弁護士がわかりやすく解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

 

企業が、メタバースをビジネスに取り入れるケースが増えています。しかし、メタバースをビジネスで活用する際には、他者の著作権侵害に注意しなければなりません。

 

今回は、メタバース活用時に企業が注意すべき著作権について詳しく解説します。

 

メタバースとは

 

メタバースとは、いわば「仮想空間」のことです。従来のゲームのように自己とあらかじめ作成されたゲーム空間のみで完結するのではなく、仮想空間にログインしている他のユーザーのアバターの姿が見えたり、実際に交流することができたりする点が大きな特徴の一つです。

 

なお、新型コロナ禍で話題となったゲームである「あつまれ どうぶつの森」なども、メタバースの一種です。企業がメタバース活用する際には、たとえば「VRChat」や「cluster」などのメタバースプラットフォームを使って参入するケースが多いでしょう。

 

メタバースを企業が活用する主な場面

メタバースの活用

 

メタバースは、ビジネスで活用することも可能です。実際に、メタバースをビジネスに取り入れる企業は増加傾向にあります。

 

では、メタバースをビジネスに活用する場面には、どのようなものが挙げられるのでしょうか?ここでは、代表的な活用方法を解説していきます。

 

メタバース内に店舗を出店する

 

メタバース内に、自社の店舗やショールームなどを出店することが可能です。

 

たとえば日産自動車株式会社は、メタバース内にバーチャルギャラリーを出店しています。2022年5月には、このバーチャルギャラリー内で新車のお披露目会を開催して話題となりました。

 

メタバース内に出店をすることで新たな顧客層へアピールする機会となる他、ニュースなどで取り上げられる可能性も高まることでしょう。

 

参考:【日産 サクラ】メタバース上で試乗できる!…史上初、VRで新型車お披露目

 

 

メタバース内でイベントを開催する

 

メタバース内では、日々さまざまなイベントが開催されています。たとえば、音楽フェスなどはメタバースと相性が良いでしょう。

 

単にライブをオンライン配信することとは異なり、実際にアバターが集まっている様子が他のユーザーからも見られることで、イベントならではの「賑わい感」の演出も可能となります。

 

また、最近では就活フェスなど、より実用的なイベントがメタバース内で開催される場面も増加傾向です。たとえば、2022年4月、メタバース人材事業などを手掛ける株式会社tenshabiは、メタバース空間上で就活フェスを開催しました。

 

参考:メタバースでの就職フェスに1000人超!将来は「就活=メタバース空間」が当然に?(SAKISIRU)

 

この就活フェスへの出展企業は株式会社tenshabiを含めて6社のみであったものの、イベントへの参加者は1,000人を超える盛況を記録しています。

 

メタバース上でのイベントは、新型コロナウイルスなどの感染症の流行を気にすることなく、開催することが可能です。今後もさまざまなイベントが、メタバース上で開催されていくものと思われます。

 

メタバース上のイベントを自社で開催することで、従来業務とは別の収益源となる可能性があるほか、新たな顧客層との接点を得る機会となることでしょう。

 

メタバース内にオフィスを構える

 

メタバースは対顧客として活用することができるほか、社内的に活用することも可能です。

たとえば、仮想空間上にバーチャルオフィスを構え、従業員にはオンライン上でバーチャルオフィスへ「出勤」してもらうことなどが検討できます。

 

実際に、バーチャルオフィスを導入している企業は少なくありません。

 

バーチャルオフィスを導入することで、居住地域を問うことなく、優秀な人材を採用することが可能となります。

また、リアルなオフィスへの出社が難しい障害を持った人や家族の介護などで在宅ワークをせざるを得ない事情のある人などの採用もしやすくなるため、人材の多様化にもつながります。

 

さらに、バーチャルオフィスを取り入れることで出勤する人数が減れば、リアルなオフィスを縮小することも可能となるでしょう。

これにより、オフィスの賃料を大きく削減することが可能となります。

 

メタバースを企業が活用する際に知っておくべき著作権の基本

メタバースの著作権

 

ここでは、企業がメタバースを活用する際に知っておくべき基本的な著作権について解説していきましょう。

 

著作権とは

 

著作権とは、「著作物」について発生する権利です。著作権はさまざまな権利の束であり、大きく分けて次の3つの権利が存在します。

 

  • 著作者人格権:著作物を勝手に改変されない権利や、著作物を公表するかどうかを決める権利、著作物の公表時に実名やペンネームを表示する権利などです。著作財産権と違って移転できず、たとえ著作財産権が移転しても。著作者人格権は著作者に残り続けます。

  • 著作財産権:著作物を複製する「複製権」や、著作物を演奏したり上演したりする「上演権・演奏権」、著作物の複製物を公衆へ譲渡する「譲渡権」など複数の権利が含まれます。

  • 著作隣接権:歌手などの実演家やレコード製作者などが持っている権利です。

 

著作権は一つの権利というわけではなく、また「著作権者」と著作者人格権を持っている「著作者」、歌手などの「著作隣接権者」がそれぞれ別の人である場合もありますので、注意しておきましょう。

 

著作権法で保護されるための要件

 

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」は、原則としてすべて著作権法における保護の対象です。

 

著作物が著作権法で保護されるために、登録などは要件とされていません。著作物に該当するものであれば、それが制作された時点で自動的に著作権が発生します。

 

著作権で保護されるもの

 

著作権法の保護対象となるのは、次の要件をすべて満たすものです。

 

  • 思想又は感情を創作的に表現したものであること

  • 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること

  • 法律の条文など、例外的に著作権法の保護対象から外されているものではないこと

 

つまり、かなり広い範囲のものが、著作権法の保護対象とされています。また、著作物の範囲は非常に広く、高度な著作ということまでは要求されていません。

 

そのため、プロが書いたイラストはもちろんのこと、素人が趣味で書いた絵や、さらにいえば、幼児が描いた絵であっても、思想又は感情を創作的に表現したものであれば著作権の保護対象です。

 

たとえば、SNSで見かけたどこかの5歳の子が書いた太陽の絵を勝手に複製し、メタバース上のバーチャル店舗の壁面に飾った場合には、この5歳の子の著作権を侵害する可能性があります。

 

メタバースで他者の著作権を侵害し得る事例

著作権法

 

メタバース上で次のような行為を行うと、著作権侵害となる可能性があります。

 

しかし、これは一般的に著作権侵害となる一例です。実際に運用をしてみると、「これは著作権侵害になるかどうか」と迷う場合もあることでしょう。

 

迷う場合には、あらかじめ弁護士に相談すると良いでしょう。

 

アニメの登場人物に似せたアバターで接客をする

 

メタバース上の店舗に立っている従業員のアバターがアニメの登場人物の特徴を模したものである場合には、著作権侵害となる可能性が高いといえます。そのアニメが、広く知られた著名なものであるかどうかは関係がありませんので注意しましょう。

 

なお、たとえアニメの登場人物に似ていたとしても、そのキャラクターを模したものではなく単に偶然似たのみであれば、著作権侵害とはなりません。

 

ちなみに、アニメのキャラクターではなく、実在する芸能人の顔を模したアバターで接客をした場合には、著作権侵害とはなりません。しかし、この場合には「パブリシティ権」という別の権利を侵害する可能性がありますので、こちらも避けるべきでしょう。

 

パブリシティ権とは、芸能人など顧客吸引力を持つ人が、自己の氏名や肖像などを第三者に無断で使用されない権利のことです。

 

有名ブランドの特徴的な点を真似たアイテムをメタバース上で販売する

 

メタバース上では、たとえばメタバース上のアバターが着用するアイテムを販売することも可能です。

 

そこで、たとえば有名ブランドが販売する芸術的な特徴を持った洋服を模した商品を販売した場合には、著作権侵害となる可能性がありますので、注意しましょう。

 

なお、模した商品が実用品であれば著作権法の対象とならない可能性はありますが、この場合であっても商標権や実用新案権など他の権利を侵害する可能性がある他、不正競争防止法の観点から問題となるリスクもあります。

 

いずれにしても、トラブルとなる可能性が高いため、他の商品の模倣品の販売は行わないでください。

 

流行りの曲をメタバース上で従業員のアバターが歌って集客する

 

メタバース上の店舗に人を集めるために、歌のうまい従業員のアバターが流行りの曲を歌うイベントを開催することは、著作権法に違反する可能性が高いでしょう。

 

歌には、作曲家や作詞家、レコード製作者など、さまざまな権利が絡んでいます。

 

歌手が歌っている音源をそのまま流すことはもちろんのこと、従業員がいわゆる「歌ってみた」などのイベントを行うことも著作権法に違反する可能性が高いため、注意が必要です。

ちなみに、「歌ってみた」系の動画はYouTubeなどに多数存在しています。

 

これらがすべて著作権法に違反しているのかといえば、そうではありません。なぜなら、YouTubeは音楽の著作権の管理委託を受けているJASRACと包括契約を締結しているためです。

 

そのため、YouTubeにおいては、JASRACの管理する楽曲を個人が歌うのみであれば著作権侵害とはなりません。同様に、使用するメタバースプラットフォームがJSARACと包括契約をしていれば、個人ユーザーがメタバース上の広場で楽曲を歌っても著作権法違反とならない可能性があります。

 

ただし、その場合であっても商用利用は包括契約の範囲外とされている可能性が高いため、やはりメタバース上の店舗集客のために無断で「歌ってみた」のイベントをすることは、著作権侵害となる可能性が高いでしょう。

 

なお、歌詞の一部を企業名に無断で変えて歌うなどの「替え歌」も著作権法の観点からいえば多大なリスクをはらんでいます。替え歌の場合には単に歌う場合に加えて、著作者人格権の一つである勝手に改変されない権利(同一性保持権)をも侵害する可能性が高いためです。

 

SNSで見つけた素敵な写真をメタバース上の店舗に飾る

 

SNSで一般人が投稿していた素敵な写真をメタバース上の店舗に飾ることも、著作権を侵害する可能性が高い行為です。

 

先ほど解説したように、著作権はプロが製作したものだけに発生する権利ではありません。

無名の素人の作品であっても、著作権の保護対象となります。また、「SNSなどで公表されたものなら勝手に使って良い」と思い込んでいる人もいるようですが、それは大きな誤解です。

 

公表された作品は、確かに著作権のうちの「展示権」など一部の権利は消滅するものの、他の著作権まですべてが消滅するわけではありません。そのため、写真やイラストなど他者の作品を掲載したい場合には、相手がプロであっても素人であっても、必ず事前に許可を得るようにしましょう。

 

メタバースで他者の著作権を侵害した場合のリスクとは

法律的リスク

 

メタバースの活用で他者の著作権を侵害してしまった場合、企業にはさまざまなリスクが生じます。主なリスクは次のとおりです。

 

罰則が適用される

 

著作権侵害には、著作権法により罰則が定められています。行為者に課される罰則は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科です。

 

また、法人の従業員などが著作権侵害をした場合には、行為者である従業員に上の罰則が課される他、法人に対して3億円以下の罰金刑が科されます。

 

著作権侵害の罰則は非常に重いものであるため注意しましょう。

 

企業の信頼が失墜する

 

企業が著作権侵害を行うと、企業の信頼が失墜してしまいかねません。特に、メタバースの利用において企業が著作権侵害をしたとなれば、話題性があるためニュースとして報道されてしまいやすいでしょう。

 

また、場合によっては炎上状態となり、SNSで拡散されてしまうおそれもあります。企業の信頼が失墜すれば業績に影響が及ぶ可能性がある他、人材採用にとってもマイナスとなる可能性があります。

 

アカウント停止の可能性がある

 

企業がメタバース上で著作権侵害をした場合、メタバースプラットフォームの利用規約に違反し、アカウントが停止されてしまう可能性があります。

 

メタバースのプラットフォームでよく使用されるものは限られているため、一つのプラットフォームが使用できなくなれば、ビジネス展開の方向性自体を見直さざるを得ない可能性が高いでしょう。

 

メタバースで他者の著作権を侵害しないためのポイント

弁護士に相談

 

メタバースで他者の著作権を侵害してしまわないため、企業は次の点に注意しておきましょう。

 

著作権法の基本を理解し社内に周知する

 

他者の著作権を侵害してしまわないためには、著作権法の基本を経営陣がよく理解し、社内に周知をすることをおすすめします。著作権侵害は、「このくらいなら良いだろう」など、安易な勘違いや思い込みから起きてしまうことが少なくないためです。

 

著作権法への理解を統一するため、弁護士へ依頼し、社内へ向けた著作権法の研修会を開いてもらうことも一つの方法でしょう。

 

社内のチェック体制を整える

 

著作権法違反をしてしまうことのないように、メタバースで従業員が使用するアバターや新たな取り組みなどについては、著作権法などの法令に違反しないかどうか、あらかじめ社内でチェックをする体制を整えておくと良いでしょう。

 

弁護士に相談をする

 

著作権法やその他の法令に違反する内容かどうか、判断に迷う場合も少なくないでしょう。安易に自己判断をして取り返しのつかない事態となってしまわないため、メタバース上で新たな取り組みをする際などには、弁護士へ相談することをおすすめします。

 

弁護士へ相談することで著作権など法令違反のリスクをあらかじめ抑えることができるほか、安心してビジネスに取り組むことが可能となります。

 

まとめ

 

メタバースは、ビジネスで活用することも可能です。ただし、その場合には著作権法に違反してしまうことのないよう、よく注意しておきましょう。

 

安易な思い込みで著作権侵害をしてしまえば、大きなリスクを抱えてしまうことになるためです。メタバースの活用で著作権侵害やその他の法令に違反をしてしまわないためには、あらかじめ弁護士へ相談することをおすすめします。

 

たきざわ法律事務所には、著作権法や企業法務に詳しい弁護士が在籍しており、日々クライアント様の問題解決にあたっています。メタバースをビジネスで活用するにあたって法的リスクを減らしたい場合には、ぜひたきざわ法律事務所までご相談ください。

 

 

 

 

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