【2024】底地の売却方法は?注意点を弁護士がわかりやすく解説
資金の需要などから、底地を売却したいと考えることもあるでしょう。
では、底地を売却することはできるのでしょうか?
また、底地を売却する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、底地の売却について詳しく解説します。
目次
底地とは
底地とは、借地権が設定されている土地を指します。
借地権とは、第三者から土地を借りて地代を支払い、その借りた土地の上に建物を建てる権利です。
つまり、A氏が土地をB氏に貸してB氏が相当の地代を払い、その土地上にB氏が建物を建てて使用している場合において、B氏はこの土地の借地権を持っていることとなります。
一方、地主であるA氏から見ると、この土地は「底地」ということです。
底地は第三者に売却できる?
底地のみを、第三者に売却することはできるのでしょうか?
順を追って解説します。
法律上底地は売却できる
結論としては、底地だけを売却することは法律上可能です。
土地について他者に借地権を設定したからといって当然ながら所有権までが移転したわけではなく、土地を処分(売却)する権利は引き続き地主に残っているためです。
底地の売却はハードルが少なくない
底地を売却することは法律上は可能であるとはいえ、実際に売却するにはハードルが少なくありません。
つまり、法律上は底地の売却が可能である一方で、実際に買い手がつくかどうかは別問題だということです。
底地の売却が難しいとされる主な理由は、次で詳しく解説します。
底地が売却しづらい主な理由
一般的に、底地は売却しづらい傾向にあります。
その主な理由を、3つ解説します。
購入しても買主が自由に活用できないから
最大の理由は、底地を購入しても買主が自由に活用することができないからです。
底地には前提として借地人がおり、借地人が建物を建てて使用しています。
また、底地の所有者が変わったことを理由として、借地人を追い出すことなどはできません。
そのため、底地を購入した者はその土地上に自分が使う建物などを建てることができず、原則として地代を受け取るだけとなります。
一方で、たとえば繁華街にあるビルの底地など投資用物件としての魅力がある場合は、価格設定さえ適切であれば売却できる可能性が高いでしょう。
買主が借地人とのトラブルに巻き込まれることを避けたいと考えるから
2つ目は、買主が借地人とのトラブルに巻き込まれることを避けたいと考えるためです。
借地をめぐっては、借地人との間で賃料の不払いや更新の可否などについてトラブルが発生する可能性があります。
そのため、たとえ十分な地代が見込める場合であっても、一般個人は購入を躊躇することが少なくないでしょう。
金融機関からの融資が受けづらいから
3つ目は、金融機関からの融資が受けづらい傾向にあるからです。
買主が自宅を建てるために土地を購入する場合は住宅ローンが活用できる可能性が高い一方で、底地だけの購入では原則として住宅ローンは使用できません。
そのため、事業用ローンを検討することとなります。
しかし、底地の購入では、ローンの活用が難しい傾向にあります。
なぜなら、融資の際は原則として担保が必要となるものの、底地は一般的に担保としての価値が低くなるためです。
その結果、更地などと比較して買主が見つかりにくいといえます。
底地を売却する現実的な方法
先ほど解説したように、底地の売却には多くのハードルがあります。
そのため、ビルの敷地など投資用物件としてのニーズが高い一部の物件を除き、底地を市場で売りに出しても売れない可能性が高いでしょう。
ここでは、底地を売却する現実的な方法を紹介します。
賃借人に売却する
1つ目は、その土地の賃借人に対して売却することです。
現実にその土地に建物を建てて使用している賃借人は、底地の買主としてもっとも有力な選択肢となります。
賃借人にとっては底地を購入することでその土地の完全な所有権を取得することができて立場が安定するほか、今後は地代を支払う必要がなくなるためです。
また、底地の所有者が変わったからといって賃借人を追い出すことができるわけではないとはいえ、底地の所有者が変わることについて不安を感じる賃借人も少なくないでしょう。
そこで、よくわからない人が新たに底地の所有者となるくらいであれば、自身が底地を購入しようと考える可能性もあります。
なお、賃借人に対して底地を売却する際は、不動産会社が関与しないことが少なくありません。
しかし、後のトラブルを防ぐには、売買契約書はしっかりと取り交わしておくことをおすすめします。
不動産会社を介さない底地の売却にあたって契約書を整備したい場合は、不動産法務に詳しい弁護士へご相談ください。
完全な所有権としたうえで売却する
2つ目は、完全な所有権としたうえで売却する方法です。
底地の所有者が賃借人から借地権と建物の所有権を買い取ったうえで、全体を売却する場合がこれに該当します。
とはいえ、たとえ底地の所有者であっても、賃借人から強制的に借地権などを買い取れるわけではありません。
一方、たとえば一人暮らしをしている賃借人が施設へ入居することとなったなど、賃借人にとっても借地権や建物を手放したい事情がある場合には、この方法が有力な選択肢となります。
賃借人と協力して売却する
3つ目は、賃借人と協力して底地を売却する方法です。
1つ上で解説した「完全な所有権としたうえで売却する」と似ていますが、先ほど解説した方法では、いったん地主が借地権や建物を取得したうえで第三者に売却することに対し、この方法は地主と賃借人が協力して直接第三者に売却する点が異なります。
賃借人が借地権や建物を手放したいと考えているうえ地主と賃借人との関係性がよく、かつ買主の候補が見つかっている場合などには、この方法が選択肢に入ります。
不動産買取を活用する
4つ目は、不動産買取を活用する方法です。
ここまで紹介した3つの方法では、いずれも賃借人の協力が必要となります。
しかし、実際には賃借人の協力が得られないケースも少なくないでしょう。
その際は、この不動産買取を検討することとなります。
不動産買取とは、不動産会社に市場で買主を探してもらうのではなく、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう取引形態です。
買主が不動産のプロであることから、底地など市場では売りづらい物件であっても買い取ってもらえる可能性が高くなります。
また、市場で買主を探す必要がないため、売却までの期間が短くなりやすい点もメリットです。
ただし、不動産買取による買取価格は市場での売却の6割から8割程度となることが多く、高く売却するのに適した方法ではありません。
また、不動産会社が相手であっても、必ずしも買い取ってもらえるとは限らないことにも注意が必要です。
底地を売却する際の注意点
底地を売却する際は、どのような点に注意する必要があるでしょうか?
ここでは、主な注意点を3つ解説します。
賃借人の承諾は不要だが通知はしておくのがベター
底地の売却にあたって、法律上は賃借人の承諾を得る必要はありません。
とはいえ、底地の所有者が変わると、賃借人が誰に地代を払ってよいのかわからず混乱が生じるおそれがあります。
そのため、底地を売却する際は、賃借人に通知しておくことをおすすめします。
故人名義のままでは売却できない
土地の所有者である先代が亡くなっていても、名義変更を済ませていないこともあるでしょう。
しかし、底地に限らず、土地は故人名義のままでは売却することができません。
そのため、底地が故人名義のままとなっている場合は、売却に先立って相続人である売主への名義変更を済ませる必要があります。
なお、故人が遺言書を遺していたなど一定の場合を除き、相続登記をするためには相続人全員の合意を得なければなりません。
この合意を要することに、相当の期間を要する可能性があります。
また、たとえ合意がまとまっていても、書類の収集や作成にかかる期間を含めると、相続登記の完了までには1か月程度を要することが一般的です。
そのため、底地が故人名義のままである場合は、早めに相続登記を済ませておきましょう。
譲渡所得税がかかることがある
底地の売却によって利益が出ると、その利益に対して譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税の計算式は、次のとおりです。
- 課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
- 譲渡所得税額=課税譲渡所得金額×税率
譲渡所得税は高額となる可能性があるほか、特例の適用が受けられるかどうかによって税額が大きく変動する可能性があります。
また、計算式はやや複雑であり、自分で正確に算定することは容易ではありません。
そのため、底地を売却する際は、あらかじめ税理士などの専門家へ相談して税額を試算してもらうようにしてください。
底地の売却でトラブルとなった場合に弁護士へ相談すべき理由
底地の売却にあたってトラブルに発展した場合や、トラブルに発展しそうな不安がある場合には、弁護士へご相談ください。
最後に、底地の売却にまつわるトラブルについて弁護士へ相談するべき主な理由を3つ解説します。
状況に応じた対応方法のアドバイスが受けられるから
1つ目は、弁護士へ相談することで状況に応じたアドバイスを受けられるためです。
解決が困難なトラブルに見える場合であっても、土地法務に詳しい弁護士が紐解いて行くことで、解決の糸口が見つかることは少なくありません。
そのため、自分で長期間悩むよりも、早期に弁護士へご相談ください。
関係者と代理で交渉してもらえるから
2つ目は、関係者との交渉を代理してもらうことができるためです。
底地の売却についてトラブルに発展した場合、自身で交渉をして解決することは容易ではありません。
また、無理に自分で交渉すれば不用意にした発言の言質を取られ、その後の解決にあたって不利となる可能性もあるでしょう。
弁護士に依頼する場合は弁護士が代理で交渉にあたってくれるため安心であるうえ、交渉を有利に進めやすくなります。
裁判に発展しても安心して任せられるから
3つ目は、裁判に発展しても安心して任せることができるためです。
底地の売却に関してトラブルに発展した場合、交渉での解決が難しく裁判に発展する可能性もあります。
しかし、裁判に慣れていない多くの人にとっては、不安に感じてしまうことも少なくないでしょう。
また、証拠として何を用意すればよいかなど、わからないことも多いかと思います。
弁護士へ相談し依頼することで、たとえ裁判に発展しても全面的にサポートを受けられるため、安心して解決へ向けて動くことが可能となります。
まとめ
底地の売却について詳しく解説しました。
法律上は、底地のみを売却することは可能です。
しかし、投資用物件として旨味のある一部の優良な物件を除き、一般的には底地を第三者に売却するハードルは低くありません。
そのため、底地を売却したい場合は、賃借人に購入の打診をしたり賃借人の協力を得たりすることが有力な選択肢となります。
また、賃借人の協力を得ることが難しい場合には、不動産買取を検討するとよいでしょう。
底地を売却するにあたって賃借人の承諾を得る必要はないものの、地代を誰に支払えばよいか混乱が生じてしまわないよう、賃借人に所有者が変わる旨の通知をすることをおすすめします。
底地の売却についてトラブルが生じた際や売買契約書の作成を依頼したい場合などには、不動産法務に強い弁護士へご相談ください。
たきざわ法律事務所では土地法務に力を入れており、底地の売却にまつわるトラブルに関しても多くの解決実績があります。
底地の売却についてお悩みの際や、底地の売却に関してトラブルが生じてお困りの際などには、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
蓄積した経験と知識をもとに、状況に応じた最適な解決方法をご提案します。