【2025】建設アスベスト給付金の対象は?遺族ももらえる?申請要件・流れを弁護士が解説
石綿(アスベスト)にさらされる建設業務に従事した労働者等が、石綿を吸入(暴露)することによって発生する疾病にかかった場合には、一定の要件を満たすことで建設アスベスト給付金が受給できます。
では、建設アスベスト給付金とは、どのような制度なのでしょうか?また、建設アスベスト給付金を受給するには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか?今回は、建設アスベスト給付金の概要や受給の要件、給付申請をする流れについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は建設アスベスト給付金の申請支援を行っています。建設アスベスト給付金の申請でお困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
目次
建設アスベスト給付金とは
建設アスベスト給付金とは、アスベストにさらされる建設業務に従事した労働者等が特定の疾病にかかった場合において、この精神上の苦痛を賠償する給付金のことです。
アスベストによる健康被害については、最高裁判決などで国の責任が認められました。これを受け、2021年6月9日に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立しています。
この法律の施行により、一定の要件を満たした場合にはこの法律の規定を根拠として、逐一訴訟を提起することなく簡便な請求によって給付金を受け取ることが可能となっています。
建設アスベスト給付金の請求をご希望の際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。ご相談いただくことで、自身が給付金の受給対象となるか否かの判断が可能となります。
建設アスベスト給付金の対象となる4つの要件
建設アスベスト給付金を受給するには、主に4つの要件を満たす必要があります。ここでは、それぞれの要件について概要を解説します。
- 一定の期間に一定の業務に従事していたこと
- 石綿関連疾病にかかったこと
- 労働者や、一人親方・中小事業主であること
- 診断日等から20年以内に請求すること
自身が建設アスベスト給付金を受給できるかどうか知りたい際には、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
一定の期間に一定の業務に従事していたこと
1つ目は、一定の期間に、一定の業務に従事していたことです。具体的には、次の期間に、それぞれ対象の業務に従事していたことが求められます。
期間 | 業務 |
1972年10月1日~1975年9月30日 | 石綿の吹付け作業に係る建設業務 |
1975年10月1日~2004年9月30日 | 一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務 |
なお、ここでの「建設業務」とは、次の業務を指すとされています。
- 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊または解体の作業
- 1の準備の作業
- 1・2の作業に付随する作業(現場監督の作業を含む)
また、「屋内作業場」とは、「屋根があり、側面の面積の半分以上が外壁などに囲まれ、外気が入りにくいことにより、石綿の粉じんが滞留するおそれのある作業場」を指すとされています。従事していた業務が屋内作業に該当するか否かは提出した資料などに基づいて個別に判断されるものの、原則として次の職種は屋内作業に従事していたと判断されることとされています。
- 大工(墨出し、型枠を含む)
- 左官
- 鉄骨工(建築鉄工)
- 溶接工
- ブロック工
- 軽天工
- タイル工
- 内装工
- 塗装工
- 吹付工
- はつり
- 解体工
- 配管設備工
- ダクト工
- 空調設備工
- 空調設備撤去工
- 電工
- 電気保安工
- 保温工
- エレベーター設置工
- 自動ドア工
- 畳工
- ガラス工
- サッシ
- 建具工
- 清掃・ハウスクリーニング
- 現場監督
- 機械工
- 防災設備工
- 築炉工
なお、これらはあくまでも代表例であり、これら以外の業種が認められないということではありません。これら以外の職種であっても、資料などによって屋内作業に従事していたと判断されれば建設アスベスト給付金の受給対象となります。
石綿関連疾病にかかったこと
2つ目は、石綿関連疾病にかかったことです。具体的には、次のものが石綿関連疾病に該当します。
- 中皮腫
- 肺がん
- 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
- 石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4)
- 良性石綿胸水
労働者や、一人親方・中小事業主であること
3つ目は、対象者が次のいずれかに該当することです。
- 労働者:労働基準法9条に規定される労働者。ただし、同居の親族のみを使用する事業・事務所に使用される者や、家事使用人を除く
- 中小事業主:特定石綿暴露建設業務に従事していた当時、一定数(業種ごとに異なり、建設業であれば300人)以下の常時雇用労働者を使用していた事業主
- 一人親方:労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする者
- 家族従事者等
なお、本人がすでに死亡している場合には、遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹)のうち最先順位者が、この給付金を請求できます。なお、配偶者には内縁の者を含みます。
診断日等から20年以内に請求すること
4つ目は、一定の日から20年以内に給付金の請求をすることです。20年のカウントの始期は、それぞれ次のとおりです。
- 原則:次のいずれかの日
- 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日
- 石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日
- 石綿関連疾病により死亡した場合:死亡日
請求期限を過ぎて請求できなくなる事態を避けるため、自身や死亡した家族がアスベスト関連の業務に従事していた場合には、早期に給付金の要件を確認しておきましょう。
給付の対象となるか否か判断に迷う際には、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
建設アスベスト給付金の給付金額
建設アスベスト給付金による給付金額は、原則としてそれぞれ次のとおりです。なお、請求後に疾病が悪化した場合には、給付金との差額として「追加給付金」が支給されます。
給付対象者 | 給付金額 | |
1 | 石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のない者 | 550万円 |
2 | 石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のある者 | 700万円 |
3 | 石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のない者 | 800万円 |
4 | 石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のある者 | 950万円 |
5 | 中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺管理4、良性石綿胸水である者 | 1,150万円 |
6 | 上記1・3により死亡した者 | 1,200万円 |
7 | 上記2・4・5により死亡した者 | 1,300万円 |
ただし、特定石綿暴露建設業務に従事した期間が次に該当する者は、給付金が一律10%減額されます。
石綿関連疾病の種類 | 減額対象となる従事期間 |
肺がん、石綿肺 | 10年未満 |
著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚 | 3年未満 |
中皮腫・良性石綿胸水 | 1年未満 |
また、肺がんの場合のみ、対象者が喫煙の習慣を有していた場合には一律10%の減額がなされます。
ほかにも、同一の事由について国から損害賠償等がされた場合には受け取った賠償金を限度として給付金が減額されるほか、建材メーカーなど国以外の者から損害賠償や見舞金などが支払われた場合は、その金額に応じて給付金が減額される可能性があります。自身や家族のケースにおいて請求できる建設アスベスト給付金の金額を確認したい場合には、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。
建設アスベスト給付金を請求する流れ
建設アスベスト給付金の申請は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?ここでは、受給までの一般的な流れを紹介します。
- 弁護士に相談する
- 給付金を申請する
- 申請内容が審査される
- アスベスト給付金が支給される
弁護士に相談する
はじめに、建設アスベスト給付金の申請にくわしい弁護士へ相談することをおすすめします。あらかじめ弁護士へ相談することで、自身が建設アスベスト給付金の受給対象となるか否かや、受給可能な金額についての見通しが立てられるためです。
建設アスベスト給付金について相談できる弁護士をお探しの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
給付金を申請する
建設アスベスト給付金の申請には、「特定石綿労災等支給決定情報提供申請書」のほか、状況に応じてさまざまな添付書類が必要です。弁護士に給付金の請求を依頼した場合には、原則として弁護士が必要書類の作成や収集を行います。
必要書類が準備できたら不備のないことを確認したうえで、給付金を申請します。申請先は厚生労働省労働基準局労災管理課の建設アスベスト給付金担当であり、郵送でのみ申請できます。
申請内容が審査される
建設アスベスト給付金を申請すると、申請内容が審査されます。審査は厚生労働省のほか、認定審査会においてもなされることとされています。
アスベスト給付金が支給される
審査の結果認定がなされると認定結果通知がなされ、建設アスベスト給付金が支給されます。給付金の支給は、独立行政法人労働者健康安全機構からなされます。
なお、審査の結果不支給認定となったり、減額認定がなされたりする場合もあります。不支給や減額の理由に納得ができない場合には、審査請求や訴訟の提起などを検討します。弁護士へ依頼している場合には審査請求などの手続きを任せることも可能です。
建設アスベスト給付金の請求ならたきざわ法律事務所へお任せください
建設アスベスト給付金の請求をご希望の際や、自身が給付金の請求ができるか否か分からない場合には、たきざわ法律事務所へご相談ください。最後に、当事務所へご相談いただく主なメリットを4つ紹介します。
- 自身がアスベスト給付金の対象であるか否かが明確となる
- 給付金の申請手続きを任せられる
- 不支給認定や減額認定時の審査請求などがスムーズとなる
- アスベスト被害の賠償金についても相談できる
自身がアスベスト給付金の対象であるか否かが明確となる
厚生労働省のホームページなどを確認しても、自身が建設アスベスト給付金の対象となるかどうか判断に迷うことも多いでしょう。たとえば自身の行っていた業務が「石綿の吹付け作業に係る建設業務」に該当するかどうかなどの判断が難しい場合も少なくないためです。
当事務所では過去の給付事例や裁判例などを踏まえてアスベスト給付金の対象となりそうか否かの見通しを立て、アドバイスします。
給付金の申請手続きを任せられる
アスベスト給付金の申請には給付金請求書を記載する必要があるほか、状況に応じて異なるさまざまな添付資料も用意しなければなりません。また、請求者がアスベスト関連作業に従事していた本人ではなく遺族である場合には、請求権を有していることを示す戸籍謄本などの添付も必要です。
当事務所にご依頼いただいた場合には給付金の申請手続きなどを任せることもできるため、請求の負担を軽減できます。
不支給認定や減額認定時の審査請求などがスムーズとなる
アスベスト給付金を請求しても不支給認定となったり、減額の対象となったりする場合があります。このような処分に納得ができない場合には審査請求を申し立て、それでも判断が覆らない場合には訴訟を提起することが検討できます。
当事務所にご依頼いただいた場合には、万が一不支給認定や減額対象となった場合であっても、審査請求や訴訟の提起などへスムーズに移行できます。
アスベスト被害の賠償金についても相談できる
アスベスト関連疾病の救済手段は、給付金だけではありません。給付金の支給対象とならない場合であっても、訴訟を提起することで賠償金を受け取れる可能性があります。
たきざわ法律事務所へはアスベスト給付金の請求のほか、賠償金の請求についてもご相談いただけます。
まとめ
建設アスベスト給付金の概要や給付を受ける要件、給付金額を紹介するとともに、建設アスベスト給付金を請求する流れを解説しました。
建設アスベスト給付金は、アスベストにさらされる一定の建設業務に従事した労働者等が特定の疾病にかかった場合において、この精神上の苦痛を賠償するための給付金です。最高裁判決により国の責任が認められたことで、一定の要件に該当する場合には、その都度訴訟を提起することなく簡便な手続きで給付金が受け取れることとなりました。
建設アスベスト給付金を受け取るには、一定期間に一定作業に従事していたことや一定の石綿関連疾病にかかったことなどの要件を満たさなければなりません。請求には期限があるため、自身や亡くなったご家族がアスベストに暴露する業務に従事していた場合には、給付金の受給対象となるか早期に確認しておくことをおすすめします。
たきざわ法律事務所は、建設アスベスト給付金に関する相談や給付金の請求代行を行っています。自身が建設アスベスト給付金の受給対象となるか確認したい際や、建設アスベスト給付金の請求をご希望の際は、たきざわ法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。