たきざわ法律事務所

【2023】メタバースをビジネス活用する際の注意点は?弁護士がわかりやすく解説

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メタバースとは、ユーザーがアバターを使って交流する、インターネット上の仮想空間です。このメタバースをビジネスに取り入れる企業が増えています。

 

では、メタバースをビジネスに活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?今回は、メタバースをビジネスで活用するメリットや注意点を解説するとともに、メタバースをビジネスで活用した実際の事例を紹介します。

 

メタバースとは

 

メタバースとは、「超越した」を意味する「meta」と、「宇宙」を意味する「universe」とを組み合わせた造語です。メタバースは、インターネット上の仮想空間を意味することが多いです。

 

メタバースの歴史は意外と古く、2005年頃には「セカンドライフ」が一大ブームとなりました。セカンドライフはその後いったん下火となったものの、その後高速インターネットのさらなる普及により、現在改めて脚光を浴びています。

 

2021年10にFacebookを運営する旧Facebook社が「Meta」へと社名を変更したことも、記憶に新しいのではないでしょうか?

 

メタバース上では、個々のユーザーがアバターを使って自由に活動し、イベントに参加をしたり他のユーザーと交流したりすることが可能です。通常のインターネット空間よりも没入感があることから、メタバース上でイベントを開催するなど、企業がビジネスでメタバースを活用する事例も増えています。

 

企業としては、メタバースは単なるゲーム空間ではなく、ビジネスチャンスが広がる可能性のある場であることを認識しておく必要があるでしょう。

 

メタバースをビジネスで活用する主なメリット

 

メタバースを企業がビジネスで活用するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?主に挙げられるメリットは次のとおりです。

 

新たなビジネスが創造できる

 

メタバースは、まだまだ新しい世界です。そのため、これまで存在しなかった新たなビジネスを創造する余地が広いといえるでしょう。

リアルとメタバースをうまく融合させることで、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。アイデア次第で、自社の新たな収益源となる可能性があります。

 

新たな顧客層へリーチしやすくなる

 

メタバース上では企業が広告を出稿したり、展示会やイベントを開いたりすることができます。これにより、これまで接点を見出せなかった顧客層に新たにリーチできる可能性があるでしょう。

 

自社の商材によっては、海外の顧客層へもアピールできるかもしれません。

 

パンデミック時などにも事業を継続しやすくなる

 

コロナ禍では、多くの企業が事業計画の変更を余儀なくされました。不要不急の外出を控えるべきとされ、リアルな場で商談をしたりリアルなオフィスに出勤したりすることが難しくなったためです。

 

メタバースをうまく活用すれば、パンデミック時などであっても事業の継続がしやすくなる可能性があります。たとえば、メタバース上に商談スペースを設けたり、メタバース上に仮想オフィスを設けたりすることなどが考えられるでしょう。

 

地域を問わず従業員を採用しやすくなる

 

メタバースを活用してメタバース上への「出勤」ができる体制を整えれば、地域を問わず優秀な従業員を採用しやすくなります。さまざまな事情でリアルなオフィスへの出勤が難しい人や勤め先が少ない地方で暮らす人などの中には、優秀な人も少なからず存在しています。

 

企業がメタバースを活用することで、このような「眠った」人材に活躍の場を提供しやすくなるでしょう。

 

先鋭的な企業であるとのイメージがされやすくなる

 

メタバースを積極的に活用することで、時代の変化に対応し続ける先鋭的な企業であるとの印象が付きやすくなります。また、革新的な取り組みをプレスリリースしてメディアなどで取り上げられれば、宣伝効果が得られる可能性もあるでしょう。

 

 

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メタバースをビジネスで活用した主な事例

 

メタバースをビジネスで活用している主な事例は、次のとおりです。メタバースの活用はさまざまな業種に広がっているため、自社での活用の参考にすると良いでしょう。

 

メタバース上での展示会の開催

 

メタバース上では、展示会を開催することが可能です。

 

2022年5月には、日産自動車株式会社がメタバース上で新車「日産サクラ」の展示会を開催して話題となりました。この新車にはメタバース上で試乗することも可能とされており、企業におけるメタバース活用の先駆けであるともいえるでしょう。

 

他にも、2022年11月には独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館と凸版印刷株式会社などが共同して、日本美術に没入できるメタバース展覧会を開催しています。

 

メタバースは展示会との相性がよく、うまく活用することで自社の商品や技術力をアピールしたり、新たな顧客層にアプローチしたりすることが可能となるでしょう。

 

参照元:

 

メタバース上でのライブ開催

 

メタバース空間では、たびたびライブイベントが開催されています。特に、コロナ禍でリアルなライブイベントの中止が相次いだ中では、メタバース上でのライブイベントが多く開始されました。

 

メタバース上でのライブは、通常のライブ映像の配信よりも没入感があり、観客にとってその場にいるような臨場感が味わいやすいといえます。また、リアルなライブイベントとは異なり会場のキャパシティを気にすることなく多くの観客に視聴してもらいやすい点で、運営側のメリットも少なくありません。

 

メタバース上でライブを開催したアーティストには、ジャスティン・ビーバーや米津玄師、水曜日のカンパネラなどが挙げられます。

 

メタバース上での住宅見学

 

メタバースを、住宅見学に活用する取り組みも誕生しています。大和ハウス工業株式会社は、メタバース上に住宅展示場を「建築」しました。

 

メタバース上でここに訪れたユーザーが住宅を見学できるほか、リアルの住宅展示場のように専門スタッフの案内を受けることも可能です。

 

注文住宅は、実際に建築をしてみるまでイメージが湧きづらいことも少なくないでしょう。しかし、メタバース上での住宅であれば壁紙の色などをその場で変えてみることなどもでき、ユーザーが実際の建築イメージを持ちやすくなります。

 

特に新型コロナ禍で実際の住宅展示場に来場する人が減った中では、メタバース上で見学できることで、新たな顧客層へのアプローチにつながっていることでしょう。

 

バーチャル会議室やバーチャルオフィスの活用

 

メタバースをビジネスで活用する方法は、直接ユーザーにアプローチすることのみではありません。対外的な活動ではなく、社内的にメタバースを活用する方法もあります。

 

たとえば、メタバース上にバーチャルオフィスやバーチャル会議室を設け、そこに従業員を「出勤」させることなどが挙げられます。

 

コロナ禍ではリアルなオフィスへの出勤を停止する企業も多く、オンライン会議システムを活用する企業が増加しました。しかし、会議の際などのみに起動するオンライン会議システムではどうしても必要最低限の会話のみに留まる傾向にあり、雑談が生まれにくかったり一緒に働いている感覚が希薄になりがちであったりするデメリットが指摘されていました。

 

そこで、メタバース上のバーチャルオフィスやバーチャル会議室を活用する企業が増えています。バーチャルオフィスなどではアバターを介して相手が「そこにいる」感覚となりやすく、コミュニケーションが円滑になりやすいメリットがあります。

 

また、今後もテレワークを継続する企業も多く、バーチャルオフィスを活用することで場所を問わずに優秀な従業員を採用しやすくなるでしょう。さらに、リアルなオフィスに出勤する人数を減らすことで、オフィス賃料などの削減にもつながります。

 

メタバース上でのバーチャルオフィスは「MetaLife」や「oVice」などが提供しており、これらのプラットフォームを活用して導入するケースが多いでしょう。

メタバースをビジネスで活用する際の注意点

 

企業がメタバースをビジネスに取り入れる際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?主な注意点は、次のとおりです。

 

著作権をよく理解しておく必要がある

 

メタバースをビジネスで活用する際には、著作権侵害に注意しましょう。著作権とは、イラストや写真、音楽、文章などさまざまな著作物を保護する権利です。

 

著作権の及ぶ範囲は非常に広く、プロが書いたイラストはもちろん、一般個人が書いたイラストであっても著作権の対象となります。また、著作者がSNSなどのインターネット上に投稿された作品であるからといって、無断で転載して良いわけではありません。

 

昨今、著作権侵害には特に厳しい目が向けられる傾向にあります。仮に企業が著作権侵害をした場合には差止請求や損害賠償請求がなされるリスクがあるのみならず、SNS上などで「炎上」して不買運動などにまで発展する可能性もあるでしょう。

 

そのため、メタバースなどを活用してインターネット上で広く活動をする際には、著作権について改めて理解を深め、従業員研修などを徹底することをおすすめします。

 

社内体制を整備する必要がある

 

ビジネスでメタバースを活用して一定の成果を上げるためには、社内体制を整備する必要があるでしょう。他の業務を担当するスタッフが片手間で取り組んでいては、いつまで経っても浸透しない可能性があります。

 

メタバースの活用に本気で取り組みたいのであれば、専門スタッフを雇用するなど体制を整えることが先決です。

 

誹謗中傷などの被害に遭うリスクがある

 

メタバースなどを活用して顧客との接点を増やした場合には、アバターをまとった従業員に人気が出る可能性があります。これは喜ばしいことである反面、誹謗中傷に遭うリスクも生じるでしょう。

 

本人が誰であるのか特定されないアバターへの誹謗中傷であっても、これに気付いた従業員が心を痛める可能性があります。近年、インターネット上の誹謗中傷がエスカレートしており、リアルの場ではあり得ないような暴言を受ける可能性も否定できません。

 

そのため、メタバースの活用方法にもよりますが、従業員にメタバース上で広く活躍してもらうのであれば、誹謗中傷から守ったり従業員の心のケアをしたりする体制を整える必要があるでしょう。

 

思わぬ法令違反に注意する

 

営んでいる事業によっては、さまざまな法令の規制対象となります。

 

たとえば、不動産業であれば宅建業法の対象となり、貸金業であれば貸金業法の対象となるなどが挙げられます。また、メタバース上で新たにビジネスを展開すれば、プライバシーポリシーなどこれまで設けていた規定の改訂が必要となる可能性もあるでしょう。

 

メタバース上で新たなビジネスを展開する場合には、関連する法令を確認したり社内規定を見直したりしなければ、思わぬ法令違反が生じるおそれがあります。しかし、このような違反に自社のみで気付くことは、容易ではありません。

 

そのため、メタバース上で新たな取り組みをする際には、あらかじめ弁護士に相談をすると良いでしょう。弁護士へ相談したうえでビジネスを展開することで、思わぬ法令違反のリスクを避けやすくなります。

 

 

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まとめ

 

メタバースをビジネスに活用することには、メリットが少なくありません。ビジネスにメタバースを活用することで新たな顧客層にアピールできる可能性があるほか、地域を問わず優秀な人材を採用できる可能性もあるでしょう。

 

しかし、メタバースはまだ新しい存在であり、ビジネスの内容などによっては思わぬ法令違反となるリスクも存在します。そのため、ビジネスにメタバースを取り入れる際には、あらかじめ弁護士へ相談すると良いでしょう。

 

たきざわ法律事務所ではインターネット法務に力を入れており、新たにメタバースの活用に乗り出す企業のリーガルサポートを行っています。ビジネスへのメタバースの活用をご検討の際には、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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