【2022】スタートアップ・ベンチャー向け資金調達方法10選!有効活用しよう
スタートアップ企業にとって、資金調達は最も重要な課題の一つと言っても過言ではないでしょう。一気に事業の認知度を高め事業を軌道に乗せられるかどうかは、企業の資金力にかかっているためです。
今回は、スタートアップが知っておくべき10種類の資金調達方法を解説します。
目次
スタートアップにとって資金調達が重要である理由
スタートアップが事業を軌道に乗せられるかどうかは、いかに早期に事業を作り込み、いかに早期に事業の認知度を高められるかにかかっています。
今や時代の流れはとても速く、新たなスタートアップが次々に登場しては新たなサービスをリリースしています。そのような中では、せっかくユーザーに必要とされそうな事業を思いついたとしても、スタートダッシュが遅れてしまえばあっという間に機を逸してしまう可能性があるでしょう。
必要なサービスや製品を作るにも、サービスや製品を多くのユーザーに認知してもらうにも、多額の資金が必要となります。スタートアップが成長スピードを加速させるためには、効果的な資金調達が不可欠なのです。
スタートアップの資金調達方法:融資
スタートアップの代表的な資金調達方法は、融資です。
融資とは、平たく言えば借金のことを指します。借金である以上は返済していく必要があり、利息も支払わなければならない点がデメリットです。その一方で、後に解説する「出資」と異なり、株式を渡すわけではないため、経営に口を出されない点が最大のメリットといえるでしょう。
中には金利などの条件がかなり優遇される融資制度もあり、これを選択肢に入れない手はありません。長期的に見れば、事業を営んでいくためには必要に応じて資金を借り入れる必要性が生じるため、金融機関との付き合いを避けて通ることは困難です。
創業時から金融機関との付き合いを始め、信頼関係を築いていくと良いでしょう。
日本政策金融公庫からの融資を受ける
日本政策金融公庫とは、民間金融機関の取り組みを補完して事業に取り組む人を支援する政府系の金融機関です。政策に基づいて融資をおこなうため、創業したばかりであるなど、まだ信用力の育っていない企業であっても融資が受けやすいといえます。
日本政策金融公庫にはさまざまな融資制度がありますが、中でもスタートアップが活用したいのが、新創業融資制度です。新創業融資制度では新たに事業を始める人及び事業開始後税務申告を2期終えていない人を対象に、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)を融資しています。また、原則として無担保無保証である点も大きなメリットです。
ただし、融資の条件として一定の自己資金が必要となる(原則として、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において操業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)ほか、創業計画書の提出が必要となります。また、申し込んだからといって必ずしも融資が受けられるわけではありません。
自治体などの制度融資を受ける
自治体によっては、事業育成などの目的で独自の融資制度を設けていることがあります。ただし、自治体が直接融資をするわけではありません。自治体はあくまでも最初の窓口であり、実際に融資をするのは金融機関です。
自治体が金利や信用保証料の一部を負担してくれるため、利用者は通常よりもかなり低い金利で融資を受けられる点がメリットと言えます。ただし、通常の金融機関から借り入れと同じく、経営者個人の連帯保証は必要となることが一般的であるうえ、申し込みから融資の実行まで時間がかかる場合が多い点がデメリットです。
具体的な制度内容は自治体によって異なるため、企業が所在する自治体の制度を確認すると良いでしょう。
信用保証協会の保証付き融資を受ける
信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者への融資を円滑にする目的で設立された公的機関です。
設立したばかりの企業は信用力が育っておらず、信用を元に民間金融機関から融資を受けることは容易ではありません。そこで、信用保証協会が保証をすることによって、金融機関は企業に融資をしやすくなります。万が一返済が滞ったとしても、金融機関は一定額まで信用保証協会から弁済を受けることができるためです。
信用保証協会の保証をつけることにより利息に加えて信用保証料がかかりますが、スタートアップであっても金融機関からの融資が受けやすくなる点がメリットといえます。
信用保証協会の保証付き融資を期限内にきちんと返済し、かつ定期的に経営状況を金融機関に報告するなどして金融機関との関係性を築いていくことで、将来プロパー融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
プロパー融資を受ける
プロパー融資とは、信用保証協会を通さずに金融機関から受ける融資のことです。
より規模の大きな融資が受けられる可能性がある一方で、審査が厳しく信用力の育っていないスタートアップがはじめからプロパー融資を受けることは難しく、一般的には創業から2期以上経過していないと信用保証協会の保証抜きでプロパー融資を受けることはできないとも言われています。。企業の成長とともに金融機関との信頼を築いていくことにより、将来プロパー融資が受けられる可能性が高まります。
親族などから借り入れをする
スタートアップにとっては、親族などからの借り入れも重要な選択肢の一つといえます。
創業期に成長を加速させるためには、資金は多ければ多いほど取れる選択肢が増えるためです。関係性によっては、借り入れを依頼してみても良いでしょう。
ただし、のちのトラブルを防ぐため、親族間であってもきちんと返済の条件を話し合い、書面を交わしておくことをおすすめします。
スタートアップの資金調達方法:助成金・補助金
助成金や補助金は、スタートアップが活用を検討すべき資金調達方法の一つです。助成金や補助金の最大のメリットは、返済が不要である点でしょう。
また、ほとんどの助成金や補助金で事業計画などを提出し、資金の利用用途を特定したうえで申請をしなければなりません。これは面倒に感じるかもしれませんが、計画策定の過程で事業の資金計画などと改めて向き合うきっかけとなる側面もあり、一概にデメリットというわけでもありません。
助成金を受ける
助成金と補助金は、いずれも国や地方公共団体などが支給するお金のことを指します。両者の境界線は明確ではありませんが、一般的に次のようなものが助成金に分類されることが多いでしょう。
要件を満たして申請すれば必ず支給される
募集期間が長い
こうした特徴から、助成金は人材に関するものが多い傾向にあります。スタートアップが活用を検討すべき助成金のうち、代表的なものは次のとおりです。
キャリアアップ助成金:非正規労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員への転換など一定の取り組みをした場合が受けられる助成金
トライアル雇用助成金:ハローワークなどから安定的な就職が困難な求職者の紹介を受け、一定期間試行雇用した場合に受けられる助成金
その他にもさまざまな助成金が存在しますので、専門家にも相談しつつ、自社で受けられる助成金を探してみると良いでしょう。
補助金を受ける
補助金と助成金との境界線は上でも記載したとおり曖昧ですが、次のものは補助金に分類されることが一般的です。
採択のための審査があり、募集要件を満たして応募したからといって必ずしも受給できるとは限らない
1ヶ月程度の公募期間中にのみ申請ができる
補助金にはかなり多くの種類が存在し、経済産業省などが行っているものの他、各自治体が行っているものもあり、すべてを把握することは容易ではありません。また、公募期間が短いため、気づいたときにはすでに期間を過ぎていることも少なくないでしょう。そのため、自社の事業に関連しそうな補助金については常に情報が入るようアンテナを張り、専門家へ情報提供を依頼するなど工夫が必要です。
スタートアップが活用したい主な補助金としては、次のものが挙げられます。
創業補助金:創業時にかかる経費の一部を補助してくれる補助金
ものづくり補助金:ものづくりなどに必要な設備投資にかかる費用の一部を補助してくれる補助金
特に、ものづくり補助金は補助額が最大1,000万円などかなり高額となる場合もあり、ぜひチャレンジしたい補助金の一つです。
スタートアップの資金調達方法:出資
スタートアップの資金調達には、出資も一つの候補となります。出資者から資金の提供を受ける代わりに、出資者が株式を保有する形態です。
出資者の目的はさまざまですが、一般的には上場時に保有株式を売却することにより利益を得ることを目的とすることが多いでしょう。出資による資金調達は、出資者の類型により次のように分類されます。
エンジェル投資家による出資を受ける
エンジェル投資家とは、スタートアップなど創業間もない企業に投資をする個人投資家のことです。企業の収益性のみならず、事業内容やスタートアップ経営者の想いなどに共感をして投資をする場合もあります。
経営についてのアドバイスをくれたり人脈を紹介してくれたりすることもあり、企業にとって頼もしい存在となるでしょう。その一方で、経営に過度に口を出され、思うように経営が進まなくなる可能性もあります。
ベンチャーキャピタルからの出資を受ける
ベンチャーキャピタルとは、スタートアップなど未上場の企業に投資をする投資会社や投資ファンドです。個人投資家であるエンジェル投資家とは異なり、他の投資家から集めた資金を運用しているため、より収益性を重視する傾向にあります。
スタートアップの資金調達方法:その他
スタートアップの資金調達方法には、他にもクラウドファンディングや私募債の発行などが考えられます。それぞれの特徴は、次のとおりです。
クラウドファンディングを活用する
クラウドファンディングとはインターネットなどを通じて個人から直接資金の調達を受ける資金調達方法です。プロジェクトに賛同する個人が、比較的少額の資金を提供します。
クラウドファンディングにはさまざまな形態が存在し、主なものは次のとおりです。
寄付型:金銭的な価値のある物やサービスの見返りのない形態で、主にプロジェクトを応援する目的で資金を提供します。お礼のメールや手紙など、対価性のないものがリターンとなります。
購入型:資金提供の見返りとして物やサービスを受ける権利を得られる形態です。
社会問題を解決するようなプロジェクトであれば、寄付型での資金調達ができる可能性があります。一方、購入型は商品の製造販売前に市場の反応が見られることから、市場調査や予約販売のような形で使われることもあります。
プロジェクトによっては多額の資金が集められる可能性もありますが、一般的にはクラウドファンディングと営利企業との相性は良くないため、資金が集まらずプロジェクトが成立しない可能性も低くありません。
私募債を発行する
私募債とは、投資家などの個人からお金を借りるために発行する社債のことです。出資とは異なり株式を保有されることはありませんが、借金であるため、満期が到来した時点で額面金額の償還(返済)をしなければなりません。
不特定多数の投資家に引き受けてもらう公募債に対し、会社の関係者など少数の投資家に直接引き受けてもらう債券を少人数私募債といいます。
少人数私募債は最大49名までにしか勧誘を行えないなどさまざまな制約があるものの、無担保でかつ長期的な資金の調達ができる点がメリットです。
スタートアップのフェーズごとにおすすめの資金調達方法
スタートアップには、その成長に応じて4つの段階があるといわれています。ここでは、スタートアップのフェーズごとに適した資金調達の方法をまとめます。
シード期
シード期とは、事業やサービスの試作段階の期間です。事業のコンセプトやイメージはあるものの、まだ具体的な事業は開始していません。
この期間に適した資金調達方法は、次のとおりです。
親族からの借り入れ
日本政策金融公庫の新創業融資
エンジェル投資家からの出資
補助金
クラウドファンディング
事業が具体的に進行していない段階では、金融機関からの融資を受けることは困難です。また、よほど先進的かつ収益性の見込める事業アイデアでない限り、この段階でベンチャーキャピタルからの投資を受けることは難しいでしょう。
そのため、想いに賛同してくれる個人からの資金調達や、公的制度を利用した資金調達が中心となります。
アーリー期
アーリー期とは、まだ事業の収益性は低いものの、実際に事業を開始して収益を得ている段階を指します。
この時期に検討したい資金調達方法は、次のとおりです。
信用保証協会の保証付き融資
自治体などの制度融資
エンジェル投資家からの出資
ベンチャーキャピタルからの出資
補助金や助成金
この時期では具体的な事業活動が進んだことで、どの資金が不足するのかが具体的に見えてきます。補助金や助成金を積極的に活用し、スピードアップを目指しましょう。
ミドル期
ミドル期とは、事業が軌道に乗りはじめた時期を指します。事業が黒字に転換する頃です。
この時期に検討したい資金調達方法は、次のとおりです。
信用保証協会の保証付き融資
金融機関からのプロパー融資
ベンチャーキャピタルからの出資
助成金
少人数私募債
この時期には企業の信用力も高まってくことから金融機関からの融資も得えやすくなり、資金調達方法の幅が広がります。キャリアアップなどの助成金も効果的に活用しつつ、人材の育成も図りましょう。
レイター期
レイター期とは、経営が黒字で安定している期間で、上場なども視野に入る時期といえます。
この時期に検討すべき資金調達方法は、次のとおりです。
金融機関からのプロパー融資
助成金
この時期になると、金融機関からより多額の融資を受けることができるでしょう。
まとめ
必要な時期にいかに自社に適した資金調達を受けられるかどうかが、スタートアップが成長するカギとなります。
たきざわ法律事務所では、スタートアップについての法的なサポートはもちろんのこと、補助金や助成金を始めとした資金調達に関するご相談もお受けしております。お困りの際は、ぜひ当事務所までご相談ください。