建築会社が夜逃げした場合の対処法は?備えるべき対策と併せて弁護士が解説
建築を依頼している途中で建築会社と連絡が取れなくなり、いわゆる「夜逃げ」をされてしまうケースもあります。昨今の建築資材高騰の中、建築会社が資金繰りに窮して夜逃げするケースも増えるかもしれません。
では、建築途中に建築会社に夜逃げをされた場合、どのような事態が生じるのでしょうか?また、建築会社が夜逃げをした場合、まずはどのように対処すればよいのでしょうか?今回は、建築会社に夜逃げされた場合に生じる影響や夜逃げされた場合の対処法、建築会社の夜逃げに対して講じたい対策などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は建築・不動産法務に特化しており、工事の中断に関するトラブルについても豊富な解決実績を有しています。建築会社に夜逃げをされて対応にお困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

目次
建築会社の「夜逃げ」とは?
「夜逃げ」は、法律用語ではありません。一般的には、借金が返済できなくなり、取り立てなどから逃れるために周囲に告げずに身を隠すことを指します。周囲と連絡を絶ち、夜間に秘密裏に引っ越すことが多いことから「夜逃げ」と呼ばれます。
建築会社の夜逃げとは、代表者の夜逃げを指すことが一般的です。従業員が残っている場合もあるものの、従業員も何も知らされておらず、突然社長と連絡が取れなくなり社屋にも入れず困惑していることが多いでしょう。また、従業員も給与などが未払いとなっている被害者であることがほとんどです。

建築会社が夜逃げするとどうなる?
建築の依頼中に建築会社が夜逃げをすると、どのような影響が生じるのでしょうか?生じる可能性のある主な影響には、次の2つが挙げられます。
- 建築工事がストップする
- 前払いした報酬は全額が戻ってこない可能性が生じる
建築工事がストップする
建築会社が夜逃げをすると、依頼していた建築工事がストップすることが一般的です。
夜逃げした会社がすべて施工するのではなく下請会社が残っていたとしても、建築工事の指揮命令系統が崩れているうえ下請会社としても夜逃げした元請企業への未払金回収が困難となっていることが多いため、工事の継続は期待できないでしょう。
また、工事を引き継いでくれる工務店を見つけるハードルも高くなります。夜逃げするような会社がそこまでの工事を担っている以上、思わぬ欠陥が潜んでいるリスクも否定できません。工務店としては、その部分も含めて責任を負う事態を避けたいと考えるためです。
前払いした報酬は全額が戻ってこない可能性が生じる
建築工事では、着工前や着工時に一定の報酬を支払っていることも多いでしょう。本来、工事が中断したのであれば、その時点までの出来高を超える部分の前払い報酬は返還されるはずです。
しかし、建築会社が夜逃げをしたということは、そもそも債務(借金)の返済がままならなくなっているはずでしょう。この場合には、後に破産管財人が選任され、破産の手続きがなされることとなります。
破産管財人は会社に残った財産を換金し、残ったお金を債権者(その会社から返してもらうお金や支払ってもらうべきお金がある人)に分配します。しかし、会社を清算しても債務を返済しきるだけの資産が残らない場合、前払いした報酬の返還が受けられない可能性が生じます。「ない袖は振れない」ということです。

建築会社が夜逃げした場合の対処法
建築を依頼している建築会社が夜逃げしたことに気づいたら、どのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、建築会社が夜逃げした場合の初期対応を解説します。
- 状況を確認する
- 弁護士に相談する
- 契約書の規定を確認し、契約解除を検討する
- 出来高とすでに支払った報酬額を確認する
- 必要に応じて現場の養生をする
状況を確認する
建築会社が夜逃げをした可能性がある場合、可能な限り状況の把握に努めましょう。
まずは建築現場に出向き、工事の進行状況や現場の状況を確認します。その際、現場の写真もできるだけ詳細に残しておくことをおすすめします。
弁護士に相談する
次に、できるだけ早く弁護士に相談します。弁護士に相談することで、契約解除や前払金の返還請求など必要な法的措置を検討しやすくなるためです。
お困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。たきざわ法律事務所は不動産・建築業界の法務に特化しており、建築会社が倒産した場合の対応についても豊富な実績を有しています。
契約書の規定を確認し、契約解除を検討する
施主としては、連絡が取れなくなった建築会社との契約を早々に解除して、工事を引き継いでくれる工務店などを探したいと思います。しかし、建築会社が夜逃げをしたからといって、自動的に契約が解除されるわけではありません。
契約を解除するには、原則として双方の合意が必要です。また、債務不履行による契約解除も可能であるものの、引渡日が到来しておらず破産も決定していない状態であれば、すぐには債務不履行責任を問えない可能性が高いでしょう。
一方で、契約書に「〇日連絡がつかなければその期間の経過後に一方的に解除できる」などの条項があれば、その条項による解除が可能となります。そのため、弁護士とともに契約書を読み込み、解除の手続きを確認しましょう。
出来高とすでに支払った報酬額を確認する
次に、「出来高」と「すでに支払った報酬額」のバランスを確認します。
その時点における出来高に対応する報酬がすでに支払った報酬額よりも多い場合、前払金の返還を受けるのではなく、「出来高に対応する報酬-すでに支払った報酬額」部分の報酬を、追加で支払う必要が生じる可能性があります。
反対に、その時点における出来高がすでに支払った報酬額よりも少ないのであれば、破産手続の中で「すでに支払った報酬額-出来高に対応する報酬」相当額の返還が受けられる可能性があるでしょう。
ただし、先ほど解説したように、夜逃げした建築会社の資産状況によっては全額の返還は受けられない可能性があります。いずれにしても、出来高とすでに支払った報酬額のバランスを確認しておく必要があります。
必要に応じて現場の養生をする
建築途中で建築会社が夜逃げした場合、現場が雨ざらしとなっていることも少なくありません。そのままの状態で長期間放置することになれば、強度の低下などの劣化を招く可能性があります。
そのような事態を避けるため、必要に応じて破産管財人の判断を仰ぎつつ、現場の養生を行いましょう。中には、下請会社などが応急処置として養生をしてくれていることもあります。

建築会社の夜逃げに備えて講じるべき対策
建築会社の夜逃げに備えて、施主はどのような対策を講じればよいのでしょうか?主な対策には、次の3つの方法があります。
- 信頼できる建築会社を見極める
- 契約書に解除条項を盛り込む
- 住宅完成保証制度に加入する
信頼できる建築会社を見極める
1つ目の対策は、信頼できる建築会社を見極めることです。
可能な範囲で財務状況を確認したうえで信頼できる建築会社に依頼することで、夜逃げにより工事がストップする事態を避けやすくなります。
契約書に解除条項を盛り込む
2つ目の対策は、契約書に解除条項を盛り込むことです。
先ほど解説したように、施主側の責任を問われることなく工事請負契約を施主側から解除するには、相手方と合意を成立させるか相手方の債務不履行が明確である必要があります。
しかし、建築会社が夜逃げをしている状況では、合意を成立させることはできません。また、本来の納期や破産開始の決定などを待てば債務不履行責任を問える可能性があるものの、そこまで待てない場合も多いでしょう。
そこで、契約締結段階で「建築会社と〇日間連絡がつかない場合」などに、施主側から契約解除ができる旨の条項を盛り込むことが検討できます。このような条項が入っていれば、その条項を機械的に適用し、施主側が違約金(または賠償責任)を負うことなくスムーズな契約解除が可能となります。
住宅完成保証制度に加入する
3つ目の対策は、住宅完成保証制度に加入することです。住宅完成保証制度とは、建築会社の倒産などによって工事の継続ができなくなった場合に、施主の負担を最小限に抑える制度です。
この制度に加入していれば、万が一建築会社が夜逃げし破産に至ったとしても、「前払金が返ってこないことによる損失」や「追加で必要となる工事の費用」を住宅保証機構に保証してもらうことが可能となります。
ただし、住宅完成保証制度に加入するには、次の要件などを満たさなければなりません。
- 発注者が個人であること
- 工事の対象が新築一戸建て住宅であること
- 受注者が中小企業者であること
どのような工事であっても加入できるわけではないため、契約を締結する前に確認しておくとよいでしょう。

建築会社が夜逃げしてお困りの際はたきざわ法律事務所にご相談ください
建築会社が夜逃げをしてお困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。ここでは、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- 不動産法務に強い
- フットワークが軽い
- 難しい言葉を使わない
- 状況に応じた最適な解決策を提案する
不動産法務に強い
たきざわ法律事務所は、不動産法務に特化しています。建築途中で建築会社が夜逃げした場合の対応についても豊富なサポート実績を有しているため、安心してご相談いただけます。
フットワークが軽い
たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若いこともあり、フットワークの軽さを自負しています。「できるだけすぐに対応してほしい」などのご要望にも可能な限りお応えするため、まずはお気軽にご相談ください。
なお、顧問契約をいただいた場合には、より優先的な対応や日常的な相談が可能となります。
難しい言葉を使わない
弁護士へ相談しても、弁護士の解説が難解であり結局何をすべきか分からなければ、不満や不安が残ってしまうことでしょう。
たきざわ法律事務所は、できるだけ難しい言葉を使わずにアドバイスを行います。そのため、「今何をすべきか」が明確となり、一歩前へ踏み出すことが可能となります。
状況に応じた最適な解決策を提案する
たきざわ法律事務所は型にあてはめて解決をはかるのではなく、状況に応じた最適な解決策を提案しています。そのため、多くのご相談者様・ご依頼者様から、「相談してよかった」、「依頼してよかった」とのありがたいお声をいただいています。

建築会社の夜逃げに関するよくある質問
最後に、建築会社の夜逃げに関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
建築会社が夜逃げしたら工事代金は戻ってくる?
建築会社が建築途中で夜逃げした場合、前払いした工事代金は戻ってこない可能性があります。
まず、支払った報酬額相当分の工事がすでにされている場合、前払金は戻りません。
一方で、支払った報酬が出来高相当分よりも多い場合、その部分の返還が受けられるか否かは夜逃げした建築会社に残っている財産の状況などによって異なります。夜逃げをするということは、目ぼしい財産が会社に残っていないことが多いでしょう。
そのため、出来高を超える部分の前払金について、全額は返還されない可能性が高いといえます。
建築会社の倒産件数はどのくらい?
帝国データバンクの調査によると、2025年における建設業の倒産件数は2,021件でした。これは過去10年間で最多であり、4年連続での増加となっています。

まとめ
建築会社が夜逃げをした場合の初期対応や、建築会社の夜逃げに備えて講じたい対策などについて解説しました。
建築を依頼している建築会社が途中で夜逃げをした場合、工事が中断してしまいます。また、前払金が戻ってこないリスクも生じるでしょう。
建築会社の倒産件数は増加傾向にあり、資材の高騰などにより今後も増える可能性があります。そのため、建築工事を依頼するにあたっては、契約書に解除条項を盛り込んだり住宅完成保証制度に加入したりするなどの対策を講じるとよいでしょう。また、依頼する建築会社の財務状況を可能な限り確認し、信頼できる建築会社を見極めるなどの対策も重要です。
たきざわ法律事務所は建築・不動産法務に力を入れており、建築会社が夜逃げをした場合の対応も可能です。建築途中で建築会社が夜逃げをしてお困りの際は、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。


