2ちゃんねるの開示請求の方法は?対応方法を弁護士がわかりやすく解説
2ちゃんねるは匿名で投稿でき、一見しただけでは、誰が書き込んだのかわかりません。
しかし、誹謗中傷など他者の権利を侵害する内容の投稿をした場合には、開示請求によって投稿者を特定する道があります。
では2ちゃんねるへの開示請求は、どのような流れで行えばよいのでしょうか?
また、2ちゃんねるに開示請求をしても開示が認められないのは、どのような場合なのでしょうか?
今回は、医院やクリニックが2ちゃんねるで権利侵害をされた場合を前提に、2ちゃんねるへの開示請求について弁護士がくわしく解説します。
目次
2ちゃんねるとは
2ちゃんねるとは、インターネット上の巨大掲示板サイトです。
匿名で投稿できることから率直な情報交換の場として利用される一方で、誹謗中傷の舞台となることもあります。
2ちゃんねると似たものに「5ちゃんねる」があり、サイトの作りも似ているものの、これらは別の掲示板です。
そのため、開示請求をする場合は、問題の投稿がなされたのが2ちゃんねるであるか5ちゃんねるであるかを見極めなければなりません。
問題の投稿がどちらに投稿されたのか確認するもっとも確実な方法は、投稿のURLを確認することです。
URLの表記は、それぞれ次のとおりです。
2ちゃんねる:「http://2ch.sc/~~」
5ちゃんねる:「http://5ch.net/~~」
ただし、5ちゃんねるになされた投稿は、自動的に2ちゃんねるにもコピーされることとなっています。
2ちゃんねると5ちゃんねるとの関係はやや複雑であるため、開示請求などの法的措置をとる際は、あらかじめ弁護士へ相談することをおすすめします。
2ちゃんねるに開示請求をする目的
2ちゃんねるへの開示請求とは、2ちゃんねるに対して投稿者の情報開示を求める請求です。
ただし、通常2ちゃんねるは投稿者の住所や氏名などの情報までは把握していません。
そのため、投稿者を特定するにはまず2ちゃんねるへの開示請求で投稿のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報を入手したうえで、投稿者が接続に使ったプロバイダ(Softbankなど)に対して契約者情報の開示請求をする2段階の手続きが必要です。
また、2ちゃんねるや接続プロバイダに対して直接開示を求めても、開示を受けられる可能性はほとんどありません。
そのため、2ちゃんねるなどへの開示請求は、原則として裁判手続きによって行うこととなります。
では、このような開示請求は、どのような目的で行うものなのでしょうか?
ここでは、2ちゃんねるへの開示請求の主な目的を2つ解説します。
投稿者に損害賠償請求をするため
1つ目は、投稿者に対して損害賠償請求をすることです。
2ちゃんねるなどインターネット上への誹謗中傷投稿は、損害賠償請求の原因となります。
損害賠償請求とは、相手の不法行為によって生じた損害や精神的苦痛を償うだけの金銭を支払うよう、相手に対して求めることです。
相手の住所や氏名がわからなければ、損害賠償請求のしようがありません。
そこで、2ちゃんねるやプロバイダに開示請求をして相手の住所や氏名を把握したうえで、損害賠償請求をすることとなります。
投稿者を刑事告訴するため
2つ目は、投稿者を刑事告訴することです。
刑事告訴とは、警察などの捜査機関に犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。
2ちゃんねるへの誹謗中傷投稿は、その内容などにより刑法上の侮辱罪や名誉毀損罪、業務妨害罪、脅迫罪などに該当する可能性があります。
しかし、よほど差し迫った脅迫などでない限り、これらの罪について警察などが独自に捜査する可能性はほとんどありません。
中でも、侮辱罪と名誉毀損罪は親告罪(被害者からの告訴がなければ、犯人を処罰できない罪)であり、投稿者に前科を付けるには告訴が必須です。
あらかじめ開示請求をして犯人を特定することは、刑事告訴の要件とはされていません。
ただし、告訴状の受理や起訴(刑事裁判を開始すること)の可能性を高めるためには、あらかじめ開示請求によって犯人を特定することが望ましいでしょう。
2ちゃんねるの開示請求が認められないケース
裁判手続きによって2ちゃんねるに開示請求をしたからといって、必ずしも開示が認められるわけではありません。
ここでは、2ちゃんねるの開示請求が認められない主なケースを3つ解説します。
投稿内容が権利侵害とまではいえない場合
2ちゃんねるへの開示請求が可能であるのは、投稿内容が権利侵害にあたる場合だけです。
たとえ医院やクリニックにとって不都合な内容であっても、権利侵害とまではいえない内容であれば、請求をしても情報の開示は受けられません。
嫌がらせ目的での開示請求の場合
先ほど解説したように、2ちゃんねるへの開示請求は損害賠償請求や刑事告訴の準備として行うものです。
相手の情報をインターネット上で「晒す」など、嫌がらせ目的での開示請求は認められません。
投稿から時間が経ちすぎている場合
問題の投稿から時間が経ちすぎていると、開示請求をしても投稿者が特定できない可能性が高くなります。
なぜなら、投稿のログは永久に保存されるわけではなく、一定の期間が経過すると消去されてしまうためです。
「ない」情報の開示は受けようがなく、ログの保存期間が過ぎてしまえば、もはや投稿者を特定することはできません。
ログの保存期間はプロバイダによって異なるものの、おおむね3か月から6か月程度が目安となります。
2ちゃんねるに開示請求をする流れ
2ちゃんねるへの開示請求は、どのような流れで行えばよいのでしょうか?
ここでは、基本的な流れを解説します。
投稿の証拠を残す
2ちゃんねるで医院やクリニック、医師やスタッフなどが誹謗中傷されていることに気付いたら、その場で証拠を残しましょう。
投稿の証拠は、スクリーンショットの撮影で残すことが一般的です。
スクリーンショットは、次の内容が漏れなく掲載されるように撮影しましょう。
誹謗中傷投稿の内容
誹謗中傷投稿がなされた日時
投稿のURL
関連する前後の投稿の内容
「後で撮影しよう」と考えていると、投稿者が自ら投稿を消したり、投稿を見た他社が2ちゃんねるに「通報」することで投稿が消えてしまったりするおそれがあります。
そのため、問題の投稿を見つけたらできるだけすぐに証拠を残してください。
弁護士へ相談する
誹謗中傷投稿の証拠を残したら、早期に弁護士へ相談してください。
可能であれば、投稿を見つけたその日や翌日には弁護士事務所に連絡し、相談の予約ができるとベストです。
弁護士へ相談することで、そのケースにおける開示請求の可否などの見通しが立てやすくなります。
2ちゃんねるに開示請求をする
弁護士へ依頼したら、弁護士が2ちゃんねるに開示請求をします。
ただし、先ほど解説したように、2ちゃんねるは投稿者の住所や氏名などの情報を有していません。
そのため、2ちゃんねるから開示を受けられるのは、投稿のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報に留まります。
接続プロバイダに開示請求をする
2ちゃんねるから開示を受けたIPアドレスやタイムスタンプなどの情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダに対して、契約者の住所や氏名などの開示を請求します。
この開示が成功すれば、投稿者(プロバイダ契約者)が判明します。
なお、プロバイダ制限責任法の改正により、2ちゃんねるへの開示請求と接続プロバイダへの開示請求を一本の手続きで行える「発信者情報開示命令」が創設されました。
従来の発信者情報開示請求と新設された発信者情報開示命令のいずれが適しているかは状況によって異なるため、弁護士へ相談したうえで手続きを選択するとよいでしょう。
2ちゃんねるへの開示請求を成功させるポイント
2ちゃんねるのへの開示請求を成功させるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
ここでは、2ちゃんねるへの開示請求を成功させるポイントを3つ解説します。
できるだけ早期に取り掛かる
1つ目は、できるだけ早期に対応に取り掛かることです。
先ほど解説したように、投稿のログは一定期間が経過すると消えてしまいます。
少なくとも消去禁止の仮処分がログの保存期間に間に合うよう、できるだけ急いで開示請求を進めなければなりません。
投稿の証拠をもれなく残す
2つ目は、投稿の証拠を漏れなく残すことです。
先ほど解説したように、問題の投稿を見つけたら、漏れなく証拠を残してください。
投稿の内容によっては投稿が他者の目に触れる機会を最小限に抑えるため、投稿の削除を希望することもあるでしょう。
その場合でも、焦って削除請求をすることはおすすめできません。
証拠を十分に確保する前に投稿が消えてしまえば、開示請求が困難となるためです。
投稿の削除を希望する場合であっても、初期の証拠を残したら早期に弁護士へ相談してください。
証拠に漏れがないことを弁護士に確認してもらったうえで、削除請求に進むことをおすすめします。
誹謗中傷トラブルに強い弁護士へ依頼する
3つ目は、誹謗中傷トラブルに強い弁護士へ依頼することです。
2ちゃんねるへの開示請求を自分で成功させることは、容易ではありません。
手続き方法を調べているうちにログの保存期間が過ぎてしまえば、本末転倒です。
また、仮に自分で開示請求までは行えても、その後の損害賠償請求などまでを自分で行うことは、さらにハードルが高いでしょう。
なお、インターネット上での誹謗中傷への対応は、弁護士の中でも取り扱いの有無が分かれやすい分野といえます。
そのため、誹謗中傷トラブルへの対応に力を入れている弁護士を選んで相談することをおすすめします。
2ちゃんねるへの開示請求は、たきざわ法律事務所へお任せください
2ちゃんねるへの開示請求をご検討の際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。
最後に、たきざわ法律事務所の主な特長を4つ紹介します。
対応内容を個々の事案ごとに検討する
たきざわ法律事務所では、個々の事情やご希望に応じて、最適なリーガルサポートを検討します。
いわゆる「流れ作業」ではなく、柔軟な対応が可能です。
医院やクリニックからの相談に特化している
たきざわ法律事務所では、医院やクリニックからのご相談に特化しています。
そのため、誹謗中傷トラブルのみならず、スタッフトラブルやクレーマー対応、医師の先生が所有する不動産にまつわるご相談などまで幅広くご相談いただけます。
難しい用語を使わない
たきざわ法律事務所では、できるだけ難解な用語を用いずにサポートを行います。
そのため、「難しい用語を並べられて、よく理解できなかった」などの状況を回避できます。
依頼者からの満足度が高い
たきざわ法律事務所では、ご依頼者様やご相談者様から、「依頼してよかった」「相談してよかった」など、多くのご満足の声をいただいています。
お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
2ちゃんねるへの開示請求の概要や流れ、開示請求を成功させるポイントなどを解説しました。
2ちゃんねるへの開示請求とは、裁判手続きによって、投稿者を特定するための手続きです。
2ちゃんねるで誹謗中傷をされた場合、相手に対する損害賠償請求や刑事告訴ができる可能性があります。
しかし、相手が誰であるかわからなければ、これらの法的措置を取ることは困難です。
そこで、これらの法的措置に先立って、開示請求を行います。
開示請求を成功させるポイントは、証拠を残したうえで、できるだけ早期に対応へ取り掛かることです。
ログの保存期間が過ぎれば開示を受けることが難しくなるため、早めの相談をおすすめします。
たきざわ法律事務所ではインターネット上での誹謗中傷トラブルへの対応に力を入れており、2ちゃんねるの開示請求についても多くの対応実績があります。
2ちゃんねるへの開示請求をご検討の際は一人で悩まず、たきざわ法律事務所まで、まずはお気軽にご相談ください。