【施主向け】新築工事が中断された場合の対応は?弁護士がわかりやすく解説
施工会社にアパートや社屋、店舗などの新築工事を依頼したものの、完成に至る前に工事が中断されることがあります。
では、新築工事の中断は、どのような理由から生じるのでしょうか?また、施工会社の都合で新築工事が中断された場合、施主としてはどのように対応すればよいのでしょうか?今回は、新築工事が中断される理由や新築工事が中断された場合の対応などについて、弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は不動産法務に特化しており、不動産オーナー様や不動産会社様への豊富なサポート実績を有しています。新築工事の中断に関してお困りの際は、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。

目次
新築工事が中断される主な理由
はじめに、新築工事が中断される主な理由を3つ紹介します。
- 建築資材や設備の納入遅延
- 施工会社のミス
- 主任技術者の退職など人材面の都合
建築資材や設備の納入遅延
1つ目は、建築資材や設備の納入遅延によるものです。施工会社が建築資材や設備を発注したものの、さまざまな理由でこれが納入されず工事を進められないケースです。
納入が遅延する理由としては、自然災害や世界情勢などが挙げられます。施工会社としても納入を待っている状態にあり、工事再開の目途が立てられない場合もあります。
施工会社のミス
2つ目は、施工会社のミスによるものです。設計や建築確認申請などの手続きにミスがあり、工事を進められないケースです。
やり直しなどでミスが解消されれば工事が再開されるものの、根本的な部分にミスがあった場合には再開にまで相当の期間を要したり、再開が難しくなったりするおそれもあります。
主任技術者の退職など人材面の都合
3つ目は、主任技術者の退職など、人材面の都合によるものです。
施工会社において「人」は非常に重要であり、主任技術者となる資格を有するような重要な従業員が突然退職すると、現場が回らず工事が中断することがあります。また、下請企業を手配しようにも職人不足によりすぐには手配できず、工事再開の目途が立たない場合もあるでしょう。

施工会社の都合で新築工事が中断された場合の主な対応方法
施行会社の都合で新築工事が突然中断された場合、施主としてはどのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、施主がすべき対応を解説します。
- 新築工事が中断された理由を確認する
- 契約書を確認する
- 現場の状況を確認する
- 工事再開の目途や改訂後の工期をすり合わせて合意書を交わす
- 弁護士に相談する
- 必要に応じて契約解除や損害賠償請求などをする
新築工事が中断された理由を確認する
発注した新築工事が中断されている場合、施工会社に連絡をとって工事が中断されている理由を確認します。施工会社が誠実であれば、新築工事が中断している事情を丁寧に説明してくれることでしょう。
契約書を確認する
新築工事が中断している理由を確認したら、施工会社と交わした工事請負契約書を確認します。
新築工事が中断している理由が施工会社側にある場合、そのまま工事が引渡日に間に合わなくなれば、遅延損害金を請求できるのが原則です。また、再開の見通しが立たない場合には、債務不履行を理由とする契約解除や損害賠償請求も検討できるでしょう。
しかし、工事請負契約内に「不可抗力条項」が設けられており、新築工事が中断している原因が契約書に規定された「不可抗力」にあたる場合には、遅延損害金の請求や契約解除などの対応が難しくなるおそれがあります。
不可抗力条項とは、工期が遅延したり工事の続行が不可能になったりしても、その原因が社会情勢の変化や戦禍、大規模な感染症、天災地変など当事者には避けられない事情(不可抗力)にある場合には、施工会社が債務不履行による責任を負わないとする条項です。
そのため、契約書にこのような不可抗力条項があるか否かを確認したうえで、現に新築工事が中断している理由が契約書に規定された「不可抗力」に含まれるか否かを検討する必要があります。
現場の状況を確認する
契約書と併せて、現場の状況も確認します。
新築工事が長期にわたって中断する場合、現場の状況によっては建築途上の建物や材料が風雨にさらされるなどして劣化するかもしれません。そのため、現場がきちんと養生されているなど、中断後の工事再開に問題が生じないか否か可能な限り自分の目で確認しておくべきでしょう。
工事再開の目途や改訂後の工期をすり合わせて合意書を交わす
契約書の内容や現場の状況を確認したうえで、施工会社に工事再開の目途や改訂後の工期、現場が養生されていないなど何らかの問題がある場合にはその改善策などを確認します。これらに対する施工会社の説明や改訂後の工期に納得ができる場合には、合意した内容について改めて合意書を交わします。
その後は、この合意書が契約書に上乗せされる形で適用されるため、合意書を交わす際は内容を慎重に確認すべきでしょう。
弁護士に相談する
新築工事の中断に関するトラブルについて当事者間だけでの解決が難しい場合には、弁護士に相談します。
たとえば、中断している工事の再開の目途が立たない場合や施工会社が中断の理由が明確にしない場合、施工会社と連絡がとれなくなっている場合、現場の養生などについて納得のいく説明が得られない場合、施工会社が提示する工期が到底合意できるものでない場合などです。このような場合には、弁護士に相談したうえで、契約解除や損害賠償請求など具体的な対応を早期に検討すべきでしょう。
なお、弁護士は事務所によって得意とする分野が異なることが一般的です。そのため、弁護士であれば誰でもよいと考えるのではなく、不動産法務に強い事務所に相談することをおすすめします。
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、新築工事の中断にまつわるトラブルについても豊富な解決実績を有しています。新築工事の中断でお困りの際は、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。
必要に応じて契約解除や損害賠償請求などをする
弁護士へ相談したうえで、必要に応じて契約解除や損害賠償請求などの法的措置をとります。新築工事の契約解除や損害賠償請求では施工会社が請求を無視したりトラブルに発展したりする可能性も高いため、弁護士に代理で対応してもらうとよいでしょう。

施主側の都合で新築工事を中断したい場合の対応方法
施工会社ではなく、施主側に何らかの事情が生じ、新築工事を中断したい場合もあるでしょう。たとえば、新社屋の新築工事を依頼したものの業績が悪化し新社屋建設を取りやめることになった場合や、アパート建築を進めていたところ周辺住民から日照権侵害などとして強いクレームを受けその場所でのアパート経営を断念せざるを得なくなった場合などです。
ここでは、施主の側から新築工事を中断(解除)しようとする場合の対応を解説します。
- 契約書の規定を確認する
- 弁護士に相談する
- 中断したい理由を明確にして、施工会社に相談する
- 必要に応じて違約金などを支払う
契約書の規定を確認する
施主側に新築工事を中断してほしい事情が生じた場合、まずは契約書の内容を確認します。契約書には施主からの中途解約の方法や違約金の額などが定められていることが多いため、この規定を確認しましょう。
弁護士に相談する
次に、弁護士に相談します。施主側からの新築工事中断はトラブルに発展する可能性があるため、事前に弁護士へ相談し、違約金の目安などを把握したうえで施工会社との交渉に臨むとよいでしょう。
施主側から新築工事を中断したいとお考えの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。
中断したい理由を明確にして、施工会社に相談する
弁護士に相談した結果を踏まえ、施工会社に新築工事の中断を申し入れます。施工会社側に問題がない状況で新築工事を中断したい場合には、はじめから弁護士が代理で申し入れるのではなく、まずは施主から直接施工会社に相談をするとよいでしょう。
施主側が新築工事の中断を申し入れる場合、施主としても苦渋の決断である場合が多いと思います。施主が誠意を示して、苦渋の決断となった事情を施工会社に対して直接説明することで、施工会社が事情を踏まえ、違約金の減額や分割払いなどの交渉に応じてくれる可能性があるためです。
一方で、新築工事の中断を申し入れても施工会社が中断に応じない場合や、法外な違約金を請求される場合などには、弁護士に代理で交渉してもらうとよいでしょう。
必要に応じて違約金などを支払う
施主側から新築工事を中断(解約)する場合、原則として違約金の支払いが必要となります。民法にも「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」との規定があり、損害を賠償することは中途解約の前提とされているためです(民法641条)。
契約書に違約金の算定方法などの定めがあれば、原則として契約書の規定に従って違約金を算定します。一方で、契約書に定めがない場合には、当事者間の交渉で違約金の額を定めなければなりません。違約金の額について交渉がまとまらない場合には弁護士が代理で交渉し、それでも合意が得られない場合には調停や訴訟を申し立てて解決をはかることとなります。

新築工事の中断に関するよくある質問
続いて、新築工事の中断に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
新築工事が施工会社側の都合で中断しても、請負代金の支払いは必要?
施工会社側の都合で新築工事が中断したとしても、すでに完成した部分だけで施主が利益を受けるのであれば、その部分を完成とみなしてそこに対応する報酬の支払いが必要となるのが原則です(民法634条)。
しかし、施工会社側の都合で新築工事が中断する場合、施主から施工会社に対して損害賠償請求ができるケースも少なくありません。そのため、施工会社に報酬の支払いが必要となる場合であっても、施工会社に対する賠償金と相殺できる可能性があります。
具体的な対応は状況によって異なるため、お困りの際はたきざわ法律事務所までご相談ください。
施主側の都合で新築工事を中断する場合、支払うべきなのは出来高部分だけ?
施主側の都合によって新築工事を中断する場合、出来高部分のみならず、施工会社が本来であれば得られたはずの利益(逸失利益)分も請求される可能性があります。ただし、契約書に違約金の定めがある場合には原則として契約書の定めに従うこととなります。

新築工事の中断でお困りの際はたきざわ法律事務所にご相談ください
新築工事の中断でお困りの際は、たきざわ法律事務所にご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を4つ紹介します。
- 不動産オーナー様へのサポート実績が豊富にある
- 状況に応じた最適な解決策を提案する
- フットワークが軽い
- 難しい言葉を使わない
不動産オーナー様へのサポート実績が豊富にある
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、不動産オーナー様や不動産会社様に対して豊富なサポート実績を有しています。そのため、不動産に関する困りごとが生じた際に、的確なリーガルサポートが実現できます。
状況に応じた最適な解決策を提案する
たきざわ法律事務所は一定の型に当てはめて解決をはかるのではなく、個々の状況やご相談者様のご希望に応じた最適な解決策を提案しています。その結果、「相談してよかった」、「依頼してよかった」など、ありがたいお声を数多くいただいています。
フットワークが軽い
たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若いこともあり、フットワークの軽さを自負しています。「夜しか相談できない」などのご要望にも可能な限りお応えするため、ご希望がある際はお気軽にお伝えください。
難しい言葉を使わない
せっかく弁護士に相談しても、弁護士が難しい言葉を並べて「結局、どうすべきなのか」が十分に理解できなければ、不満や不安が残ってしまうことでしょう。たきざわ法律事務所はできるだけ難しい言葉を用いずにアドバイスやサポートを行うため、現在の状況やその時点で決めるべきことなどが明確になります。

まとめ
新築工事が中断される主な理由を紹介するとともに、施工会社の都合で新築工事が中断された場合の主な対応方法や施主側の都合で新築工事を中断したい場合の対応方法などを解説しました。
新築工事が中断されたらまず中断された理由を確認したうえで、再開の目途や改訂後の引渡日、現場の養生の状況などを確認します。施工会社の説明に納得ができない場合や、工事再開の目途が立たない場合には、早期に弁護士に相談したうえで対応を検討すべきでしょう。
また、施主の都合により新築工事を中断する必要が生じた際にも、まずは弁護士に相談をしたうえで中断を申し入れることをおすすめします。弁護士に相談することで、そのケースにおける違約金額などが明確となり、これを踏まえて交渉に臨むことが可能となるためです。
たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、工事中断への対応についても豊富な実績を有しています。新築工事の中断でお困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。


