たきざわ法律事務所

【2025】工事請負契約は着工前に解約できる?解除の方法・流れを弁護士がわかりやすく解説

 

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

アパートやオフィスなどの建築について施工会社などと工事請負契約を締結したものの、着工前に解除する必要が生じる場合もあるかと思います。

 

では、工事請負契約を着工前に施主側から解除する方法には、どのようなものがあるのでしょうか?また、工事請負契約を着工前に解除するには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?今回は、工事請負契約を施主側から着工前に解除する方法や流れなどについて、弁護士がくわしく解説します。

 

なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は不動産オーナー様や不動産会社様へのサポートに特化しており、豊富な対応実績を有しています。着工前に工事請負契約を解除する必要が生じた際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

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工事請負契約を着工前に解除する主な理由

 

はじめに、工事請負契約を着工前に解除する主な理由を4つ解説します。

 

  • ローンに通らなかったから
  • 施工会社とトラブルがあったから
  • 施主の方針が変わったから
  • 土地の問題点が発覚したから

 

ローンに通らなかったから

 

ローン審査に通らなかったことが原因で、工事請負契約を着工前に解除する場合があります。

 

特に新築工事には多額の費用を要することが多いため、ローンを組むことが多いでしょう。審査に申し込んだもののローン審査に通らなければ、資金が調達できず、工事請負契約を解除することとなります。

 

なお、工事請負契約には「ローン条項」が入っていることが少なくないため、確認しておくとよいでしょう。これは、ローン審査に通らなかったことが理由である場合、違約金の負担なく、かつ施工会社から手付金の返金も受けて工事請負契約を解除できる旨の条項です。

施工会社とトラブルがあったから

 

施工会社とのトラブルが原因で、工事請負契約を着工前に解除する場合があります。

 

トラブルには担当者との相性が合わないなど事実上のものもあれば、何度伝えても図面の誤りが直らない、担当者と連絡が取れず打ち合わせが進まない、いつまでも着工しないなど債務不履行に該当し得るものもあります。

施主の方針が変わったから

 

施主の方針転換が原因で、工事請負契約を着工前に解除する場合があります。

 

たとえば、施主が支店を出すために社屋の建設を依頼したものの方針が変わって支店の設置自体を取りやめることとなった場合や、土地オーナーがアパート建設を依頼したものの親族から反対されアパート建設を取りやめることとなった場合などがこれに該当します。

土地の問題点が発覚したから

 

土地の問題が発覚したことが原因で、工事請負契約を着工前に解除する場合があります。

 

たとえば、土地が想定以上に脆弱であり地盤の改良のために多額の追加費用を要する場合や、土地に残置物があり多額の撤去費用がかかることが発覚した場合などがこれに該当します。
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工事請負契約を着工前に施主側から解除する方法

 

工事請負契約を着工前に施主側から解除する場合、「施主都合による解除」と「施工会社側の債務不履行を理由とする解除」とに大別できます。ここでは、それぞれの概要を解説します。

 

なお、工事請負契約の解除についてお困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。実績豊富な弁護士が、具体的な状況に応じた最適な対応をアドバイスします。

施主都合による解除

 

施工会社に特に問題がない場合の解除は、施主都合による解除に該当します。施主都合で工事請負契約を着工前に解除する場合、その態様には主に次の3つが挙げられます。

 

  • 手付解除
  • 合意解除
  • 民法の請負の規定による解除

 

手付解除

 

手付解除とは、施工会社に支払った手付金を放棄して契約を解除することです(民法557条1項)。手付解除をする場合、これ以外に違約金などは発生しません(同557条2項)。

 

ただし、手付解除ができるのは相手方が契約の履行に着手する前に限られており、相手方の着手後には手付解除ができなくなります。

 

なお、「履行の着手」は、工事の着工とイコールではありません。工事の着工はもちろん、図面の作成や材料の発注なども「履行の着手」に該当する可能性があるため、誤解のないようにご注意ください。

合意解除

 

合意解除とは、施主と施工会社との合意によって工事請負契約を解除する方法です。合意解除の場合、違約金の額など解約の条件も合意によって定めることとなります。

 

施主としては、施工会社側に債務不履行がなく手付解除も難しい場合、この合意解除を目指すことになるでしょう。

民法の請負の規定による解除

 

民法には、「請負人が仕事を完成しない間は、施主はいつでも契約の解除ができる」旨の規定があります(同641条)。この規定による解除が、民法の請負の規定による解除です。

 

ただし、この規定により解除する場合、施主は解除により施工会社側に生じる損害を賠償しなければなりません。解除による損害賠償額(違約金)が契約書に定められている場合には、その規定に従って違約金を算定します。

 

一方で、契約書に違約金の定めがない場合には、交渉(交渉が成立しない場合には、調停や訴訟など)で違約金を定めることとなるでしょう。

施工会社側の債務不履行を理由とする解除

 

施工会社側に債務不履行がある場合、これを理由として工事請負契約を解除することがあります。

 

債務不履行とは、契約で定めた義務を履行しないことであり、施工会社側の代表的な債務不履行は、事前に定めた仕様どおりに建物を完成させないことです。たとえば、工事請負契約を締結したにもかかわらず、契約で定めた完成期限を過ぎてもなお工事に着工しない場合などには、債務不履行による契約解除の原因となるでしょう。

 

なお、施工会社に債務不履行による解除である場合、施主から施工会社側に損害賠償請求ができる可能性もあります。お困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
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工事請負契約の解除を着工前にする手順

 

工事請負契約を着工前に解除しようとする場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか?ここでは、一般的な流れを解説します。

 

  • 施工会社側に債務不履行がある場合、その証拠を残す
  • 着工前の解除に関する契約書の規定を確認する
  • 弁護士に相談する
  • 施工会社に契約解除を申し入れる
  • 必要に応じて違約金を支払う

 

施工会社側に債務不履行がある場合、その証拠を残す

 

はじめに、施工会社側の債務不履行の有無を確認します。債務不履行がある場合には、その証拠を残しましょう。

 

ここでは、建設会社側の債務不履行がない場合(施主都合による解除である場合)を前提に解説を進めます。

着工前の解除に関する契約書の規定を確認する

 

次に、工事請負契約書を確認します。工事請負契約書に、着工前の契約解除に関する違約金の定めなどが設けられている場合も少なくないためです。

弁護士に相談する

 

契約書を確認したら、弁護士に相談します。弁護士に相談することで、その状況に応じた解除の的確な進め方やそのケースにおける違約金の適正額などが把握でき、これらを踏まえた施工会社側への連絡・交渉が可能となるためです。

 

弁護士は事務所ごとに注力している分野が異なることも多いため、不動産法務に特化している事務所を選定するとよいでしょう。

 

たきざわ法律事務所は、不動産法務に関して豊富なサポート実績を有しています。工事請負契約の着工前の解除でお悩みの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。

施工会社に契約解除を申し入れる

 

弁護士からのアドバイスを踏まえ、施工会社に契約解除を申し入れます。「言った・言わない」の齟齬によるトラブルを避けるため、工事請負契約の解除は可能な限り書面で申し入れるとよいでしょう。

 

また、施工会社側とのトラブルが予見される場合などには、弁護士から内容証明郵便を送ることで契約解除をすることも検討します。内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書が誰から誰に差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です。

必要に応じて違約金を支払う

 

先ほど解説したように、施主都合で着工前に工事請負契約を解除する場合には、違約金の支払いが必要となることが一般的です。

 

契約書に規定がある場合には原則としてその規定に従うこととなる一方で、契約書に定めがない場合にはまず交渉により解決をはかることとなるでしょう。交渉がまとまらない場合には、調停や訴訟によって解決をはかります。

 

なお、弁護士には違約金の交渉や調停・訴訟の対応などを任せることも可能です。お困りの際は、たきざわ法律事務所へお早めにご相談ください、
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工事請負契約の着工前の解約に関するよくある質問

 

続いて、工事請負契約の着工前の解除に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。

工事請負契約を着工前に解除する場合も、違約金の支払いが必要?

 

工事請負契約を着工前に解除する場合にも、施主都合による解除であれば、原則として違約金の支払いが必要となります。

 

工事請負契約の「着工」と「着手」は、イコールではありません。契約「着手」前の解除であれば手付金の放棄で対応でき、解除理由にかかわらず違約金が発生しない可能性が高いでしょう。

 

一方で、たとえ工事の「着工」前でも契約への「着手」後であれば施工会社は契約の履行へ向けて動いているため、多かれ少なかれ違約金は発生することが原則です。

 

ただし、施工会社側にも多少の落ち度があるなどして違約金が発生しないことについて合意が成立した場合や、いわゆる「ローン特約」の規定により契約を解除する場合などには、違約金は発生しません。

工事請負契約を着工前に解除する場合の違約金が高額になりやすいケースは?

 

たとえ着工前であっても、着工直前であればすでに資材の発注や下請企業への発注などが済んでいる可能性が高いため、違約金が高額になる傾向にあります。また、他の工事への流用が難しいオーダーメイド品などの発注が済んでいる場合にも、違約金は高額となりやすいでしょう。

 

さらに、工事請負契約書には違約金の額(割合)が定められている場合には原則としてこれに従って違約金を算定するものの、契約書に定められた違約金の額(割合)が高い場合には、その規定どおりに高額な違約金の支払いが必要となるのが原則です。

 

ただし、違約金の定めが公序良俗違反にあたるほど高額である場合には減額できる可能性もあるため、たきざわ法律事務所までご相談ください。
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工事請負契約の着工前の解約でお悩みの不動産オーナー様は、たきざわ法律事務所にご相談ください

 

工事請負契約の着工前の解約でお悩みの不動産オーナー様は、たきざわ法律事務所にご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

 

  • 不動産オーナー様のサポート実績が豊富である
  • フットワークが軽い
  • 難しい用語を使わない
  • 状況に応じて最適な解決策を提案する

 

不動産オーナー様のサポート実績が豊富である

 

たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、不動産オーナー様や不動産会社様への豊富なサポート実績を有しています。建設に関するトラブルのほか、不動動産の売買や賃貸契約、家賃・地代の滞納への対処、土地や建物の明け渡し請求など幅広いトラブルへの対処が可能であるため、安心してお任せいただけます。

フットワークが軽い

 

たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若く、フットワークの軽さを自負しています。「夜しか相談できない」などのご希望にも可能な限りお応えするため、ご希望がある際はお気軽にお伝えください。

難しい用語を使わない

 

たきざわ法律事務所は、できるだけ難しい言葉を用いないアドバイスを心掛けています。そのため、ご相談いただくことで「今、何をすべきか」「今、何を検討すべきか」が把握でき、問題の解決へ向けた道筋を立てやすくなります。

状況に応じて最適な解決策を提案する

 

たきざわ法律事務所は型に当てはめて解決をはかるのではなく、ご相談者様の状況やご希望に応じた最適な解決策をオーダーメイドで提案しています。その結果、多くのご相談者様・ご依頼者様から、「相談してよかった」「依頼してよかった」など有り難いお声をいただいています。
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まとめ

 

工事請負契約の解除を着工前に行う方法や解除の流れなどを解説しました。

 

工事請負契約を、着工前に解除することは可能です。ただし、施主側の都合による解除であるのか、施工会社の債務不履行による解除であるのか、施主都合の場合には手付解除・合意解除・民法の規定による解除のいずれであるのかなどにより違約金の要否や解約の流れなどが異なります。そのため、まずは弁護士へ相談したうえで、状況に応じた対応を検討する必要があるでしょう。

 

たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、不動産オーナー様や不動産会社様への豊富なサポート実績を有しています。工事請負契約を着工前に解除すべき事情が生じてお困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 

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