たきざわ法律事務所

【2020年】民法改正により求められる利用規約のポイントを徹底解説

この記事を書いた弁護士は…

 

2020年4月に施行された改正民法では、改正前の民法にはなかった「定型約款」に関するルールが新たに設けられました。

 

最近では、インターネット上で提供されるサービスにおいてよく見るようになった「利用規約」は、この「定型約款」に含まれるため、サービスにおいて利用規約を定めている事業者は、民法改正によって新たに設けられたルールに対応する必要があります。

 

この対応を放置すると、

などといったリスクが生じる可能性があります。

 

本稿では、インターネット上でサービスを提供し、利用規約を定められている事業者向けに、「民法改正に伴いどのような修正が求められるのか」という点について解説します。

 

利用規約について、民法改正の4つのポイント

今回の民法改正に伴う、利用規約の注意点についてですが、大きくは以下の4つの点をおさえましょう。

 

  1. 利用規約を契約の内容とすることを明確に表示する。
  2. ユーザーの利益を一方的に害する条項が含まれていないかをチェックする。
  3. 利用規約の内容の表示方法を決める。
  4. 利用規約の変更に関するルールを明記する。

 

理論的には、この4つのポイントについて、現在の利用規約で問題なく対応できている場合は、特に利用規約の修正などは必要ありません。

 

しかし実際には、特に2や4については、民法改正前から対応済みの企業はほとんどなく、ほぼすべての企業で民法改正への対応が必要になるといえるでしょう。

 

以降、各章にて順番に4つのポイントを解説していきます。

利用規約を契約の内容とすることを明確に表示する

ポイントの1つ目は「利用規約を契約の内容とすることを明確に表示する」という点です。

民法改正によって具体的に定められた点

改正前の民法では、「ユーザーが利用規約の個別の条項の詳細まで目を通していない場合でも、ユーザーに利用規約が適用される根拠」が、非常に不明確でした。

 

今回の民法改正により、以下の2つの場合には「ユーザーが個別の条項まで目を通したか否かにかかわらず、個別の条項についても合意をしたものとみなす」ということが明記されました。

 

  1. ユーザーとの間で利用規約を利用契約の内容とする旨の合意をしたとき。
  2. サービス提供事業者があらかじめ利用規約を利用契約の内容とすることをユーザーに表示していたとき。

 

このように、ユーザーが利用規約の個別の条項を確認したかどうかにかかわらず、利用規約がユーザーに適用されるようにするためには、「利用規約を契約の内容とすることを明確に表示する」ことが必要になったことをおさえておきましょう。

具体的な対応方法について

上記のポイント1に対応するにあたって、具体的な対応方法とは、例えば以下のような仕様を実装することです。

ユーザーがサービスを利用する際に、必ず画面上に利用規約を掲載し「利用規約に基づいて利用契約を締結します」というボタンをクリックして、サービスを利用するシステム

このような仕様をサービス上に実装しておけば、ポイント1については改正民法に対応できていると言えるでしょう。

ユーザーの利益を一方的に害する条項が含まれないかをチェックする

ポイントの2つ目は「ユーザーの利益を一方的に害する条項が含まれていないかをチェックする」という点です。

”不意打ち条項”は合意をしたものとみなす対象から「除外」される

ポイント1で述べた通り、民法改正により

ユーザーと事業者との間で利用規約を利用契約の内容とする旨の合意をしていた場合などは、ユーザーが個別の条項まで目を通したか否かにかかわらず、ユーザーは個別の条項についても合意をしたものとみなす

ということが明記されました。

 

しかし、この規定の例外として、

ユーザーの権利を制限し、又はユーザーの義務を加重する条項であって、民法上の信義則に反して相手方の利益を一方的に害する条項

については、ユーザーが合意をしたものとみなす対象から「除外」されました。

 

これは「ユーザーが知らないうちに不意打ち的に自分にとって特に不利な条項に拘束されることを避けるためのルール」を設けたものです。

 

具体例としては、例えば、以下のようなものがその条項に該当します。

不意打ち条項の例

例1:月額料金が発生するレンタルサーバの契約において、「契約期間を10年とし途中解約はできない」などとし、違反して中途解約する場合は高額の違約金を課すなど、長期間の継続的契約において中途解約を制限する条項
例2:レンタルオフィスにおいて退去時に通常損耗についても賃借人に原状回復することを義務付ける条項

民法改正への対応にあたって、自社の利用規約に、このようなユーザーの利益を一方的に害する不意打ち条項が含まれていないかをチェックしておくことが必要です。

具体的な対応方法について

自社の利用規約に、不意打ち条項に該当する可能性がある条項が含まれている場合は、以下の対応が考えられます。

 

  1. 該当する可能性のある条項を削除する。
  2. 該当する可能性のある条項について、重要事項として利用規約から抜粋してわかりやすく表示する説明画面を設け、個別に条項ごとに同意クリックを得る。

 

このように、自社の利用規約にユーザーの利益を一方的に害する条項が含まれているか否かをチェックし、含まれている場合は、それを削除するか、個別に条項ごとに同意を得る必要があることに注意しましょう。(なお、ユーザーが事業者ではなく、消費者であった場合、仮にユーザーの利益を一方的に害する条項について個別合意をとっていたとしても、消費者契約法により無効になる可能性はあります。)

利用規約の内容の表示方法を決める

ポイントの3つ目は「利用規約の内容の表示方法を決める」という点です。

ユーザーからの請求があれば、利用規約の内容を示す必要がある

今回の民法改正により、サービス提供事業者は「ユーザーから請求があった場合には、遅滞なく、利用規約の内容を示す必要がある」とされました。

 

請求があったにもかかわらず、サービス提供事業者において応じなかった場合、利用規約の拘束力が否定される可能性があります。

 

ただし、ユーザーに対してすでに利用規約の内容を書面や電子メールで通知している場合や、利用規約をwebサイト上に公表しそのページをユーザーに案内している場合は、この義務は適用されません。

具体的な対応方法について

この点については、以下の3つの対応策をとっておくと良いでしょう。

  1. 利用規約をwebサイト上に公表し、ユーザー全員に掲載ページのURLを電子メール等で案内しておく。
  2. 利用規約の内容を電子メールまたは書面で、ユーザー全員に通知しておく。
  3. 対応方法「1」または「2」の対応をしていない場合は、ユーザーから利用規約の内容開示の請求を受けたらすぐに、利用規約の内容をユーザーに示すことができるように準備しておく。

 

ポイントとして、単にwebサイト上に利用規約を掲載するだけでは足りず、掲載ページのURLを案内することまで求められていることに注意しておきましょう。

 

この利用規約の内容の表示は、ユーザーが利用規約の個別の条項まで目を通したか否かにかかわらず、利用規約の個別の条項についても合意をしたものとみなすための条件にもなっています。

 

自社の利用規約のユーザーへの通知方法がどのようになっているかを確認し、例えば、利用規約をwebサイト上に公表はしているが、ユーザーにその掲載ページのURLの案内を行っていない場合などは、対応を見直すことが必要です。

利用規約の変更に関するルールを明記する

ポイントの4つ目は「利用規約の変更に関するルールを明記する」という点です。

利用規約の変更にユーザーの同意は不要?

利用規約の変更については、ユーザーの同意を得なくてもサービス提供事業者の判断で利用規約を変更することができることを、利用規約に記載しているケースが多くあります。

 

が、本当にユーザーの同意を得なくても利用規約の変更ができるかどうかについては、民法改正前から様々な議論がありました。

 

今回の民法改正により、以下の2つの場合には、ユーザーの同意がなくても変更ができることが明確になりました。

 

  1. 利用規約の変更が、ユーザーの一般の利益に適合するとき。
  2. 利用規約の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

 

例えば、以下のようなケースは、「ユーザーの同意がなくても利用規約を変更できる場合」に該当する可能性が高いと思われます。

 

  1. 反社会的勢力の利用を禁止する条項を利用規約にいれる変更
  2. 法改正にともない新たに法律上禁止された行為を、ユーザーの禁止行為として利用規約にいれる変更

変更に関するルールの明記は必要

上記の「ユーザーの同意がなくても利用規約を変更できる2つの場合」に該当するケースにおいて、ユーザーの同意を得ずに利用規約の変更を行う際の手続きとして、今回の民法改正では以下の2点が義務付けられました。

 

  1. 変更後の利用規約の効力発生時期を定めること
  2. 変更後の利用規約の内容と効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知すること

利用規約の見直しを行いましょう

利用規約の中には「ユーザーの同意がなくても変更できる旨の条項」が入っているケースが多いと思いますが、民法改正の内容に合わせて、利用規約の変更に関する条項についても見直しを検討する必要があります。

 

具体的に、民法改正に対応した利用規約の変更に関する条項の規定例は以下の通りです。

第〇条(利用規約の変更)1 当社は以下の場合に、当社の裁量により、利用規約を変更することができます。(1)利用規約の変更が、ユーザーの一般の利益に適合するとき。(2)利用規約の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更の内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。2 当社は前項による利用規約の変更にあたり、変更後の利用規約の効力発生日の1か月前までに、利用規約を変更する旨及び変更後の利用規約の内容とその効力発生日を当社ウェブサイト(URL:        )に掲示し、またはユーザーに電子メールで通知します。3 変更後の利用規約の効力発生日以降にユーザーが本サービスを利用したときは、ユーザーは、利用規約の変更に同意したものとみなします。

まとめ

本稿では、現在では多くのインターネット上のサービスで見られる「利用規約」について、改正民法によって求めらる改善点やポイントを解説してきました。

 

たきざわ法律事務所では、いわゆるITベンダー企業から利用規約の作成、民法改正を踏まえた利用規約の改定等についてご依頼を多くいただいておりますが、多くの企業において、改正民法を踏まえた利用規約の改定が間に合っていないように見受けられます。

 

たきざわ法律事務所には用規約に関して、あらゆるノウハウが集積しており、またユーザーからのクレームの対応経験も豊富です。

 

利用規約に作成に精通し、またユーザーからのクレームの対応経験も豊富な弁護士が利用規約を作成することにより、御社のビジネスのトラブルを予防し、御社の利益を守ることができます。

 

是非お問い合わせください。

 

 

 

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