たきざわ法律事務所

著作権の保護期間とは?

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 1.     はじめに

これまで著作権法解説では、著作者の権利である著作権(財産権)と著作者人格権に加え、著作物の伝達に貢献した者に与えられる著作隣接権の解説をしてきました。

 

【関連コラム】

著作権法解説第1回目

著作権法解説第2回目

著作権法解説第3回目

 

これら過去のコラムでは、特に権利の「種類(支分権)」とその「内容」について解説をおこないましたが、今回はその知識も踏まえたうえで、権利が発生してから消滅するまでの「保護期間」について解説していきたいと思います。

 

 2.     権利の発生

著作権(財産権)と著作者人格権は、著作物を創作した時点で権利が発生し、著作隣接権(財産権)と実演家人格権は、実演等の行為が行われた時から権利が発生します。これらはいずれも自動的に権利が発生するので、権利取得のために一切の手続きを要しません。ここが、出願手続きをして行政機関に登録されることで権利が発生する(これを「登録制度」といいます。)特許権等の産業財産権と異なる点です。

 

※なお、著作権法にも「登録制度」と呼ばれるものは存在しますが(75条〜77条)、特許法等の産業財産権とは異なり、登録により権利を発生させたりするものではありません。詳細については、文化庁のホームページを参照ください。

 

 3.     保護期間

3.1     著作者の権利

●  著作権(財産権)

著作権(財産権)の保護期間は、原則として「著作者の生存期間中+その死後70年間」です(51条1項・2項)。共同著作物の場合は、最後に死亡した著作者の死後70年間となります(同条2項かっこ書)。

 

ただし、これには以下のような例外があります。

表. 著作権(財産権)の保護期間の例外

なお、上記表における各著作物の公表の時については、以下のように定められています。

 

表. 公表の時

 

●  著作者人格権

著作者人格権は、著作者の一身に専属する権利であるため(59条)、著作者が自然人の場合は死亡、法人の場合は解散すれば権利は消滅します。 つまり、保護期間は「著作者の生存期間中」です。

しかし、著作者の死後においても、原則、著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならないとされています(60条)。これに違反した場合は、民事措置(116条)又は刑事罰(120条)の対象となるので注意しましょう。

 

 

3.2     著作隣接権者の権利

著作隣接権者の権利についても著作者の権利の場合と同様に保護期間が定められています(101条・101条の2)。

 

●  著作隣接権(財産権)

まず、著作隣接権(財産権)の保護期間は、それぞれ以下の通りです。

 

表. 著作隣接権(財産権)に関する保護期間

 

●  実演家人格権

一方で、著作隣接権のうち唯一の人格権である実演家人格権に関しては、著作者人格権と同様にその性質上一身専属性が認められているため(101条の2)、自然人である実演家が死亡すれば権利は消滅します。 つまり、保護期間は「実演家の生存期間中」です。

しかし、実演家の死後においても、原則として、実演家人格権の侵害となるべき行為をしてはいけないので注意しましょう(101条の3)。

 

3.3     まとめ

表. 各権利における保護期間のまとめ

 4.     さいごに

本コラムでは著作権の保護期間について解説しました。日本における著作権の保護期間は、平成30年のTPP11の批准により原則著作者の死後「50年」から「70年」に延長されました。著作権法は、「一定期間の独占権を付与し、その後はパブリックドメインとして自由利用ができるようにすることにより、著作者の利益と社会一般の利益とのバランスを保つ」という役割があると言われています。その点から「適切な保護期間はどれくらいか」というのは非常に重要な問題であり、保護期間延長の議論がされるたびに、賛成派と反対派で大きな対立が生じています。ご興味のある方は是非調べてみてください。