たきざわ法律事務所

【2025】所有者不明建物管理制度とは?管理人選任の流れや要件を弁護士がわかりやすく解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

土地・建物に特化した財産管理制度が創設され、2023年4月より施行されています。この制度を活用して所有者不明土地・建物の管理人の選任を受けることで管理不全状態を解消できるほか、所定の手続きを踏んで売却することも可能となります。

 

では、所有者不明建物管理制度とは、具体的にどのような制度なのでしょうか?また、所有者不明建物の管理人選任は、どのような流れで進めればよいのでしょうか?今回は、所有者不明建物管理制度の概要や管理人選任を受ける要件、所有者不明建物の管理人の選任を受ける流れなどについて弁護士がくわしく解説します。

 

なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は不動産法務に特化しており、所有者不明建物の管理人選任についても対応実績を有しています。所有者が不明となっている建物の管理人選任についてお困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

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所有者不明建物管理制度とは?

 

所有者不明土地・建物の管理制度とは、土地や建物に特化した管理制度です。

 

所有者不明土地や所有者不明建物は災害時に復興の妨げとなり得るほか、野生動物や害虫が住み着いたり倒壊の危険が生じたりして、近隣の環境を阻害しかねません。そこで、所有者不明土地・建物に焦点を当てた民法・不動産登記法などの改正がなされました。これにより新設された制度の1つが、土地・建物に特化した財産管理制度(所有者不明土地・建物の管理制度)です。

 

この制度では、所有者が不明となっている土地や建物について利害関係人が地方裁判所に申し立てることで、その土地・建物の管理人が選任されます。管理人がいることで、その土地や建物が管理不全の状態から脱却できます。また、管理人はその土地・建物の売却などもできるため、民間取引や公共事業の活性化につながることも期待されています。

 

不在者財産管理人制度との違い

 

所有者不明土地・建物の管理制度が新設される前から、所有者不明となった他者の財産を代わりに管理する「不在者財産管理人制度」は存在していました。しかし、不在者財産管理人制度における管理人は、「土地・建物などの財産単位」ではなく、不在となっている「人ごと」に選任されます。

 

たとえば、父が遺言書を残さずに亡くなり長男と長女が相続人となったものの、長男が所在不明であり調査を尽くしても発見できない場合、このままでは長女は遺産を確定的に取得することはできません。遺産を分けるには遺産分けの話し合い(「遺産分割協議」といいます)を成立させる必要があるものの、協議すべき相手が行方不明であるためです。

 

そこで、長女が申立人となり、不在者財産管理人の選任を受けることとなります。長女は選任された不在者財産管理人と遺産分割協議を行い、その結果として確定的に父の遺産を取得します。

 

このように、不在者財産管理人は「人」ごとに選任されるものであり、特定の土地や建物だけを対象として選任することはできません。この点が、新設された所有者不明土地・建物の管理制度との最大の違いといえます。
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所有者不明建物の管理人選任を受ける要件

 

所有者不明建物について管理人の選任を受けたい場合、一定の要件を満たす必要があります。ここでは、主な要件を3つ解説します。

 

  • 調査を尽くしても建物所有者やその所在を知ることができないこと
  • 利害関係人が申し立てること
  • 予納金を納めること

 

実際のケースにおいて、所有者不明建物の管理人選任が可能か否か判断に迷う場合には、たきざわ法律事務所までご相談ください。当事務所は、所在不明者の調査段階からのサポートが可能です。

 

調査を尽くしても建物所有者やその所在を知ることができないこと

 

1つ目は、調査を尽くしても現在の建物所有者が誰であるかという情報がわからないか、建物所有者が誰であるかはわかるものの、その所在がわからないことです。

 

単に申立人が「自分は連絡先を知らない」という事情や「自分が連絡しても電話に出てもらえない」といった事情だけで管理人の選任が認められるのではなく、調査を尽くしても所有者や所有者の所在が分からないという事情が必要とされます。

 

とはいえ、建物所有者の調査を自身で行うことは容易ではありません。お困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。当事務所にご依頼いただくことで、建物所有者の的確な調査が実現できます。

 

利害関係人が申し立てること

 

2つ目は、利害関係人が申し立てることです。

 

その建物についてまったく利害を有しない人は、所有者不明建物の管理人選任を申し立てることはできません。たとえば、その土地・建物の利用を希望している人や買取りを希望している人などが、利害関係人にあたります。

 

とはいえ、そもそもその建物について利害関係がない人が手間と費用をかけて管理人の選任を申し立てる事態は想定しづらく、管理人の選任を希望しているということは、何らかの利害関係を有する可能性が高いでしょう。自身(自社)がこの要件を満たすか否か判断に迷う場合には、たきざわ法律事務所までご相談ください。

 

参照元:所有者不明土地・建物管理命令について (裁判所)

 

予納金を納めること

 

3つ目は、予納金を納めることです。

 

予納金の額は一律で決まっているのではなく、予定される管理事務の内容や管理に要する期間等を勘案して決定されます。予納金の額は数十万円程度であることが一般的であるものの、建物の解体を予定している場合などにはさらに高額となる可能性があります。

 

参照元:所有者不明土地問題(東京弁護士会)

 

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所有者不明建物の管理人には誰が選任される?

 

所有者不明建物の管理人に選任されるのは、弁護士や司法書士、土地家屋調査士などの専門家です。具体的に誰を管理人とするかは、事案の内容などに応じて裁判所が決定します。
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所有者不明建物の管理人選任を申し立てる流れ

 

所有者不明建物の管理人選任の申立ては、どのような流れで進めれば良いのでしょうか?ここでは、一般的な流れについて解説します。

 

  • 弁護士へ相談する
  • 建物所有者や所有者の所在を調査する
  • 申立ての必要書類を用意する
  • 裁判所に申し立てる
  • 予納金を納める
  • 所有者不明建物管理人が選任される

 

弁護士へ相談する

 

所有者不明建物の管理人選任を希望する場合、まずは不動産法務にくわしい弁護士へ相談するのがおすすめです。

 

弁護士へ相談することで、そのケースにおける管理人選任の可否や、予納金額の見通しなどが立てやすくなります。また、自身で所有者の調査をすることは容易でないため、早い段階から弁護士のサポートを受け、所有者調査の段階から依頼するとスムーズでしょう。

 

所有者不明建物の管理人に選任申立てをご検討の際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。たきざわ法律事務所は不動産法務に力を入れており、所有者不明建物について安心してご相談・お任せいただけます。

 

建物所有者や所有者の所在を調査する

 

弁護士へ相談したら、建物所有者やその所在地の調査をします。

 

個人情報保護の関係上、自分で調査するのは容易ではないでしょう。そのため、調査は弁護士など専門家のサポートを受けて行うことをおすすめします。

 

申立ての必要書類を用意する

 

調査の結果、やはり建物所有者の所在などがわからなかった場合には、申立てに向けて準備を開始します。所有者不明建物の管理人選任申立てには、次の書類などが必要です。

 

  • 申立書
  • 所有者等の探索等に関する報告書
  • 対象の土地または建物の登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 公図
  • 対象の土地・建物への通常の経路や方法などを記載した図面
  • (ある場合)対象の土地・建物の現況調査報告書または評価書
  • (登記されていない場合)土地は地積測量図、建物は建物図面と各階平面図
  • 所有者不明土地・建物について、適切な管理が必要な状況にあることを裏付ける資料(現地の写真など)
  • 所有者不明土地・建物の所有者の戸籍謄本、戸籍附票または住民票(取得できない場合は、登記記録上の住所の不在籍証明書と不在住証明書)
  • 不明の事実を証する資料(不明者あての手紙が「あて所に尋ね当たらず」の理由が付され返送されたもののコピーなど)
  • 所有者不明土地・建物を適切に管理するために必要となる費用に関する資料(業者による簡易な見積りをした結果など)
  • 収入印紙(対象の土地・建物1筆あたり1,000円)
  • 予納郵便切手

 

これらの書類を自分で的確に用意するのは、困難を極めるでしょう。スムーズな申立てを実現するためには、弁護士のサポートを受けて申立ての準備をすることをおすすめします。お困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。

 

参照元:所有者不明土地・建物管理命令について (裁判所)

 

裁判所に申し立てる

 

必要な書類が揃ったら、裁判所に所有者不明建物の管理人選任を申し立てます。申立先は、対象の土地・建物の所在地を管轄する地方裁判所です。

 

予納金を納める

 

申立てをすると、裁判所で審理がなされ、必要に応じて尋問期日が開かれます。また、裁判所によって予納金の額が決定されるため、決定された金額分の予納金を納めます。

 

なお、予納金は管理人への報酬支払いなど手続きにかかる経費に充てるためのものであり、原則として返還されません。

 

所有者不明建物管理人が選任される

 

審理の結果、管理人選任に必要な法律上の要件が備わっていることが裁判所によって確認されると、管理人が選任されます。先ほど解説したように、管理人には弁護士や司法書士、土地家屋調査士などが選任されることが一般的です。
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所有者不明建物の管理人選任申立てはたきざわ法律事務所へご相談ください

 

所有者不明建物の管理人選任申立てをご検討の際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を4つ解説します。

 

  • 不動産法務に強い
  • 状況に応じて最適な解決策を提案する
  • フットワークが軽い
  • ご依頼者様からの満足度が高い

 

不動産法務に強い

 

弁護士は、事務所ごとに得意分野が異なることが少なくありません。たきざわ法律事務所は不動産法務に力を入れており、土地や建物にまつわる困りごとについて豊富な解決実績を有しています。まだ新しい制度である所有者不明建物管理人制度にも対応可能であるため、お気軽にご相談ください。

 

状況に応じて最適な解決策を提案する

 

所有者不明の建物についてお困りの際、最適な対処法が、必ずしも管理人選任であるとは限りません。状況やクライアント様のご希望によっては、他の方法での解決が適している場合もあります。

 

たきざわ法律事務所は型にはまった解決をはかるのではなく、個々のクライアント様や状況に応じた最適な解決策を提案しています。

 

フットワークが軽い

 

たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若いメンバーから構成されており、フットワークの軽さを自負しています。「夜しか相談できない」などのご希望にも可能な限り臨機応変に対応するため、まずはお気軽にお伝えください。

 

ご依頼者様からの満足度が高い

 

たきざわ法律事務所は、ご相談者様やご依頼者様からの高い満足度を誇っています。これは、当事務所が一人ひとりのクライアント様と真摯に向き合い、常に最善の解決策を探っていることによるものと自負しています。

 

また、できるだけ難しい言葉を用いないよう心掛けており、これによりご相談者様が今すべきことや今検討すべきことを的確に理解しやすくなることにもよるものでしょう。ご相談いただいたことを後悔させないよう尽力しますので、お困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

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まとめ

 

所有者不明建物の管理人選任について、制度の概要や管理人選任を受ける要件、管理人選任を受ける流れなどを解説しました。

 

2023年4月に施行された改正民法により、所有者不明土地・建物の管理制度が創設されました。これまで存在した不在者財産管理人制度とは異なり、新設された制度ではその土地・その建物ごとの管理人選任申立てが可能とされています。

 

所有者不明土地・建物の管理人選任を受けるには、所有者不明であることや所有者の所在が不明であることを調査したうえで、利害関係人が管轄の地方裁判所に申し立てなければなりません。調査や申立ての準備を的確に行うハードルは低くないため、まずは弁護士へ相談したうえで、弁護士のサポートを受けて申立ての準備を進めるとよいでしょう。

 

たきざわ法律事務所は不動産法務に力を入れており、所有者不明土地や建物に関する困りごとについても豊富な対応実績を有しています。所有者不明建物の管理人選任について相談できる弁護士をお探しの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご連絡ください。個人様はもちろん、不動産会社様などからのご相談も歓迎いたします。

 

 

 

 

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