たきざわ法律事務所

【2022】メタバースで注意すべき法律とは?弁護士がわかりやすく解説

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企業が、メタバースをビジネスに活用するケースが増えてきました。うまくメタバースを活用することで、これまで接点の薄かった顧客層へのアピールや、優秀な従業員採用などのきっかけとなるでしょう。

 

では、メタバースを企業が活用する際には、どのような法律に注意すれば良いのでしょうか?今回は、メタバースを活用する際に知っておくべき法律についてくわしく解説します。

 

メタバースとは

メタバースとは

 

メタバースとは、インターネット上に広がる仮想空間のことです。メタバースへログインすることで、アバターを介して他のユーザーと会話をしたり、メタバース上で開催されるイベントへ参加したりすることが可能となります。

 

最近では、メタバースをビジネスへ取り入れる企業も増えてきました。たとえば、メタバース上に存在する街に広告を出稿することや、メタバース上に店舗や展示場などを構えることなどが可能です。

 

他にも、メタバース上で行われる就活などのイベントに出展したり、自社でメタバース上のイベントを主催したりするなど、多彩な事例が日々登場しています。

 

また、対顧客としての活用のみならず、「出勤」する場をメタバース上とする企業も登場しました。メタバース上にオフィス空間を構築することで、従業員が自宅などにいながら企業へ「出勤」することが可能となります。

 

メタバース活用時に知っておくべき法律①:著作権法

 

メタバース上でビジネスを展開するにあたって、まず知っておくべき法律は「著作権法」です。

 

著作権侵害をしてしまうと、違反した本人が10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこれらの併科に処される可能性がある他、法人自体も3億円以下という高額な罰金に処される可能性があります。

 

また、相手方から損害賠償請求などがなされる可能性もあるでしょう。

 

著作権法を理解しておかなければ、侵害行為であると意識しないままに著作権侵害をしてしまうかもしれません。そのため、著作権法を経営陣が理解しておくべきであることはもちろん、従業員もよく理解しておくことが必要です。

 

著作権法とは

 

著作権法とは、著作者などの権利を保護し、文化の発展に寄与するために設けられている法律です。

 

著作権法の対象となる「著作物」は、非常に広く定められている点に注意しなければなりません。プロが描いた絵画やプロが作詞作曲をした楽曲、小説家が書いた小説などが著作物であることはもちろん、思想や感情を表現した創作物でさえあれば、一般の幼児が描いた絵や一般個人のブログなどであっても著作物となります。

 

素人が創ったものなら著作物の対象ではないと誤解をしているケースもありますが、プロであるか素人であるかで線引きされるわけではないことに注意しましょう。また、著作者自らがSNSに作品を投稿して公表したからといって、その作品を無断で転載して良いわけではありません。

 

なお、著作権は一つの権利ではなく、著作物をコピーする「複製権」や著作物から二次的著作物をつくる「翻訳権・翻案権」など、さまざまな権利の束です。これらの権利を総称して、「著作権」と呼んでいます。

 

メタバース活用で著作権法に注意すべき場面

 

メタバースをビジネスで活用する場合においては、常に著作権に注意を払わなければなりません。たとえば、次のような行為を著作権者の許可なく行った場合には、著作権違反となる可能性が高いでしょう。

 

  • 従業員が、好きなアニメキャラクターをアバターに設定して接客する

  • 従業員のアバターに流行りの曲を歌わせて集客する

  • メタバース上の店舗の壁に、インターネット上で見つけたきれいな風景写真を飾る

  • 有名な曲の一部を店舗名に変えた「替え歌」を作成し、メタバース上の店舗で流す

  • 無名のクリエイターがSNSに投稿した絵画が気に入ったので、その絵画を胸元に配置したアバター用の衣服を作成してメタバース上で販売する

 

著作物を個人的に使用する場合には、原則として著作権侵害となりません。たとえば、自宅で有名な楽曲を演奏することやインターネット上で見つけた素敵な写真を印刷して自宅の部屋に飾ることなどは、特に問題ないでしょう。

 

しかし、メタバース上でビジネスを展開するうえで著作物を利用する場合には、そもそも私的利用には該当しません。そのため、他人が制作した著作物を無断で使用することは、すべて著作権法違反になる可能性があると考えておきましょう。

 

著作権侵害になるかどうか判断がつかない場合には、あらかじめ弁護士へ相談することをおすすめします。

 

最適解を提案します

 

最適解を提案します

 

 

メタバース活用時に知っておくべき法律②:特定商取引法

特定商取引法

 

メタバース上で案内した商品やサービスの申込みを受ける際には、「特定商取引法」の対象になる可能性があります。そのため、特定商取引法についても理解しておきましょう。

 

特定商取引法とは

 

特定商取引法とは、事業者による違法や悪質な勧誘行為等を防止して、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。

 

特定商取引法の対象になるのは、自宅を訪問して契約する「訪問販売」や語学教室など長期的なサービス提供を対象とした「特定継続的役務提供」などのほか、インターネットなどで広告をして購入の申し込みを受ける「通信販売」などです。

 

メタバース上で商品を陳列したりアバターを介して従業員が商品やサービスの説明をしたりして商品やサービスを購入させたりする場合には、この「通信販売」に該当し、特定商取引法の対象になると考えられます。

 

メタバース活用で特定商取引法に注意すべき場面

 

現実世界で、顧客が自ら(キャッチセールスなどで連れて来られたわけではなく)店舗を訪れて商品を購入する場合には、特定商取引法の対象とはなりません。たとえば、顧客が自ら衣料品店を訪れて衣服を購入するなどの場合には、特定商取引法の対象外です。

 

メタバース空間上も人が自由に行き来することができるため、たとえばアバターが着用する衣服を売る店をメタバース上に出店し、アバターの姿となっている顧客が自らその店舗に訪れてアバター用の衣服を購入した場合もあるでしょう。この場合には、上の例と同じであると感じるかもしれません。

 

しかし、この場合には、原則として特定商取引法の規制対象となります。たとえ顧客のアバターが自らメタバース上の店舗を訪れたのだとしても、そこはインターネット上の空間であることに変わりはないためです。

 

特定商取引法の対象になる以上、購入に際して、事業者の名称や住所など、特商法に基づいた広告表示をしなければなりません。

 

購入に際して、メタバースから通常のECサイトへ画面が推移し、そのECサイト内で特商法上の広告表示をすれば問題ないと思われます。一方で、仮にメタバース上でそのまま商品を購入できるとなれば、どの段階で特定商取引法上必要な表記を表示すべきか、よく検討する必要があるでしょう。

 

メタバース活用時に知っておくべき法律③:労働基準法

労働基準法

 

従業員をリアルのオフィスに出勤させずメタバース上のオフィスに出勤させる場合や、メタバース上での業務にリモートで従事させる場合には、労働基準法に注意しましょう。

 

労働基準法とは

 

労働基準法とは、労働条件に関する最低基準を定めている法律です。リモートで勤務であるかどうかを問わず、自社の業務に労働者を従事させる場合には、労働基準法を遵守しなければなりません。

 

メタバース活用で労働基準法に注意すべき場面

 

従業員をメタバース上で「出勤」させる場合には、労働基準法違反とならないよう注意しましょう。特に注意すべきなのは、労働時間の把握です。

 

同じ空間で仕事をしていれば、従業員が休憩をとっているのかといったことや、何時まで働いているのかといった労働状況の把握がしやすいでしょう。一方で、メタバース上での出勤の場合には、休憩時間や残業時間の把握がしづらくなる傾向にあります。

 

結果的に、長時間労働となり従業員が心身に不調をきたしたり、残業代未払いの原因となってしまったりする可能性がありますので、労働時間を把握する仕組みを整えるなど、十分な対策が必要です。

 

また、VRヘッドセットを付けての長時間にわたる業務は、通常以上に心身に負担がかかります。そのため、休憩時間を多く確保させるなど、従業員の健康へ配慮する必要もあるでしょう。

 

メタバース活用時に知っておくべき法律④:各種業法

各種業法

 

メタバースを活用する際には、そのビジネスに関連する業法にも注意しておきましょう。

 

各種業法とは

 

営んでいるビジネスの内容によっては、著作権法や特定商取引法など一般的な法令のほかに、「宅建業法」や「建設業法」、「古物営業法」など、各種業法の対象になっている場合があります。そのビジネスを営むために許認可が必要となる場合に、業法が存在していることが多いでしょう。

 

メタバース上でビジネスを展開する際には、関連する業法も確認しておかなければなりません。

 

メタバース活用で各種業法に注意すべき場面

 

各種業法の規制内容はその事業の性質などによって異なりますが、営業所への責任者などの配置義務や、対面での説明義務などが課されている場合があります。これが、メタバース上でビジネスを展開する際のハードルとなる場合があるでしょう。

 

たとえば、不動産売買や仲介などをする事業者が遵守すべき宅建業法やガイドラインでは、仲介や売買に当たっての重要事項説明などを対面で行うべきとしていました。これは2022年5月に改正法が全面施行され、2022年8月現在では完全オンラインでの対応が可能となっています。

 

また、営業所に常駐しなければならないとされていた宅建士についても、一定の条件をもとにリモートでも良いとするなど、規制が緩和されました。

 

宅建業法は改正されたものの、このような改正がすべての業法で足並みをそろえて行われているわけではありません。引き続き営業所への常勤などが必要とされている場合もありますので、関連する業法や最新のガイドラインをよく確認し、思わぬ法令違反をしてしまうことのないよう注意しましょう。

 

メタバースをビジネスで活用する際の法律の課題

 

メタバースをビジネスで活用するには、次の課題が存在します。

 

法律が追い付いていない場合がある

 

メタバースは以前から存在していたものの、一般に浸透し始めたのはごく最近です。そのため、メタバース上でのビジネス運用に法律が追い付いていないケースが少なくありません。

 

リアルの場で行えば何ら問題のないビジネスであったとしても、メタバース上で行うことで法令違反となってしまう場合もあるでしょう。そのため、メタバース上で新たなビジネスを始める場合にはあらかじめ弁護士へ相談し、法的なリスクを洗い出しておくことをおすすめします。

 

判例が蓄積していない

 

メタバース上でビジネスを行うことは、まだまだ新しい試みです。そのため、メタバース上でビジネスを運用していくにあたって何らかのトラブルとなった際には、参照できる判例がない場合が大半でしょう。

 

また、リアルな場面で起きた似た事案に関する判例が、メタバース上に舞台を移した場合に、そのまま適用されるとは限りません。メタバース上でビジネスを展開していくにあたっては、万が一のトラブルに備え、ITに強い弁護士へすぐに相談できる体制を構築しておくと良いでしょう。

 

まとめ

 

メタバース上でビジネスを展開する際には、著作権法など自社のビジネスに関連する法律をよく理解しておきましょう。法律を理解していなければ、思わぬ法的リスクを抱えてしまう可能性があるためです。

 

しかし、メタバース活用における法律リスクを、自社のみで検討することは容易ではありません。メタバース上でビジネスを展開する際には、ぜひ弁護士へ相談し、リスクを洗い出しておくことをおすすめします。

 

たきざわ法律事務所では、企業のIT活用における法的トラブル解決やトラブル防止策構築のサポートに力を入れています。メタバース上でビジネス展開をする場合には、思わぬ法律リスクを抱えてしまうことのないよう、ぜひたきざわ法律事務所までご相談ください。

 

 

 

 

 

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サンカラ

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