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起業資金はいくらかかる?調達方法別のメリット・デメリット

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起業時には、さまざまな用途で資金が必要となります。では、起業時にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?

 

今回は、起業にかかる資金やその調達方法について詳しく解説します。

 

起業にかかる資金はどのくらい?

起業にかかる資金はどのくらい?

 

起業時の資金は、どれくらい必要なのでしょうか?データを参考に、起業に要する資金についてお伝えしていきましょう。

 

日本政策金融公庫の調査結果

 

日本政策金融公庫総合研究所は、起業についての調査を実施しています。この調査の中に起業資金に関する項目があり、参考の一つとすることができます。

2020年度起業と起業意識に関する調査」によれば、55.3%の人が起業にかかった資金は50万円未満か、まったくかからなかったと回答しています。一方で、500万円から1,000万円という人が6.1%、1,000万円以上かかったと回答している人も5.6%でした。

起業にかかった資金には、大きなばらつきがあることがわかります。

 

必要な資金は業種によって大きく異なる

 

一口に「起業」と言っても、営む事業の内容や規模などによって、必要な資金は大きく異なります。たとえば、人を雇わずにおこなうインターネットビジネスなどであればパソコンやスマートフォンのみで完結する場合もあり、資金はほとんど必要ないでしょう。

 

一方で、飲食店などのリアルな店舗を構える場合には、店舗の改装費や賃借料、スタッフを雇う費用などがかかるため、店の規模にもよりますが、少なくとも数百万円は必要になります。また、工場などに設備を導入してものづくりをする事業では、数千万円単位の資金が必要となる場合もあるでしょう。

 

 

さらに、同じ業種であったとしても規模やビジネスモデル、ターゲット層などにより、必要な資金は大きく異なります。他社を参考とするのも良いですが、それよりも行おうとしている内容に必要となる費用を具体的に積み上げて計算をした方が、実際に必要となる起業資金が算定しやすいといえます。

 

なお、事業がすぐに軌道に乗らない可能性も踏まえ、開業資金のみではなく当面必要となる運転資金と、ご自身やご家族の生活費も準備しておくべきでしょう。おおむね3ヶ月から6ヶ月分の資金を確保しておくと安心です。

 

起業資金の調達方法1:融資を受ける

融資を受ける

 

起業資金の調達方法としてもっとも王道と言えるものは「融資」です。ここでは、融資による資金調達について詳しく解説していきましょう。

 

融資の種類

 

融資にはさまざまな種類があり、次のように分類できます。

 

日本政策金融公庫の融資

 

日本政策金融公庫とは、一般の金融機関がおこなう金融を補完する役割を担う、政府系の金融機関です。そのため、まだ信用が育っておらず一般の金融機関からの借り入れが難しい企業であっても、日本政策金融公庫からであれば融資を受けられる可能性があります。

 

日本政策金融公庫はさまざまな融資制度を展開していますが、中でも起業時の資金調達に使いやすい制度が「新創業融資制度」です。新創業融資制度では、新たに事業を始めるために必要となる資金などを、原則として無担保・無保証で借りることができます。

 

融資限度額は3,000万円、うち運転資金に使うことができるのは1,500万円です。起業資金が必要な場合には、調達方法の候補の一つとすると良いでしょう。

 

信用保証協会の保証付き融資

 

起業して間もない企業が、一般の金融機関から融資を受けることは容易ではありません。しかし、信用保証協会の保証をつけた融資であれば、受けられる可能性があります。

 

信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者が金融機関から事業資金を調達する際に、保証人となってくれる公的機関です。万が一金融機関への返済が滞った場合には、信用保証協会が立て替え払いをしてくれますので、金融機関は融資実績のない企業に対しても融資がしやすくなります。

 

ただし、通常の利息とは別途、信用保証協会に支払う保証料がかかる点がデメリットです。

 

民間金融機関からのプロパー融資

 

プロパー融資とは、信用保証協会の保証を付さない融資のことです。信用の育っていない起業したての企業にとっては、プロパー融資を受けることは容易ではありません。

 

そのため、まずは信用保証協会の保証付き融資を期日どおりに返済したり、事業の状況をその都度金融機関に報告することなどで信用を高め、将来的にプロパー融資を受けたりすることを目指すと良いでしょう。

 

親族からの借り入れ

 

親や親戚など、身近な人から借り入れをする方法です。親族に資金に余裕のある人がいれば、この方法が検討できます。

 

金融機関などのような厳格な審査はなされないことが多い一方で、返済期限などの約束があいまいになり、資金繰りの悪化に気付きにくくなるリスクがあります。また、事業がうまくいかなかった場合には、その親族との関係に亀裂が生じる可能性も念頭に置いておくべきでしょう。

 

融資で調達するメリット

 

起業資金を親族以外からの融資で調達する場合のメリットとしては、次の点が挙げられます。

 

金融機関との関係を築くきっかけとなる

 

民間金融機関から融資を受けて資金調達をした場合には、その融資をしっかり返済していくことで、金融機関からの信用を高めていくことができます。事業を営んでいくうえでいざ資金繰りに困ってからこれまで付き合いのなかった金融機関に融資を受けようとしても、難しい場合が多いでしょう。

 

起業資金を金融機関から調達することで、金融機関との付き合いを始めるきっかけとなります。

 

事業計画をブラッシュアップすることができる

 

親族以外から起業資金を借り入れる際には、ほとんどの場合で事業計画書の提出が必要となります。事業計画書を作成する中で、これまで気がつかなかった事業のリスクや詰めの甘さに気付き、計画をブラッシュアップすることにつながるでしょう。

 

融資で調達するデメリット

 

起業資金を親族以外からの融資で調達する主なデメリットは、次のとおりです。

 

利息の支払いが必要になる

 

融資を受ける以上は、元本の返済の他に利息を支払う必要があります。起業直後は資金に余裕がないことも多く、返済を負担に感じる場合もあるでしょう。

 

融資を受けるまでに時間がかかることがある

 

融資を受けるには、金融機関側での審査が必要です。そのため、融資が実行されるまでに数ヶ月程度の期間がかかる場合があります。

 

事業計画書の作成などに手間がかかる

 

融資を申し込むためには、ほとんどのケースで事業計画書などの書類が必要となります。こうした手間がかかる点も、デメリットの一つと言えるでしょう。

 

ただし、事業計画書の作成は上で記載したとおり、見方を変えればメリットともなり得ます。

 

起業資金の調達方法2:株式発行による出資を受ける

株式発行による出資を受ける

 

起業時の資金調達方法として、株式の発行により出資を受ける方法があります。

 

株式発行による出資とは、資金提供者に対して自社の株式を交付する形態の資金調達方法です。つまり、資金提供者が会社の株主として名を連ねるということです。

 

通常は、配当を多く受け取る権利がある一方で経営には参画できない議決権制限株式などではなく、議決権のある普通株式を交付することが多いでしょう。

 

株式発行による出資の種類

 

株式発行による出資には、出資者の類型により次の3つに分類できます。

 

ベンチャーキャピタルによる出資

 

ベンチャーキャピタルとは、高い成長が期待される未上場の企業に対して出資をおこなう投資会社です。企業を成長させたうえで上場させることなどにより、売却益を得ることを目的としています。

 

複数の出資者からの資金を預かって投資していることが多いため、個人投資家よりもよりシビアに成長を求める傾向にあります。

 

個人投資家による出資

 

個人投資家とは、ベンチャーキャピタルのような会社ではなく、個人で未上場の企業に出資を行う投資家を指します。投資の目的は、ベンチャーキャピタルと同様に企業を成長させたうえで上場させることなどによって得られる売却益であることが一般的です。

 

ただし、企業の成長性のみならず、企業の想いや活動内容などに共感をして出資をする場合もあります。

 

親族や友人による出資

 

親族や友人などで資金に余裕のある人に出資してもらう方法です。ただし、この方法は、その親族や友人が個人投資家として活動しており、能力や人柄いずれも信用できるという場合でない限りは、おすすめできません。

 

事業の運営に口をはさまれてトラブルになる可能性がある他、出資者が亡くなった際の相続で問題となり得るためです。親族や友人に資金を出してもらうのであれば、借り入れの形態を選択した方が、後々の問題が生じにくいでしょう。

 

株式発行による出資で調達するメリット

 

株式の発行によりベンチャーキャピタルや個人投資家から資金調達を受けるメリットは、次のとおりです。

 

返済の必要がない資金が得られる

 

株式発行により受けた出資は融資とは異なり、返済の必要はありません。起業直後で資金に余裕のない企業にとっては、とても大きなメリットの一つといえるでしょう。

 

プレッシャーがかかり事業の成長が加速する

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家は、原則として上場や事業売却などでの売り抜けを目指して出資をしています。そのため、事業を早期に成長させて上場や事業売却するよう、プレッシャーがかかる可能性が高いでしょう。

 

これはデメリットとしての側面もあるかと思いますが、本気で事業拡大へ取り組み成長が加速しやすいという点ではメリットであるといえます。

 

事業のアドバイスや必要な人の紹介を受けやすい

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家は、多くの人や企業とのつながりがあることが少なくありません。そのため、事業の成長のために必要であると判断すれば、人や企業を初回してくれる可能性が高いでしょう。これにより、事業の成長をより加速させることへとつながります。

 

株式発行による出資で調達するデメリット

 

株式発行による出資の最大のデメリットは、株式を保有されることで事業に口をはさまれる点です。もちろん、事業の成長を加速させるとの観点でいえば、アドバイスを受けられることはメリットとなります。

 

しかし、ベンチャーキャピタルや個人投資家が上場や事業売却を急ぐあまり、企業経営者の本来の想いとはズレた経営をせざるを得ない状況となる可能性もゼロではありません。

 

これは、ベンチャーキャピタルや個人投資家との相性によるところが大きいと言えます。

出資を受ける前に、事業理念などについての想いの共有が可能かどうか検討したうえで、出資を受けるかどうか慎重に検討する必要があるでしょう。

 

起業時の資金調達方法3:補助金や助成金を活用する

補助金や助成金を活用する

 

補助金や助成金の活用も、起業時に検討したい資金調達方法の一つです。融資など他の方法と組み合わせて、補助金や助成金を活用するケースも多いでしょう。

 

補助金・助成金とは

 

補助金と助成金は、いずれも国や地方公共団体などから返済不要な資金を受け取ることができる資金調達方法です。補助金と助成金に明確な線引きはありませんが、おおむね次のような違いがあります。

 

  • 補助金:要件を満たして申請し、さらに採択を受けることで受給ができる。公募期間は通年ではなく、一定の期間を定めておこなわれることが多い。企業の新たな取り組みを支援する内容のものが多く、経済産業省などが所轄している。

  • 助成金:要件を満たして申請することで受給ができる。公募期間は通年のことが多い。人材育成や雇用に関する内容のものが多く、厚生労働省などが所轄している。

 

補助金や助成金には非常に多くの種類が存在します。受けられる補助金や助成金を自社のみですべて調べることは困難であるため、受けられる制度を知りたい場合には、当事務所までご相談ください。

 

補助金や助成金で調達するメリット

 

起業資金を補助金や助成金で調達する主なメリットは、次のとおりです。

 

返済不要な資金が得られる

 

補助金や助成金は、原則として返済が必要ありません。まとまった資金を返済不要で得られることは、起業直後に企業にとって大きな武器となることでしょう。

 

事業計画や雇用・育成計画をブラッシュアップできる

 

助成金や補助金を受けるためには、その助成金や補助金の趣旨に沿った事業計画や雇用・育成計画を策定しなければなりません。この計画が実現性の薄いものであったり、補助金の場合には収益性が低いものであったりすれば、受給が受けられない可能性が高いでしょう。

 

これは助成金や補助金の受給要件のみの問題ではなく、事業をおこなっていく上での見通しが甘かったということになります。助成金や補助金の申請の際には外部の専門家のサポートを受けることが多く、これにより計画のブラッシュアップを期待できます。

 

補助金や助成金で調達するデメリット

 

起業資金を補助金や助成金で調達する際には、次のデメリットに注意しましょう。

 

申請や受給の申請に手間がかかる

 

補助金や助成金を申請するには、その補助金や助成金の趣旨に沿った計画などの書類を提出しなければならず、非常に手間がかかります。

 

また、仮に計画段階で受給できる見込みを得られたとしても、ほとんどの補助金や助成金は、この時点で入金されるわけではありません。その後、計画に沿った内容を実施し、実施した旨の報告をして初めて支給を受けることができます。

 

こうした申請の手間がかかる点が、補助金や助成金の大きなデメリットです。

 

補助金は必ずしも採択されるとは限らない

 

助成金の大半は、要件を満たして申請をすれば、支給が決定されます。一方で、補助金は要件を満たして申請したからといって、必ずしも受給できるとは限りません。申請した企業の中から、補助金の趣旨に沿ったものとして採択される必要があります。

 

そのため、補助金がなければ実行できないような事業計画をたてて計画が破綻してしまうことのないよう注意しましょう。

 

補助金や助成金は後払いである

 

補助金や助成金の大半は、計画を実施してから支給がされる後払いです。たとえ申請をした計画段階で支給が決定されたとしても、この時点ではあくまでも支給の見込みでしかありません。

 

その後、申請した計画を実施し、実施した内容を報告することでようやく補助金や助成金が入金されます。そのため、計画を実施するための資金は、一時的に融資を受けるなどして別途調達する必要があることを知っておきましょう。

 

起業時の資金調達方法4:クラウドファンディングを活用する

クラウドファンディングを活用する

 

クラウドファンディングは、最近注目されている資金調達方法の一つです。クラウドファンディングについて解説していきましょう。

 

クラウドファンディングとは

 

クラウドファンディングとは、インターネットで一般個人などから小口の資金を集める資金調達方法です。クラウドファンディングにはさまざまな種類が存在しますが、主に使われている形態は、次の2つです。

 

  • 寄付型:出資者が金銭的な価値のある見返りを得ることなく、資金を寄付する形態のクラウドファンディングです。社会的な問題解決につながるプロジェクトであれば、この方法で資金が集まる可能性があります。お礼状やお礼メールなどが返礼品とされる場合が多いといえます。

  • 購入型:商品購入代金の前払い的な意味合いのクラウドファンディングです。得た資金で制作した商品や得た資金で開業した飲食店の食事券などが返礼品となる場合が多いといえます。

 

クラウドファンディングで調達するメリット

 

クラウドファンディングで起業時の資金調達をするメリットは、原則として返済不要な資金を集めることができる点にあります。ただし、プロジェクトの内容によっては、返礼品が必要です。

 

また、商品を実際に製作する前に、市場の反応を見ることができる点もメリットの一つといえます。

 

クラウドファンディングで調達するデメリット

 

クラウドファンディングで資金調達するデメリットは、不確実性です。クラウドファンディングはその性質上、必ずしも目標額を調達できるとは限りません。

 

そもそも営利事業であれば、クラウドファンディングとの相性はあまり良くないといえます。社会的な問題解決につながる事業やこれまでになかった商品の開発などでない限り、資金が調達できない可能性が高いでしょう。

 

まとめ

 

起業時にスタートダッシュを切るためには、多くの資金が必要です。自己資金がよほど潤沢でない限り、何らかの方法で資金調達が必要となる場合が多いでしょう。

 

起業にあたっての資金調達方法は、今回紹介したとおり数多く存在します。それぞれにメリットやデメリットがありますので、ニーズや状況に合わせて活用する方法を検討してください。

 

とはいえ、自社のみで自社に合った資金調達方法を検討することは容易ではありません。特に、補助金や助成金は都道府県や市町村が独自におこなっていることも多く、すべてを把握することは困難でしょう。

 

たきざわ法律事務所では、起業の際の資金調達に関するアドバイスを行なっています。より良いスタートダッシュを切るために、ぜひ当事務所までご相談ください。

 

 

 

 

 

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