たきざわ法律事務所

【2025】債権の仮差押の流れは?弁護士がわかりやすく解説

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債権回収の手段の一つに、仮差押えがあります。仮差押えは不動産について行うこともできるほか、預貯金や代金回収債権などの債権について行うことも可能です。

 

では、債権の仮差押えとはどのようなものなのでしょうか?また、債権の仮差押えは、どのような流れで行えばよいのでしょうか?今回は、債権の仮差押えの概要や主な要件、流れ、主な注意点などについて弁護士がくわしく解説します。

 

なお、当法律事務所「たきざわ法律事務所」は債権回収に強みを有しており、債権の仮差押えについても豊富な実績を有しています。債権回収でお困りの際や債権の仮差押えの流れを知りたい際などには、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。

 

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債権の仮差押えとは

仮差押えとは、実際に訴訟を提起する前に、お金を回収したい相手(「債務者」といいます)の持っている財産を動かせないようにする手続きです。

 

たとえ貸付金などの債権を有していることが明確であっても、たとえば相手のキャッシュカードを盗んでお金を引き出すなどの自力救済は禁じられています。払うべき金銭を支払わない相手に強制的に弁済させるには、まず相手に支払い義務がある旨の判決を得たうえで強制執行をしなければなりません。

 

しかし、これには相当の期間がかかるうえ、訴訟を提起した時点で強制執行が前提である旨が債務者側に察知されてしまいます。これにより、債務者が資産を隠すなどして強制執行が困難となるおそれが生じるでしょう。そこで、訴訟を提起する前に仮差押えをして、債務者が有する財産を凍結することが有力な戦略となります。

 

仮差押えは不動産などについてもできる一方で、預貯金などの債権などについて行うことも可能です。仮差押えの対象が預貯金である場合、その預貯金は凍結され、引き出しや振り込みなどができなくなります。

 

また、たとえば債務者が取引先などに商品などを販売した対価である「代金回収債権」を仮差押えした場合、債務者はその債権を回収することができなくなる効果が得られます。

 

その結果、その後に行う強制執行で債権を回収しやすくなる効果が期待できます。また、仮差押えがされた時点でその後強制執行がなされる可能性が高いことから、債務者にとって強いプレッシャーとなり、強制執行をすることなく任意に債権が弁済される可能性も高くなります。

 

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債権の仮差押えの主な要件

債権の仮差押えは債務者にとって多大な影響が生じるため、仮差押えを実現するには一定の要件を満たす必要があります。ここでは、債権の仮押さえをするために満たすべき主な要件を2つ解説します。

保全すべき権利があること

一つ目は、保全すべき債権があることです。保全対象となる金銭債権などがなければ、債権の仮差押えはできません。

 

保全対象となる金銭債権とは、たとえば「返済期限が到来したにもかかわらず返してもらえない貸付金」や「支払い期限が到来したにもかかわらず支払われない代金回収債権」などです。

 

仮差押えを申し立てる際には、これらの権利があることを、契約書(金銭消費貸借契約書や売買契約書など)などの資料によって疎明することとなります。

権利を保全する必要性があること

2つ目は、権利を保全する必要性があることです。

 

権利を保全する必要性とは、「もし仮差押えをしなければ、債務者が財産を隠したり処分したりして強制執行によっても債権回収が困難となるおそれがある」などの事情です。仮差押えの申立てにあたっては、保全の必要性についても疎明しなければなりません。

 

このように、債権の仮差押えは申立てさえすれば簡単に認められるものではなく、要件を満たしていることを申立人側が疎明する必要があります。仮差押えを成功させるため、債権回収でお困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。

 

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債権の仮差押えをする流れ

債権の仮差押えは、どのような流れで進めればよいのでしょうか?ここでは、一般的な流れを解説します。

弁護士へ相談する

債権の仮差押えを検討している場合、まずは債権回収に強い弁護士へ相談することをおすすめします。債権回収をするために最適な方法は状況によって異なり、債権の仮差押えが必ずしも最良の方法であるとは限らないためです。

 

たとえば、いくら債務者に有力な取引先があり、その取引先の債権を仮差押えしたいと思っても、債務者名義の不動産があった場合には直ちに債権の仮差押ができません。この場合には、申立てに当たって諸々の工夫が必要になります。

 

そのため、まずは弁護士へ相談したうえで、そのケースにおける戦略を練ることから始めるとよいでしょう。

 

たきざわ法律事務所は債権回収について豊富な実績を有しており、状況に応じた最適な方法が提案できます。債権の仮差押えをご検討の際は、たきざわ法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

裁判所に仮差押えを申し立てる

弁護士へ相談したうえで、債権の仮差押えを進めることに決まったら、裁判所に仮差押えを申し立てます。債権の仮差押えの申立てには、次の書類などが必要です。

 

  • 仮差押申立書

  • 請求債権目録

  • 仮差押債権目録

  • 債権があることを示す疎明資料(契約書など)の写し

  • (債権者が法人の場合)債権者の資格証明書

  • (債務者が法人の場合)債務者の資格証明書、債務者の本社所在地の登記全部事項証明書

  • 保全の必要性についての債権者の陳述書

 

これらの書類は原則として弁護士が用意するため、債権者自身が用意する必要はありません。ただし、契約書などの疎明資料は債権者にて用意する必要があるため、弁護士への相談時に持参するとよいでしょう。

裁判所で面接をする

仮差押えを申し立てたら、裁判官との面談がなされます。この面談は、主に保全の必要性の判断を補充する目的で行われます。

 

なお、弁護士に依頼した場合には債権者本人が面談に臨む必要はなく、弁護士が代理して面談することが一般的です。

供託金を供託する

債権の仮差押えができると判断されたら、供託金の額が決まります。供託金とは、不当な仮差押えによって債務者に不利益が生じた際に備えて法務局に預託する金銭です。

 

債権の仮差押えの場合、供託金の額は保全対象である債権(「被保全債権」といいます)の2割から3割程度であることが多いでしょう。ただし、必ずしもこの程度の金額となるわけではなく、状況を踏まえて裁判所が決定します。

 

供託をすると供託書正本が入手できるため、これを裁判所に提出します。

仮差押えが決定し執行される

供託が終わると、裁判所から仮差押え命令が発動されます。裁判所から債務者の仮差押え対象である口座のある金融機関などに対して仮差押決定正本が送達され、この時点で仮差押えの効果が生じます。

 

なお、先ほども触れたように、仮差押えの申し立てがされた時点では、その旨は債務者に通知されません。債務者に事前に察知されると、仮差押え命令が発せられる前に財産を隠すおそれがあるためです。

 

金融機関などへの送達の後に裁判所から債務者に対して通知が送られ、債務者はこの時点で仮差押えがされたことを知ることとなります。

 

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債権の仮差押えの注意点

債権の仮差押えには、注意点もあります。ここでは、債権の仮押えの主な注意点を2つ解説します。

債務者が破産するおそれがある

一つ目は、債権の仮差押えをすることで債務者が破産する可能性があることです。

 

前提として、仮差押えは破産の申し立てによって効力を失います。つまり、債務者に破産をされてしまうと、せっかく労力やコストをかけて仮差押えをしたとしても、仮差押えをしなかった場合と同じく他の債権者と同等に扱われることになるということです。

 

債権の仮差押えによって債務者が破産する可能性が生じる理由は、ほとんどの金融機関は、預貯金口座の約款に「預貯金口座について仮差押えがされた場合、すべての債務に関する期限の利益を喪失する」旨の文言を入れているためです。期限の利益とは、平たくいえば、所定の弁済期までは借入金を弁済しなくて良いという利益です。

 

2030年1月が返済期限として定められた借入金を、2025年12月に弁済する義務はありません。しかし、期限の利益が喪失すると、たとえ弁済期限が未到来であっても借入金を全額返済する義務が生じます。

 

とはいえ、期限の利益の喪失は債務者にとっては寝耳に水であり、それほど早急には返済に必要な資金を用意できないことも多いでしょう。その結果、債務者が破産する可能性が生じます。

 

債権の仮差押えを検討している債権者としても、債務者の破産は避けたいところでしょう。破産されてしまうと仮差押えの効力はなくなり、他の債権者との均衡により僅かな弁済しか得られない可能性が高くなるためです。

 

このような事態を避けるため、特に預貯金債権の仮差押えはその後に生じ得る影響を踏まえて慎重に検討しなければなりません。

供託金が必要である

2つ目は、供託金が必要となることです。

 

先ほど解説したように、供託金は不当な仮差押えによって債務者に損害が生じた場合に備えて預ける金銭です。仮差押えは正式な裁判とは異なり、債務者側の意見を聞くことなく命令が発せられます。そのため、誤りによって命令が発せられる可能性もゼロではありません。

 

そこで、申立ての濫用を抑止し、かつ不当な申立てによって生じた損害の賠償に資する目的で供託金制度が設けられています。申立てに問題がなく最終的に勝訴判決が確定(または、債務者との和解が成立)すれば、供託金は返還されます。

 

しかし、たとえ一時的であっても供託金としてまとまった金銭が必要となるうえ、返還されるまでには相当の期間を要するため、仮差押えをする際はこの点を理解しておく必要があるでしょう。

 

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債権の仮差押えはたきざわ法律事務所へご相談ください

債権の仮差押えをご希望の際は、たきざわ法律事務所へご相談ください。最後に、たきざわ法律事務所の主な特長を4つ紹介します。

債権回収の対応実績が豊富である

たきざわ法律事務所は債権回収に強みを有しており、豊富な実績を有しています。そのため、重要な局面における債権回収であっても、安心してお任せいただけます。

状況に応じて最適な解決策を提案する

債権回収の最適な対応策は状況によって異なり、必ずしも債権の仮差押えが最良であるとは限りません。たきざわ法律事務所は実際の状況に応じ、最適な解決策をご提案します。

フットワークが軽い

たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若いメンバーで構成されており、フットワークの軽さを自負しています。「夜しか相談できない」「できるだけ早く相談したい」などのご要望にも可能な限りお応えするため、ご要望がある際はお気軽にお伝えください。

難しい用語を使わない

せっかく弁護士へ相談しても、難しい用語を並べられて十分に理解ができなければ、不満や不安が残ってしまうことでしょう。たきざわ法律事務所はできるだけ難しい用語を使わずにアドバイスするため、自身がとるべき選択を的確に判断しやすくなります。

 

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まとめ

債権の仮差押えの概要や流れ、注意点などについて解説しました。

 

仮差押えとは、正式に裁判を申し立てる前に、債権回収に必要な債務者の財産を保全する制度です。仮差押えの対象が預貯金債権である場合、仮差押え命令が発せられることで、債務者は預金の引き出しや振り込みなどができなくなります。

 

また、貸付金や代金回収債権などの債権が対象である場合、債務者は自身が有するその債権を回収することができなくなります。

 

仮差押えをすることで、その後行う強制執行が「空振り」に終わる事態を避けやすくなります。一方で、仮差押えをするには一定の供託金が必要になることや、状況によっては債務者が破産する可能性があることなどに注意しなければなりません。

 

債権の仮差押えには注意点が少なくないため、あらかじめ弁護士へ相談することをおすすめします。

 

たきざわ法律事務所は債権回収について豊富な実績を有しており、債権の仮差押えを含め、状況に応じた最適な回収方法を提案します。債権回収でお困りの際や債権の仮差押えをご検討の際は、たきざわ法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

 

 

 

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