たきざわ法律事務所

【2024】医療広告ガイドラインとは?違反となる事例を弁護士がわかりやすく解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

 

医療広告にはガイドラインが設けられており、医療にまつわる広告をしようとする際はこのガイドラインを理解しておかなければなりません。

 

では、医療広告ガイドラインとはどのようなものなのでしょうか?また、医療広告ガイドラインに違反する広告には、どのようなものがあるのでしょうか?

 

今回は、医療広告ガイドラインの概要や違反事例などについて、弁護士がくわしく解説します。

 

医療広告ガイドラインとは

 

医療項広告ガイドラインとは、厚生労働省から出されている「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」です。

 

医療に関する広告についての規制は、従来から存在していました。一方、ホームページに関しては法規制の対象外であり、関係団体などによる「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)について」により自主的に規制されていたに過ぎません。

 

しかし、近年美容医療を中心としたトラブルや相談が増加していることを受け、2015年に医療法などが改正されました。この改正により医療機関のホームページなどについても他の広告媒体と同じく規制の対象とされ、虚偽・誇大表示の禁止や是正命令や罰則などが設けられています。

 

これを受け、どのような記載が医療法違反となるのか、より詳細に定めた医療広告ガイドラインが策定されています。医療に関する広告を出稿する際や医療機関のホームページを作成する場合、医療機関からウェブマーケティングなどの施策を請け負う場合などには、医療広告ガイドラインに違反しないよう注意しなければなりません。

 

参照元:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)

 

医療広告ガイドラインの対象となるもの・ならないもの

 

医療広告ガイドラインの対象となる「広告」とは、どのようなものを指すのでしょうか?ここでは、対象となるものとならないものをそれぞれ解説します。

 

医療広告ガイドラインの対象となるもの

 

医療広告ガイドラインの対象となるのは、次の要件をいずれも満たすものです。

 

  1. 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
  2. 医業もしくは歯科医業を提供する者の氏名もしくは名称、または病院もしくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)

 

媒体を問わず、これらの要件を満たすものは医療広告ガイドラインが適用される「広告」に該当します。

 

また、医療広告ガイドラインでは、実質的に広告に該当する例として次のものが挙げられています。

 

  • 「これは広告ではありません」、「これは、取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません」との記述があるが、病院名等が記載されている

  • 「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません」といった表示をしているが、住所や電話番号、ウェブサイトのアドレスなどから病院等が特定可能である

  • 治療法などを紹介する書籍、冊子、ウェブサイトの形態をとっているが、特定(複数の場合も含む)の病院等の名称が記載されていたり、電話番号やウェブサイトのアドレスが記載されていたりすることで、一般人が容易に該当の病院等を特定できる

 

このように、表面上は広告への該当性を回避しようとする場合であっても、実質的に広告である以上は広告として取り扱われるため、注意しなければなりません。

 

医療広告ガイドラインの対象とならないもの

 

医療広告ガイドラインでは、通常広告に該当しないものの例も記載されています。次のものは、原則として規制対象である「広告」には該当しません。

 

  • 学術論文、学術発表等

  • 新聞や雑誌等での記事

  • 患者等が自ら掲載する体験談、手記等

  • 院内掲示、院内で配布するパンフレット等

  • 医療機関の職員募集に関する広告

 

ただし、表面上これらに該当しても、場合によっては広告となり得るため、回避策として使うことは避けるべきです。

 

たとえば、患者などによる体験談や手記であっても、その病院からの依頼に基づく手記やその病院から謝礼を受けて書かれた体験談などは広告に該当します。また、直接的な謝礼などがなかったとしても、その患者などが病院経営者の家族である場合など病院の利益のためであると考えられる場合には、広告となり得ます。

 

医療広告ガイドラインによる広告可能事項

 

病院や診療所などは、自由に広告をすることができません。医療法では、広告ができる事項を次の内容に限定しています(医療法6条の5 3項)。

 

  1. 医師または歯科医師である旨
  2. 診療科名
  3. その病院・診療所の名称、電話番号、所在の場所を表示する事項、管理者氏名
  4. 診療日・診療時間と、予約による診療実施の有無
  5. 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院・診療所または医師・歯科医師である場合には、その旨
  6. 厚生労働大臣による一定の認定を受けた医師である場合には、その旨
  7. 地域医療連携推進法人の参加病院等である場合には、その旨
  8. 入院設備の有無、病床の種別ごとの数、医師・歯科医師・薬剤師・看護師その他の従業者の員数、その病院・診療所における施設・設備または従業者に関する事項
  9. その病院・診療所において診療に従事する医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴その他医療従事者に関する事項のうち厚生労働大臣が定めるもの
  10. 患者またはその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院・診療所の管理・運営に関する事項
  11. 紹介できる他の病院・診療所・その他の保健医療サービス・福祉サービスを提供者の名称や連携に関する事項など
  12. 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供などに関する事項
  13. その病院・診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については厚生労働大臣が定めるものに限る)
  14. その病院・診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者・入院患者の数、その他の医療提供の結果に関する事項のうち厚生労働大臣が定めるもの
  15. その他厚生労働大臣が定める事項

 

ただし、次の要件をすべて満たす場合には、これら以外の事項の掲載が可能です(医療法施行規則1条の9の2)。

 

  • 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること

  • 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会できるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること

  • 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること

  • 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

 

このように、広告ができる事項は非常に限定されています。

そのため、広告に掲載する事項についてはあらかじめ慎重に検討しなければなりません。

 

医療広告ガイドラインに違反する広告の例

 

医療広告ガイドラインに違反する広告には、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、違反する広告の例を紹介します。出稿しようとしている広告が医療広告ガイドラインに違反するか否か確認したい場合には、あらかじめ弁護士へご相談ください。

 

参照元:医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)

 

最適解を提案します

 

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広告が可能とされていない事項の広告

 

先ほど解説したように、医療法では広告可能事項が限定されています。たとえば「死亡率」や「術後生存率等」などを広告に記載することはできません。

 

虚偽の広告

 

虚偽の広告は、当然に禁止されます。たとえば、次の表現などが虚偽広告にあたります。

 

  • 「絶対安全な手術です!」

  • 「どんなに難しい症例でも必ず成功します」

  • 「厚生労働省の認可した〇〇専門医」(専門医の資格認定は学会が実施するものであり、厚生労働省が認可した資格ではないため)

  • あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真など

  • 「〇%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないもの)

 

他の病院・診療所と比較して優良である旨の広告

 

他の病院・診療所と比較して優良である旨の広告は、禁止されます。そのため、「日本一」や「No.1」、「最高」などの表現をしてはなりません。

 

また、次の表現なども違反例として挙げられています。

 

  • 「肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です」

  • 「 当院は県内一の医師数を誇ります」

  • 「本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております」

  • 「芸能プロダクションと提携しています」

  • 「著名人も〇〇医師を推薦しています」

  • 「著名人も当院で治療を受けております」

 

なお、求めがあった際に内容の裏付けとなる合理的な根拠を示し客観的に実証できる場合には、例外的に認められる場合もあります。ただし、その場合でも優秀性について著しく誤認を与える表現はできません。

 

誇大広告

 

誇大広告は、禁止されます。「誇大」とは、虚偽とは言えないまでも施設の規模や人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させたりする表現を意味します。

 

たとえば、次のものなどがこれに該当します。

 

  • 「知事の許可を取得した病院です!」など「許可」を強調する表現(許可を受けることは当然の義務であるにもかかわらず、特別な許可を受けたように誤認を与えるため)

  • 「医師数〇名」などの表現を、医師の数が大きく減ったにもかかわらず表示し続けること

  • 「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください」など、過度にリスクを強調し受診を誘導する表現

 

体験談

 

患者などの主観に基づく体験談は、広告できないとされています。

 

一方で、個人が運営するウェブサイトやSNSの個人のページ、いわゆる口コミサイトなどへの体験談の掲載は、これに違反するものではありません。ただし、医療機関が広告料などの費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどの事情がある場合には広告に該当し、医療広告ガイドラインに違反します。

 

ビフォーアフター写真

 

術前と術後の比較を掲載するいわゆるビフォーアフター写真のうち、患者等を誤認させるおそれがあるものの掲載はできません。また、誤認させるおそれがないビフォーアフター写真を載せる場合であっても、次の情報などの付記が必要です。

 

  • 通常必要とされる治療内容

  • 費用等に関する事項

  • 治療等の主なリスク

  • 副作用等に関する事項

 

これらの情報は、患者等にとって分かりやすいよう十分な配慮をして記載しなければなりません。たとえば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式は医療広告ガイドラインに違反します。

 

医療広告ガイドライン違反を避けたい事業者様はたきざわ法律事務所へご相談ください

 

出稿予定の広告が医療広告ガイドラインに違反するかどうか、判断に迷うこともあるでしょう。医療広告ガイドラインに違反する事態を避けたい事業者様は、ぜひたきざわ法律事務所までご相談ください。最後に、たきざわ法律事務所の主な特長を4つ紹介します。

 

医院や診療所からの相談に特化している

 

たきざわ法律事務所では、医院や診療所などからのご相談に特化しています。そのため、医療広告ガイドラインに違反しないための対策はもちろん、スタッフトラブルや誹謗中傷トラブル、不動産投資にまつわるご相談まで幅広い対応が可能です。

 

フットワークの軽さを自負している

 

たきざわ法律事務所は、フットワークの軽さを自負しています。「夜しか相談できない」などのご希望にも柔軟に対応しますので、お困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

 

個々のケースごとに最適な解決策を提案する

 

たきざわ法律事務所ではご相談内容を無理に型にあてはめることなく、おひとりおひとりに最適な解決策を提案しております。また、「お客様目線」をモットーとしており、弁護士・スタッフが一丸となってご依頼者様の問題と向き合ってまいります。

 

ご依頼者様からの満足度が高い

 

たきざわ法律事務所には、「相談してよかった」「依頼してよかった」とのお声が数多く寄せられており、高い満足度を誇っています。弁護士事務所は数多くありますが、当事務所をお選びいただいたことを後悔させないよう尽力してまいります。

医療広告ガイドラインについて相談できる弁護士をお探しの際は、お気軽にご相談ください。

 

最適解を提案します

 

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まとめ

 

医療広告ガイドラインの概要を紹介するとともに、医療広告に該当するもの・しないもの、医療広告ガイドラインに違反する例などを紹介しました。

 

医療広告ガイドラインとは、医療広告に記載できる事項や禁止される表現などを定めた指針です。医療広告の該当範囲は非常に広いため、何らかの発信をする際は、医療広告ガイドラインに抵触しないか否かあらかじめ確認するとよいでしょう。

 

医療広告ガイドライン違反となる広告には、誇大広告や体験談、ビフォーアフター写真などが挙げられています。顧客や患者に訴求しようとするあまり違反してしまわないよう、医療広告ガイドラインの内容を理解しておかなければなりません。また、困った際に気軽に相談できる弁護士を見つけておくことをおすすめします。

 

たきざわ法律事務所は医院や診療所からのご相談に特化しており、医療広告についても多くのサポート実績があります。医療広告ガイドライン違反を避けたい際や医療広告の表現について相談したい際などには、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

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