たきざわ法律事務所

【2023】ChatGPTにデータを学習させない「オプトアウト」機能の使い方

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ChatGPTは非常に便利なツールであるものの、入力した情報が学習用データとして活用され、情報が漏洩する可能性がある点が懸念されていました。これを受け、2023年4月下旬の仕様変更で、入力した情報が学習用データとして取り込まれないための「オプトアウト申請」が簡単な操作でできることとなっています。

特に業務でChatGPTを利用する際には、このオプトアウト申請を理解しておくべきでしょう。今回は、ChatGPTのオプトアウト申請について弁護士が詳しく解説します。

 

ChatGPTとは

 

ChatGPTとは、OpenAI社が開発をしたAIチャットツールです。ChatGPTに質問や指示を打ち込むと、ものの数秒で返答を返してくれます。

 

このようなAIツールは英語の身に対応しているケースも多いものの、ChatGPTは日本語にも対応しており、流暢な日本語でアウトプットを受けることが可能です。

 

たとえば、「ChatGPTでは何ができますか」と入力すると、次の返答が返ってきました。

 

 

ChatGPTは、さまざまなタスクに使用できる柔軟性のある自然言語処理モデルです。以下に、ChatGPTができることの一部を示します。

 

  1. 質問応答: ChatGPTは、一般的な質問に回答することができます。例えば、歴史的な出来事や科学的な事実などの質問に対して、関連する情報を提供することができます。
  2. 情報検索: ChatGPTは、特定のトピックやキーワードに関連する情報を検索し、それに基づいて応答を生成することができます。例えば、特定の国の首都や有名人の出身地などを問い合わせることができます。
  3. 文章生成: ChatGPTは、与えられた文脈に基づいて文章を生成することができます。例えば、ストーリーの続きを書いたり、詩を作ったり、文章の要約を行ったりすることができます。
  4. 対話システム: ChatGPTは、ユーザーとの会話を進めることができます。一問一答だけでなく、対話の文脈を理解し続けて応答を生成することができます。
  5. 言語翻訳: ChatGPTは、一部の言語において翻訳の支援を行うことができます。例えば、特定の文章を別の言語に翻訳したり、表現の違いやニュアンスの理解を支援したりすることができます。

 

上記は一般的な使用例ですが、ChatGPTは柔軟なモデルであり、他にも様々なタスクに活用することができます。ただし、重要な点として、ChatGPTは人間のように完全な理解や意識を持っているわけではなく、生成された応答は文脈によっては正確でない場合があります。

 

非常に便利であり、業務に取り入れたいと考える人や企業も少なくないことでしょう。

 

ChatGPTを利用する際の懸念事項

 

ChatGPTは、非常に便利なツールです。実際にChatGPTに触れたことのある方は、言語が流暢であることや汎用性の高さに驚くことでしょう。

 

しかし、ChatGPTの利用には、懸念事項も存在します。主な注意点は次の2点です。

 

ChatGPTの返答が必ずしも正確であるとは限らない

 

ChatGPTの返答は、必ずしも正確であるとは限りません。特に、固有名詞の解説などは弱いようです。

 

しかし、虚偽の内容であっても非常にもっともらしい文体で返すため、知らない人がその文章を目にしたら、真実であると誤解してしまうかもしれません。特に、医療や法律に関する虚偽の内容を信じてしまうと、実害が生じるおそれがあります。そのため、重要な場面でChatGPTを活用する際には、返答が正確であることを別途確認する必要があるでしょう。

 

ChatGPTに入力した情報が流出するおそれがある

 

ChatGPTに入力した情報は、ChatGPTの開発に携わるOpenAI社のスタッフが目にする可能性があるほか、ChatGPTの学習用データとして使用される可能性があります。

 

OpenAIが公表している「ChatGPT に関するよくある質問」では、次のようなFAQも存在します(英語から日本語に翻訳されているため、多少不自然です)。

 

5.私の会話を閲覧できるのは誰ですか?

安全で責任あるAIへの取り組みの一環として、当社では会話をレビューしてシステムを改善し、コンテンツが当社のポリシーと安全要件に準拠していることを確認します。

 

6.私の会話をトレーニングに使用してもらえますか?

はい。システムを改善するために、お客様の会話は AI トレーナーによって検討される場合があります。

 

たとえば、A社の従業員がChatGPTに開発中の「Xサービス」のコードをChatGPTに入力、すると、その後外部の者がChatGPTに「A社が開発したXサービスのコードを教えて」などと入力した際にコードが表示される可能性があるということです。これを懸念して、ChatGPTへの機密情報の入力を禁じる企業も増えてきました。

 

ChatGPTに入力データを学習させない「オプトアウト」とは

 

機密情報の漏洩が懸念されるChatGPTですが、オプトアウトの設定をすることで入力したデータをChatGPTに学習させない設定が可能です。この設定は以前から可能であったものの、2023年4月25日にチャットの履歴を無効とする機能が公開され、これまでより簡単なステップでオプトアウトの設定ができることとなりました。

 

オプトアウトとは

 

オプトアウトとは、個人情報を提供する状態や情報配信メールなどを受け取る状態がデフォルトの設定であり、個々のユーザーがこれを許諾しない意思表示をすることで、個人情報の提供やメールの配信を停止する形態です。

 

反対に、オプトインとは、個人情報の提供や情報配信メールの受信などを受け取らない状態がデフォルトであり、個々のユーザーが許諾の意思表示をすることで、個人情報の提供やメールの配信が開始される形態を指します。

 

ChatGPTでは2023年4月の仕様変更で、入力データを学習に使用されないためのオプトアウト申請が容易となりました。

 

ChatGPTをWeb版で使用するならオプトアウトの設定がベター

 

ChatGPTの利用方法には、ブラウザでWeb版を使う方法とAPI経由で使用する方法の2つが存在します。このうちAPI経由の場合には、あえてオプトアウト申請をするまでもなく、入力したデータは学習用データとして利用されません。

 

OpenAIのポリシーにも、次の表記が存在します。

 

API

OpenAI は、OpenAI モデルをトレーニングしたり、OpenAI のサービス提供を改善したりするために、API 経由で顧客から送信されたデータを使用しません。当社のモデルの継続的な改善をサポートするために、このフォームに記入してデータを当社と共有することをオプトインすることができます。

 

一方、ChatGPTをweb版で使用する場合、入力した情報を学習用データとされたくないのであれば、オプトアウト申請をしなければなりません。意図せず情報が漏洩するリスクを防ぐため、Web版のChatGPTを利用する際には、オプトアウト申請をしておいた方が良いでしょう。

 

ChatGPTでオプトアウトを設定する方法

 

ChatGPTでオプトアウトの設定をする方法と手順は次のとおりです。決して難しい手続きではないため、ChatGPTに入力した情報を学習用データとされたくない場合には、すぐに設定しておくことをおすすめします。

 

ただし、この設定をすると自分が入力した過去のchat履歴も確認できなくなります。そのため、Google検索の「シークレットモード」に近いものであると捉えておくと良いでしょう。

 

なお、画面遷移はパソコンを前提に、2023年(令和5年)6月初旬時点でのものです。今後ChatGPTの仕様変更などによって設定方法が変わる可能性もありますので、ご了承のうえご確認ください。

 

ChatGPTにログインする

 

はじめに、自分のChatGPTアカウントにログインします。ChatGPTへのログインは、メールアドレスのほか、Googleアカウントによっても可能です。

 

「Settings」をクリックし「Data Controls」を開く

 

Chat画面が開いたら、画面左下にある自分のユーザー名を探しましょう。ユーザー名の右に三点リーダーがあるのでこれをクリックし、開いたメニューから「Settings」をクリックします。これで、設定(Settings)画面が開きます。

Settings

設定画面には「General」と「Data controls」のタブがあるため、このうち「Data controls」を開きます。

Data Controls

 

「Chat History&Training」をオフにする

 

「Data controls」を開くと、一番上に「Chat History&Training」が表示され、デフォルトではこれがON(スイッチが右に入っており、色がついている状態)担っているかと思います。このスイッチに触れてOFFにすることで、オプトアウトの設定は完了です。

Chat History Training

 

ChatGPTを業務利用する際の注意点

 

ChatGPTは非常に便利なツールであり、うまく活用することで大幅な業務効率化につながります。しかし、一つ使い方を誤れば大きなトラブルへと発展しかねません。ChatGPTを業務利用する際には、次の点に注意しましょう。

 

ChatGPTのアウトプットを過信しない

 

当然ながら、ChatGPTは万能ではありません。もっともらしいアウトプットをすることが多いものの、その内容を過信することは避けるべきでしょう。

 

実際に、アメリカのニューヨーク州では、弁護士がChatGPTを活用して裁判の準備書面を作成したもののその中に架空の判例が含まれていたとして問題となっています。これは、仮に準備書面の作成にあたってChatGPTを活用したとしても、弁護士がそのアウトプットを精査していれば防げたトラブルです。

 

 

このように、ChatGPTのアウトプットを過信すると、誤った書類を作成したり誤った情報をもとに業務を進めてしまったりするリスクがあります。場合によっては、企業の信頼が失墜してしまいかねません。

 

ChatGPTはあくまでも補助的な役割と捉え、その内容については別途人の目で真偽や正確性などを確認することが必要です。

 

オプトアウト設定を徹底する

 

先ほど解説したように、Web版のChatGPTを業務で使用するのであれば、オプトアウト設定は不可欠です。オプトアウト設定なしにChatGPTに機密情報を入力してしまえば、入力事項がChatGPTの開発スタッフの目に触れたり、ChatGPTの学習用データに活用されたりするおそれがあるためです。

 

利用に関するルールや制裁規程などを定める

 

ChatGPTは非常に話題となっているため、ChatGPTの存在を知っていたり実際に使ったことがあったりする従業員は少なくないでしょう。もしかすると、経営陣が気付かないうちに、すでに従業員はChatGPTを業務で活用しているかもしれません。

 

しかし、ChatGPTは適切に利用しなければ、トラブルの原因となり得ます。そのため、企業側が率先してChatGPTの業務利用に関するルールを定める必要があるでしょう。

 

また、仮にオプトアウト設定なく機密情報を入力するなど誤った使い方をした従業員に減給などの制裁を科したい場合には、就業規則などのその旨を定めておくことが必要です。

 

ChatGPTに関する社内規程の整備でお困りの際には、弁護士へ相談することをおすすめします。

 

著作権トラブルに注意する

 

ChatGPTを業務利用する際には、著作権トラブルにも配慮しなければなりません。

 

ChatGPTは文章の作成を得意としており、ChatGPTを使えばブログ記事などを作成する手間を大幅に短縮することが可能です。しかし、ChatGPTのアウトプットはインターネット上に存在する学習用データを取り込んで行うものであり、意図せず他者の著作物と非常に似通った記事が生成される可能性があります。

 

そのため、仮にChatGPTのアウトプットをそのままウェブサイトに掲載するなどすれば、著作権侵害であるとしてトラブルとなるかもしれません。ChatGPTと著作権侵害については今後判例が積み重なっていくものと思われますが、当面は自社で自衛するほかないでしょう。

 

たとえば、ChatGPTのアウトプットを掲載前にコピペチェックツールなどにかけ、あらかじめ類似記事の有無を確認するなどです。

 

まとめ

 

ChatGPTのweb版で、入力した情報を学習用データとして活用させない「オプトアウト」の設定が可能となりました。業務でChatGPTを活用するのであれば、この設定は必須であると言えるでしょう。

 

オプトアウトの設定は難しいものではありませんので、忘れないうちにすぐに設定しておくことをおすすめします。

 

また、ChatGPTを業務利用するのであれば、社内規程の整備も不可欠です。社内規程の整備を自社のみで行うことが難しい場合には、弁護士へ相談すると良いでしょう。

 

たきざわ法律事務所では、インターネット法務に力を入れています。ChatGPTの利用に関してトラブルを予防したい際やトラブルが生じてお困りの際などには、たきざわ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

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サンカラ

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