工事請負契約の「減額請求」の進め方は?工事に問題があった場合の対応を弁護士が解説
工事請負契約を締結して工事を発注したものの工事に何らかの問題がある場合、工事請負代金の減額請求ができる可能性があります。
では、工事請負契約で定めた報酬の減額請求ができるのは、どのようなケースなのでしょうか?また、工事請負契約の減額請求はどのように進めればよいのでしょうか?今回は、工事請負契約の減額請求の概要や工事請負代金の減額請求ができるケース、工事請負契約の減額請求の進め方などについて弁護士がくわしく解説します。
なお、当事務所(たきざわ法律事務所)は不動産法務に特化しており、不動産にまつわるトラブル解決について豊富な実績を有しています。工事請負契約について減額請求をご検討の際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
目次
工事請負契約の減額請求とは?
工事請負契約による請負代金の減額請求とは、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものである場合に、施主側から工事の減額を求めるものです(民法563条、559条)。
建物の新築工事やリフォーム工事について、契約時に取り決めた仕様とは異なる施工がされることがあります。たとえば、仕様書ではあるはずの場所にコンセントの差込口がない場合や、無垢材での施工を依頼した床が複合材で施工されている場合などがこれに該当します。
このように、種類や品質、数量が契約内容とは異なる場合に施工会社側に生じる責任を、「契約不適合責任」といいます。ただし、契約不適合があってもその責任が施主側にある場合は、契約不適合責任の追及はできません。
工事に契約不適合がある場合、施主は工事請負契約の直接の締結先である施工会社に対して責任を追及できます。具体的な責任追及の方法は、追完(修補など)の請求や代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などです。
このように、工事請負代金の減額請求は、契約不適合があった場合における請求メニューの1つです。
工事請負契約によって引き渡された目的物に契約不適合がある場合、実際に請求できる事項は不適合の内容などによって異なります。工事に契約不適合がありお困りの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。当事務所は不動産法務に特化しており、状況に応じて最適な対応策の提案が可能です。
工事請負契約の減額請求ができるケース
工事請負契約で定めた工事代金の減額請求ができるのは、どのようなケースなのでしょうか?ここでは、減額請求ができるケースを2つ解説します。
なお、たきざわ法律事務所は不動産法務に特化しており、工事請負代金の減額請求についても豊富なサポート実績を有しています。契約不適合があり責任の追及方法をご検討の際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
工事に契約不適合があり、催告しても追完されない場合
1つ目は、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をしたにもかかわらず、その期間内に履行の追完がない場合です(同563条1項)。
工事に契約不適合があったとしても、原則として、はじめから工事請負代金の減額請求をすることはできません。まずは、工事のやり直しや補修などをするよう、相当の期間を定めて施工会社に催告をします。その期間内に履行の追完がない場合に、工事請負代金の減額請求が可能となります。
工事に契約不適合があり、追完不能など一定の場合
2つ目は、追完不能など一定の場合です(同563条2項)。
そもそも追完(工事のやり直しや補修)が不能であれば、追完をしても仕方がないでしょう。そのため、次の場合には追完を求めることなく、はじめから工事請負代金の減額を請求できます。
- 履行の追完が不能であるとき
- 施工会社が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
- 契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、施工会社が履行の追完をしないでその時期を経過したとき
- その他、催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき
なお、「3」は言い回しが難しいものの、たとえば万博のようにその期日に間に合わなければ意味のない工事が想定できます。万博用の建物に契約不適合がある場合、万博を終えてから追完されても意味がないでしょう。この場合には、追完の催告をすることなく代金減額を請求できます。
工事請負契約の減額請求をする流れ
工事請負契約で定めた工事請負代金の減額は、どのような流れで請求すればよいのでしょうか?ここでは、工事代金の減額を求める一般的な流れを解説します。
契約不適合の存在を確認する
はじめに、契約不適合の存在や不適合の具体的な内容を確認します。併せて、現地の写真・動画や取り交わした契約書など、不適合があることを示す証拠を残しておきましょう。
弁護士に相談する
契約不適合の存在を確認したら、弁護士に相談します。相談先の弁護士は、不動産法務に特化した事務所を選ぶとよいでしょう。
工事請負代金の減額について相談できる弁護士をお探しの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
具体的な請求内容を検討する
弁護士に相談したうえで、具体的な請求内容を検討します。また、減額を求めるにしてもどの程度の減額が妥当であるか、事前に検討しておきましょう。
(追完不能などではない場合)追完を請求する
先ほど解説したように、追完不能であるなど一定の場合を除いては、工事請負代金の減額請求に先立って追完を求めなければなりません。「期間を定めて追完を請求した」ことの証拠を残すため、追完請求は書面で行うことをおすすめします。
また、可能であれば内容証明郵便も活用するとよいでしょう。内容証明郵便とは、いついかなる内容の文書が誰から誰に差し出されたかを、日本郵便株式会社が証明するサービスです。
内容証明郵便を使うことで、「そのような書類は受け取っていない」という主張を封じやすくなります。弁護士に依頼する場合、弁護士が代理で追完請求をすることも可能です。
代金減額請求をする
所定の期間を経過しても履行が追完されない場合や、追完不能など一定の場合に該当する場合は、施工会社に対して工事請負代金の減額を請求します。
代金減額請求も、書面で行うことで請求した旨の証拠を残しやすくなります。相手方がこれに反論しそうであるなどトラブルが予見される場合には、弁護士に代理で請求してもらうとよいでしょう。
工事請負契約の減額請求ができる期間
工事請負契約で定めた代金の減額請求は、引渡後いつまでもできるわけではありません。ここでは、工事請負代金の減額請求ができる期間を解説します。
原則
工事請負契約について代金減額請求などの契約不適合責任を追及するには、原則として、施主が契約不適合に気付いてから1年間以内に施工会社にその旨を通知する必要があります(同637条)。
カウントの始期は「不適合を知ってから」であるため、たとえば引渡しから2年後に不適合に気付いても、そこから1年以内に通知すれば構いません。
ただし、民法の通常の消滅時効も適用されます。消滅時効は、次のいずれか早いときです。
- 施主が権利行使できることを知った時から5年間
- 権利行使ができる時(引渡時)から10年間
つまり、原則としては契約不適合に気づいてから1年以内に通知すればよいものの、引渡しから10年を経過した以降は契約不適合を理由とする代金減額請求はできなくなるということです。
なお、工事請負契約により発注した住宅の新築工事であり、不適合が構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に生じている場合は、引渡しから10年間は代金減額請求などの責任追及が可能とされます(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条)。
契約で原則とは異なる定めがある場合
契約不適合の追及期間は、契約の定めによって変更できます。そのため、契約不適合責任の追及期間として契約書に「(不適合に気付いてからではなく)引渡しから1年以内」などと定められている場合には、原則として契約書の定めが優先されるため、注意しなければなりません。
ただし、施主が消費者であるなど一定の場合には消費者契約法の規定が適用され、消費者側に一方的に不利な条項が無効化できる可能性があります。
引渡しから時間が経っており、工事請負代金の減額請求ができるか否か判断に迷う場合には、たきざわ法律事務所までお早めにご相談ください。
工事請負契約の減額に関するよくある質問
続いて、工事請負契約の減額に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
工事請負契約を減額する場合、印紙税はどうなる?
当初の工事請負契約に記載した請負金額を減額する旨の契約書を取り交わす際、原則としてその減額を定める契約書には印紙を貼る必要はありません。ただし、原契約書がない場合など一定の場合には、減額後の契約金額を基礎として印紙を貼る必要があるため、注意しましょう。
なお、工事請負代金の「増額」である場合には、当初の契約金額との差額部分を基礎として印紙税を納めることとなります。
工事請負契約の減額請求と損害賠償請求は併用できる?
工事請負代金の減額請求と併せて損害賠償請求をすることができます。代金減額請求権の行使は、損害賠償を妨げないことが民法に明記されているためです(民法564条)。
ただし、損害賠償請求をするには、施工会社側の債務不履行(契約不適合)により損害を被った事実が必要です。代金減額請求ができる要件と損害賠償請求ができる要件は同一ではないため、まずは弁護士に相談したうえで請求内容を検討することをおすすめします。
工事請負契約に対して代金減額請求や損害賠償請求をご検討の際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。
工事請負契約の減額でお困りの際はたきざわ法律事務所にご相談ください
工事請負契約の減額でお困りの際は、たきざわ法律事務所にご相談ください。最後に、当事務所の主な特長を3つ紹介します。
不動産会社様や不動産オーナー様へのサポート実績が豊富にある
たきざわ法律事務所は不動産法務に力を入れており、不動産会社様や不動産オーナー様へのサポート実績を豊富に有しています。契約不適合による代金減額請求や損害賠償請求についても豊富な対応実績を有しているため、安心してご相談いただけます。
フットワークが軽い
たきざわ法律事務所の弁護士は比較的年齢が若く、フットワークの軽さを自負しています。「できるだけすぐに相談したい」などのご要望にも可能な限りおえするため、まずはお気軽にお問い合わせください。
難しい言葉を使わない
せっかく弁護士に相談をしても、難しい言葉を並べられて「結局、どうすべきなのか」が十分に理解できなければ、不安や不満が残ってしまうことでしょう。たきざわ法律事務所はできるだけ難しい言葉を使わずにアドバイスを行うため、「今、何をすべきか」や「今、何を検討すべきか」が明確となります。
まとめ
工事請負契約の減額請求や工事請負代金が減額できるケース、工事請負代金の減額を請求する流れなどを解説しました。
工事請負契約により発注した工事に契約不適合がある場合、工事請負代金の減額請求が選択肢に入ります。原則として、工事請負代金の減額請求に先立って追完請求をする必要があるものの、一定の場合は追完請求を経ることなく代金減額請求が可能です。
工事請負契約で定めた代金の減額をご希望の際は、まず弁護士に相談したうえで、請求の進め方などを検討するとよいでしょう。相談先は、不動産法務に特化した事務所を選ぶことをおすすめします。
たきざわ法律事務所は不動産会社様や不動産オーナー様への豊富なサポート実績を有しています。工事に問題があり、工事請負契約で定めた工事代金を減額したいとお考えの際は、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。



