【2024】雑談たぬきで誹謗中傷されたら?相手の特定方法や法的措置を弁護士が解説
「雑談たぬき」とは、インターネット上の匿名掲示板の一つです。元々は、いわゆるヴィジュアル系(V系)バンドについて情報交換をする「V系初代たぬき」という掲示板があり、そこからV系以外の話題を投稿する場として派生したのが「雑談たぬき」です。
雑談たぬきには、まさに「雑談」としてさまざまな情報が書き込まれ、中には誹謗中傷を侵害する内容が書き込まれることもあります。では、雑談たぬきで誹謗中傷がなされたら、どのように対応すればよいのでしょうか?また、匿名での投稿であっても、相手に法的措置をとることはできるのでしょうか?
今回は、医院やクリニック、そのスタッフなどが雑談たぬきで誹謗中傷された場合の対応について、弁護士がくわしく解説します。
目次
雑談たぬきでの誹謗中傷に法的措置はとれる?
雑談たぬきで誹謗中傷された場合、相手に対して法的措置は可能なのでしょうか?はじめに、法的措置の内容と匿名の場合の対応について解説します。
誹謗中傷は法的措置の原因となる
雑談たぬきなどインターネット掲示板での誹謗中傷は、法的措置の対象となります。ただし、法的措置が可能なのは、誹謗中傷が権利侵害にあたる場合だけです。
たとえ不快な内容であっても、権利侵害とまではいえない場合は、法的措置はとれません。法的措置の可否を自身で判断することは容易ではないため、お困りの際は弁護士へご相談ください。
雑談たぬきでの誹謗中傷に対してとり得る主な法的措置を2つ紹介します。
損害賠償請求
1つ目は、損害賠償請求です。
損害賠償請求とは、相手の不法行為によって生じた損害や精神的苦痛を償ってもらうため、相手に金銭の支払いを求めることです。
誹謗中傷で認められる損害賠償の額は、数十万円程度となることが一般的です。ただし、医院やクリニックなどへの誹謗中傷で営業上の損失が生じた場合には、百万円以上など高額な損害賠償が認められる可能性があります。
適切な損害賠償請求額は誹謗中傷の内容や態様、生じた損害などによって異なるため、弁護士へご相談ください。
刑事告訴
2つ目は、刑事告訴です。
刑事告訴とは、犯罪行為があった事実と犯人の処罰を求める旨を、警察などの捜査機関に申告することです。
雑談たぬきでの誹謗中傷は、刑法上の侮辱罪や名誉毀損罪、脅迫罪、業務妨害罪などの罪にあたる可能性があります。しかし、よほど過激な脅迫などでない限り、誹謗中傷について警察などが独自に捜査を開始することはほとんどありません。
中でも、侮辱罪と名誉毀損罪は被害者からの告訴がなければ犯人を処罰できない「親告罪」であるため、相手を罪に問いたいのであれば、刑事告訴は必須です。
刑事告訴が受理されると必要に応じて相手が逮捕されます。その後、警察や検察が捜査をして、起訴か不起訴かが決まります。起訴されると刑事裁判が開始され、相手の有罪・無罪や具体的な量刑などが決まります。
相手が匿名でも法的措置は可能?
雑談たぬきでの誹謗中傷は、匿名でなされることがほとんどです。そのため、法的措置を諦める人も少なくないでしょう。
しかし、相手が匿名であっても法的措置を諦める必要はありません。なぜなら、誹謗中傷などの権利侵害があった場合は、発信者情報開示請求をすることによって、相手を特定できる可能性が高いためです。
発信者情報開示請求とは、雑談たぬきの運営者や相手が接続に使ったプロバイダ(SoftbankやOCNなど)に対して、投稿者の情報開示を求める手続きです。
とはいえ、雑談たぬきや接続プロバイダに対して直接情報の開示を求めても、開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。そのため、発信者情報開示請求は、裁判手続きによって行うことが一般的です。この開示請求を自身で成功させることは容易ではないため、弁護士へ相談するとよいでしょう。
雑談たぬきで誹謗中傷された場合に避けるべき対応
雑談たぬきで誹謗中傷された場合に避けるべき対応には、どのようなものがあるのでしょうか?ここでは、避けるべき対応を4つ解説します。
相手に直接反論したり仕返しをしたりする
1つ目は、相手に対して直接反論や仕返しをすることです。このようなことをすれば、相手が逆上し、誹謗中傷がエスカレートするおそれがあるからです。
また、「炎上」状態となり、他のユーザーも誹謗中傷に「参戦」して収拾がつかなくなる可能性もあるでしょう。そして、言い返した内容などによっては法的措置をとるにあたって不利となる可能性があるほか、相手から反対に誹謗中傷であるなどとして法的措置をとられるリスクも生じます。
そのため、相手に言い返したり仕返しをしたりすることは避けるべきです。
対応に悩んで長期間放置する
2つ目は、対応に悩んで長期間放置することです。
インターネット上での誹謗中傷への対応は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。なぜなら、投稿のログは永久に保存されるわけではなく、3か月から6か月程度の一定期間が経過すると消えてしまうためです。
たとえ開示が相当と判断されても、既に消されて存在しなくなっている情報の開示は受けようがありません。つまり、匿名の投稿者を特定して法的措置をとるためには、ログの保存期間内に開示を受けるか、少なくとも裁判所からログの消去禁止命令を出してもらわなければならないということです。
そのため、雑談たぬきで誹謗中傷されていることに気付いたら、できるだけ早期に対応に取り掛かることをおすすめします。
無理に自分で対応しようとする
3つ目は、無理に自分で対応しようとすることです。
雑談たぬきでの誹謗中傷への対応を自分ですることは、容易ではありません。開示請求は単に書類の空欄を埋めて裁判所に提出すればよいものではなく、状況に応じて適切な手続きを選択したうえで、法令の根拠や証拠を元に権利侵害があった旨(つまり、開示が相当であると考える理由)を書面で説明する必要があります。
これらに不備があれば、情報の開示を受けることはできません。また、自分で手続きをしようと調べているうちに、ログの保存期間が過ぎてしまうおそれもあります。
そのため、雑談たぬきでの誹謗中傷に対して法的措置を検討している際は、インターネット上での誹謗中傷トラブルに強い弁護士に相談することをおすすめします。
焦って削除請求をする
4つ目は、焦って削除請求をすることです。
削除請求とは、雑談たぬきの運営者に問題の投稿を「通報」し、削除を求めることです。投稿された誹謗中傷が他のユーザーに見られたくない内容である場合、削除請求が一つの選択肢となります。
ただし、削除請求が認められて問題の投稿が消えるということは、すなわち誹謗中傷の証拠が消えてしまうということです。そのため、削除請求をするのであれば、あらかじめ誹謗中傷の証拠を十分に残し、弁護士に確認を受けたうえで行ってください。
雑談たぬきで誹謗中傷された場合の対応の流れ
雑談たぬきで誹謗中傷された場合、どのような流れで対応すればよいのでしょうか?ここでは、基本的な対応の流れを解説します。
雑談たぬきに投稿された誹謗中傷の証拠を残す
はじめに、誹謗中傷の証拠を残します。証拠は、スクリーンショットの撮影で残すことが一般的です。
スクリーンショットは、次の内容が漏れなく掲載されるように撮影してください。
- 誹謗中傷投稿の内容
- その投稿と関連する前後の投稿
- 誹謗中傷投稿の日時
- 投稿されたページのURL
弁護士へ相談する
誹謗中傷の証拠を残したら、できるだけ早期に弁護士に相談します。相談の際は撮影したスクリーンショットを確認してもらいましょう。そのうえで、証拠に不備があれば、追加での撮影を行います。
法的措置の内容を検討する
弁護士に相談したうえで、法的措置の内容を検討します。損害賠償請求だけをするのか、損害賠償請求と刑事告訴の両方の措置を講じるのかなどです。
投稿者を特定する
次に、投稿者の特定を試みます。先ほど解説したように、これは裁判手続きによって行います。投稿者の特定は、次の2段階で行うことが一般的です。
- 雑談たぬきに開示請求をして、投稿のIPアドレスやタイムスタンプなどの情報を入手する
- 1で入手した情報をもとに接続プロバイダに開示請求をして、プロバイダ契約者の住所や氏名などの情報を入手する
なお、プロバイダ責任制限法の改正によって創設された発信者情報開示命令手続きを使うことで、これらの2ステップを一つの手続きにまとめることができます。これにより、開示までの期間短縮が期待できるでしょう。
ただし、発信者情報開示命令は非訟手続きであり、プロバイダ側の出方によってはむしろ発信者情報開示請求よりも長い時間がかかるおそれもあります。そのため、いずれの手続きを選択すべきかは、弁護士へ相談したうえで検討することをおすすめします。
法的措置を講じる
投稿者が特定できたら、損害賠償請求や刑事告訴など具体的な法的措置に入ります。
損害賠償請求をする場合は、まず弁護士から内容証明郵便を送って行うことが一般的です。この時点で相手が謝罪をして請求した額を支払えば、示談の成立となり事件は終結します。一方で、相手が請求に応じない場合は、裁判上での損害賠償請求へと移行します。
刑事告訴をする場合は、警察などに告訴状を提出します。告訴は本来、口頭でも可能であるものの、実務上は告訴状の提出によって行うことがほとんどです。
雑談たぬきで誹謗中傷された場合の対応ポイント
続いて、雑談たぬきで誹謗中傷された場合の対応ポイントを、2つにまとめて紹介します。
早期に対応に取り掛かる
1つ目は、できるだけ早期に対応に取り掛かることです。
先ほど解説したように、インターネット上での誹謗中傷への対応は時間との勝負といっても過言ではありません。投稿から時間が経てば投稿者の特定ができなくなる可能性が高くなるため、早期に対応に取り掛かりましょう。
インターネット上での誹謗中傷トラブルに強い弁護士に相談する
2つ目は、インターネット上での誹謗中傷トラブルに強い弁護士に相談することです。
インターネット上での誹謗中傷に対してスムーズに対応するには、法令や裁判手続きに関する理解や経験が不可欠と言えます。そのため、誹謗中傷トラブルへの実績が豊富な弁護士にサポートを受けることが、法的措置成功へのカギとなります。
雑談たぬきでの誹謗中傷でお困りの際は、たきざわ法律事務所へご相談ください
雑談たぬきで誹謗中傷をされてお困りの際は、たきざわ法律事務所までご相談ください。最後に、たきざわ法律事務所へご相談いただく主なメリットを4つ紹介します。
スムーズで確実な対応が可能である
たきざわ法律事務所はフットワークの軽さをウリとしており、スムーズな対応に自信を持っています。また、インターネット上での誹謗中傷トラブルへの対応実績が豊富であり、確実な対応が可能です。
難しい用語を使わないため、法的措置の理解がしやすい
たきざわ法律事務所は、ご相談をお受けする際やご依頼者様とともに具体的な方針を検討する際などに、難しい用語を使わないよう心がけています。そのため、自身がとれる法的措置の内容や、「今、自身は何をすべきか」などが理解しやすくなります。
医院やクリニックにまつわる他の問題も相談できる
たきざわ法律事務所は、医院やクリニックからの相談に特化しています。そのため、雑談たぬきでの誹謗中傷トラブル以外にも、患者とのトラブルやスタッフとのトラブル、医師の先生の個人的なお困りごとなど、その他の問題についてもご相談いただけます。
最適な対応をご相談者様ごとに提案する
たきざわ法律事務所では、いわゆる流れ作業のようにトラブル対応をするのではなく、個々のご相談者様の状況やご希望に応じて、最適な対応プランをご提案します。そのため、多くのご相談者様から「相談してよかった」「依頼してよかった」とのお声をいただいています。
まとめ
雑談たぬきで誹謗中傷された場合にとり得る法的措置や、誹謗中傷された場合の対応の流れなどを解説しました。
雑談たぬきなどインターネット掲示板での誹謗中傷には、損害賠償請求や刑事告訴などの法的措置が検討できます。誹謗中傷されていることに気付いたらその場で証拠を残したうえで、早期に弁護士へご相談ください。雑談たぬきでの誹謗中傷への対応は、早期の対応がカギとなるためです。
たきざわ法律事務所ではインターネット上での誹謗中傷トラブル対応に力を入れており、雑談たぬきでなされた誹謗中傷についても多くの対応実績があります。医院やクリニック、スタッフなどが雑談たぬきで誹謗中傷されてお困りの際には、たきざわ法律事務所までお気軽にご相談ください。