たきざわ法律事務所

【2022】健康経営優良法人とは?認定されるメリット&認定されるための取り組み

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健康経営に社会の注目が集まっており、従業員の採用に有利に働くことや、自治体や金融機関からのインセンティブが与えられるケースが増えています。内部通報窓口を設置し、企業の組織作りから健康経営を目指しましょう。

 

健康経営とは?

 

経済産業省の資料によると、「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することとされています。健康経営とは、定期健康診断を実施・推奨したり、従業員の心と身体の健康づくりのため保健指導やメンタルヘルス対策などをしたりすることです。

 

このような健康保持や健康増進の取り組みを行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上など組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

 

経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として健康経営銘柄の選定や、健康経営優良法人認定制度を創設し、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」しています。

 

この制度の認定を受けることで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的な評価を受けることができます。

 

健康経営がクローズアップされる背景

 

日本政府が健康経営を推奨する理由の一つに、日本が抱える高齢化の現状があります。

 

世界各国の中でも高齢化率が26%以上に達している日本は、高齢になっても健康で働くことができる社会の仕組みが求められるのです。そこで、企業にも健康経営を行ってもらい、国民にできるだけ長く働いてもらいたいという狙いがあるのです。生涯現役社会の構築に向けた取り組みの一環であるということもできます。

 

そして、健康経営は日本社会が予防・健康管理へ重点を移していく流れの一環なのです。

 

社内における健康経営のメリット

 

健康経営の語源は、アメリカの臨床心理学者ロバート・ローゼン(Robert H.Rosen)氏が著書『ヘルシー・カンパニー―人的資源の活用とストレス管理 』の中で使用した「ヘルシー・カンパニー(Healthy Company)」です。この本において、ローゼン氏は従業員の健康が組織に与える影響は多大なものであると明らかにしました。

 

そして、心身ともに健康な従業員が多い企業は、そうでない企業に比べて生産性が高く、離職率や医療費負担が低いなどのメリットを示しました。

 

健康経営に係る顕彰制度とは?

 

地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議において示された健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度があります。

 

健康経営優良法人認定制度がそれであり、健康経営に取組む優良な法人を「見える化」しています。この顕彰制度によって、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取組んでいる法人」として社会的に評価を受けられるのです。

 

健康経営優良法人の選定

 

健康経営優良法人の認定は、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門に分かれています。健康経営優良法人(大規模法人部門)の令和3年度健康経営度調査(第8回)での認定数は2,299件であり、1年前と比較して498件増加しました。

 

そして、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の申請・認定状況ですが、申請数が前回から3,446件増加の12,849件です。そして、認定数は前回から4,321件増加の12,255件と増加しています。

 

次に、都道府県別の健康経営優良法人(中小規模法人部門)の都道府県別の認定数では、大阪府に続き、愛知県、東京都の順に認定法人数が多かったようです。業種別では、建設業の認定法人数がトップで、製造業、運輸業が続いています。

 

「ホワイト500」と「ブライト500」を比較

 

上場企業を対象に、「健康経営銘柄」の選定が2014年度から行われ、2016年度からは「健康経営優良法人認定制度」がスタートしています。認定は、「健康経営の取り組みに関する地域への発信状況」と「健康経営の評価項目における適合項目数」を評価することで行われます。

 

そして、大規模法人部門の上位層には「ホワイト500」、中小規模法人部門 の上位層には「ブライト500」の冠を付加しており、特に健康経営に積極的な取り組みを実施している企業として認定されています。

 

ホワイト500に認定された大規模法人には、グループ会社全体や取引先、地域の関係企業、顧客、従業員の家族などに健康経営の考え方を普及拡大していく「トップランナー」の一員としての役割が求められています。

 

ブライト500に認定された中小規模法人に対しては、引き続き自社の健康課題に応じた取り組みを実践し、地域における健康経営の拡大のために、その取り組み事例の発信等を行う役割が求められています。

 

健康経営優良法人に認定されるメリット

採用面接

 

健康経営を進め、健康経営優良法人に認定されると社会的な評価に変化は生じるのでしょうか?

 

健康経営優良法人2017および2018に連続認定された法人に対し、健康経営優良法人認定後の変化や効果についてアンケートが実施され(平成30年度)、大規模・中小規模ともに、多様なステークホルダーから評価が得られたとの声があがっています。

 

メリット①:従業員の採用に有利になる

 

健康経営を進めることは、従業員を採用する際には有利になります。

 

就職活動を行っている学生および就職を控えた学生を持つ親に対して、健康経営の認知度および就職先に望む勤務条件等について、「どのような企業に就職したいか」「どのような企業に就職させたいか」といったことについてアンケートが実施されました。この結果によると、「従業員の健康や働き方への配慮」は就活生・親双方で特に高い回答率を得ました。

 

併せて、「就活生が、親の意見を参考にするか否か」についても調査が行われています。7割が「親の意見を考慮する」と回答していることから、就職先を検討する上で親が持つ企業イメージや情報は重要な要素を占めることがわかります。

 

また、ハローワークの求人票やハローワークインターネットサービスでは、健康経営についての各種認定制度のロゴマークが利用可能です。健康経営についての認定メリットの向上や労働市場へのアプローチが、より有利な状況となっているのです。

 

メリット②:自治体や金融機関によるインセンティブが付与される

 

 

自治体や金融機関、取引相手等が、各法人の健康経営の実践状況をチェックするケースも増えているようです。そして、健康経営に対する措置として、インセンティブを付与する自治体、金融機関等が増加しています。

 

たとえば、自治体が行う公共工事や入札審査で入札において加点されることや、「健康経営優良法人」等の認定を受けている中小企業・小規模事業者に対して特別利率・保証料率により融資する例があります。

 

そして、銀行等が提供するインセンティブとしては、融資優遇 ・保証料の減額や免除を実施している銀行があります。また、保険会社では従業員が被った業務上の災害をカバーする保険商品において、「健康経営優良法人認定割引」として5%の割引を適用する保険会社もあります。

 

このような健康経営優良企業を優遇する社会の動きは、益々拡大していくことは間違いないでしょう。

 

最適解を提案します

 

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健康経営優良法人の認定基準&チェックポイント

 

健康経営優良法人に認定されるためには、会社内で従業員の健康促進に向けたさまざまな取り組みを実施する必要があります。認定フローや認定要件は、大規模法人部門と中小規模法人部門でやや異なりますが、従業員の健康促進が目的なので、次のように評価構造に違いはありません。

 

  1. 経営理念・方針
  2. 組織体制
  3. 制度・施策実行
  4. 評価改善

「健康経営優良法人」の選定・認定フロー

 

健康経営優良法人の認定フローは、大規模法人部門と中小規模法人部門で異なります。中小規模法人部の認定フローは以下の(1)〜(5)の流れになります。

 

  • (1) 加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合連合会、国保組合等)が実施している健康宣言事業に参加

  • (2) 自社の取組状況を確認し、 中小規模法人部門の認定基準に該当する具体的な取組を申請書に記載

  • (3) 日本健康会議認定事務局へ申請

  • (4) 認定審査

  • (5) 日本健康会議において認定

 

大規模法人部門の認定フローは、次の(1)〜(3)の流れになります。

 

  • (1) 「従業員の健康に関する取り組みについての調査」(健康経営度調査)に回答し日本健康会議認定事務局へ申請

  • (2) 認定審査

  • (3) 日本健康会議において認定

 

(中小規模法人部門)認定要件

 

健康経営優良法人として認定されるためには、どのような要件があるのでしょうか?中小規模法人部門の認定要件には、取り組みが必須とされている項目と、いくつかの評価項目のなかから複数を選択する項目の2種類があります。

 

必須項目については、以下1~5が該当しますので、この取り組みは必ず実施しなければなりません。

  1. 経営理念・方針の項目として、健康宣言の社内外への発信・経営者自身の健診受診
  2. 組織体制の項目として、健康づくり担当者の設置、および(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供
  3. 制度・施策実行の項目として、健康経営の具体的な推進計画、受動喫煙対策に関する取り組み
  4. 評価・改善の項目として、健康経営の取り組みに対する評価・改善
  5. 法令遵守・リスクマネジメントの項目として、定期健診の実施、50人以上の事業場においてストレスチェックの実施、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと等

 

従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討として、①~③のうち2項目以上

 

  • ①従業員の健康診断の受診(受診率実質100%)

  • ②受診勧奨に関する取り組み

  • ③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施

 

健康経営の実践に向けた土台づくりとして、④~⑦のうち1項目以上

 

  • ④管理職・従業員への教育

  • ⑤適切な働き方の実現に向けた取り組み

  • ⑥コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み

  • ⑦私病等に関する両立支援の取り組み

従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策として、⑧~⑮のうち4項目以上

 

  • ⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み

  • ⑨食生活の改善に向けた取り組み

  • ⑩運動機会の増進に向けた取り組み

  • ⑪女性の健康保持・増進に向けた取り組み

  • ⑫長時間労働者への対応に関する取り組み

  • ⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み

  • ⑭感染症予防に関する取り組み

  • ⑮喫煙率低下に向けた取り組み

 

健康経営顕彰制度のスケジュール

 

健康経営優良法人の認定は、年に一度です。健康経営優良法人の発表は申請を行った年度末の3月に行われますから、申請からおよそ半年後となります。

 

申請は、大規模法人部門と中小規模法人部門で異なります。大規模法人部門の場合、健康経営度調査回答企業の中から選定されるため、9月〜10月に健康経営度調査を実施します。中小企業法人の場合も、9月~10月に申請受付期間が設けられますので、この期間内に日本健康会議認定事務局へ申請を行います。

 

ただし、中小企業法人の場合、加入している保険者が実施している健康宣言事業に参加しなければなりませんから、余裕をもって申請を進めましょう。

 

健康経営優良法人の選定を目指すなら内部通報窓口の設置から始めよう

内部通報

 

健康経営優良法人を目指すといっても、企業だけで進めるのは簡単なことではありません。また、直近で法改正された「公益通報者保護法」や、中小企業にも対象範囲が広がったパワハラ防止法への対応も求められています。

 

そこで、まず内部通報窓口の設置から始め、組織の改革に着手しましょう。

 

内部通報窓口についての法規制

 

2020年6月に「公益通報者保護法」が改正され、従業員301人以上の企業や医療法人、学校法人、その他公益法人等に内部通報制度の整備が義務付けられました。なお、従業員300人以下の企業は努力義務とされています。

 

また、2020年6月1日に施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が、2022年4月1日からは中小企業にも対象範囲が広がりました。

 

内部通報制度(公益通報制度)は、社内での不正発見を容易にするための制度です。社内における不正行為を発見した従業員等からの報告について、上司を通じた通常の報告ルートとは異なる報告ルートを設けることで、組織的な隠蔽を防ぎます。そして、「パワハラ防止法」では、ハラスメント(パワハラ)相談窓口の設置が求められます。

 

内部通報窓口を設置するメリット

 

内部通報窓口を設置するメリットとしては、次の(1)〜(3)を挙げることができます。

 

  • (1) 社内での不正を早期に発見し対処することを可能とする

  • (2) 行政機関や報道機関へ外部通報されるリスクを減らす

  • (3) ステークホルダーからの信頼獲得に役立つ

 

一般企業で重要になる通報対象事実には、不正な売上計上や談合、贈収賄、データ偽装、品質偽装などさまざまありますが、ハラスメントや違法労働など健康経営やパワハラ防止の観点からも求められる内容が含まれています。

 

ハラスメント相談と公益通報のどちらも受付けられる窓口を設置することで、窓口担当従業員を配置する必要がなくなるメリットも考えられます。

 

健康経営には内部通報窓口の設置が効果的

 

「公益通報者保護法」の改正に対応した内部通報窓口を設置、そして「パワハラ防止法」の中小企業への対象範囲の拡大に対応したハラスメント相談窓口の設置がいま求められます。これらの法律に対応し、その制度運用をより効果的なものとするため、弁護士のような社外の専門家に外部窓口として依頼するケースが多いようです。

 

内部通報窓口や相談窓口を設置し、外部専門家にその運用を依頼することで、パワハラの防止や従業員にとって働きやすい組織作りにつながり、ひいては健康経営につなげていくことができるのです。

 

まとめ

 

健康経営に社会の注目が集まっています。経済産業省では、健康経営に積極的に取組む企業を健康経営優良企業として顕彰しています。

 

健康経営優良法人として認定を受けることで、従業員の採用に有利になることや、自治体や金融機関から優遇措置を受けられることもあります。

 

中小企業では、パワハラ防止法、内部通報制度(公益通報制度)への対応が相次いで求められています。そこで法律を遵守するため、まず内部通報窓口の設置から始める企業が多くあります。

 

特に、外部の相談窓口として、弁護士のような法律の専門家を活用することが効果的と考えられます。そして、専門家のアドバイスをもとに、組織作りや健康経営に向けた取り組みを実施すると良いでしょう。

 

たきざわ法律事務所は、フットワークの軽さに定評がある法律事務所です。外部の相談窓口や内部通報窓口として適任だと考えております。外部の相談窓口や内部通報窓口の設置をお考えの場合は、ぜひご相談ください。

 

 

 

 

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