たきざわ法律事務所

起業時にも受けられる「融資制度」は?融資を受けるポイント

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起業直後は、事業を軌道に乗せるために特に多くの資金が必要となります。その一方で、起業時にはまだ企業の信用が育っていないため、資金調達に悩む場合が少なくないでしょう。

 

しかし、起業時にも受けられる融資制度は複数存在します。今回は、起業時にも受けられる融資制度を紹介するとともに、融資の審査で確認されやすいポイントなどについて詳しく解説します。

 

起業時に受ける融資の選択肢には何がある?

起業時に受ける融資の選択肢には何がある?

 

起業時にはまだ会社の信用が育っておらず、民間の金融機関からプロパーでの融資を受けることは容易ではありません。しかし、次に挙げた融資であれば、起業時の資金調達の選択肢の一つとなります。

 

日本政策金融公庫の融資制度

 

日本政策金融公庫とは、一般の金融機関が行う金融を補完する役割を持つ、政府系の金融機関です。一般の金融機関からの融資を受けづらい起業直後の企業などを対象に、さまざまな融資制度を設けています。

 

日本政策金融公庫が行っている具体的な融資制度については、後ほど解説します。なお、一般の金融機関とは異なり、預金することやメインバンクとすることはできません。

 

自治体独自の融資制度

 

自治体によっては、独自の融資制度を設けている場合があります。

 

たとえば、東京都には創業計画中の個人や創業した日から5年未満である中小企業者などを対象に、最大3,500万円の融資を行う制度が存在します。これは、東京都と東京信用保証協会、金融機関の三者が協調して行うもので、それぞれが担う役割は次のとおりです。

 

  • 金融機関:融資をする

  • 東京信用保証協会:利用者が金融機関から融資を受ける際にその債務を保証する

  • 東京都:利用者が東京信用保証協会に支払う信用保証料の補助と、金融機関に対する貸付原資の預託をする

 

融資制度の有無や内容は自治体によって異なりますので、起業をする都道府県や市区町村に独自の制度がないか確認しておくと良いでしょう。

 

親族などからの融資

 

親族などが潤沢な資金を持っている場合には、これら身近な人からの借り入れも選択肢の一つとなります。ただし、事業がうまくいかず返済が滞った場合などには、関係性にひびが入ってしまう可能性が否定できません。

 

身近な人から借り入れをする場合には、身内だからといって返済をズルズルと引き延ばすようなことはせず、金融機関からの借り入れなどと同様に計画的に返済をしていく必要があるでしょう。

 

信用保証協会の保証付き融資

 

信用保証協会とは、信用保証を通じて資金調達をサポートする機関です。

 

起業して間もない企業が民間の金融機関から融資を受けづらい理由は、その企業が借りたお金を本当に返済してくれるかどうか、金融機関が判断しづらいためです。そこで、万が一返済が滞った場合には、信用保証協会がその企業の代わりに金融機関へお金を返すとすることで、金融機関は安心して融資をすることが可能となります。

 

つまり、企業側からすれば融資が受けやすくなるということです。一方、信用保証協会に保証料を支払う必要がありますので、借り入れにかかるコストは通常よりも高くなります。

 

起業時の融資審査の主なポイント

起業時の融資審査の主なポイント

 

融資を受ける際には通常、これまでの返済実績や業績などが大きな判断材料となります。しかし、起業時にはまだこれらの実績がないことが一般的です。

 

では、起業時に受ける融資の審査ではどのような点が重視されるのでしょうか?主なポイントを4つに分けて解説します。

 

各融資制度の趣旨や要件に沿っているか

 

起業時に融資を受ける際は、日本政策金融公庫などの制度融資を活用することが少なくありません。これらの制度にはそれぞれ対象者や要件が定められており、多くの制度ではその制度が設けられた趣旨や目的も公表されています。

 

制度の趣旨や要件から外れてしまえば、融資が下りる可能性は限りなくゼロに近くなってしまいます。そのため、趣旨に沿っているか、要件を満たしているかなど、制度をあらかじめよく確認しておくようにしましょう。

 

自己資金はどの程度か

 

起業時の融資では、自己資金がどの程度あるのかといった点が審査の対象になることが少なくありません。自己資金は、起業に対する本気度の一つのバロメーターともなるためです。

 

自己資金が少ないからといって必ずしも融資が受けられないわけではありませんが、ある程度の自己資金は準備しておくべきでしょう。

 

起業家の過去の経験は起業する事業とどの程度関連するか

 

起業時の融資審査では、起業家の過去の経歴が確認されることが通常です。これは、起業をしようとする事業がこれまでの経歴とどの程度関連するかを確認するためです。

 

たとえば、これまでまったく調理をしたことがなく経営経験もない人がラーメン店を開業するとなった場合と、これまで人気ラーメン店で修行をしてきた人がのれん分けでラーメン店を開業するのとでは、軌道に乗るまでの期間に大きな差が生じる可能性が高いでしょう。

 

もちろん、本人に経験がなくてもすでに優秀な調理スタッフを確保していたり、人気店のフランチャイジーになるなどの事情があったりすればその点も加味されますが、こうした目途さえ立っていないようであれば、融資を受けることは困難といわざるを得ません。

 

経験がすべてではないとはいえ、経験はビジネスの成功を裏付ける一つの重要な材料です。起業家本人に経験がなければ、他の点で補強する必要があるでしょう。

 

返済可能性など事業計画の内容は適切か

 

起業時の融資審査で最も重視されるのは事業計画です。事業計画では、融資の返済が可能な計画になっているかどうかはもちろん、その計画が実現できると考える理由などについてまで詳しく確認されることが少なくありません。

 

事業計画についてきちんと説明できるよう、よく準備しておきましょう。

 

起業時に融資で資金調達をするメリット

起業時に融資で資金調達をするメリット

 

起業時に、融資で資金調達をするメリットは少なくありません。ここでは、主なメリットを6点解説します。

 

資金に余裕が生まれる

 

起業直後、事業をスムーズに軌道に乗せるためには資金が必要となることが多いでしょう。この重要な時期に資金が不足していては、思うような戦略が打てないかもしれません。

 

起業に際して融資を受けておくことで資金に余裕が生まれ、取るべき戦略を取りやすくなります。

 

事業計画と真摯に向き合う機会が得られる

 

生半可な事業計画や単なる机上の空論で作成した事業計画では、融資が下りない可能性が高いでしょう。そのため、融資を受ける際には事業計画とより真摯に向き合い、よく練り込む必要が生じます。

 

この点だけを見れば面倒でありデメリットに感じるかもしれませんが、事業計画は融資を受けるためだけに作成するものではありません。良い事業計画は、これから事業を進めていくための羅針盤となります。融資をきっかけに事業計画と向き合うことは、長期的に見れば大きなメリットとなり得ます。

 

株式を保有されるわけではない

 

融資以外の起業時の資金調達方法の一つに、ベンチャーキャピタルや個人投資家から資金を得る方法があります。この場合、一般的に企業の株式をベンチャーキャピタルや個人投資家に保有されることとなるため、自由な経営がしづらくなる点が大きなデメリットです。

 

これと比較して、融資の場合には金融機関に株式を保有されることはありません。

 

返済のプレッシャーからより真剣に事業活動に取り組める

 

融資を受ける以上は、借りたお金を利息とともに返済していかなければなりません。この点は、融資による資金調達のデメリットとも見られがちです。

 

しかし、裏を返せば、返済の必要があることで事業成功へのプレッシャーがかかるともいえます。適度なプレッシャーはより真剣に事業活動に取り組むことへとつながり、事業成功の近道となり得るでしょう。

 

金融機関との信頼構築のきっかけとなる

 

民間の金融機関から信用保証協会などを活用して融資を受けた場合には、その融資をきちんと返済したり定期的に事業の報告をしたりすることで信頼の構築につながります。

 

金融機関との信頼関係は一朝一夕に得られるものではありませんが、一つずつ信頼を積み重ねていくことで、将来的にプロパーの融資を受ける道が見えてくるでしょう。

 

外部の専門家からアドバイスを得るきっかけとなる

 

起業時に融資を受けるにあたっては、外部の専門家の支援を受けることが珍しくありません。専門家の支援を受ける中で事業計画についてアドバイスを受けることが多く、事業計画をより実現性の高い強固なものへと練り込むきっかけとなります。

起業時に検討したい日本政策金融公庫の融資制度

起業時に検討したい日本政策金融公庫の融資制度

 

日本政策金融公庫では、起業時に活用しやすい融資制度を複数設けています。ここでは、代表的なものとして4つの制度を紹介します。

 

新規開業資金

 

新規開業資金とは、新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人を対象に、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)を融資する制度です。返済には2年以内の据置期間があり、返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で7年以内とされています。

 

利率は原則として基準利率ですが、技術やノウハウに新規性がある場合や地域創業促進支援事業などの認定創業スクールによる支援を受けて事業を始める場合などには、特別利率の適用を受けることが可能です。

 

女性、若者/シニア起業家支援資金(国民生活事業)

 

国民生活事業による女性、若者/シニア起業家支援資金では、次のいずれかに該当する人のうち新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人を対象に、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)を融資する制度です。

 

  • 女性

  • 35歳未満の人

  • 55歳以上の人

 

返済には2年以内の据置期間があり、返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で7年以内です。利率は、原則として特別金利が適用されます。

 

女性、若者/シニア起業家支援資金(中小企業事業)

 

中小企業事業による女性、若者/シニア起業家支援資金では、次のいずれかに該当する人のうち新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人を対象に、直接貸し付けで最大7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)を融資する制度です。

 

  • 女性

  • 35歳未満の人

  • 55歳以上の人

 

返済には2年以内の据置期間があり、返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で7年以内です。利率は原則として特別金利が適用されますが、2億7,000万円を超える部分は基準利率となります。

 

新創業融資制度

 

新創業融資制度では、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資を受けることができます。対象者は、次の要件をいずれも満たす人です。

 

  • 新たに事業を始める人または事業開始後税務申告を2期終えていない人

  • 新たに事業を始める人または事業開始後税務申告を1期終えていない人は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる人

 

新創業融資制度は、担保や保証人が原則として不要とされている点が大きな特徴です。

 

融資以外の起業時の主な資金調達方法

融資以外の起業時の主な資金調達方法

 

起業時の資金調達には、融資以外にもさまざまな選択肢があります。融資以外の主な資金調達方法は次のとおりです。

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家へ企業の普通株式を交付し、その見返りとして出資を受ける方法です。ベンチャーキャピタルと個人投資家は、いずれも企業を成長させて上場などにより株式を売却し、利益を得ることを主な目的としています。

 

株式を保有されることから、経営に口を出される可能性が高い点がデメリットです。その反面、事業の成長に必要な取引先や人材を紹介してくれたり事業へのアドバイスを受けられたりすることも多く、相性が合えば事業の成長を加速させる良きパートナーとなることでしょう。

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家にもそれぞれ特性がありますので、事業についての考え方などをよく話し合い、相性の良い相手を見極めることが重要です。

 

補助金や助成金

 

補助金と助成金は、国などから支給される返済不要な資金です。助成金は要件を満たせば支給を受けられることが多い一方で、補助金は要件を満たしたうえでさらに採択される必要があります。

 

返済不要なまとまった資金が受け取れる点は大きなメリットですが、いずれも後払いが原則である点に注意しなければなりません。申請した計画を融資など他の方法で調達した資金で先に実行し、実行をした報告をしてからようやくお金が受け取れる流れです。

 

また、特に補助金では申請できる期間が短いものも多いうえ、申請や受給の申請に一定の手間がかかることが多い点も特徴です。

 

クラウドファンディング

 

クラウドファンディングとは、インターネット上で一般個人から小口の資金を集める資金調達方法です。活動内容に賛同をした個人が、資金を提供します。

 

クラウドファンディングにはその内容によってさまざまな類型が存在しますが、主に使われているものは次の2つです。

 

  • 寄付型:資金の提供により活動を応援したい個人から資金を集める形態です。お礼状やお礼メールなど、対価性の低いものが返礼品となることが一般的です。

  • 購入型:商品の製作資金や店舗の立ち上げ資金などを提供し、集まった資金で完成した商品や立ち上がった店舗での食事券などを返戻品とする形態です。商品の前払いに近いといえます。

 

クラウドファンディングはうまくいけば予想以上の資金を集めることができる一方で、一般的に、営利企業との相性はさほど良いとはいえません。よほど社会的な問題を解決する新規性のある取り組みなどでなければ、希望する額を調達することは困難でしょう。

 

まとめ

 

本文で紹介したように、起業時や起業間もない時期であっても受けやすい融資制度は複数存在します。スタートダッシュが切りやすくなるなど、起業時に融資を受けるメリットは少なくありません。

 

起業時にしか活用できない制度もあるため、ぜひ活用できそうな制度を探し、検討してみてはいかがでしょうか?

 

とはいえ、起業時の多忙な時期に適用できる融資制度を探したり、必要書類を準備したりすることはひと苦労です。たきざわ法律事務所では、起業時の融資支援やその他の資金調達の支援を行っていますので、お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

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