たきざわ法律事務所

ハラスメント対策・防止のためにやるべきこととは?今求められる企業のあり方

この記事を書いた弁護士は…

 

 

1989年にはじめてセクシャルハラスメント(セクハラ)に関する裁判が提起されていこう、1990年ころから「ハラスメント」に対する注目が集まり始めました。

 

当時はハラスメントと言えばもっぱらセクハラのことでしたが、現在ではパワハラやリモハラ、アルハラなどさまざまな〇〇ハラスメントという言葉が生まれています。どのようなことがハラスメントに該当するのか、明確な定義は存在しません。

 

ただ、一般には【ハラスメント=嫌がらせ・いじめ】と認知されており、ハラスメントを防止するためには企業努力が欠かせません。今回は、ハラスメントの対策・防止をするために企業ができることについてお伝えします。

 

ハラスメントの定義と種類

“ハラスメント”を一言で表すとすれば「嫌がらせ・いじめ」です。ハラスメントという言葉自体は馴染みが薄い言葉ですが、「セクハラ」「パワハラ」、最近では「リモハラ・テレハラ」などの言葉も見聞きする機会が増えました。

 

これらの〇〇ハラはすべて、ハラスメントの略称であり「嫌がらせ・いじめ」です。言葉として認識されているハラスメントの種類は50を超えていると言われており、企業内で日常的に行われている行為であっても、ハラスメントに該当する可能性があります。

 

また、〇〇ハラスメントなど言葉として認識されていないハラスメントであっても、「嫌がらせ・いじめ」は、ハラスメントとして認識されかねません。

 

例えば、“リモハラ・テレハラ”

これらの言葉は、2020年新型コロナウイルスの影響で多くの企業が始めた「リモートワーク・テレワーク」によってできた言葉です。

 

このように、現在では知られていない(存在しない単語)ハラスメントであっても、それらの普及によって発生する可能性があります。ハラスメントを発生させない、作らないためにはまず、ハラスメントの定義を認識しておくべきでしょう。

ハラスメントの定義

ハラスメントの定義は「一般的に見て当該行為が嫌がらせやいじめに該当するか」という点で判断されます。ハラスメントの種類は50を超え、各事例によって“定義”が分かれます。

 

例えば、厚生労働省が公表している“パワハラ(パワーハラスメント)”の定義は以下の3つに該当する場合。

 

例えば、上司が部下に対して「指導の一環として頬を叩いた」このような事例は、体育会系の職場や建設業では散見される行為です。

 

しかし、上記の例では、「優位的な関係に基づいて、業務の適正な範囲を超えて、肉体的に苦痛を与えた事実」として、パワハラに認定されてしまう可能性が非常に高いです。

 

パワハラはわかりやすいハラスメントの一種ですが、中には悪気もなく行ってしまっているハラスメントがあるので注意が必要です。

 

例えば、上司が悪気もなく、世間話のつもりで女性社員に対し「〇〇さんまだ結婚しないの?そろそろ良いんじゃない?」などと言った場合、セクシャルハラスメントに該当してしまいます。

 

おそらく当人は、なんら悪気もなく、世間話の中で発した発言でしょう。しかし、その言葉を受けた女性は「嫌がらせを受けた(嫌なことを言われた)」と認識してしまう可能性があります。

 

人によって考え方や受け取り方は異なるため、同様の言葉を投げかけても嫌な思いをしない女性もいるかもしれません。しかし、中には「気分を害してしまう方もいる」といった認識が必要不可欠です。

 

ハラスメントの定義である「嫌がらせ・いじめ」は、「自分が言われても傷つかない、不快な思いをしない」ではなく、行為を受けた、言われた当人がどう思うかがポイントです。

 

「自分がされて嫌なことは他人にしてはいけない」という言葉を幼少期に聞いたことがある方は多いはずです。しかし、ハラスメントは自分本位ではなく「相手本位」であることを大前提としてください。

ハラスメントの種類

〇〇ハラスメントと定義されている言葉は、50種類を超えていると言われています。時代の流れに沿って、新しいハラスメントが生まれたり、古いハラスメントがなくなったりを繰り返し、現在では多くのハラスメントが認識されています。

 

ハラスメントの本位は「嫌がらせ・いじめ」であり、〇〇ハラスメントにも該当しないから許されるというものではありません。仮に、現在ある〇〇ハラスメントのいずれにも該当しない場合であっても、新しい言葉として生まれる可能性があるので注意してください。

 

では、ハラスメントの中でも比較的起こりやすく、注意が必要なハラスメントを4種類紹介します。知らずに該当していないか、見かけたことがないか注意しながら見ていただければ幸いです。

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメント(セクハラ)は言わずもがな。ハラスメントの定番です。

 

性的な言動や行動はすべて“セクハラ”として認定されてしまうので注意が必要です。先にもお伝えしましたが、男性社員が女性社員に対して発した「〇〇さんまだ結婚しないの?そろそろ良いんじゃない?」などのような言葉も、セクハラになりかねません。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメント(パワハラ)も、セクハラについで起こりやすいハラスメントのひとつと言えるでしょう。

 

指導する立場にある労働者が、部下に対して強い言葉で指導をしてしまった場合であっても、パワハラ認定されてしまう可能性があります。例えば、上司が部下に対して「みんなの前で叱咤した」これはパワハラと認定される可能性が高いです。

 

上司も人間ですから、時には熱の入った指導を行うこともあるでしょう。しかし、人前で叱咤したり罵声を浴びせたりする行為は、たとえ指導の一環であっても、パワハラ認定されてしまう可能性があるので注意してください。「褒めるときは人前で、叱るときは個別に」これが基本と言えます

 

モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメント(モラハラ)は、ただの“いじめ”です。“モラル”のハラスメントですから、言葉や態度によるハラスメント(無視など)。意識せずに発生する行為ではなく、悪質極まりないハラスメントの一種です。

 

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメント(アルハラ)とは、アルコールを飲む場所で起こる可能性のあるハラスメントです。部署での飲み会、会社での飲み会などの際に、上司などと言った“優位的な立場”を利用して無理にお酒を飲ませる行為です。

 

お酒を飲むと気分が高揚し、周りの人にお酒を勧めたくなる気持ちもわかりますがお酒を勧められて「不快な気持ちになってしまう方」がいることを忘れてはいけません。

 

もしかしたらお酒を飲めない体質の人かもしれませんし、なにかの理由でお酒を飲まないのかもしれません。事情は人それぞれであるにせよ、「お酒を勧める行為」は避けたほうが良いでしょう。

 

例えば、悪気がなく上司が部下に対し「〇〇くんはお酒の飲まないの?」と聞いただけでも、アルハラになってしまう可能性があります。ハラスメントはあくまでも、“相手本位”であることを忘れないようにしましょう。

ハラスメントを防止するためにできる4つのこと

あらゆるハラスメントを防止するために企業ができることは4つ

  1. コンプライアンスの徹底
  2. 定期的に講習会等の開催
  3. 風通しの良い環境づくり
  4. ハラスメントの相談窓口

です。いずれもすぐに始められることであり、決してむずかしいことではありません。ハラスメントを防止する上でとても大切な4項目ですので、ぜひ導入してみてください。

コンプライアンスの徹底

コンプライアンス(法令遵守)の徹底はハラスメントを防止する上でとても効果的です。コンプライアンスとは、広義で社会通念観、社会倫理、道徳観などを指します。

 

そしてハラスメントは時として、コンプライアンス違反となり得る場合があります。例えば、極端な例ですが「企業のお金を使用し不正をしろ」と、上司が部下に対して指示を場合は、パワハラでありコンプライアンス違反となるでしょう。

 

コンプライアンスを徹底し、指導することで、あらゆるハラスメントの防止に繋がりますし、コンプライアンスを徹底している企業であれば、企業価値も上昇します。

 

定期的に講習会等を開催

ハラスメントは、企業が労働者に行うものではなく、労働者が労働者に対して行うものであることがほとんどです。そのため、企業のみがハラスメントに対する意識を高めても意味がありません。

 

企業がハラスメントに対する正しい知識を身に着けた上で、労働者に対して発信していくことが大切です。そして、せっかく得た知識を風化させないためにも、数か月に一度など、期限を定めて講習会を開催するとなお良いです。

風通しの良い環境づくり

ハラスメントの被害にあった、ハラスメントを目撃したなど、報告をしやすい環境づくりを行うことも大切です。風通しの良い環境であれば、ハラスメントの抑制にも繋がります。また、ハラスメント被害にあっても言い出せない“ハラスメント被害者”を大幅に減らせます。

 

風通しの良い環境を作るためには

  • 意見が言いやすい
  • コミュ二ケーションが円滑

であることが大切です。机のレイアウトを変更してみたり、定期的に研修を実施しコミュニケーションの場を設けたりすることで、環境づくりができます。

ハラスメント相談窓口の設置

思いきってハラスメントの相談窓口を設置してしまうのもひとつの手段です。ただ、ハラスメントの相談窓口を設置しても、ハラスメント被害者が言い出せなければ意味がありません。

 

「相談窓口に入っていく姿を誰かに見られて気まずかった」

「相談内容が外部に漏れてしまった」

などのようなことが発生しないように配慮が必要です。

 

たきざわ法律事務所では「クライアント企業の役員・従業員を含め皆が誇りを持つ組織、皆が幸せになれる組織の構築を実現する。そのためにパワハラ相談窓口の運営においてナンバー1の事務所になるという理念の下、企業のパワハラ対策・コンプライアンス対策として、企業外部の相談窓口の設置・運営を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

また、そもそも相談できないハラスメント被害者が発生しないようには、“風通しの良い環境づくり”が必要不可欠です。

ハラスメントが与える企業への影響

ハラスメントが企業へ与える影響は2つ

  • イメージダウン
  • 損害賠償請求

です。いずれも企業にとってプラスになることではありません。ハラスメントを防止することが絶対的に必要ですが、もしも発生してしまった場合にはどうなってしまうのか?についても把握しておいてください。

イメージダウン(業績悪化)

ハラスメントが原因で社員が退職してしまった場合、会社で起きたハラスメントが外部に漏れてしまう可能性があります。とくに現在は、ネット社会であり、マイナスな情報であればあるほどまたたく間に拡散されてしまいます。

 

その結果、企業の大幅なイメージダウンや業績悪化に直結してしまうでしょう。なお企業側は、ハラスメントが事実なのであれば、退職した労働者に対してイメージダウン等の賠償責任を問うことはできませんので注意してください。

損害賠償請求

ハラスメント受けた労働者は、ハラスメントを行った加害者や企業に対して損害賠償が可能です。中には、ハラスメントによって精神疾患を患ってしまったり、肉体的な損傷を受けたりしてしまう労働者がいます。

 

ハラスメントに対する損害賠償を行う労働者のほとんどは“決定的な証拠”をもとに、損害賠償を行いますので加害者や企業に勝ち目はほぼありません。また、ハラスメントによる裁判が開始されれば、社会的な注目を集める可能性もあります。

 

社会的に注目されてしまえば、“ハラスメントを発生させた企業”というレッテルが貼られ、大きな損害を受けることになるでしょう。

まとめ

今回はハラスメントの定義やハラスメントを発生させないためできることについてお伝えしました。

 

今回お伝えしたことをまとめると

まとめ
  • ハラスメントの定義は「嫌がらせ・いじめ」である

  • ハラスメントを防止するためには、コンプライアンスの徹底や風通しの良い環境づくりが必要不可欠

  • ハラスメントが企業に与える影響は甚大で、業績悪化にも直結する

とのことでした。

 

ハラスメントの怖いところは、「ハラスメント加害者が意識なく、ハラスメントを行ってしまっている可能性があること」です。当人はなんら悪気もなく発した言葉が、被害者は強く傷ついてしまう可能性があります。

 

「自分がされて嫌なことは他人にしない」は当然としながらも、それ以上の配慮を求められるので注意してください。「自分本位」ではなく「相手本位」で物事を考えることで、ハラスメントをある程度防止できることでしょう。

 

 

 

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