たきざわ法律事務所

【2022】TikTokで使用する曲の著作権は?企業が注意すべきことを弁護士が解説

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

 

 

 

TikTokとは、数秒から数分程度の動画を作成し、投稿できるSNSサービスです。TikTokでは、音楽に合わせて踊ったりポーズを取ったりするなど、楽曲を活用する投稿が主流となっています。

 

しかし、TikTok投稿で楽曲を使用する際には、曲の著作権に注意しなければなりません。今回は、TikTokで注意すべき著作権についてくわしく解説します。

 

TikTokとは

TikTok

 

TikTokとは、数秒から数分程度のショートムービーを作成して投稿する、主に若者に人気のSNSです。BGMを付けた動画を簡単に作成して投稿することができ、BGMに合わせてポージングをしたり踊ったりする動画などが多く投稿されています。

 

他者の投稿を見てお気に入りの動画を「いいね」したりシェアしたりすることができるほか、自身の投稿を他者に見てもらうことも可能です。

 

多くの人が投稿をシェアするなどして「バズる」状態となれば大きな広告効果が期待できるでしょう。そのため、ビジネスでTikTokを活用するケースも増えています。

 

著作権の基本

著作権法

 

著作権の根拠となる著作権法は、「著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的」としています。著作権侵害は重い罰則の対象となるため、TikTok投稿をする際には、この著作権に注意をしなければなりません。

 

まずは、著作権の概要を知っておきましょう。

 

著作権はさまざまな権利の束

 

著作権は一つの権利ではなく、さまざまな権利の束です。著作権は大きく分けて、次の3つに分類されます。

 

  • 著作者人格権:著作物の製作者に帰属する権利。契約などでの移転は不可

  • 狭義の著作権(財産権):著作物の利用などに関する財産権。契約などで他者への移転が可能

  • 著作隣接権:レコード製作者などが持つ権利

これらの内容は、それぞれ次のとおりです。

著作者人格権

著作者人格権には、次の3つの権利が含まれています。

 

  • 公表権:著作物を公表するか公表しないか、公表するならいつどのような方法で公表するかを決める権利

  • 氏名表示権:著作物に氏名を表示するかしないか、表示するなら実名か変名かを決める権利

  • 同一性保持権:著作物を勝手に改変されない権利

 

著作者人格権は、他者に譲渡することはできません。

狭義の著作権(財産権)

狭義の著作権(財産権)には、次の権利が含まれています。

 

  • 複製権:著作物を録音、録画するなどして有形的に複製する権利

  • 上演権・演奏権:著作物を公に上演したり演奏したり、録音物(CDなど)を公に聞かせたりする権利

  • 上映権:著作物を公に上映する権利

  • 公衆送信権・公の伝達権:著作物の自動公衆送信(ホームページへの掲載などのこと)や放送などする権利

  • 口述権:言語の著作物を口頭で公に伝える権利

  • 展示権:美術の著作物と未発行の写真の著作物の原作品を公に展示する権利

  • 頒布権:映画の著作物を販売、貸与などする権利

  • 譲渡権:映画の著作物以外の著作物の原作品または複製物を公衆へ譲渡する権利

  • 貸与権:映画の著作物以外の著作物の複製物を公衆へ貸与する権利

  • 翻訳権・翻案権など:二次的著作物を創作する権利

  • 二次的著作物の利用権:自己の著作物を原作品とする二次的著作物の利用について、二次的著作物の著作権者が持つものと同じ権利

 

これらは譲渡することが可能であり、一部の権利のみを譲渡することも可能です。

著作隣接権

著作隣接権とは、レコード製作者や実演家、放送事業者などが持つ権利です。このうち、TikTok投稿で特に注意すべきレコード製作者の持つ権利には、主に次のものがあります。

 

  • 複製権:レコードを複製する権利

  • 送信可能化権:レコードを自動的に公衆に送信し得る状態に置く(ホームページに掲載する)権利

  • 譲渡権:レコードの複製物を公衆へ譲渡する権利

  • 貸与権:商業用レコードを貸与する権利(販売日から1年のみ)

 

レコード製作者にはこのような権利がありますので、たとえばCD音源をそのままSNSに投稿することは、レコード製作者の送信可能化権を侵害する可能性があります。

 

著作権の対象となるもの

 

著作権法においては「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」が著作権利の対象となる「著作物」とされており、対象が非常に広く設定されています。

 

また、プロが作った作品でなければ著作権は発生しないと考えている人も少なくないようですが、これは誤りです。たとえば、一般人が撮影した写真や一般人が即興で作った楽曲、一般人のブログ、幼児が描いた絵でさえも、「思想又は感情を創作的に表現したもの」である限りは著作権の対象となります。

 

他人の著作物をTikTok投稿などで無断使用すれば、原則として著作権侵害になると考えておきましょう。

 

TikTokはJASRACと包括契約を締結している

 

SNS投稿のBGMとして他者が製作した楽曲を使用する場合、本来であれば、その都度著作権者に許可を取らなければなりません。しかし、これは非常に煩雑であり、現実的でもないでしょう。

 

そこで、TikTokはJASRACと包括契約を締結しており、JASRACが管理する楽曲であれば投稿のBGMとして自由に利用できる仕組みとしています。そのため、次の範囲で楽曲を使用する場合には、著作権侵害とはなりません。

 

TikTokで曲を使っても著作権侵害とならない場合

TikTokの曲を使って良いケース

 

先ほど解説をしたように、TikTokはJASRACと包括契約を締結しています。そのため、次のTikTok投稿は、著作権侵害とはなりません。

 

TikTokの公式音源を使用する

 

TikTokには多くの公式音源が掲載されています。この公式音源をそのままBGMとして使用した投稿をすることは、著作権法上問題ありません。

 

JASRAC管理の曲を自分で演奏して使用する

 

JASRACが管理している楽曲であれば、その曲を自分で「演奏してみた」動画や「うたってみた」動画を投稿しても、著作権侵害とはなりません。

 

JASRACが管理している楽曲であるかどうかは、JASRACのホームページから確認することができます。公式音源にない楽曲を使用したい場合には、こちらからあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

 

オリジナルで製作した楽曲を使用する

 

自分がオリジナルで製作した楽曲であれば、投稿に使用しても何ら問題ありません。自分で製作した曲であれば、著作者も著作権者も原則として自分自身であるためです。

 

ただし、完全オリジナルではなく、元々存在する楽曲を編曲したり「替え歌」にしたりする場合には、著作権侵害となる可能性があるため注意しましょう。

 

TikTokで著作権侵害となるケース

TikTokの曲を使ってはいけないケース

 

次のような行為をTikTokで行うと、著作権侵害となる可能性があります。著作権侵害とならないよう、次のような投稿は行わないよう注意しましょう。

 

CD音源をそのまま使用する

 

先ほど解説したように、TikTokはJASRACと包括契約がされており、TikTok上が提供している公式音源であれば、無償で使用することが可能です。この公式音源をそのまま使用している限り、著作権侵害とはなりません。

 

しかし、たとえTikTok上に公式音源として掲載されているものと同じ楽曲であっても、その楽曲のCDをBGMとして使用すれば、著作権侵害となる可能性があります。なぜなら、JASRACでは作曲者などの権利は取りまとめて管理しているものの、レコード製作者が持つ権利については包括契約の対象外であるためです。

 

著作権は、作曲者や作詞者、歌手などの演奏者などのみに発生するものではなく、著作隣接権者であるレコード製作者にも発生しています。そのため、CD音源を無断で使用すれば、レコード製作者の持つ権利を侵害してしまいます。

 

この、レコード製作者が持つ権利を「レコード製作者の権利」や「原盤権」といいます。

 

なお、CD音源をそのまま流すことはもちろん、CD音源を自らサンプリングをしてアレンジした楽曲の投稿も著作権侵害となります。楽曲のアレンジは、著作権の中の「翻案権」や「編曲権」として保護の対象とされているためです。

 

この「翻案権」や「編曲権」についてもJASRACは管理していないため(※)、仮に楽曲を編曲したり翻案したりしたいのであれば、権利者から直接許可を取らなければなりません。

 

※参照元:編曲権・翻案権・翻訳権(著作権法第27条の権利)

 

カラオケ音源をそのまま使用する

 

自分で演奏しながら歌う「うたってみた」動画の投稿をするのであれば、その曲がJASRAC管理の曲である限り問題ありません。

 

しかし、カラオケボックスで歌っている動画の投稿は、著作権侵害となる可能性があるでしょう。なぜなら、カラオケボックスで流れるカラオケ音源は、カラオケ会社が独自に製作しているものであり、著作隣接権が発生しているためです。

 

これはJASRACの管理対象外であるため、動画で使用したいのであれば、カラオケ会社などの権利者から直接許可を取らなければなりません。

 

JASRAC管理外の楽曲を使用する

 

TikTok公式音源をそのまま使用する場合のほか、JASRACが管理している楽曲であれば「うたってみた」や「演奏してみた」として動画を投稿しても問題ありません。

 

しかし、この世に存在するすべての楽曲をJASRACが管理しているわけではない点には、注意が必要です。JASRACの管理対象外の楽曲を使用する際には、その楽曲の管理者や管理委託者などから個別で許可を取る必要があります。

 

アニメや映画などの画面を投稿する

 

アニメや映画などの映像や漫画作品などには著作権が発生しており、これらはJASRACの管理対象外です。

 

そのため、たとえばアニメキャラクターが映ったテレビ画面の隣でアニメキャラクターと同じポーズを取って投稿をしたり、漫画作品を大きく撮影して投稿したりした場合には、著作権侵害となる可能性が高いでしょう。

 

なお、そのアニメ作品や漫画作品に照準を合わせたものではなく、背景として偶然写り込んだのみであれば、著作権侵害とはなりません。

 

TikTokで楽曲の著作権侵害をしてしまった場合のリスク

損害賠償請求

 

TikTokで著作権侵害をしてしまった場合には、どのようなリスクが生じるのでしょうか?

著作権侵害の主なリスクは次のとおりです。

 

アカウントが凍結される可能性がある

 

著作権侵害をしてしまった場合には、TikTokのアカウントが凍結される可能性があります。

 

TikTokの利用規約では、次のように記載されています。

 

「お客様が本サービスにアクセスしまたは本サービスを利用するにあたり、本規約および適用されるすべての法令を遵守してください。お客様は、以下の事項を行うことはできません。」

 

また、行うことができない事項として、次のように明記されています。

 

「他者の著作権や商標およびその他の知的財産権やプライバシー上の権利を侵害するまたは侵害するおそれのある内容」

 

そして、次のような記載も確認できます。

 

「TikTokは、権利侵害に該当すると当社が認識したあらゆる素材を本サービスから即時に排除するための合理的措置を講じることとしています。TikTokの方針として、当社は適切な状況において当社の裁量により、他者の著作権または知的財産権の度重なる侵害を行った本サービスのユーザアカウントを無効化または終了させます。」

 

そのため、著作権侵害を繰り返した場合には、TikTokアカウントが凍結される可能性があるでしょう。

 

せっかくフォロワーを多く獲得した後でアカウントが凍結されてしまえば、大きな損失となってしまいます。

 

著作権者から損害賠償請求などがされる可能性がある

 

著作権侵害をした場合には、著作権者から損害賠償請求がなされる可能性があります。損害賠償請求として認められる金額はケースバイケースですが、侵害による著作権者の損失が大きいと判断されれば、高額な損賠賠償請求が認められる可能性があるでしょう。

 

著作権法上の罰則の対象となる

 

著作権を侵害した場合には、著作権法により罰則の対象となる可能性があります。著作権法違反による罰則は、原則として「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科」です。

 

ただし、法人の業務として著作権侵害がなされた場合には、行為者への罰則に加えて、法人に対して3億円以下の罰金刑が科される可能性があります。著作権侵害の罰則は非常に重いものとなっているため注意が必要です。

 

 

最適解を提案します

 

最適解を提案します

 

TikTokで楽曲の著作権侵害をしないための対策

 

TikTokで楽曲の著作権侵害をしないためには、次の対策を講じておくと良いでしょう。

 

TikTokの公式音源を使用する

 

先ほども解説したように、TikTokには多くの公式音源が登録されています。そのため、投稿で楽曲を使用する際には、この公式音源を利用すると良いでしょう。

 

公式音源はあらかじめ著作権処理がされていますので、公式音源をTikTok上で使用する場合には著作権侵害となりません。

 

ただし、公式音源をTikTok投稿以外の目的で使用したり、公式音源を勝手に編曲したりした場合には著作権違反となる可能性があるため注意が必要です。

 

著作権法を正しく理解する

 

著作権違反をしてしまわないためには、著作権を正しく理解しておきましょう。

 

著作権法は、誤解の多い法律の一つです。先ほども解説したように、著作権の対象となる著作物であるかどうかの判断には、素人が作ったものなのかプロが作ったものなのかは関係がありません。

 

たとえば、プロではない一般個人が即興で製作した楽曲であっても、著作権の対象となり得ます。他者が創作した曲や詩、ブログ、絵、撮影した写真、文章などあらゆるものには基本的に著作権が発生していると考えて、許諾がない限りはTikTokなどのSNS上などで使用しないように注意しましょう。

 

まとめ

 

TikTokで楽曲の著作権違反をしてしまうと、非常に重い罰則の対象となる可能性があります。TikTokには多くの公式音源が用意されていますので、著作権違反をしないためには、できるだけ公式音源を使用すると良いでしょう。

 

TikTokで著作権侵害をされてお困りの場合や、TikTok上での著作権違反で損害賠償請求をされるなどしてお困りの場合には、ぜひたきざわ法律事務所までご相談ください。

 

たきざわ法律事務所ではインターネット法務に力を入れており、インターネット上での法的トラブル解決をサポートしております。訴訟対応はもちろん、訴訟前の対応や訴訟を起こさないための体制づくりのサポートをいたします。

 

 

 

 

 

 

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サンカラ

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