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創業時に融資を受ける方法は?経営者が知っておきたい制度・資金調達方法

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創業時の資金調達方法のうち、代表的なものとして「融資」が挙げられます。融資とは、金融機関などからお金を借りて資金を調達する方法です。

 

今回は、創業時に受けられる融資制度や、融資による資金調達のメリットとデメリットなどについて詳しく解説します。

 

創業時に受けられる融資制度

創業時に受けられる融資制度

 

創業間もない頃は、企業の信用が育っていないため、一般的に金融機関から融資を受けることは容易ではありません。こうした状況を考慮して、創業間もない企業が融資を受けやすくなるための制度がいくつかあります。

 

ここでは、代表的な制度を3つ紹介しましょう。

 

 

日本政策金融公庫の制度融資

 

創業融資に関する制度の代表格は、日本政策金融公庫の制度融資です。

 

日本政策金融公庫とは、民間金融機関の取組みを補完して、事業に取組む人を支援する政策金融機関です。あくまでも民間金融機関を補完する役割であるため、金融機関とはいえ預金をすることはできず、またメインバンクになってもらうこともできません。

 

日本政策金融公庫には、創業時や創業間もない企業であっても受けやすい融資制度が複数存在します。具体的な融資制度については、後ほど詳しく解説します。

 

自治体の制度融資

 

自治体によっては、自治体が独自の融資制度を設けている場合があります。自治体から直接融資を受けるのではなく、金融機関からの融資を自治体がサポートする形態です。

 

たとえば、東京都ではこれから創業する企業や創業5年以内の企業などに対して最大3,500万円の融資をサポートしています。この制度では、利用者が東京信用保証協会に支払うべき信用保証料を東京都が補助したり、金融機関に対する貸付原資を東京都が預託したりしてくれます。

 

創業をする自治体によって融資制度の有無や制度の内容が異なりますので、まずは創業を予定している都道府県や市区町村に創業融資の仕組みがないか確認してみると良いでしょう。

 

信用保証協会の保証付き融資

 

信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。

 

創業間もない企業など、まだ信用の育っていない企業は、金融機関から融資を受けることが容易ではありません。なぜなら、きちんと返済してくれるかどうかわからない企業に対して融資をすることは、金融機関にとってリスクが高いためです。

 

そこで、活用を検討したいのが、信用保証協会の保証付き融資です。企業が万が一借入金の返済ができなくなったとしても、信用保証協会が一定割合まで肩代わりをして返済してくれるため、金融機関は安心して融資をすることが可能となります。

 

信用保証協会が肩代わりした場合には、お金を借りていた企業は、その後信用保証協会に対して返済していくという仕組みです。金融機関としては貸し倒れのリスクが低くなるため、創業間もない企業であっても融資が受けやすくなります。

 

中でも、創業間もない企業を対象とした制度として、最大3,500万円までの融資に対して、信用保証協会に100%保証してもらえるものが存在します。こうした制度を活用して、融資を受けることを検討すると良いでしょう。

 

ただし、企業としては金融機関への利息の支払いに加え、信用保証協会への信用保証料を支払う必要がある点がデメリットといえます。

 

創業時に受けられる主な日本政策金融公庫の融資制度

創業時に受けられる主な日本政策金融公庫の融資制度

 

日本政策金融公庫では、さまざまな融資制度を実施されています。ここでは、創業時に使うことができる日本政策金融公庫の融資制度を3つ紹介します。

 

新規開業資金

 

新規開業資金とは、新たに事業を始めるために必要な資金や事業開始後に必要とする設備資金・運転資金の融資が受けられる制度です。対象者は、新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人とされています。

 

申し込みをして審査を通過すれば、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資を受けることが可能です。設備資金の返済期間は20年以内、運転資金は7年以内で、いずれも2年以内の据置期間を設けることができます。

 

利率は原則として基準利率となりますが、Uターンなどにより地方で新たに事業を始める場合や技術やノウハウに新規性がみられる場合などには、金利の優遇を受けることが可能です。

 

女性、若者、シニア起業家支援資金

 

女性、若者、シニア起業家支援資金とは、新たに事業を始めるために必要な資金や、事業開始後に必要とする資金の融資が受けられる制度です。対象者は、女性または35歳未満か55歳以上の人であって、 新たに事業を始める人や事業開始後おおむね7年以内の人とされています。

 

国民生活事業では、申し込みをして審査を通過すれば、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資を受けることが可能です。

 

設備資金の返済期間は20年以内、運転資金は7年以内で、いずれも2年以内の据置期間を設けることができます。土地取得に必要な資金以外については、優遇された金利の適用が可能です。

 

また、中小企業事業では、同様の対象者が最大7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)の融資を受けられる制度も存在します。

 

新創業融資制度

 

新創業融資制度とは、新たに事業を始めるために必要な資金や、事業開始後に必要とする設備資金・運転資金の融資が受けられる制度です。対象者は、新たに事業を始める人または事業開始後税務申告を2期終えていない人で、原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金の保有が確認できる人です。

 

申し込みをして審査を通過すれば、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)の融資を受けることができます。他の制度とは異なり、原則として無担保・無保証人である点が大きな特徴です。

 

創業時に融資を受けるメリット

創業時に融資を受けるメリット

 

創業時に融資で資金調達をするメリットには、主に次の4つが挙げられます。それぞれについて解説していきましょう。

 

無担保無保証などで融資を受けられる制度がある

 

先ほど紹介したように、創業時にのみ受けられる融資が存在しています。

 

中でも、無担保無保証で融資が受けられる機会や自治体が信用保証協会の保証料を補填してくれる機会などは、そう頻繁にあるものではありません。最大限に制度を利用して、有利な資金調達を検討しましょう。

 

まとまった資金を得ることができる

 

融資制度をうまく活用すれば、創業時からまとまった資金を手にすることができます。

 

創業時には、設備投資や人材の募集、広告宣伝など、さまざまな場面で資金が必要となることが一般的です。自己資金のみで地道にビジネスを育てていくという選択肢もありますが、自己資金のみではどうしても資金が不足しがちでしょう。

 

ビジネスモデルがうまくつくり込まれていれば、資金の投入が早くかつ多額であればあるほど、早期に結果を出せる可能性が高くなります。融資を受けて創業当初から潤沢な資金をビジネスに投入することができれば、スタートダッシュを切りやすくなるといえるでしょう。

 

創業する事業の計画に真剣に向き合う機会となる

 

融資を受けるには、金融機関などへ事業計画を提出しなければなりません。面倒に感じるかもしれませんが、見方を変えれば自社のビジネスモデルや事業計画と真剣に向き合う絶好の機会です。

 

生半可な計画や行き当たりばったりの計画では、融資を受けることはできません。詰めの甘さや検討が漏れていた事項などに気づいてその穴を埋めていくことで、事業計画がより強固なものとなっていきます。

 

苦労をして作成した事業計画で融資を受けることができれば、ビジネスへの自信も持ちやすいでしょう。

 

当然ながら、ビジネスをしていく上では新型コロナウイルスのように未曾有の事態が発生する可能性はあり、すべてが計画どおりに進行するとは限りません。しかし、作成した事業計画を一つの羅針盤とすることで、努力の方向性を見失いにくくなるといえるでしょう。

 

緊張感をもって事業を行える

 

融資を受ける以上は、借りた元本と利息を返済していかなければなりません。このこと自体は金銭的にはデメリットとなりますが、一方で緊張感を持って事業を行うことができるという意味ではメリットにもなります。

 

自己資金のみで事業を行っている場合、事業の成長スピードが遅かったり利益が上がらなかったりしても、さほど支障がない場合が少なくないでしょう。そのため、創業者がよほど強い意志を持っていなければ、成長が間延びしてしまいがちです。

 

一方、融資を受けた場合には、返済に必要な資金は最低限でも稼がなければなりません。このことが経営に緊張感を与え、事業を成長しやすくなる効果が期待できます。

 

創業時に融資を受けるデメリット

創業時に融資を受けるデメリット

 

創業時に融資を受けることには、デメリットもあります。メリットとデメリットをよく考慮したうえで、自社に合った資金調達方法を選択すると良いでしょう。

 

利息や返済の負担を重く感じる場合がある

 

融資を受ける以上は、当然ながらその後元本や利息を返済していかなければなりません。創業間もない頃は資金に余裕がないことが多いため、返済を重く感じる可能性があるでしょう。

 

返済直前に返済資金がないことに気づいて慌ててしまわないためにも、企業全体のお金の流れを意識して経営することが必要です。

 

事業計画の作成などに手間がかかる

 

融資を受けるためには、事業計画など必要な書類を提出しなければなりません。

 

こちらは先ほどお伝えしたようにメリットとなる側面もありますが、創業時にこういった書類の作成に手間が掛かるという点では、デメリットの側面もあります。

 

受ける融資制度によっては審査に時間がかかることがある

 

融資を受けるためには、申し込みをした後で審査に通過する必要があります。この審査に時間がかかることがあり、2週間以上を要することも珍しくありません。

 

申し込んだからといって、即時に融資が実行されるわけではないことには注意してください。融資を希望する場合には、できるだけ早期から申し込みの準備に取り掛かるようにしましょう。

 

創業時に検討したい融資以外の資金調達方法

助成金・補助金

 

創業時の資金調達方法には、融資のほかにも補助金や助成金、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資、クラウドファンディングなどがあります。ここでは、融資以外の資金調達方法について概要をお伝えしていきましょう。

 

補助金・助成金

 

補助金と助成金は、いずれも国から返済不要な資金を受け取ることができる制度です。

 

このうち、助成金は人材の雇用や育成に関するものが多く、厚生労働省が所管しているものが大半だといえます。通年で募集がされているものが多く、要件を満たして申請することで受給できるものが多いことが特徴です。

 

一方、補助金は政策によって経済産業省などさまざまな省庁や自治体が所管しています。募集期間が短いものが多く、要件を満たして申請をしたうえで、審査を経て採択されなければ受給できないものが大半です。

 

助成金と補助金にはおおむねこのような特徴があるものの、両者の定義に明確な線引きは存在しません。そのため、個別の助成金や補助金ごとに内容をよく確認してから申請する必要があります。

 

補助金や助成金はいずれも後払いが原則であり、採択がされるなどして受給が決定したとしても、すぐにお金が振り込まれるわけではありません。申請した内容に沿ってまずは計画を実施し、その後実施した計画についての報告を行い、問題がないと判断されてはじめてお金を手にすることができます。

 

そのため、補助金や助成金が入金されるまでの間の「つなぎ資金」を、融資などで別途準備することが必要です。

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資

 

ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資を受けることも、創業時の資金調達方法の選択肢の一つです。融資とは異なり、資金を返済する必要はありません。

 

ただし、資金を得る見返りとして、創業する企業の株式を交付することが一般的です。ベンチャーキャピタルも個人投資家も、企業が成長して上場をする際などに、保有する株式を高値で売却することで利益を得ることを目的としていることが一般的です。

 

そのため、企業経営に対して積極的に意見が述べられることが少なくありません。ただ、場合によっては取引先など必要な企業と引き合わせてくれることもあります。

 

このことは非常に大きなメリットともなり得る一方で、自身の自由に経営ができないという点でいえば大きなデメリットともなり得ます。最終的には出資をするベンチャーキャピタルや個人投資家との相性によるところも大きいため、事前によくスタンスを確認するなど、相手の特性や自社との相性をよく見極めることが必要です。

 

クラウドファンディング

 

クラウドファンディングとは、インターネット上で、主に個人から小口の資金を集める資金調達方法です。一般的な営利事業であればクラウドファンディングでの資金調達は難しい一方で、社会的な問題を解決する試みである場合や応援者が多い場合などには、大きな資金を得られる可能性があります。

 

クラウドファンディングにはさまざまな類型がありますが、主に使われているものとしては、次の2つが挙げられます。

 

  • 寄付型:その名のとおり、「寄付」に類似した形態です。支援者は、活動を応援したいとの想いから資金を拠出します。金銭的な価値のある見返りではなく、お礼メールやお礼状などが返戻品となることが一般的です。

  • 購入型:商品の前払いに類似した形態です。調達した資金を原資として製作した商品や調達した資金を使って開店した店舗での食事券などが返戻品となることが一般的です。

 

ただし、両者は明確に区分できるものではなく、両方の性質を兼ね備えたものなどさまざまな形態が存在します。クラウドファンディングの活用を検討している場合には、自社と似たプロジェクトの成功事例を調べたうえで、プロジェクトの内容や返戻品をよく検討してから取り掛かると良いでしょう。

 

ただし、クラウドファンディングで必ずしも資金調達ができるとは限りません。むしろ、資金を拠出するかどうかは個々人の判断次第であり明確な審査基準などがあるわけではないため、資金調達方法としては非常に不安定であるといえます。

 

まとめ

 

創業時に融資により資金調達をするメリットは、数多く存在します。

まずは政策金融公庫の制度融資など、創業時に受けやすい融資制度の利用を検討してはいかがでしょうか。

 

たきざわ法律事務所では、創業時の資金調達のアドバイスやサポートをしております。

創業時の資金調達でお困りの際には、ぜひたきざわ法律事務所までお問い合わせください。

 

 

 

 

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