たきざわ法律事務所

会社の都合で労働者を解雇することはできる!解雇が認められる事由とデメリットとは?会社都合で解雇するときの注意事項を紹介

この記事を書いた弁護士は…

 

 

 

日本で「解雇」をすることは容易ではなく、労働者によほどの事情がない限りは解雇が認められない

そう思われている方も多いでしょう。

 

解雇は大きく分けると会社側都合での解雇と労働者側の都合による解雇の2つがあります。

 

たとえば、会社の倒産や整理解雇であればやむを得ない会社都合解雇として認められるでしょう。

しかし、上記以外の理由による会社都合での解雇は基本的に認められません。

万が一、会社都合の意味を履き違えて不当解雇をしてしまったり、

手続きの手順を誤まったりすると、労働基準法違反になる恐れがあります。

 

そこで今回は、会社都合で解雇が認められる事由とは?

会社都合解雇をするときの注意点は?などと

疑問を持たれている方に向けて、下記のことをお伝えしています。

 

 

会社都合で解雇できるケースは「倒産のとき」と「人員削減のとき」の2つのみ

 

労働者が会社を退職するのは自由ですが、会社側が労働者を解雇するのは容易ではなく、

一定の条件を満たしていなければいけません。

具体的に言えば「客観的に見て、社会通念上相当と認められるとき」に限って解雇が認められます。

そして解雇の理由は大きく分けると「労働者が原因の解雇」と「会社の都合による解雇」です。

上記以外で労働者を解雇するのであれば、労働者側に「客観的に見て、社会通念上相当と認められる事実」があるときのみです。

先にもお伝えしたように、労働者を雇用した以上は安易に解雇することはできません。

まずは、会社の都合で労働者を解雇できる2つの事由について詳しくお伝えします。

 

 

会社が倒産したときは会社都合での解雇になる

 

会社が倒産(破産)するときは破産手続き開始前に従業員を解雇しておくのが一般的です。

仮に、破産手続き時に解雇が成立していなかったとしても、会社が消滅すると同時に解雇されてしまいます。

 

会社の倒産による解雇は完全に「会社都合の解雇」となりますが、従業員もこれを受け入れざるを得ません。

そして、解雇予告から解雇日までの期間が30日に満たないときは、会社から労働者に対して「解雇予告手当」を支給しなければいけません。

たとえば、解雇日を4月30日に設定したときは、遅くても3月31日までには解雇の予告をしておかなければいけません。

 

仮に、何らかの理由で4月15日に解雇を通告し、4月30日をもって契約を終了するときは差額日数分である15日分の解雇予告手当を支払わなければいけません。

 

この他に、会社に規定してある退職金や未払い給与の支払い義務も当然発生します。

 

 

営業不振による人員削減の解雇

 

営業不振による人員削減、いわゆる「整理解雇」も会社都合の解雇のひとつです。

整理解雇が認められるためには、下記の要件をクリアしていなければいけません。

  • 人員削減の必要性

  • 解雇を回避するための努力

  • 人員選定に合理性はあるか

  • 解雇手続きは妥当か

上記のうちひとつでも問題があると、労働者とのあいだでトラブルに発展する恐れもあるでしょう。

 

会社の都合で労働者を解雇するため、

本当に人員削減をしなければいけないのか?解雇を回避するために徹底した努力をしたのか?などのことはかならず求められるでしょう。

 

それらのことを講じたうえで避けられないのであれば、

当該人物を解雇することに合理性は認められるのか?労働者に対してしっかりと事情を説明し、

理解を得たうえでの解雇なのか?が求められます。

 

相当な努力を行ってもなお解雇を回避できないときは、会社都合での解雇「整理解雇」が認められるでしょう。

なお、整理解雇を行うときもかならず30日以上前の解雇予告もしくは解雇予告手当の支給が必要なので注意してください。

 

 

労働者が原因の解雇は「会社都合の解雇」に該当しない

 

労働者が原因の解雇は「会社都合の解雇」にはあたらず「懲戒解雇」もしくは「普通解雇」に該当します。

 

普通解雇に該当する事由

  • 健康状態によって就業不能と判断されたとき
  • 能力不足や成績が芳しくない

 

普通解雇のときは、会社都合の解雇同様に30日以上前の解雇予告もしくは解雇予告手当の支給、退職金の支給が必要です。

 

懲戒解雇に該当する事由

  • 勤務態度不良
  • その他重大な違反行為

等、就業規則で懲戒事由とし記載されているもの

 

 

懲戒解雇事由に該当する重大な違反が合ったときは、労働基準監督署へ解雇予告除外認定を行えます。

これが認められれば即時解雇や解雇予告手当の不支給が認められます。

 

 

その他会社都合「退職」と認められる事例

 

会社側から直接「解雇」を通告しなくても、労働者を間接的に退職させたときは「会社都合退職」に該当します。

会社都合退職であれば、解雇予告や解雇予告手当の支給をする必要はありません。

しかし、厚生労働省が支給する各種助成金を取得できなくなるなどのデメリットが発生するでしょう。

 

一般的に、会社都合退職として認められる事由は下記のとおりです。

  • 退職推奨による退職
  • ハラスメント等会社側に否がある理由での退職
  • 会社の倒産等により解雇されることが明らかなときの退職

会社都合の退職になることで労働者側は失業保険給付でメリットを受けられます。

一方で、会社側は各種助成金を受け取れないなどのデメリットが生じます。

 

会社都合退職は、お互いにメリットとデメリットがあるため、トラブルに発展しやすい事例なので注意してください。

 

 

会社都合で解雇したときは会社に一定のデメリットが発生する

 

会社の都合で労働者を解雇するときや、

会社の都合で退職せざるを得ない状況に陥ったときは、いくつかのデメリットを被ることになるでしょう。

日本の法律では、一度雇用した労働者を解雇するのは容易ではありません。

さまざまなリスクを背負って解雇をするものだと思っておいたほうが良いでしょう。

 

次に、会社都合で労働者を解雇させたときに発生し得るデメリットについてお伝えします。

 

 

一部の助成金対象外になる恐れがある

 

厚生労働省が民間企業の支援をする目的で設定されている助成金ですが、

これを受け取るためには「6か月以内に会社都合の退職を行っていないこと」が条件です。

 

つまり、会社都合での退職者を発生させてしまったときには、受け取れるはずの助成金を受け取れなくなってしまうのです。

 

会社都合退職で受け取れなくなる助成金は下記のとおり

  • トライアル雇用助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • 中途採用等支援助成金
  • 労働移動支援助成金
  • 障害者雇用安定助成金
  • 地域雇用開発助成金

 

参考:厚労省|雇用・労働分野の助成金のご案内(詳細版)

助成金を受け取れなくなることを理由に、労働者に対して自主退職を促す行為は許されません。

会社側の理由が原因で退職をしたのであれば、それは「会社都合退職」に該当します。

 

 

解雇予告手当の支給は必須

 

会社都合で労働者を解雇するときにはかならず解雇日の30日以上前に、当該労働者に対して通知をしなければいけません。

仮に、30日以上の期間を持たずに解雇するときは、解雇予告手当の支給が必須です。

 

解雇予告手当は【1日の平均賃金✕解雇予告に足りなかった日数=解雇予告手当支給金額】です。

たとえば、4月30日をもって解雇とするのであれば、3月31日までに解雇予告をしておかなければいけません。

 

これを4月30日当日に即日解雇をしたときは【1日の平均賃金✕30日=解雇予告手当支給金額】になります。

この手当を支払わなければ、賃金未払いとして労働基準法違反に抵触する恐れがあります。

 

解雇予告手当は、会社都合の退職のときでもかならず支払わなければいけません。

破産寸前で支払い能力がなくても認められないので注意してください。

 

 

労働者が認めなければ訴訟を起こされるリスクがある

 

労働者が会社都合の解雇を認めていないにも関わらず、一方的に解雇を通達したときは訴訟を起こされるリスクがあります。

 

倒産による解雇であれば致し方ないですが、

整理解雇のときは下記のことを労働者に伝えて、理解を得なければいけません。

 

  • なぜ当該労働者が解雇の対象になったのか
  • 会社の経営状態が芳しくない事実について決算書等を用いて説明
  • 整理解雇をせざるを得ない状況であること

以上の説明を怠ることでトラブルに発展し、

損害賠償請求や解雇の取り消しを求めた裁判を提起される可能性があります。

 

会社都合で解雇を通達するときには、労働者にしっかりと説明をしたうえで理解してもらうべきでしょう。

 

 

万が一、会社都合解雇が不当と認められたときは「労働基準法違反」になる

 

会社都合解雇として認められる事由は「倒産等による解雇」もしくは「業績不振による整理解雇」のいずれかに該当するときのみです。

万が一、その他会社側の都合で労働者を解雇してしまったときは、労働基準法違反として厳しい罰則を受けることになるでしょう。

 

たとえば、会社が業績不振に陥って整理解雇をしようとしたときに、人員削減を回避する努力を怠ったとき。

このようなときには、労働基準法違反として罰則を受ける恐れがあります。

 

たとえ会社の業績不振による解雇であっても、人員削減を回避する努力や解雇する労働者への説明は義務です。

これらを怠ってしまうと、厳しい罰則を受ける恐れがあるので注意しましょう。

 

 

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される

 

会社側の都合であっても「客観的かつ合理的な理由」がなければ、不当解雇として労働基準法違反に該当します

万が一、労働基準法違反に抵触してしまうと「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が科される恐れがあります。

 

また不当解雇に限らず、業績不振を理由とした給与や退職金の未払い、解雇予告手当の未払いも労働基準法違反に抵触するでしょう。

 

解雇は厳しく制限されているため要注意

 

会社都合での解雇、労働者に原因のある解雇、いずれの解雇であっても容易にできるものではありません。

解雇を行うこと自体がハイリスクであり、会社都合の解雇をするときもかなり慎重に手続きを行わなければいけません。

 

万が一、解雇の方法を誤ったりひとつの手続きを飛ばしてしまったりすると、会社ブランドにも大きな影響をあたえることでしょう。

いかなる理由があろうと解雇ができないわけではありませんが、解雇をするときは慎重な判断が求められるでしょう。

 

 

まとめ

 

今回は、会社の都合で労働者を解雇できる事由や解雇するときの注意点等についてお伝えしました。

 

今回お伝えしたことをまとめると下記のとおり。

 

  • 会社の都合で労働者を解雇できるのは「倒産するとき」と「業績不振による整理解雇」をするときのみ

  • 会社都合での解雇は給与や退職金の支給はもちろん、解雇予告もしくは解雇予告手当の支給が必須

  • 労働者に大きな原因がある解雇は「会社都合」にはならない。仮に懲戒解雇になったときは、解雇予告や解雇予告手当の支給は必要ない

  • 万が一、会社都合退職者を発生させてしまったときは、いくつかの助成金を受け取れなくなる恐れがある

 

労働者は職業選択の自由によって退職の自由を認められています。

 

一方で、会社側は一度雇用した従業員をそう簡単に解雇することができません。

ただ、会社を経営していれば思いもしないことが発生することもあるでしょう。

 

倒産せざるを得ない状況になったり、やむを得ず整理解雇をしなければいけなかったり、

会社側の都合で解雇をしなければいけないこともあるかもしれません。

 

会社側の都合で解雇しなければいけないのであれば、

やむを得ない理由をしっかりと伝えて理解してもらうことがもっとも大切です。

後のトラブル回避もそうですが、労働者や会社側の心の問題もあるでしょう。

 

やむを得ないからこそ、しっかりと確実な手続きを踏むことが大切です。

会社都合で解雇をするときは、今回お伝えしたことを参考にしてください。

 

 

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