たきざわ法律事務所

鬱病で退職する社員に対する5つの注意点!会社ができる鬱病発生予防についても詳しく紹介

この記事を書いた弁護士は…

 

 

会社内で鬱病を発症した社員が出てしまった時、企業側が求められる対応はどのようなものなのでしょうか。

 

鬱病は心の病気であり、目に見えてわかることは少ないです。そのため、周囲の人から気付かれにくい特徴があり、

周囲の人は「やる気がない」「仕事ができない」「なんでこんなこともできない?」など、マイナスなことを思ってしまうこともあるでしょう。

 

そのため鬱病患った社員は「会社全体の士気が下がるからやめてもらいたい」そう思う気持ちもわかります。

 

そのため「鬱病を理由に解雇できるのではないか?」「退職推奨で早めにやめてもらったほうが良い」などと思う方も少なからずいるでしょう。

 

しかし現実的には、鬱病が原因で社員を退職させることは難しく、解雇や退職推奨をするのであればいくつか注意しなければいけないことがあります。

 

そこで今回は、会社内で鬱病者を発生させてしまった際はどうしたら良いの?と疑問を抱えている企業に向けて、

下記のことをお伝えします。

 

  • 鬱病を理由に退職する社員でも配慮が必要
  • 鬱病退職の社員に対する注意点は5つ
  • 「解雇は原則認められない」

  • 「退職推奨は慎重にいかなければ危険であること」

  • 「意思能力がなければ辞表の効力は失われる」

  • 「休職制度の利用について」

  • 「鬱病が原因であれば即日退職が認められることもある」

 

  • 会社が鬱病退職者を発生させないためにできる大切なこととは?
  • 万が一、鬱病退職者を発生させてしまったときに会社がやるべきこと

 

以上のことについて詳しくお伝えします。

ぜひ参考にしてください。

 

 

鬱病を理由に退職する社員への5つの注意点

 

労働者から「鬱病」であるこることを打ち明けられた時「無理をしないでほしい」そんな気持ちから退職推奨をしたり、

鬱病での欠勤を理由に解雇を検討したりすることもあるでしょう。

 

もしかすると、鬱病を理由に労働者のほうから退職を相談されることもあるでしょう。

鬱病は心の病気であり、客観的に見ても判断がしづらいため、退職を認めずに労働者を苦しめてしまうことがあるかもしれません。

 

企業側は鬱病という病気を理解し、労働者へ最大の配慮をしなければいけません。

とくに、鬱病で退職する社員に対しては、下記のことに注意してください。

  1. 鬱病を理由にした解雇は認められない
  2. 退職推奨をする際は慎重に
  3. 鬱病社員の辞表は意思能力がポイント
  4. 休職制度の利用検討を促す
  5. 鬱病が理由であれば即日退職が認められやすい

まずは、それぞれの注意点について見ていきましょう。

 

 

注意点①:鬱病を理由に解雇はNG

 

鬱病を患った労働者を解雇することは原則認められず、かならず自主退職という形で退職してもらわなければいけません。

これを誤ってしまうと「不当解雇」として、企業側が大きな損失を受けるので注意してください。

 

とくに、下記に該当する労働者を解雇してしまうと、不当解雇として認められやすいので注意してください。

  • 企業側の理由で鬱病を患った
  • 医師が復職可能と判断している時

 

一方で、鬱病の労働者の解雇が認められるケースは「休職期間経過後、医師の判断で復職が難しいとされたとき」のみです。

ただし、会社の理由で鬱病を患った労働者であれば、解雇することはできません。

 

上記のことから、鬱病を理由に解雇することは極めて困難であると言えるでしょう。

 

 

注意点②:退職推奨は慎重に

 

鬱病を理由に休職している労働者に対して退職を推奨し、自主退職をしてもらうのもひとつの手段です。

 

しかし、鬱病を患っている方は精神的に不安定になっている方も多く、中には「無理やり退職をさせられた」などと言う方もいるかもしれません。

 

退職推奨を検討する際には、会話を録音したり書面でやり取りをしたりするなど徹底した慎重さが大切です。

また、過度な退職推奨は「強要」とみなされる恐れもあるため、記録を残しておくことはとても大切でしょう。

 

 

注意点③:鬱病社員の辞表は“意思能力”がポイント

 

意思能力のない労働者が辞表(退職願)を提出してもその効力は認められませんが「鬱病=意思能力なし」と判断されるケースはめずらしいため、

心配する必要はないでしょう。

 

意思能力とは一般的に「小学生以上」とされているため、意思能力がないと認められるケースは少ないです。

もしも、意思能力がないと判断されれば、行った法律行為(辞表の提出)が認められません。

 

鬱病の労働者が提出した辞表を受理した以上、労働者が撤回を求めても企業側は応じる必要ありません。

このとき、鬱病を理由に突発的に提出した辞表であっても、意思能力があれば辞表の効力が認められます。

 

 

注意点④:休職制度の利用検討を促す

 

労働者が鬱病を発症してしまった際、自社の規定で定めている休職制度の利用を促してください。

 

鬱病になったからといってすぐに退職推奨をしたり解雇通知をしたりすることは許されません。

基本的には、休職期間を経て復職の可能性がない場合に限って退職推奨等が認められます。

 

もちろん、鬱病を理由に自ら退職を希望する労働者がいるかもしれません。そういった際には、休職制度の利用を促す必要はないでしょう。

 

ただ、鬱病を患いながらも出勤や欠勤を繰り返す労働者に対しては、休職を促すのもひとつの手段でしょう。

いずれ、退職を推奨するときなどに有利に働く可能性が高まります。

 

 

注意点⑤:鬱病は即日退職が認められる可能性が高い

 

鬱病の診断書があれば、即日退職が認められる可能性が高いです。

通常、退職する前2週間前までに申し出なければ退職が認められません。

 

鬱病が即日退職認められる理由として、民法628条に定める「やむを得ない事情があるときは直ちに契約の解除ができる」という法律のもと、

鬱病は病気であり、やむを得ない事情に該当するとの解釈から、即日退職が認められやすい傾向にあります。

 

鬱病を患った労働者が即日退職を希望した場合、それを引き止めてしまうと「在職強要」として訴えを提起される恐れがあります。

 

鬱病は病気であることを再認識し、傷病者が希望するのであれば可能な限り退職をさせてあげるべきでしょう。

 

 

会社が鬱病退職者を発生させないためにできる3つのこと

 

会社が原因で鬱病者を出してしまうと、労災扱いになったり企業の評判が落ちたりなど不利益を受けます。

会社が鬱病退職者を発生させないために、最低限できることは行っておくべきでしょう。

 

とくに、下記3つのことについては徹底して行うべきことで、鬱病退職者の発生を抑えられます。

 

  1. メンタルヘルス研修や風通しの良い環境づくり
  2. ストレスチェックの実施
  3. 労働時間管理の徹底

 

以上のことについて、詳しく見ていきましょう。

 

 

①メンタルヘルス研修や風通しの良い環境づくり

 

企業のなかでメンタルヘルスケアに関する研修や必要に応じて、資格取得を目指すのは鬱病退職者を出さないためにもっとも効率的な手段です。

 

昨今、メンタルヘルスに対する関心が高まりつつあり、厚生労働省でも推奨しています。

厚労省で推奨している具体的な施策は下記のとおり。

  • ストレスチェックの導入
  • メンタルヘルスに関する知識を身に付け「気付ける環境」づくり
  • 復職支援の手引き

まとめると労働者の心の変化に築ける環境づくりが大切であって、

万が一、鬱病退職者や鬱病求職者を発生してしまったときの復職についても知っておくことが大切。ということでしょう。

 

また、鬱病を患ってしまった労働者が復職を目指すときの手引きについても、前もって準備しておくと良いでしょう。

労働者に対して「安心」を与えることがとても大切です。

 

 

②ストレスチェックの実施

 

鬱病退職者を発生させないためには、労働者のストレスチェックを怠ってはいけません。

ストレスチェックとは、定期的に労働者のストレスを検査し、本人に対して結果を伝えることで「気付き」を与えることを目的としています。

 

気付きを与えることによってメンタルヘルスの不調を軽減させたり、職場環境の改善を図ったりします。

 

ストレスチェックの導入方法については、厚生労働省の「ストレスチェック制度導入マニュアル」で閲覧可能です。

など、具体的に記載されています。

鬱病退職者を発生させないためにも、ストレスチェック制度の導入を検討してください。

 

 

③労働時間管理の徹底

 

労働時間と鬱病の関係はとても深いもので「長時間労働=鬱病になりやすい」と言われています。

 

過労死ラインとされている時間外労働は80時間/月であり、1か月あたりの労働日数が20日とすれば1日4時間の時間外労働が過労死ラインになります。

 

この過労死ラインを超えてくると、睡眠時間が少なくなったりストレスが蓄積されたりなどして、心身に悪影響をもたらし始めるでしょう。

 

仮に会社側で労働時間管理を徹底していたとしても、自宅に戻っても残業をしていれば長時間労働になり得ます。

このように、会社側の責任によって長時間労働を強いられ、鬱病を発症した場合は労災扱いになるでしょう。

 

企業のイメージ悪化にも直結するため、労働時間の管理徹底は行うべきです。

また、各労働者の能力に応じた仕事の割り振り等も徹底するべきでしょう。

 

 

鬱病が原因で退職希望者が出てしまったときに会社がやるべきこと

 

もしも労働者が鬱病を発症してしまったのであれば、

企業は労働者に対して「医師への受診を促すこと」「休職制度や復職について説明すること」を徹底してください。

 

とくに、仕事が忙しくて病院を受診できない、休みたいのに休めない、仕事を失ってしまうのではないか?と不安を抱えている労働者も多いです。

 

企業側が労働者へ説明し、安心させることがとても大切です。

最後に「鬱病が原因で退職希望者が出てしまった時に会社がやるべきこと」についてお伝えします。

 

 

医師への受診を促す

 

労働者がメンタルヘルスの不調を訴えたときや、明らかに様子がおかしい時、もしくは自ら申し出たときは医師への受診を促してください。

 

まず、企業として初めにやるべきことは診断書を提出してもらうことです。

そのうえで、必要に応じて休ませたり病院を受診させたりなど、病気を治癒させるための行動をとってください。

 

鬱病を患っている方の中には自覚症状のない方もいます。

客観的に見て明らかにおかしい労働者に対しては、企業から受診命令をくだすこともできます。

 

ただ、受診命令は就業規則に規定がある場合に限られています。

まずは、就業規則を確認したうえで、労働者に対して受診命令をくだすなどしてください。

 

また、企業側は労働者が安心して病院を受診できるよう時間を与えたり、必要に応じて休暇を与えたりることも検討してください。

 

 

休職制度や復職の説明

 

労働者が鬱病を患ってしまったことを打ち明けてくれたのであれば、企業側は自社の休職制度や復職について詳しく説明してください。

 

鬱病は心の病気であって、不安要素が多ければ多いほど悪化します。

そのため、企業としては安心して休ませてあげられる環境づくりが必要となるでしょう。

 

また、結果として復職が困難であった場合には、退職金についてや退職後の制度等についても伝えてあげることが大切です。

最終的に、退職推奨や解雇をしなければいけないことを想定した行動をとったほうが、後に与える影響は少なく済むでしょう。

 

 

まとめ

 

今回は、鬱病による退職希望者が出てしまった時の会社の対応は?について、お伝えしました。

今回お伝えしたことをまとめると下記のとおり。

 

鬱病は心の病気であって、周囲の人が気付きにくいといった特徴があります。

また、精神的なものであるため、仕事への意欲低下が見受けられることもあるでしょう。

 

そのような方がいれば、会社全体の士気が下がるため「解雇したい」「退職してほしい」そう思う気持ちもあるでしょう。

しかし、社員が鬱病になってしまった理由が会社側にあるのであれば、解雇は認められませんし退職推奨も難しいでしょう。

 

企業側ができることは、鬱病退職者を発生させないための「予防」しかありません。

今回お伝えしたメンタルヘルスチェック等を導入し、鬱病退職者を発生させない努力を続けてください。

 

 

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